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egut さんのレビュー一覧

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レビュー数773

全773件 441~460 23/39ページ

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No.333: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

さよならドビュッシーの感想

個人的に「ドビュッシー」の作品は「ゆったり」や「やさしく包み込むような」曲の印象でして、辛く孤独になりたい時に触れるような作品で気持ちが沈みやすい。本書の知名度は把握しながらも中々手に取らなかったのは、そんなドビュッシーに対する個人的な感覚意識からで敬遠していました。
シリーズとして冊数を重ねているのでそろそろ読もうと手に取った次第。読んでみると、力強いドビュッシーの演奏表現にびっくりでした。特にアラベスクは、自分のイメージが壊され違和感を受けつつも、表現の仕方でこんなに熱く描けるのかと新鮮な視点をもらった気持ち。久々に曲を聴き直してみようと読後感じた次第。

音楽を演奏する者、鑑賞する者の思考がとてもよかったです。指運びや姿勢等、小説でここまで雰囲気が伝わってくるのは久々でした。なんというかどれも気持ちが昂るような熱さがありました。スポコンの様。

そんな具合で、ミステリよりも音楽小説として楽しめた作品です。
ミステリ要素については何というか偶然や悲劇の物語でこれは辛いなと思って好みに合わずでした。

食わず嫌いで読んでみたら良かったのでシリーズを追っかけようと思います。

▼以下、ネタバレ感想
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さよならドビュッシー (宝島社文庫)
中山七里さよならドビュッシー についてのレビュー
No.332: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?の感想

非常にシンプルで必然的な構成を200P台にまとめている本格ミステリ。
万人向けではない小説で、ドラマや人情を求める人には不向き。魅力的な事件や謎のガジェット、構成の面白さが好きな人には刺さります。個人的にとても傑作。

証拠隠滅を得意として完全犯罪を行っていた殺人鬼の佐藤誠。
自供された86件の殺人の中で、警察の目に留まった特徴的な事件が遠海事件。
この事件では、二つの離れた位置にいる被害者の首が切断されていた。

証拠隠滅を得意としている殺人鬼が、何故死体を隠匿せず、かつ首を切断したのか?
タイトルにある通り、この1点のWhy done itで最後まで読ませる文章量が無駄なく良いです。構成が関係者によるルポルタージュで行われているのも特徴的な要素です。

理由だけに焦点をあてて期待させるとそうでもない事柄なのですが、この問題や、殺人鬼の印象、本書の取材を通して書かれたルポルタージュ形式。それらが合わさって生まれる本書は素直に巧い!と納得できる本格ミステリでした。

▼以下、ネタバレ感想
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遠海事件
No.331:
(3pt)

ゴースト≠ノイズ(リダクション)の感想

好みの問題で、相性が悪かった作品でした。

主人公は、生きているのか?幽霊なのか?どっちつかずのモヤモヤの読書。そんな中、同級生間のスクールカースト、家庭問題、小動物殺傷事件……。提示された複数の問題が何処かへ収束させるのかなと思いきや、必然性があるわけではなく、終始悲観した話の雰囲気要素となっていたのが好みに合わずでした。

読後の解説で腑に落ちたのは本書は多面性を持った作品であるという事。
ミステリではなく青春小説としてみた場合、プチいじめのような状況の中で、社会や同級生との関わりにおいて主人公がどう成長するかの物語を感じる事が出来る……かもしれない。まぁここは好みです。

好みの点としては、格言的な比喩が面白かったです。
短いバトンは落とせない。破れても傷つけずにおかない紙ヤスリ。等、独特な表現が印象に残りました。

元々電子書籍の自費出版物なので、編集して内容をまとめたというより、著者の想いが散りばめられている作品の印象でした。
ゴースト≠ノイズ(リダクション) (創元推理文庫)
十市社ゴースト≠ノイズ(リダクション) についてのレビュー
No.330: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

砕け散るところを見せてあげるの感想

書店に大量に積んであり、帯コピーが「最後の一文、その意味を理解したとき、あなたは絶対涙する」という、興味がそそられる販売戦略。タイトルや印象的な表紙など戦略は成功ですね。
釣られて読みました。

読後に感じる気持ちは中々複雑で、何でこんな構成にしたのだろうという疑問でした。思い返して帯を見れば「意味を理解した時」とあるので、内容を理解しないと感動は得られないわけです。ミステリの最後のどんでん返しがあるわけではないので注意です。後味がモヤっとします。
ただ、とある仕掛けが施されているので「意味を理解した時」についての自分なりの考えをネタバレに書いておきます。

