蒼ざめた礼服
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点6.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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日常の平凡な仕事に飽きていただけの若者が、刺激を求めて調査研究所に就職したことから、アメリカからの原子力潜水艦の導入を巡る連続殺人事件に巻き込まれ、独自の調査で真相を解明することになる。そこでは巨大な利権を巡って暗躍する官僚、兵器産業、謎の黒幕などが入り乱れ、熾烈な戦いを繰り広げていた・・・。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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良好でした。納得のお値段です。 | ||||
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主人公の片山幸一は、洋傘会社に務めているが、毎日の仕事があまりに平凡で、嫌になって転職を考えていた。ある日、気まぐれに古い雑誌を買ったところ、その雑誌を譲って欲しいとの「告知」をある週刊誌に見つけた。その雑誌を欲しがっている作家の家を訪問してから、片山の人生は大きく変化して行く。 普通の人なら見逃してしまいそうなことを、丹念にたどっていくことで、重大な事件へと迫っていくのは、松本清張氏の得意な手法である。 少し気になるのは、見つけた写真館が、全く別のことで大きな意味を持ったりするというような、あまり起こり得ない偶然が松本氏の小説では多いことである。ただ、この本を楽しむには、そういうことは気にせずに、精密な片山の推理と、援用される法医学や東京湾の潮流、国家機密などの知識などを楽しむ方が良い。 しかし、よく考えると、不審な死が続いて身の危険を感じながら、刑事でもない片山が好奇心だけで、どんどん深入りしていくことは、少し不自然な感じがする。 | ||||
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豫が初めて読んだ松本清張の長編小説がこの「蒼ざめた礼服」だつた。新潮文庫だつたがまへから家にあつたものだつたので無論この新装版ぢやない。いま読んだとはいつたがそのとき豫は小学生のがきだつた(高学年ではあつたが)ので話はあまりよく理解できず汚職事件を描いた小説であるぐらゐしか分からなかつた。防衛装備といつてもその政治的な意味などさう深く知るわけがない。そのくせ主人公の片山が勤め度くもない傘会社で働いてゐたことや片山が屋台の出店で偶然購入した古雑誌を関口が欲しがる話や片山がその古雑誌を買つたのがそこに掲載せられてゐた河口慧海のチベット潜入旅行記を読んでみやうと思つたからであることやキャバレーやスナックでいつもハイボールを飲んでゐたことや終戦直後の経済生活の雰囲気といつたあまり本筋ぢやない細部(ディティールだな)のはうをよく記憶してゐる。カクテルドレスを着た長尾智子の気怠い微笑や香水の匂ひや陰翳のある顔立ちやせうせう乱れのある後ろ髪を想像して大人の色香を強烈に感じてしまつた豫は青春の入り口にあつて青い悶えを覚えた。そのころにはまう☓☓を経験してゐたから智子の姿を思ひ浮かべて何度も☓☓した。本橋秀次郎が新世紀を辞めた後職を転々として柏の新聞広告代理店で働いてゐたとか海外で整形手術した様子があるといつた大人の世界の点描はゴルゴ13のやうな不思議な魅力があつた。もつともバアやキャバレーに行くとひどく金を使ふやうに感じられたので行つてみたいとはあまり思はなかつた。「蒼ざめた礼服」はさう傑作とは目されてゐないやうだがかういふ次第もあるので豫にはなかなか印象深い作品に思へる。展開も緩急が効いてをり急の部分は緊迫感があつてスリリングだから決して悪くない。死んだはずの本橋秀次郎が実は生きてゐてその正体も書きたいところだがまあやめておかう。片山のごく身近にゐる人物だ。ただしもちろん長尾智子ぢやない。物語は片山が漠然と長尾智子を想起するところでをはるが片山は智子に惚れてゐたやうだ。小学生のとき読んで以降何度か本書を繙いたと思ふがその際の明確な記憶はない。だがまあ小学生のがき向けの小説とはいへまい。まう少し大人になつてから読むはうがいいだらう。小学生ぢや意味が分からないところがおほいだらうし豫のやうに長尾智子に大人の色香を感じて悶えたり☓☓したりしてゐるのもあまり健全といへないだらう。 | ||||
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昭和30年代の東京及び周辺が舞台です。 内容のバックボーンは深く書けませんが、「国防問題と巨大軍需産業の闇」と書籍の 紹介に記してありますのでその通りなんですが・・・これってある意味ネタバレ感 満載のような・・・。 ごく一般的な若者が、あるきっかけで社会の闇の渦に巻き込まれていくというストーリー です。言ってみればグリシャム的なお話なんですが、この昭和30年代に週刊誌で連載されて いればサラリーマンの方々は自身に置きかえて冒険を楽しめたのではないかと思いを馳せる 事ができます。 そして、恐らく、この時代の社会の闇の部分を具現化して週刊誌という媒体に乗せると、 今の平成の世とは比べ物にならないぐらい引き込まれた読者を想像できます。 不謹慎?なのですが、小気味よく事件が発生し読者を置き去りにしないように丁寧に物語 が進んでいきますので読み物としては軽い感じで楽しめます。 そう、現在この手の話は書籍にしろ映画にしろ沢山の名作&駄作の情報が蓄積されてしまって いるので、それらに比べて「軽い」感じになってしまうんでしょうね。 とは言え、まあ無いとは思いますがNHKあたりが内容を現代に置き換えて大胆に解釈を変えて 全5話完結ぐらいでドラマにすると面白い作品となるのではと考えてしまいました。 そうなんですよね。つまり松本清張は今更ながらですが、ストーリーテラーとしての発想が優れているという事です。 だから、この時代に50数年前の作品を期待を込めて読んでしまうんですよね。 | ||||
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昭和36(1961)年頃に、週刊誌に連載された社会派長編小説!小さな本屋さんでは、メジャーな作品しか置いていないので、改版されて、文字も大きくなり、復刻されていたことに何年も気がつきませんでした。中身は細かく書きませんが、本の裏表紙の宣伝文句を読んだだけで、分厚い長編小説なのに、思わず買ってしまいました。時代背景は、50数年前の内容なので、電話事情など、あれっと感じるところも確かにありますが、それでも、戦後16年以上経過した頃だと、思ったより、交通事情など、そんなに今と違わないなと思いました。そんなに松本清張さんの作品を読んできたわけではありませんが、今回も、郊外の裏淋しい街や銀座の綺麗なお姉さんなども登場し、飽きさせません。中身は細かく書きませんが、とにかく、引き込まれて行きます。ただ、週刊誌の連載でしたので、その号から読み始めても、ある程度分かるようにか、何度も繰り返し、主人公が自分の頭の中を整理されるのが、何日もかけて読み進める方にとっては、分かりやすいといえば分かりやすいですし、逆に、一気読みされる方にとっては、くどいと思われるかもしれません。当時の時代の雰囲気も伝わってきて、とにかく、面白いです。 | ||||
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