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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数738件
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書店でいっぱい並んでおり、帯の「どんでん返し」「一気読み」のコピーにつられて購入。
読後の正直な気持ちは、新鮮さや個性的な尖った要素が見あたらず、なんとなく想像できてしまうネタが続く物語でした。 ただ、個人的に刺激がなかっただけで、作品自体はミステリとして無駄なく整った作品でした。謎解きの要素をパズル的に散りばめていたり、緊迫感を出すために強盗の設定を加えたりと、お手本の様。文章も読みやすかったです。 現役医師の著者なので、医療に関する事は雰囲気だけでなく、仕掛けにも活用するなど独自路線の驚きが見てみたいなと思いました。 |
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裏染天馬シリーズ長編第3弾。
いやー面白かったです。ロジカルな推理と犯人が明かされるシーンはお見事でやられました。 好みなのもありますが、シリーズ通して外れが無いのが嬉しい。 学園ミステリとして登場人物が増えてきました。なので人物を把握する上で、本作単体で楽しむのはちょっと難しく、1作目ぐらいは事前に読書してあると良いです。 ロジカルな推理を得意とした本格ミステリでありつつ、学園風のドタバタや笑いも交えているのは楽しいです。今回はクスっとする所が多かったです。序盤、学園内での裏染登場シーンで颯爽と推理を披露するも、女子生徒に「女の子の靴からそこまで考えるなんて変態みたい!」と突っ込まれるのは裏染のキャラクター性がはっきりしているからですね。よい探偵役です。金田一少年系といえばそうですが、アニメネタで現代風にアレンジされているのがいい感じ。 さて、事件は図書館での殺人。そんな所で事件起こさないでよ。とか、科学捜査をすれば直ぐに解決してしまうのでは。。。とか思う所がありますが、そういうのは気にしないで楽しむ作品です。現場の手がかりから論理的に事件の真相を導く様。探偵の奇怪な行動も、あとあと納得と驚きに変わる刺激。こういうのがいいんです。 一見、地味な殺人事件なのですが、推理パートで面白く読ませちゃう作品は凄いなと思います。 裏染の過去もでてきて日常パートも充実してきました。次回作も楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ソウヤー4作目の読書。だんだんと著者のエンターテインメントの傾向が感じられてきました。
本書もSF+ミステリ+男女模様。 男女模様は熟年夫婦の不倫問題という人間臭い話。男性側の辛い気持ちがとても伝わってくる。作品全体を包括していて巧いつくり。 SF要素は、人間の死をスキャンして魂の存在が確立した世界。人の脳味噌をスキャンしてニューラルネットワークを構築する事も複製も可能です。 人間の死とは何なのか。医学的な死、自然死、精神だけがコンピューターに存在する世界が面白く読めました。この手の話は好みですね。 ミステリ要素は、自身の脳をスキャンして生み出された3つの人工知能による事件。1つ目は自身の複製であるオリジナルの精神。2つめはオリジナルから死の概念を消去した不死の精神。3つ目は肉体の概念を消した死後の精神。 この人工知能のどれかが、殺人事件を行うわけで、どの自分が犯人か?という特殊設定が面白い。 これらが巧く混ざり合って、読ませるエンターテインメント作品になっているのは毎度凄い。特殊状況なのでオリジナリティ強い刺激が心地よいです。 ただ、ちょっと点数が低いのは、古い作品特有の既視感の為です。90年代以降、様々なSF作品の発展により人工知能の事件はちょっと見慣れてしまったかなという心境。 人工知能の犯人ものならデビュー作の『ゴールデン・フリース』の方が今読んでも発想が飛んでいて面白いです。 本書は、生(性)や死という人間の存在に趣がある作品として楽しめました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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☆8+好み補正1。
