生けるパスカル
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松本清張の異色作二編が収められている。 まず、「生けるパスカル」。主人公である画家の矢沢は、異常なほど嫉妬深い奥さんを持って、一見、気の毒そうなのだが、 元々は、矢沢本人の浮気に原因があるのだから仕方がない。もし、夫の矢沢が浮気をまったくしなければ、妻の鈴恵は、あんな ヒステリーには陥らなかっただろう。矢沢に弁解の余地はないのである。 異常なくらい嫉妬深い鈴恵・・・逆に言えば、矢沢は妻の鈴恵から熱烈に愛されているのであり、それこそ男冥利に尽きるというもの。 矢沢は画才があるうえに、艶福家でもある。それは若い頃に鈴恵と恋愛結婚する前に、彼の友人の妹、道子と激しい恋愛をしていたこと でも分かる。道子は、矢沢と鈴恵が結婚する三日前に、道子の強い求めで、矢沢と最後の愛 (激しい性愛) を営み、矢沢が結婚して 一週間目に自殺した!! 道子も命がけで矢沢を愛していたのである。 だが、そんなことをしてまで結婚した鈴恵の異常すぎる嫉妬と暴力 (逆DV?) にほとほと疲れた矢沢は、たまたま自分自身と同じような 境遇の男を描いた小説に共感し、妻から解放されるべく、完全犯罪を画策する。 いゃー、読後は、何かやり切れませんね。女性にモテすぎるのも良くないかも・・・などと、人生の真理(?)を感得できた秀作でした。 つぎに、「六畳の生涯」これは、谷崎潤一郎の「瘋癲老人日記」を思い出させる作品。 この作品では、79歳の老人、志井田博作が、若い家政婦の吉倉トミに寄せる一途な恋心が読んでいて、とても面白かった。 この志井田という老人は、中々の好々爺です。可愛いお爺ちゃんです。 いっぽう、30半ばのトミは、決して美人ではないのだが、ポッチャリ型のコケットである。しかも、働き者で性格は おっとりとしていて庶民的で好感が持てる。女性のわりには口がかたく、亭主持ちで身持ちも堅いのも、すごく好印象。 松本清張って、人物造形うまいなあ。 こんな気のいい働き者のポッチャリ・コケットが、最終的には、思いがけない (と読者には思える) 人物から、 夫もろとも殺されてしまう結末が、余りにも可哀そうで、ちょっと目がウルウルしました。彼女もその夫も いったいどんな悪いことをしたんだよ?! って。 もっと希望のある結末が書けなかったのかな。 と言うか、読者を涙目にさせるのが、作者の狙いなのかも・・・。 あの裏表のない、お人よしでよく気のつく働き者のコケット(なまめかしい女性) の吉倉トミが、 あんなやつ (→ ネタバレしないようにあえてボカします) なんかに殺されてたまるかよー。 浮かばれないよー。 本当に悔しいし、目には涙がたまるしで、一種の「悲劇」といえばいいのか。 そうそう、吉倉トミには、ささやかな盗癖があるのだけど、それすら、彼女を雇っている医院の奥様の 許容範囲なんです。よほど、その人柄を愛されている証拠です。 以上、2作とも、松本清張ファンなら一読の価値大ありです。「六畳の生涯」の方はマジ泣けます。 | ||||
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200ページほどの中編二作入り。手軽であっという間に読めた。 『六畳の生涯』八十歳の引退したもと医者が、肥満体の女中に恋する。底辺の恋愛とでもいうのか。恋愛というより欲情かな。つくづく作者の守備範囲の広さと筆力に感心する。老人のくすぶるような淫欲が活写されていて、引き込まれる。終盤の展開には唖然とした。 表題作は、妻に主導権を握られた画家が主人公だ。妻は十年以上前の浮気をきっかけに、ヒステリー発作が常態となってしまった。画家はなんとかこの状況から逃れようと、知恵を絞る。暗い情念が徐々に具体化していくところが読みどころだ。 隠居した老人と恐妻家の画家。清張にはかなり珍しいタイプの主人公で、新鮮で楽しめた。どんなテーマを選んでも、人の本質を見抜く鋭い観察眼は曇らない。 | ||||
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それにしても。大分読みつくしたと思っていたが、まだまだ出てくる、作品に驚く。それもすべて面白い作品がけっこう有る。この2作品もその中のひとつで、最後まで、グイグイ読ます。 | ||||
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個人読書履歴。一般文学通算98作品目の読書完。1976/12/08 | ||||
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