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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数745件
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シリーズ0作目にあたる本作は従来の『雪の舞台+殺人鬼』テーマ+多重人格+倒叙物。
これはとても好みの作品でした。 二階堂黎人&黒田研二でのシリーズ作品は、殺人鬼におびえる被害者視点でのミステリでしたが、 二階堂黎人&愛川晶での本作は、主人公が殺人鬼の加害者側です。 主人公は多重人格者であり、体の中に主人格の普通の男性、副人格として女性とミステリマニアの三人格が混在しています。 副人格の目的は、主人格を精神的に追い詰めて体を乗っ取る事。精神的に追い詰める為には陰惨な殺人を目のあたりにさせてショックを与えればよい。ミステリマニアの人格の協力を得て旅行先で皆殺しを計画する非人道的な作品です。 殺人鬼視点で事件が描かれますので陰惨なシーンが苦手な方は注意。陰惨な内容もただの演出だけでなく、主人格にショックを与える理由付けになっているのも凝っています。 趣向としてはミステリというよりサイコものなのですが、ミステリの遊び心が豊富でとても楽しめた作品でした。結末も好み。真相を知るのは読者のみ。というのも良いです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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『雪の舞台+殺人鬼』というワクワクするシチュエーションのシリーズ作品。
シリーズといっても前後に繋がりはないので、どこからでも楽しめます。 今作は、時空間を移動するワームホールが存在するのか?というオカルト要素を盛り込み、複雑なミステリ作品に仕上がっていました。なんというかパズル小説ですね。人間ドラマや動機は置いておいて、雪の山荘で連続殺人が起きて犯人は誰だ?系が好きな人向けです。 難点は、SFなのか、オカルトなのか、本格志向なのか、立ち位置が不明なので思考停止しながらの読書だったことです。なので伝えておきますと、本作は本格思考もの。様々な設定をミステリの部品として拾って読むとよいです。 結末は複雑すぎて、うーん。。とすっきりしないのですが、シチュエーションは最高なので楽しめました。 90~00年代の本格思考のミステリは好みだと再認識です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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60年も前に作られた不朽の名作の1つ。
日本の作品では『仮面ライダー』や『サイボーグ009』に影響を与えており、多くのSF作品のアイディアを感じました。物語の終盤あたりは近年の映画『インターテスラー』の表現を脳内でイメージしていました。 そんな名作と言われる本書なのですが、正直な感想を言うと、歴史的な名作としては十分に納得なのですが、内容の把握が困難で読書中は楽しめませんでした。 というのも、1文における内容の密度が濃すぎます。1つの文の中で、旅の準備をして違う惑星に移動していたり、新しい登場人物と出会って場所を移動していたりで、ちょっと目を離して文章を読んでしまうと、まったく状況がわからなってしまい、読書の混乱が起きるのです。 1行1行をしっかり把握しながら読み進めるのは正直疲れましたし、初回はよくわからない所も多かったです。 1度読んで全体を見渡してから、所々の解説を調べて、再読してやっと世界観や内容が掴めてきた所です。そうなってやっと所々の味わいやキャラの感情が楽しめてきます。個人的にはスルメ系SFといいましょうか。 見渡せば壮大な物語で圧巻。記憶に残る作品の1つでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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勉強に明け暮れていた男子高の生徒が、決まった時刻から1時間だけ世界の時間が止まる状況に遭遇。
時間停止の中、女の子と触れたいと男子心が騒ぎ、別の高校へ行ってみると動ける女の子と出会う。 まぁ、ベタな青春物語です。 SFらしさやミステリらしさは正直ありません。時間停止モノですがSF的な深い介入はなく、そういう設定として捉えます。 とにかく時間が停止した中で女の子と出会い、ひとときの青春を味わうお話でした。 初心な男女の恋愛模様は微笑ましいですし、時間停止ならではとして動物園の檻の中に入るデートなどは楽しそうだな。とか、最後の方で一応の真相があるのですが、これと言って尖った要素がないド定番の流れなので可もなく不可もなしでした。 綺麗にまとまっているので安心して読める青春物語としては良かった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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傑作。SFならではの驚愕の真相と着地。これはすごい。SFとミステリの見事な融合作品です。