予想を反して壮大なSF物語でした。読後感も素敵で面白かったです。 2人の主要人物は、文系大学生と理系コンピューターの天才美女。この設定から序盤はキャラ物ラノベ雰囲気。著者の他作品は、刑事もので硬派だったので意外でした。 そして始まりはクリスマスイブの夜、一人寂しくPCの監視バイトをしていた学生の元に、未来からの救難動画が届くわけで、ファンタジーSFものの作品かと思う印象を受けました。 ですが、直ぐに考えが改められます。 動画検証にて、ファイルスタンプは後から変更可能だし、そもそも800年という年月は人類の言語体系が変わり言葉が通じないからフェイクだ。など、検証方法や説明内容に専門用語が出て現実的かつ本格的。軽い作品かと思いきや内容がしっかりしているぞと、頭を切り替えて読書を進めていきました。 どんな話になるかはお楽しみとして、生命の起源や、命に関する哲学やら、黙示録の見立てやら、一途な想いなど、恋愛+SF+ミステリを巧く融合し、ライトに楽しめるよい作品でした。 余談で、 実写ではなくアニメーション映画として見てみたい。客層も合いそう。そんな事も思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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幽霊を扱ったライトノベル的なミステリ。
心霊現象を全く信じない高校生主人公が、友人の付き添いで廃屋調査に参加した所、自分だけに見える女の子と遭遇する。幽霊に付きまとわれる中、自宅で妹にも見える事がわかる。これを機に兄妹で記憶の無い女の子の幽霊の相談に乗る事にする。 まぁ、軽い学園風のラノベなのですが、現実的な主人公の各種実験がミステリの推理考察的で面白い。 例えば、妹にも見えると分かった際、「同じものが見えているのか?」互いに絵を描いて認識している存在の検証をしたり、幽霊の服装や装飾物から、生まれた時期や家族などを推察したり、この幽霊は脳にどういう影響を与える存在なのかを定義する過程が面白い。 『本格ミステリ・ディケイド300』にて本書を知った次第ですが、学園幽霊ものなのに思考や事象の結びつき方がミステリ模様なので、軽い気持ちで読みながら十分楽しめた物語でした。 結末もハッピーエンドでベタベタ感ありますが、それも好みです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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個人的に「ドビュッシー」の作品は「ゆったり」や「やさしく包み込むような」曲の印象でして、辛く孤独になりたい時に触れるような作品で気持ちが沈みやすい。本書の知名度は把握しながらも中々手に取らなかったのは、そんなドビュッシーに対する個人的な感覚意識からで敬遠していました。
シリーズとして冊数を重ねているのでそろそろ読もうと手に取った次第。読んでみると、力強いドビュッシーの演奏表現にびっくりでした。特にアラベスクは、自分のイメージが壊され違和感を受けつつも、表現の仕方でこんなに熱く描けるのかと新鮮な視点をもらった気持ち。久々に曲を聴き直してみようと読後感じた次第。 音楽を演奏する者、鑑賞する者の思考がとてもよかったです。指運びや姿勢等、小説でここまで雰囲気が伝わってくるのは久々でした。なんというかどれも気持ちが昂るような熱さがありました。スポコンの様。 そんな具合で、ミステリよりも音楽小説として楽しめた作品です。 ミステリ要素については何というか偶然や悲劇の物語でこれは辛いなと思って好みに合わずでした。 食わず嫌いで読んでみたら良かったのでシリーズを追っかけようと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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非常にシンプルで必然的な構成を200P台にまとめている本格ミステリ。
万人向けではない小説で、ドラマや人情を求める人には不向き。魅力的な事件や謎のガジェット、構成の面白さが好きな人には刺さります。個人的にとても傑作。 証拠隠滅を得意として完全犯罪を行っていた殺人鬼の佐藤誠。 自供された86件の殺人の中で、警察の目に留まった特徴的な事件が遠海事件。 この事件では、二つの離れた位置にいる被害者の首が切断されていた。 証拠隠滅を得意としている殺人鬼が、何故死体を隠匿せず、かつ首を切断したのか? タイトルにある通り、この1点のWhy done itで最後まで読ませる文章量が無駄なく良いです。構成が関係者によるルポルタージュで行われているのも特徴的な要素です。 理由だけに焦点をあてて期待させるとそうでもない事柄なのですが、この問題や、殺人鬼の印象、本書の取材を通して書かれたルポルタージュ形式。それらが合わさって生まれる本書は素直に巧い!と納得できる本格ミステリでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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好みの問題で、相性が悪かった作品でした。