苦手で好み合わずの所は雰囲気でした。
序盤は「いじめ」を扱い重い雰囲気を作るかと思いきや、ギャグが多く含まれており明るくしているチグハグさが馴染めず。当事者や周りの状況がそんなに軽いものなかのかなと思います。重苦しいままの方が親身にのめり込めるのですが、飄々とギャグが含まれると気持ちが入らない読書です。ここは好みでしょうけど。

他、表紙の女の子の表情が一品ですね。不安とも優しさとも見える何かを秘めている表情がとてもよい。

▼以下、ネタバレ感想
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砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)
No.329:
(7pt)

いたいのいたいの、とんでゆけの感想

これで著者全作品読了です。ハマりました。死が絡む男女の不思議な関係は著者独特ですね。

本作は、出来事を「先送り」して一時的になかった事にする能力が現れます。
交通事故の死の瞬間を先送りにした女性が、残りの余命で私を苦しめた人たちを殺そうと復讐する話です。『三日間の幸福』でも余命が決まっている時、残りの時間何をするか?というお話でしたが、本作は悪意に染まった復讐とそれを遂行する男女の関係が著者の不思議な味わいで楽しめました。
鬱屈していて痛くて嫌なんだけど、少し暖かさを見せるといいますか。普段何気ない事がマイナスの場を作る事で感じ取れるような気がする。そんな感覚でした。

本作は残酷で描写がキツイ事柄が描かれていきます。
作風が人生に悲観している主人公の物語なのは相変わらずですが、一番不幸で残酷な描写をしている作品でした。コンセプトの1つが「落とし穴の中で幸せそうにしている人」を描いたとあり、なるほどと思いました。
毎回、事柄を文章にすれば絶望的で不幸なのに、当人は幸せそうに描かれているのが凄い。

重い作品なので他作で作風を知った上で読むとよいです。本作を一番最後に読んでよかったです。
「面白い」というと感覚が違くて、著者の世界観に浸る作品で楽しめました。

▼以下、ネタバレ感想
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いたいのいたいの、とんでゆけ (メディアワークス文庫)
三秋縋いたいのいたいの、とんでゆけ についてのレビュー
No.328: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

この闇と光の感想

書店で大量に面陳されていて「大どんでん返し」の帯。これはと思って手に取り、著者初読書。
読後の感想として、これはミステリの手法を使った耽美小説ですね。

闇の世界にいるからこそ希望の光を感じる事ができ、光の世界では見たくもない影が見えてしまう。
そんな心境を、素敵な文章で感じさせてくれる話でした。

予備知識ない方が楽しめる作品です。

▼以下、ネタバレ感想
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この闇と光 (角川文庫)
服部まゆみこの闇と光 についてのレビュー
No.327:
(4pt)

死の接吻の感想

「彼」と表記された犯人視点の倒叙ミステリ。この「彼」は誰なのか?という仕掛けを期待してしまう所ですが、中盤には明かされます。本作は謎解きミステリを期待するものではなく、青春サスペンスにちょっと謎を味付けした印象でした。
野心的な彼が令嬢を次々に虜にするのはうまく行き過ぎている感がありました。またその彼に惹かれる彼女達にも共感するような事はない為、気持ちの居所がなく、漠然と遠くから経緯を眺めているような読書でした。

時代を考えれば新しく話題になったと納得です。
現代でこの作品構成は色々な発展が行われている為、新しい刺激が得られず可もなく不可もなくでした。
死の接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 20-1)
アイラ・レヴィン死の接吻 についてのレビュー
No.326:
(7pt)

永遠の館の殺人の感想

シリーズ完結。本作はシリーズを読んできた人向けの作品。
連続殺人鬼キーラ―・エックスと何なのか?
その行動の異常性についての背景がしっかりと描かれている作品でした。
またその内容が納得できる範囲であり、かつ個性的な物になっているのが見事でした。

全シリーズを読んでみて、ミステリ単体として楽しめたのが0作目『白銀荘の殺人鬼』。
1,2,3作目は順番に読むのが推奨で、多少気になる点があっても『雪の山荘+連続殺人鬼+α』の楽しさで満足できる楽しいシリーズでした。