20年前の作品なのに人工知能が流行った近年に読んでも遜色がないどころか、よりリアルに感じるのも凄い。 地球とよく似た惑星探査の為に1万人規模の宇宙大旅行。その宇宙船を制御・管理するのは人工知能のイアソン。人工知能イアソンが1人の女性を殺害するシーンから始まる倒叙ミステリです。 さらにクローズド・サークルとなった宇宙船の『舞台=犯人』という図式も特異なポイントです。全編が人工知能視点で描かれますが、館内カメラおよびマイクは自由にアクセス可能なので神の視点で登場人物達の会話・行動を把握できるのです。もう、この設定だけでも興奮でした。凄い事を思いつくものです。 SFや人工知能というと固い小説かな?なんて思ってましたが、人間臭いユーモアとちょっと抜けた感覚で軽く読める。それでいて犯人視点なので、何を考えているんだ?という不気味さのアナログ感もよい。 終盤の探偵役の人間と人工知能のバトルも見ものでした。 かなり特徴的な要素が豊富であり、SFミステリとしては外せない作品でしょう。 市場在庫が少ないのが難。たまたま見つけて入手できてよかったです。オススメ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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現代風デスゲーム作品。
日本一のアイドルグループを結成すべく集められたのは日本一の【容姿】【歌唱力】【ダンス】【頭脳】【演技】【性格】に該当する6名。監禁模様が動画サイトでリアルタムに公開。視聴者が購入する投票権によって順位が決められ、最下位には死が待っている。 デスゲームもので狂った非現実作品かと思えばそうとも思えなくて、アイドルが結成される背景や舞台装置など、かなり現実的で違和感がないため、読んでいて惹き込まれました。閉じ込められた女の子達の反応もありそうな行動を起こしていくのでとても良いです。 1000年に一度のアイドルや,2ch,ニコニコ動画など現実の用語を使いながらその雰囲気を脳内補間させているのも個人的にはアリです。現実に起きたら同じような反応になりそうな所が巧い。読者層を考えたエンタメ作品としてよかったです。 頭脳戦の作品ではないので、そこに期待はないのですが、時勢ネタを取り入れた今だから楽しめるデスゲーム作品として読んでいて面白かったです。サクッと読めるライトなミステリでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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恒例のアレ系技巧作品。
いやー、、、なんというか作品を作る苦悩を感じました。 今度の倉阪先生は何をしてきたのか?と、読者は期待して手に取ってしまうので、見抜かれないように趣向を凝らしていくわけですね。もう何度も何年も繰り返された結果、本作はまた新しい要素を加えた超絶技巧となったわけです。ただその結果、読み物としての物語への代償が大きく、楽しめるストーリーが皆無に感じました。技巧と解説と保管するテキストで構成されている本でした。 これは読者の好みの問題で、技巧だけ楽しむか、物語も楽しみたいのか。技巧と物語のバランス作りの難しさですね。本作は技巧9:物語1ぐらいの感覚で、凄いんだけど楽しめなかったのが正直な感想です。 余談で表紙がとても綺麗です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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『君が/僕が電話をかけていた場所』のタイトル違い2冊が上下巻です。
文章の空気感や不思議なストーリーが良いです。単純に好みの物語でした。 顔の醜い痣のせいで交友関係も築けず人生を悲観している主人公。小学校時代の思い出の中で痣を気にせず接してくれた女の子がいたけれど、痣のコンプレックスのせいで僕なんかと釣り合わないと避けてしまう。そんな主人公が高校生になった時、謎の公衆電話からの女の賭けによって痣を消してもらうが、再開した女の子は顔に痣をおって自殺しようとしていた。という始まり。 『オペラ座の怪人』や『美女と野獣』の男視点の主人公物語といえばイメージしやすいです。逆の立場になった時、さらには新たな困難を知っていく中で恋の結末はどうなるのか。という話かと思いきや、もっと複雑になって先が読めない展開でした。 著者4冊目ですが、今作も女の子が魅力的ですし、頭に浮かぶ情景がとても綺麗。固くなくすんなり入る文章が好みでした。ミステリとしては広義な位置付け。恋愛ゲーム系のストーリーが好きな人には刺さります。ネタバレなく細かい事は言いづらいですが、暗雲立ち込めるテーマの中でこの読後感は気持ち良い作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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著者本、初読書。
