生けるパスカル

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種別
長編
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あらすじ

2014年03月12日 生けるパスカル: 松本清張プレミアム・ミステリー (光文社文庫)

もう耐えられない―画家の矢沢辰生は、異常なほど嫉妬深い妻の暴力に苦悩していた。ときには死の恐怖すら感じるほどだった。ある日、自分と同じ境遇の主人公を描いた小説に共感した矢沢は、妻から解放されるべく、ついに完全犯罪を計画する…。夫婦の歪んだ心理に鋭く切り込む表題作。家政婦への暗い情念を燃やす老人の鬼気迫る姿を描いた「六畳の生涯」も併載。(「BOOK」データベースより)

評判

生けるパスカルの評価:

0.00/10点 レビュー 0件。 - ランク

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生けるパスカルの総合評価:

9.50/10点 レビュー 4件。

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Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.4
(5pt)

2作とも秀作でした!!

松本清張の異色作二編が収められている。
まず、「生けるパスカル」。主人公である画家の矢沢は、異常なほど嫉妬深い奥さんを持って、一見、気の毒そうなのだが、
元々は、矢沢本人の浮気に原因があるのだから仕方がない。もし、夫の矢沢が浮気をまったくしなければ、妻の鈴恵は、あんな
ヒステリーには陥らなかっただろう。矢沢に弁解の余地はないのである。

異常なくらい嫉妬深い鈴恵・・・逆に言えば、矢沢は妻の鈴恵から熱烈に愛されているのであり、それこそ男冥利に尽きるというもの。
矢沢は画才があるうえに、艶福家でもある。それは若い頃に鈴恵と恋愛結婚する前に、彼の友人の妹、道子と激しい恋愛をしていたこと
でも分かる。道子は、矢沢と鈴恵が結婚する三日前に、道子の強い求めで、矢沢と最後の愛 (激しい性愛) を営み、矢沢が結婚して
一週間目に自殺した!! 道子も命がけで矢沢を愛していたのである。

だが、そんなことをしてまで結婚した鈴恵の異常すぎる嫉妬と暴力 (逆DV?) にほとほと疲れた矢沢は、たまたま自分自身と同じような
境遇の男を描いた小説に共感し、妻から解放されるべく、完全犯罪を画策する。
いゃー、読後は、何かやり切れませんね。女性にモテすぎるのも良くないかも・・・などと、人生の真理(?)を感得できた秀作でした。

つぎに、「六畳の生涯」これは、谷崎潤一郎の「瘋癲老人日記」を思い出させる作品。
この作品では、79歳の老人、志井田博作が、若い家政婦の吉倉トミに寄せる一途な恋心が読んでいて、とても面白かった。
この志井田という老人は、中々の好々爺です。可愛いお爺ちゃんです。
いっぽう、30半ばのトミは、決して美人ではないのだが、ポッチャリ型のコケットである。しかも、働き者で性格は
おっとりとしていて庶民的で好感が持てる。女性のわりには口がかたく、亭主持ちで身持ちも堅いのも、すごく好印象。
松本清張って、人物造形うまいなあ。

こんな気のいい働き者のポッチャリ・コケットが、最終的には、思いがけない (と読者には思える) 人物から、
夫もろとも殺されてしまう結末が、余りにも可哀そうで、ちょっと目がウルウルしました。彼女もその夫も
いったいどんな悪いことをしたんだよ?! って。
もっと希望のある結末が書けなかったのかな。 
と言うか、読者を涙目にさせるのが、作者の狙いなのかも・・・。

あの裏表のない、お人よしでよく気のつく働き者のコケット(なまめかしい女性) の吉倉トミが、
あんなやつ (→ ネタバレしないようにあえてボカします) なんかに殺されてたまるかよー。
浮かばれないよー。 本当に悔しいし、目には涙がたまるしで、一種の「悲劇」といえばいいのか。

そうそう、吉倉トミには、ささやかな盗癖があるのだけど、それすら、彼女を雇っている医院の奥様の
許容範囲なんです。よほど、その人柄を愛されている証拠です。
以上、2作とも、松本清張ファンなら一読の価値大ありです。「六畳の生涯」の方はマジ泣けます。
生けるパスカル (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 生けるパスカル (カッパ・ノベルス)より
4334030440
No.3
(5pt)

2作とも秀作でした!!