本書単品としては、舞台背景がとても面白かったです。
好みは人それぞれで薦め辛いですが個人的に楽しいシリーズでした。

▼以下、ネタバレ感想
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永遠の館の殺人 (光文社文庫)
二階堂黎人永遠の館の殺人 についてのレビュー
No.325:
(9pt)

『雪の舞台+殺人鬼』テーマ+多重人格+倒叙物

シリーズ0作目にあたる本作は従来の『雪の舞台+殺人鬼』テーマ+多重人格+倒叙物。
これはとても好みの作品でした。

二階堂黎人&黒田研二でのシリーズ作品は、殺人鬼におびえる被害者視点でのミステリでしたが、
二階堂黎人&愛川晶での本作は、主人公が殺人鬼の加害者側です。

主人公は多重人格者であり、体の中に主人格の普通の男性、副人格として女性とミステリマニアの三人格が混在しています。
副人格の目的は、主人格を精神的に追い詰めて体を乗っ取る事。精神的に追い詰める為には陰惨な殺人を目のあたりにさせてショックを与えればよい。ミステリマニアの人格の協力を得て旅行先で皆殺しを計画する非人道的な作品です。

殺人鬼視点で事件が描かれますので陰惨なシーンが苦手な方は注意。陰惨な内容もただの演出だけでなく、主人格にショックを与える理由付けになっているのも凝っています。

趣向としてはミステリというよりサイコものなのですが、ミステリの遊び心が豊富でとても楽しめた作品でした。結末も好み。真相を知るのは読者のみ。というのも良いです。

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白銀荘の殺人鬼 (カッパ・ノベルス)
彩胡ジュン白銀荘の殺人鬼 についてのレビュー
No.324:
(7pt)

千年岳の殺人鬼の感想

『雪の舞台+殺人鬼』というワクワクするシチュエーションのシリーズ作品。
シリーズといっても前後に繋がりはないので、どこからでも楽しめます。

今作は、時空間を移動するワームホールが存在するのか?というオカルト要素を盛り込み、複雑なミステリ作品に仕上がっていました。なんというかパズル小説ですね。人間ドラマや動機は置いておいて、雪の山荘で連続殺人が起きて犯人は誰だ?系が好きな人向けです。

難点は、SFなのか、オカルトなのか、本格志向なのか、立ち位置が不明なので思考停止しながらの読書だったことです。なので伝えておきますと、本作は本格思考もの。様々な設定をミステリの部品として拾って読むとよいです。
結末は複雑すぎて、うーん。。とすっきりしないのですが、シチュエーションは最高なので楽しめました。
90~00年代の本格思考のミステリは好みだと再認識です。

▼以下、ネタバレ感想
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千年岳の殺人鬼 (光文社文庫)
二階堂黎人千年岳の殺人鬼 についてのレビュー
No.323:
(6pt)

虎よ、虎よ!の感想

60年も前に作られた不朽の名作の1つ。
日本の作品では『仮面ライダー』や『サイボーグ009』に影響を与えており、多くのSF作品のアイディアを感じました。物語の終盤あたりは近年の映画『インターテスラー』の表現を脳内でイメージしていました。

そんな名作と言われる本書なのですが、正直な感想を言うと、歴史的な名作としては十分に納得なのですが、内容の把握が困難で読書中は楽しめませんでした。
というのも、1文における内容の密度が濃すぎます。1つの文の中で、旅の準備をして違う惑星に移動していたり、新しい登場人物と出会って場所を移動していたりで、ちょっと目を離して文章を読んでしまうと、まったく状況がわからなってしまい、読書の混乱が起きるのです。

1行1行をしっかり把握しながら読み進めるのは正直疲れましたし、初回はよくわからない所も多かったです。
1度読んで全体を見渡してから、所々の解説を調べて、再読してやっと世界観や内容が掴めてきた所です。そうなってやっと所々の味わいやキャラの感情が楽しめてきます。個人的にはスルメ系SFといいましょうか。
見渡せば壮大な物語で圧巻。記憶に残る作品の1つでした。

▼以下、ネタバレ感想
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虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)
アルフレッド・ベスター虎よ、虎よ! についてのレビュー
No.322: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

名探偵に薔薇をの感想

序盤からの見立て殺人や非現実的な毒薬ならではの推理展開が面白く、コテコテのミステリを楽しみました。完全犯罪可能な毒薬やメルヘン見立てが、演出の為だけではなく、ちゃんと意味がある設定は好きです。