容疑者がエイリアンという変わった法廷ミステリですが、これが新鮮で面白い。 人類が初めて宇宙人と遭遇したファーストコンタクトから始まり、容姿や言語や価値観の違いなど、異星人への興味好奇心が登場人物達同様に夢中にさせます。人類は左右対称の2対に対して、現れた異星人は前後左右の4対からなる生物(表紙の異星人)。前後にも腕や目や内臓が存在するといった設定がしっかりしていて惹き込まれます。 価値観の違いを活用したミステリの経験はありますが、相手が異星人となると精神面と肉体的な物理面が異なるので、何が起きるか予想できません。中盤からは法廷ミステリとなり、1つずつ細かく事実を突き止めて行くのが見ものでした。 終盤のまとめ方も爽快で、SFとしてもミステリとしても二重に楽しめた傑作でした。 他の作品も面白そうなので追っかけてみようと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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なんというか粗がなく完成度が高い作品。点数はジャンル的な好みから。
第二次世界大戦中のアメリカ後方支援部隊の視点で描く日常の謎。 戦争という非日常が舞台なので、戦火の中では当たり前の出来事が盲点的に刺激となりました。 読書前はミステリと料理が絡むのかな?と思ってましたが料理の話は少な目。というか他の戦場の様子の密度が濃いゆえの感覚。ミステリというより青春小説の印象です。 戦争中の悲惨な様子も描かれていますが、陰鬱な気持ちにならなず冒険物として読める文章の爽やかさは良かったです。 日常の謎ジャンルのミステリは刺激が弱くあまり好みではないのが影響して本作もミステリを読んでいる気分ではありませんでした。ここは好みの問題です。ですが終盤のまとめ方は、ミステリ、青春物、戦争の社会的メッセージなどがうまくまとまった瞬間で楽しめました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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傑作でした。80年代の作品ですが、見落としている名作がまだまだあると痛感しました。
ジャンルとしてはミステリ仕立ての喜劇です。 喜劇というと低俗なギャグもの?と誤解が生まれそうですし、殺人事件が起きているので喜劇は無いだろうと指摘を受けそうなですが、文章・構成・会話がセンスある笑いを誘います。訳者あとがきにもありますが、実在するチャップリンが出てくるあたり、その雰囲気を狙っている本でもあります。 話の序盤は妻の尻に敷かれる40代の歯科医の夫が20代の患者女性と良い関係になっていき、苦悩や願望や人生の刺激などのロマンスが展開されます。ロマンス小説から妻殺害への犯人視点の倒叙ミステリとなり、さらには予想外の事が発生し探偵役に選ばれてしまうドタバタが混ざり、男性=犯人=探偵という不思議な構図になるのも魅力。この設定をどう味付けするかが作家の技ですが、クスっと笑えるやり取り豊富のユーモアな小説に仕上がっているのが良かったです。 実在するクリッペン事件やルシタニア号沈没やチャップリンといった時代の雰囲気が感じられるものの導入は作品にも関係しており効果的。 それでいてラストは見事な形での幕切れという、とても良い作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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凄い書物に触れてしまいました。内容の密度がとても濃く読み終わるまで1か月要しました。ただ、この期間は難しくて挫折の意味ではなく、数多く現れる内容から興味を持ったものを脱線して調べながらの読書だったためです。それでも正直わからない事だらけで、拾えるものが微々たるものでした。本書の凄まじさは読者が持っている知識に呼応して魅力が増す作品になっている所です。
いきなり本書に触れると返り討ちに合いそうなので、先人に習って以下の手順で自分は触れました。 ■個人的なオススメの作品の触れ方 ▽映画を見る(ショーン・コネリー主演、ジャン=ジャック・アノー監督) ↓ ▽下巻の解説を読む ↓ ▽本書を読む。 まず映画の出来がとてもよいです。本書のミステリ部分が強調された作品となっており、難しい知識が必要なく楽しめます。 1327年の修道院で発生した連続怪死事件をバスカヴィルのウィリアムとメルクのアドソの探偵&助手(書記)の2人が体験します。ピンと来ると思いますが、シャーロックホームズの設定を活用しています。ウィリアムの圧倒的な知識と洞察力で、修道士達の発言や行動、黙示録に見立てられたような事件現場や占星術や神学等、見習いアドソ&読者に教える先生のように推理と解説をしていきます。ミステリの面白さを十分に楽しみながら全体像を映像として把握できるので映画はオススメです。 次に下巻の解説を読みました。ストーリーは映画で把握済みなので、ネタバレ気にせず翻訳者の解説にて本書の背景がどういうもので、歴史や書物、著者専門の記号論がどのように扱われているかが感じ取れます。 この手順であれば、登場人物のカタカナ名に悩まされる事も場面混乱も回避でき、最大の魅力であるミステリを模した書物の迷宮を集中して体験できるでしょう。 個人的な感覚ですが、昔に体験した三大奇書の黒死館の衒学やドグラマグラの作中作の面白い意味でのパニック感を、数年経った今、学術的な要素で再体験した気持ちです。難しくて好みが分かれるかもしれないですが、そういう圧倒的なものに触れるのが好きな方にはささる作品です。 拙い知識でどう書いたらよいか悩むのですが、設定の数々である、時代や現場や言語体系やミステリ要素や書物に関する事、どれもこれもが外せずに絡んでいて、こうじゃなきゃ成立しない凄まじいバランスの妙の作品ですね。何かに気付いてもそれが必然になっている事に気づかされる。。。。うーむ、、、すごい。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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20歳の記憶をもったまま10歳にタイムスリップ。