松本清張の異色作二編が収められている。
まず、「生けるパスカル」。主人公である画家の矢沢は、異常なほど嫉妬深い奥さんを持って、一見、気の毒そうなのだが、
元々は、矢沢本人の浮気に原因があるのだから仕方がない。もし、夫の矢沢が浮気をまったくしなければ、妻の鈴恵は、あんな
ヒステリーには陥らなかっただろう。矢沢に弁解の余地はないのである。

異常なくらい嫉妬深い鈴恵・・・逆に言えば、矢沢は妻の鈴恵から熱烈に愛されているのであり、それこそ男冥利に尽きるというもの。
矢沢は画才があるうえに、艶福家でもある。それは若い頃に鈴恵と恋愛結婚する前に、彼の友人の妹、道子と激しい恋愛をしていたこと
でも分かる。道子は、矢沢と鈴恵が結婚する三日前に、道子の強い求めで、矢沢と最後の愛 (激しい性愛) を営み、矢沢が結婚して
一週間目に自殺した!! 道子も命がけで矢沢を愛していたのである。

だが、そんなことをしてまで結婚した鈴恵の異常すぎる嫉妬と暴力 (逆DV?) にほとほと疲れた矢沢は、たまたま自分自身と同じような
境遇の男を描いた小説に共感し、妻から解放されるべく、完全犯罪を画策する。
いゃー、読後は、何かやり切れませんね。女性にモテすぎるのも良くないかも・・・などと、人生の真理(?)を感得できた秀作でした。

つぎに、「六畳の生涯」これは、谷崎潤一郎の「瘋癲老人日記」を思い出させる作品。
この作品では、79歳の老人、志井田博作が、若い家政婦の吉倉トミに寄せる一途な恋心が読んでいて、とても面白かった。
この志井田という老人は、中々の好々爺です。可愛いお爺ちゃんです。
いっぽう、30半ばのトミは、決して美人ではないのだが、ポッチャリ型のコケットである。しかも、働き者で性格は
おっとりとしていて庶民的で好感が持てる。女性のわりには口がかたく、亭主持ちで身持ちも堅いのも、すごく好印象。
松本清張って、人物造形うまいなあ。

こんな気のいい働き者のポッチャリ・コケットが、最終的には、思いがけない (と読者には思える) 人物から、
夫もろとも殺されてしまう結末が、余りにも可哀そうで、ちょっと目がウルウルしました。彼女もその夫も
いったいどんな悪いことをしたんだよ?! って。
もっと希望のある結末が書けなかったのかな。 
と言うか、読者を涙目にさせるのが、作者の狙いなのかも・・・。

あの裏表のない、お人よしでよく気のつく働き者のコケット(なまめかしい女性) の吉倉トミが、
あんなやつ (→ ネタバレしないようにあえてボカします) なんかに殺されてたまるかよー。
浮かばれないよー。 本当に悔しいし、目には涙がたまるしで、一種の「悲劇」といえばいいのか。

そうそう、吉倉トミには、ささやかな盗癖があるのだけど、それすら、彼女を雇っている医院の奥様の
許容範囲なんです。よほど、その人柄を愛されている証拠です。
以上、2作とも、松本清張ファンなら一読の価値大ありです。「六畳の生涯」の方はマジ泣けます。
生けるパスカル: 松本清張プレミアム・ミステリー (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 生けるパスカル: 松本清張プレミアム・ミステリー (光文社文庫)より
4334767109
No.2
(5pt)

2作とも秀作でした!!

松本清張の異色作二編が収められている。
まず、「生けるパスカル」。主人公である画家の矢沢は、異常なほど嫉妬深い奥さんを持って、一見、気の毒そうなのだが、
元々は、矢沢本人の浮気に原因があるのだから仕方がない。もし、夫の矢沢が浮気をまったくしなければ、妻の鈴恵は、あんな
ヒステリーには陥らなかっただろう。矢沢に弁解の余地はないのである。

異常なくらい嫉妬深い鈴恵・・・逆に言えば、矢沢は妻の鈴恵から熱烈に愛されているのであり、それこそ男冥利に尽きるというもの。
矢沢は画才があるうえに、艶福家でもある。それは若い頃に鈴恵と恋愛結婚する前に、彼の友人の妹、道子と激しい恋愛をしていたこと
でも分かる。道子は、矢沢と鈴恵が結婚する三日前に、道子の強い求めで、矢沢と最後の愛 (激しい性愛) を営み、矢沢が結婚して
一週間目に自殺した!! 道子も命がけで矢沢を愛していたのである。