また、事件パートも然ることながら、それを解決する名探偵の苦悩がとても表現されていた作品でした。
真実を明かすことが本当に良い事なのか。これ系の名探偵の悩み本はありますが、全編通して繋がる完成度は高く、哀愁漂う読後感は久々でした。

▼以下、ネタバレ感想
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名探偵に薔薇を (創元推理文庫)
城平京名探偵に薔薇を についてのレビュー
No.321: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

火の粉の感想

分厚い本なので何年も積読状態でした。読み始めたらアッという間。ページ数が気にならず、物凄く惹き込まれた作品でした。もっと早く読んでおくんだった。

悲惨な殺人事件が発生しても、他人事であれば死刑だろうが無罪だろうが一歩引いた位置での傍観者気分。
序盤は家族の悩みと、被告人は殺人犯なのか冤罪なのかと思いながらの軽い読書でしたが、段々とおかしな話に展開になっていき、事件が身近な疑惑として存在し始めた時には、登場人物と共に自分も不安ともどかしさを感じる読書体験でした。

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火の粉 (幻冬舎文庫)
雫井脩介火の粉 についてのレビュー
No.320:
(6pt)

さよならダイノサウルスの感想

恐竜は何故絶滅したか?の話をSFアドベンチャーの面白い読み物とした作品。

実は何々だった!これはあれだった!的な話を構築する発想は面白い。ミステリ要素はほとんどなくファンタジー+SFの作品でした。
古い作品の為、扱われるネタの既視感が多かったです。

ソウヤー3作目の読書になりますが、常に男女のいざこざを組み込むのは作風なのですね。
SF要素+ミステリ風仕掛け+人間ドラマ?の土台を毎回感じるのが良い。他の作品も続けて読んでみます。

▼以下、ネタバレ感想
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さよならダイノサウルス (ハヤカワ文庫SF)
No.319: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

まるで天使のようなの感想

新訳で読了。
舞台が街と怪しげな宗教施設だけなので、物語は把握しやすく読みやすかったです。

1962年作で50年前を考えれば、噂通りの上質なミステリで満足。ただ、ちょっと地味で、なかなか進展しない中盤は退屈でした。
仕掛けも然ることながら、登場人物達が何を考えているか分からない(理解できない)心理模様は、宗教という存在が効果的に効いていて、巧い謎となっていました。

ちょっと読み方を失敗してしまった感があって、楽しみ辛かったのが正直なところでした。

▼以下、ネタバレ感想
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まるで天使のような (創元推理文庫)
No.318:
(5pt)

初恋ロスタイムの感想

勉強に明け暮れていた男子高の生徒が、決まった時刻から1時間だけ世界の時間が止まる状況に遭遇。
時間停止の中、女の子と触れたいと男子心が騒ぎ、別の高校へ行ってみると動ける女の子と出会う。

まぁ、ベタな青春物語です。
SFらしさやミステリらしさは正直ありません。時間停止モノですがSF的な深い介入はなく、そういう設定として捉えます。
とにかく時間が停止した中で女の子と出会い、ひとときの青春を味わうお話でした。

初心な男女の恋愛模様は微笑ましいですし、時間停止ならではとして動物園の檻の中に入るデートなどは楽しそうだな。とか、最後の方で一応の真相があるのですが、これと言って尖った要素がないド定番の流れなので可もなく不可もなしでした。

綺麗にまとまっているので安心して読める青春物語としては良かった。

▼以下、ネタバレ感想
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初恋ロスタイム -First Time- (メディアワークス文庫)
仁科裕貴初恋ロスタイム -First Time- についてのレビュー
No.317: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

人工知能が犯人。SF倒叙ミステリ。

傑作。SFならではの驚愕の真相と着地。これはすごい。SFとミステリの見事な融合作品です。
20年前の作品なのに人工知能が流行った近年に読んでも遜色がないどころか、よりリアルに感じるのも凄い。

地球とよく似た惑星探査の為に1万人規模の宇宙大旅行。その宇宙船を制御・管理するのは人工知能のイアソン。人工知能イアソンが1人の女性を殺害するシーンから始まる倒叙ミステリです。

さらにクローズド・サークルとなった宇宙船の『舞台=犯人』という図式も特異なポイントです。全編が人工知能視点で描かれますが、館内カメラおよびマイクは自由にアクセス可能なので神の視点で登場人物達の会話・行動を把握できるのです。もう、この設定だけでも興奮でした。凄い事を思いつくものです。