よくある話では人生の逆転や成功を願う話になる所、幸せだった1周目を変えたくない想いで進行する設定が斬新でした。 もともと成功して不満なんてなかった人には、タイムスリップのやり直しは苦痛でしかないですし、道を外せばカオスのように結果が変わってしまい不満が募るわけです。 本書はその主人公の不平不満のような気持ちの独白で構成された話です。もともとこの話もネットのスレッド小説なので、誰かにちょっと話を聞いてもらいたい。といった気持ちの書き込みが淡々と流れてくるようでした。ネット文章が元ですが、相変わらず読みやすく文章が好みでした。 ミステリというより恋愛や青春ものに近い本書ですが、不思議な物語を味合った感覚で楽しめました。 |
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余命わずかになった時、何を感じて何を行うのか?系の物語。老人や病気を扱った作品はいくつか思い浮かぶのですが、若者が自ら寿命を縮めるというのが新しく興味がわきました。ライトノベルのテイストで若い世代向けの青春・恋愛物としても読めますし、テーマを重く突き付けて厳しく文学的にも読める。読者層が幅広い作品でした。とても面白く心に残る作品です。
これ系のテーマは現実で悲観している時ほど、もっと人生を謳歌しようとちょっぴり前向きになる薬要素が生まれます。その刺激も心地よかったですし、主人公が余命の中でやりたい事リストを叶えていくにつれて起こる過去と現実のギャップの真相も心に響きました。 バッドエンドなのかハッピーエンドなのか、受け取り方は人それぞれ。 最後の話の閉じ方がとても素敵でした。タイトルの扱いも見事。 読後に知りましたが、元は2chの掲示板に投下された創作だったのですね。いやーすごいな。 サイトの性質のミステリとはちょっと違うのですが、好みの作品なので☆9で。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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個人的な著者の作品イメージは、ほんわか・あったかな日常の謎なのですが、本作はそのイメージを払拭して、かつ、やりきった感じをうける程、悪意に満ちていました。
なので、冒頭に著者コメントで注意書きがあるように、作者買いで安らかな心を得たい方には不向きな作品です。 『盤上の敵』というタイトル通り、チェスをモチーフにしており、登場人物や、その背景、動機などは作品を作る上での駒と感じました。並べた駒(要素)の巧みさを本格ミステリとして楽しむ方、作品内の悪意の感情に気分を害される方、どの視点で見るかで評価が分かれるかなと思います。今でいう『イヤミス』のカテゴリに該当する作品です。当時はイヤミスなんて言葉は無かったので、より話題になったと思われます。 著者コメントにより、イヤミス前程で読めた為、悪意の影響は軽減され、仕掛けの面白さで楽しむ事ができまして、終盤は何度も驚かされました。この話を構築する為に悪意は必要な要素として配置されていると読後に感じた次第です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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記憶を保持したまま過去に戻れたら……。人生をもう一度やり直したい、あの時別の行動をしていたらと、やり直しは誰もが一度は思う。
競馬や投資で大金持ちになる事や、恋人を変えて別の家庭を築いたり、膨大な知識や経験で作品を残したりと、率直な感想としては羨ましい限りであります。と、同時に43歳の命日に来ると必ず死んでしまい、それまで築きあげたものが無になる虚無感も物凄く伝わって来ました。 小説で物語で読むという行為は他人の人生を経験する事でもあります。現実的な人の夢を繰り返し体験する主人公の姿が1冊に収まっており、読者が読む時期によって作品から感受する点が異なる事でしょう。 作品の難をいうと、60年代のアメリカが舞台という事で、社会的な内容の理解と共感が得づらかったです。また、この手のテーマは読み慣れている事もあり、想像しうる内容に収まっていて大きな驚きなどのドキドキ感がなかったです。作品をしんみり味わう系の物語でした。 あとは身も蓋もないですが、仕事や恋人など、人生がうまくいく為には、まずお金が大事だという事が強調された印象でした。人・物・金・情報・時間という言葉がありますが、人の繋がりや物ではなく、金と行動が大事なように感じました。読む人によって違う心理学要素かも。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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