だが、そんなことをしてまで結婚した鈴恵の異常すぎる嫉妬と暴力 (逆DV?) にほとほと疲れた矢沢は、たまたま自分自身と同じような
境遇の男を描いた小説に共感し、妻から解放されるべく、完全犯罪を画策する。
いゃー、読後は、何かやり切れませんね。女性にモテすぎるのも良くないかも・・・などと、人生の真理(?)を感得できた秀作でした。

つぎに、「六畳の生涯」これは、谷崎潤一郎の「瘋癲老人日記」を思い出させる作品。
この作品では、79歳の老人、志井田博作が、若い家政婦の吉倉トミに寄せる一途な恋心が読んでいて、とても面白かった。
この志井田という老人は、中々の好々爺です。可愛いお爺ちゃんです。
いっぽう、30半ばのトミは、決して美人ではないのだが、ポッチャリ型のコケットである。しかも、働き者で性格は
おっとりとしていて庶民的で好感が持てる。女性のわりには口がかたく、亭主持ちで身持ちも堅いのも、すごく好印象。
松本清張って、人物造形うまいなあ。

こんな気のいい働き者のポッチャリ・コケットが、最終的には、思いがけない (と読者には思える) 人物から、
夫もろとも殺されてしまう結末が、余りにも可哀そうで、ちょっと目がウルウルしました。彼女もその夫も
いったいどんな悪いことをしたんだよ?! って。
もっと希望のある結末が書けなかったのかな。 
と言うか、読者を涙目にさせるのが、作者の狙いなのかも・・・。

あの裏表のない、お人よしでよく気のつく働き者のコケット(なまめかしい女性) の吉倉トミが、
あんなやつ (→ ネタバレしないようにあえてボカします) なんかに殺されてたまるかよー。
浮かばれないよー。 本当に悔しいし、目には涙がたまるしで、一種の「悲劇」といえばいいのか。

そうそう、吉倉トミには、ささやかな盗癖があるのだけど、それすら、彼女を雇っている医院の奥様の
許容範囲なんです。よほど、その人柄を愛されている証拠です。
以上、2作とも、松本清張ファンなら一読の価値大ありです。「六畳の生涯」の方はマジ泣けます。
生けるパスカル (角川文庫 緑 227-27) Amazon書評・レビュー: 生けるパスカル (角川文庫 緑 227-27)より
4041227275
No.1
(4pt)

抜群の安定感を誇る巨匠

200ページほどの中編二作入り。手軽であっという間に読めた。
『六畳の生涯』八十歳の引退したもと医者が、肥満体の女中に恋する。底辺の恋愛とでもいうのか。恋愛というより欲情かな。つくづく作者の守備範囲の広さと筆力に感心する。老人のくすぶるような淫欲が活写されていて、引き込まれる。終盤の展開には唖然とした。
表題作は、妻に主導権を握られた画家が主人公だ。妻は十年以上前の浮気をきっかけに、ヒステリー発作が常態となってしまった。画家はなんとかこの状況から逃れようと、知恵を絞る。暗い情念が徐々に具体化していくところが読みどころだ。

隠居した老人と恐妻家の画家。清張にはかなり珍しいタイプの主人公で、新鮮で楽しめた。どんなテーマを選んでも、人の本質を見抜く鋭い観察眼は曇らない。
生けるパスカル (角川文庫 緑 227-27) Amazon書評・レビュー: 生けるパスカル (角川文庫 緑 227-27)より
4041227275
No.0
(4pt)

抜群の安定感を誇る巨匠

200ページほどの中編二作入り。手軽であっという間に読めた。
『六畳の生涯』八十歳の引退したもと医者が、肥満体の女中に恋する。底辺の恋愛とでもいうのか。恋愛というより欲情かな。つくづく作者の守備範囲の広さと筆力に感心する。老人のくすぶるような淫欲が活写されていて、引き込まれる。終盤の展開には唖然とした。
表題作は、妻に主導権を握られた画家が主人公だ。妻は十年以上前の浮気をきっかけに、ヒステリー発作が常態となってしまった。画家はなんとかこの状況から逃れようと、知恵を絞る。暗い情念が徐々に具体化していくところが読みどころだ。

隠居した老人と恐妻家の画家。清張にはかなり珍しいタイプの主人公で、新鮮で楽しめた。どんなテーマを選んでも、人の本質を見抜く鋭い観察眼は曇らない。
生けるパスカル (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 生けるパスカル (カッパ・ノベルス)より
4334030440

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