中央流沙
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最初はネトフリの「新聞記者」を見て触発され、M友学園問題をウィキで見て、そこから本書にたどり着いた。清張作品はリアルタイムで夢中になって読んだものだが、本書は未読だった。 さすが清張。汚職問題ではいつも中間管理職が犠牲になるという点を、読者にもわかりやすくサスペンスと推理で読ませる。夜を徹して読んでしまった。 ただ、一点気になったことがある。中間管理職が自死を選ぶという現象は公務員だけで、一般企業では稀有のことという。これは国を背負っているとか、国民のために働いているという公務員としての自負があるためだろうと清張は書いている。いや、いや、いや、これは公務員の場合、上司が多くの公共団体や教育界まで人脈を通じているため、汚職の要にいる中間管理職が自死を迫られて断れば、自分の家族やそれこそ親族の孫子にまで多大な迷惑が及ぶことが容易に予測されるためだろう。侍の世界でも家族や郎党のために詰め腹切らされるのは当たり前みたくあったんだから。 本書を読んだ後、M友学園問題で時の首相が「もし公文書の改ざんが本当なら自分は首相を辞めなければいけない」と公的発言したことの重要さに改めて思い至った。「新聞記者」では、この発言はスピーチの原稿にはなく首相のアドリブとされていたが、これを聞いて汚職事件の当事者たちはどんなに震えあがったことだろう。というのも、改ざんの決め手となる要的な位置にいた者たちにとって、この発言は、「お前たちの態度如何で、国のトップとその取り巻きたち全員を敵に回すことになるんだぞ」と念押しされたも同然だったと受け取れるからだ。いや、それどころか、そもそも神道の学校新設のための用地なのだから、皇室まで敵に回すことになるのかもしれない。 「新聞記者」を見て、それから本書を読んで、今までどこか上のほうで回っているように思われていた現実の汚職問題に目を開かされた気がする。時代は変わっても、政界における腐敗はは本書そのまま延々と続いている。政治は腐敗するとはよく言ったものだ。 | ||||
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砂糖の専売制を巡る汚職がテーマだ。 地位のある連中を守るため、使いに立っただけの小役人が自殺するよう示唆される。 お馴染みの展開だが、本作では下っ端事務官が部分的に視点人物を務めるので、ストーリーに深みがある。 出世をあきらめた山田事務官が、キャリア官僚たちの行動を観察する。 腹ただしい真相に気付いてはいても、何もしないしできない。リアルと褒めるべきなのだろうが、不快である。 詰め腹を切らされた男の妻子は、役所からたくさんの手当てをもらって、以前より暮らし向きが良くなる。 死んだ方が良かったとでも言うのか。なんとも切ない話だ。 清張にしか書けない作品ではあるが、好きになれない。ミステリーとして解決していないし、後味が悪すぎる。 | ||||
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悪徳実業家と正義派の重役との会社内におけるお家騒動で、前者が勝つ。むしろ主人公が出した怪文書を基にいや気のさした奥さん(スポーツ選手との不倫を告発、もう一人側近の重役の奥さんも証券マンと不倫していたのでこれも告発。)を離婚してせいせいしている。まるで反省の色なしで主人公を名誉棄損で訴え、首にしている。実業家もこれと手を組んだ政治家ものうのうとしている。理不尽な終わり方であった。正義が勝つとは限らないたとえか。 中央流沙も収賄事件で渦中の課長補佐は事故死に見せかけて口封じに殺され、上層幹部はのうのうとしている。ラストも警察庁に退職後のポストを譲る条件で、捜査を打ち切り、結局、あいまいのまま捜査は終わる。理不尽な終わり方である。 | ||||
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松本清張も今読むと内容が古すぎる。 若いときはわくわくしながら読んだのに。 小説より史実ものが今読んでも面白いと思います。 小説なら長編より短編の方が。 | ||||
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今も昔も共通するであろう行政機構の、悪事を生み出しそれを全体として看過してしまう構造を、精妙に模写しながら、冗長さなく、小品としてまとめてある。この小説を読んでもなんらかの希望や生の肯定感などは、微塵も出てこない。それどころか、主人公の山田事務官の生活苦まで、肌で感じられるように書かれている。結果として、人間が為すことについてのあきらめ感が読後に残る。それは共感でもあり、所詮文学とはそこまで辿りつけていれば、よしとするものなのである。官僚機構の内側に距離感をもって触れさせながら、安易な正義感の入る隙を除き、希望を絶った内容とすることで、知ることによる落ち着きを提示してみせたわけで、文学として一流に入るだろう。『阿部一族』⇒『中央流砂』という流れでしょう。 | ||||
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