SFや人工知能というと固い小説かな?なんて思ってましたが、人間臭いユーモアとちょっと抜けた感覚で軽く読める。それでいて犯人視点なので、何を考えているんだ?という不気味さのアナログ感もよい。
終盤の探偵役の人間と人工知能のバトルも見ものでした。

かなり特徴的な要素が豊富であり、SFミステリとしては外せない作品でしょう。
市場在庫が少ないのが難。たまたま見つけて入手できてよかったです。オススメ。

▼以下、ネタバレ感想
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ゴールデン・フリース (ハヤカワ文庫SF)
No.316:
(7pt)

恋する殺人オーディションの感想

現代風デスゲーム作品。

日本一のアイドルグループを結成すべく集められたのは日本一の【容姿】【歌唱力】【ダンス】【頭脳】【演技】【性格】に該当する6名。監禁模様が動画サイトでリアルタムに公開。視聴者が購入する投票権によって順位が決められ、最下位には死が待っている。

デスゲームもので狂った非現実作品かと思えばそうとも思えなくて、アイドルが結成される背景や舞台装置など、かなり現実的で違和感がないため、読んでいて惹き込まれました。閉じ込められた女の子達の反応もありそうな行動を起こしていくのでとても良いです。
1000年に一度のアイドルや,2ch,ニコニコ動画など現実の用語を使いながらその雰囲気を脳内補間させているのも個人的にはアリです。現実に起きたら同じような反応になりそうな所が巧い。読者層を考えたエンタメ作品としてよかったです。

頭脳戦の作品ではないので、そこに期待はないのですが、時勢ネタを取り入れた今だから楽しめるデスゲーム作品として読んでいて面白かったです。サクッと読めるライトなミステリでした。

▼以下、ネタバレ感想
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恋する殺人オーディション (メディアワークス文庫)
御影瑛路恋する殺人オーディション についてのレビュー
No.315:
(3pt)

桜と富士と星の迷宮の感想

恒例のアレ系技巧作品。
いやー、、、なんというか作品を作る苦悩を感じました。
今度の倉阪先生は何をしてきたのか?と、読者は期待して手に取ってしまうので、見抜かれないように趣向を凝らしていくわけですね。もう何度も何年も繰り返された結果、本作はまた新しい要素を加えた超絶技巧となったわけです。ただその結果、読み物としての物語への代償が大きく、楽しめるストーリーが皆無に感じました。技巧と解説と保管するテキストで構成されている本でした。

これは読者の好みの問題で、技巧だけ楽しむか、物語も楽しみたいのか。技巧と物語のバランス作りの難しさですね。本作は技巧9:物語1ぐらいの感覚で、凄いんだけど楽しめなかったのが正直な感想です。
余談で表紙がとても綺麗です。

▼以下、ネタバレ感想
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桜と富士と星の迷宮 (講談社ノベルス)
倉阪鬼一郎桜と富士と星の迷宮 についてのレビュー
No.314: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

君が電話をかけていた場所/僕が電話をかけていた場所の感想

『君が/僕が電話をかけていた場所』のタイトル違い2冊が上下巻です。
文章の空気感や不思議なストーリーが良いです。単純に好みの物語でした。

顔の醜い痣のせいで交友関係も築けず人生を悲観している主人公。小学校時代の思い出の中で痣を気にせず接してくれた女の子がいたけれど、痣のコンプレックスのせいで僕なんかと釣り合わないと避けてしまう。そんな主人公が高校生になった時、謎の公衆電話からの女の賭けによって痣を消してもらうが、再開した女の子は顔に痣をおって自殺しようとしていた。という始まり。
『オペラ座の怪人』や『美女と野獣』の男視点の主人公物語といえばイメージしやすいです。逆の立場になった時、さらには新たな困難を知っていく中で恋の結末はどうなるのか。という話かと思いきや、もっと複雑になって先が読めない展開でした。

著者4冊目ですが、今作も女の子が魅力的ですし、頭に浮かぶ情景がとても綺麗。固くなくすんなり入る文章が好みでした。ミステリとしては広義な位置付け。恋愛ゲーム系のストーリーが好きな人には刺さります。ネタバレなく細かい事は言いづらいですが、暗雲立ち込めるテーマの中でこの読後感は気持ち良い作品でした。

▼以下、ネタバレ感想
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君が電話をかけていた場所 (メディアワークス文庫)