主人公は、生きているのか?幽霊なのか?どっちつかずのモヤモヤの読書。そんな中、同級生間のスクールカースト、家庭問題、小動物殺傷事件……。提示された複数の問題が何処かへ収束させるのかなと思いきや、必然性があるわけではなく、終始悲観した話の雰囲気要素となっていたのが好みに合わずでした。 読後の解説で腑に落ちたのは本書は多面性を持った作品であるという事。 ミステリではなく青春小説としてみた場合、プチいじめのような状況の中で、社会や同級生との関わりにおいて主人公がどう成長するかの物語を感じる事が出来る……かもしれない。まぁここは好みです。 好みの点としては、格言的な比喩が面白かったです。 短いバトンは落とせない。破れても傷つけずにおかない紙ヤスリ。等、独特な表現が印象に残りました。 元々電子書籍の自費出版物なので、編集して内容をまとめたというより、著者の想いが散りばめられている作品の印象でした。 |
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書店に大量に積んであり、帯コピーが「最後の一文、その意味を理解したとき、あなたは絶対涙する」という、興味がそそられる販売戦略。タイトルや印象的な表紙など戦略は成功ですね。
釣られて読みました。 読後に感じる気持ちは中々複雑で、何でこんな構成にしたのだろうという疑問でした。思い返して帯を見れば「意味を理解した時」とあるので、内容を理解しないと感動は得られないわけです。ミステリの最後のどんでん返しがあるわけではないので注意です。後味がモヤっとします。 ただ、とある仕掛けが施されているので「意味を理解した時」についての自分なりの考えをネタバレに書いておきます。 苦手で好み合わずの所は雰囲気でした。 序盤は「いじめ」を扱い重い雰囲気を作るかと思いきや、ギャグが多く含まれており明るくしているチグハグさが馴染めず。当事者や周りの状況がそんなに軽いものなかのかなと思います。重苦しいままの方が親身にのめり込めるのですが、飄々とギャグが含まれると気持ちが入らない読書です。ここは好みでしょうけど。 他、表紙の女の子の表情が一品ですね。不安とも優しさとも見える何かを秘めている表情がとてもよい。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これで著者全作品読了です。ハマりました。死が絡む男女の不思議な関係は著者独特ですね。
本作は、出来事を「先送り」して一時的になかった事にする能力が現れます。 交通事故の死の瞬間を先送りにした女性が、残りの余命で私を苦しめた人たちを殺そうと復讐する話です。『三日間の幸福』でも余命が決まっている時、残りの時間何をするか?というお話でしたが、本作は悪意に染まった復讐とそれを遂行する男女の関係が著者の不思議な味わいで楽しめました。 鬱屈していて痛くて嫌なんだけど、少し暖かさを見せるといいますか。普段何気ない事がマイナスの場を作る事で感じ取れるような気がする。そんな感覚でした。 本作は残酷で描写がキツイ事柄が描かれていきます。 作風が人生に悲観している主人公の物語なのは相変わらずですが、一番不幸で残酷な描写をしている作品でした。コンセプトの1つが「落とし穴の中で幸せそうにしている人」を描いたとあり、なるほどと思いました。 毎回、事柄を文章にすれば絶望的で不幸なのに、当人は幸せそうに描かれているのが凄い。 重い作品なので他作で作風を知った上で読むとよいです。本作を一番最後に読んでよかったです。 「面白い」というと感覚が違くて、著者の世界観に浸る作品で楽しめました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「彼」と表記された犯人視点の倒叙ミステリ。この「彼」は誰なのか?という仕掛けを期待してしまう所ですが、中盤には明かされます。本作は謎解きミステリを期待するものではなく、青春サスペンスにちょっと謎を味付けした印象でした。
野心的な彼が令嬢を次々に虜にするのはうまく行き過ぎている感がありました。またその彼に惹かれる彼女達にも共感するような事はない為、気持ちの居所がなく、漠然と遠くから経緯を眺めているような読書でした。 時代を考えれば新しく話題になったと納得です。 現代でこの作品構成は色々な発展が行われている為、新しい刺激が得られず可もなく不可もなくでした。 |
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シリーズ完結。本作はシリーズを読んできた人向けの作品。
連続殺人鬼キーラ―・エックスと何なのか? その行動の異常性についての背景がしっかりと描かれている作品でした。 またその内容が納得できる範囲であり、かつ個性的な物になっているのが見事でした。 全シリーズを読んでみて、ミステリ単体として楽しめたのが0作目『白銀荘の殺人鬼』。 1,2,3作目は順番に読むのが推奨で、多少気になる点があっても『雪の山荘+連続殺人鬼+α』の楽しさで満足できる楽しいシリーズでした。 本書単品としては、舞台背景がとても面白かったです。 好みは人それぞれで薦め辛いですが個人的に楽しいシリーズでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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シリーズ0作目にあたる本作は従来の『雪の舞台+殺人鬼』テーマ+多重人格+倒叙物。
これはとても好みの作品でした。 二階堂黎人&黒田研二でのシリーズ作品は、殺人鬼におびえる被害者視点でのミステリでしたが、 二階堂黎人&愛川晶での本作は、主人公が殺人鬼の加害者側です。 主人公は多重人格者であり、体の中に主人格の普通の男性、副人格として女性とミステリマニアの三人格が混在しています。 副人格の目的は、主人格を精神的に追い詰めて体を乗っ取る事。精神的に追い詰める為には陰惨な殺人を目のあたりにさせてショックを与えればよい。ミステリマニアの人格の協力を得て旅行先で皆殺しを計画する非人道的な作品です。 殺人鬼視点で事件が描かれますので陰惨なシーンが苦手な方は注意。陰惨な内容もただの演出だけでなく、主人格にショックを与える理由付けになっているのも凝っています。 趣向としてはミステリというよりサイコものなのですが、ミステリの遊び心が豊富でとても楽しめた作品でした。結末も好み。真相を知るのは読者のみ。というのも良いです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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『雪の舞台+殺人鬼』というワクワクするシチュエーションのシリーズ作品。
シリーズといっても前後に繋がりはないので、どこからでも楽しめます。 今作は、時空間を移動するワームホールが存在するのか?というオカルト要素を盛り込み、複雑なミステリ作品に仕上がっていました。なんというかパズル小説ですね。人間ドラマや動機は置いておいて、雪の山荘で連続殺人が起きて犯人は誰だ?系が好きな人向けです。 難点は、SFなのか、オカルトなのか、本格志向なのか、立ち位置が不明なので思考停止しながらの読書だったことです。なので伝えておきますと、本作は本格思考もの。様々な設定をミステリの部品として拾って読むとよいです。 結末は複雑すぎて、うーん。。とすっきりしないのですが、シチュエーションは最高なので楽しめました。 90~00年代の本格思考のミステリは好みだと再認識です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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60年も前に作られた不朽の名作の1つ。
日本の作品では『仮面ライダー』や『サイボーグ009』に影響を与えており、多くのSF作品のアイディアを感じました。物語の終盤あたりは近年の映画『インターテスラー』の表現を脳内でイメージしていました。 そんな名作と言われる本書なのですが、正直な感想を言うと、歴史的な名作としては十分に納得なのですが、内容の把握が困難で読書中は楽しめませんでした。 というのも、1文における内容の密度が濃すぎます。1つの文の中で、旅の準備をして違う惑星に移動していたり、新しい登場人物と出会って場所を移動していたりで、ちょっと目を離して文章を読んでしまうと、まったく状況がわからなってしまい、読書の混乱が起きるのです。 1行1行をしっかり把握しながら読み進めるのは正直疲れましたし、初回はよくわからない所も多かったです。 1度読んで全体を見渡してから、所々の解説を調べて、再読してやっと世界観や内容が掴めてきた所です。そうなってやっと所々の味わいやキャラの感情が楽しめてきます。個人的にはスルメ系SFといいましょうか。 見渡せば壮大な物語で圧巻。記憶に残る作品の1つでした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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