ターミナル・エクスペリメント



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初公開日(参考)1997年04月
分類

長編小説

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ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)

1997年04月30日 ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)

医学博士のホブスンは、死にかけた老女の脳波の測定中に、人間の「魂」とおぼしき小さな電気フィールドが脳から抜け出てゆくのを発見した。魂の正体を探りたいホブスンは自分の脳をスキャンし、自らの精神の複製を三通り、コンピュータの中に作りだした。ところが現実に、この三つの複製のうちどれかの仕業としか思えない殺人が次々に…果たして犯人はどの「ホブスン」なのか?1995年度ネビュラ賞に輝く衝撃の話題作。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

ターミナル・エクスペリメントの総合評価:8.37/10点レビュー 19件。Cランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

複製された3つの自分の精神体。犯人はどの自分なのか?

ソウヤー4作目の読書。だんだんと著者のエンターテインメントの傾向が感じられてきました。
本書もSF+ミステリ+男女模様。

男女模様は熟年夫婦の不倫問題という人間臭い話。男性側の辛い気持ちがとても伝わってくる。作品全体を包括していて巧いつくり。

SF要素は、人間の死をスキャンして魂の存在が確立した世界。人の脳味噌をスキャンしてニューラルネットワークを構築する事も複製も可能です。
人間の死とは何なのか。医学的な死、自然死、精神だけがコンピューターに存在する世界が面白く読めました。この手の話は好みですね。

ミステリ要素は、自身の脳をスキャンして生み出された3つの人工知能による事件。1つ目は自身の複製であるオリジナルの精神。2つめはオリジナルから死の概念を消去した不死の精神。3つ目は肉体の概念を消した死後の精神。
この人工知能のどれかが、殺人事件を行うわけで、どの自分が犯人か?という特殊設定が面白い。

これらが巧く混ざり合って、読ませるエンターテインメント作品になっているのは毎度凄い。特殊状況なのでオリジナリティ強い刺激が心地よいです。
ただ、ちょっと点数が低いのは、古い作品特有の既視感の為です。90年代以降、様々なSF作品の発展により人工知能の事件はちょっと見慣れてしまったかなという心境。

人工知能の犯人ものならデビュー作の『ゴールデン・フリース』の方が今読んでも発想が飛んでいて面白いです。
本書は、生(性)や死という人間の存在に趣がある作品として楽しめました。

▼以下、ネタバレ感想

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No.18:
(4pt)

死んだらどうなる。について書かれた本格SF

魂の存在や死後の世界について書かれた物語は数多くありますが、神話、伝承の類は別として、そのほとんどが“トンデモ”または“宗教的”と捉えられているのではないでしょうか?
 にもかかわらず、本書は、本格SF作家が、真面目に取り組んだ魂と死後の世界に関する物語です。
 と言っても、いかにもSFという、しちめんどうくさい理論に覆われた話ではありません。
 物語は、普通の夫婦の危機に起こった普通じゃない事件の顛末です。ただし、その骨格にはしっかりしたSF的なアイデアがあり、ミステリーとサスペンスの皮をまとっています。発表時点から見れば近未来(16年後)の2011年のトロントを舞台にした日常的な風景が通俗小説のように語られます。
 不倫と殺人事件という下世話な話が、魂と死後の世界という観念的な話にどうつながっていくのか?そのあたりが本書の特徴で、ソウヤーの腕の見せ所です。
 冒頭はサスペンス的に始まりますが、昔(1995年頃)を回想するシーンで主人公が魂の存在を発見するあたりまでのリアルさが、物語全体の雰囲気を形作っています。
 その後、話は佳境に入り、ミステリータッチの展開で一気に終盤まで流れ込んでいくのですが、ある意味ではとんでもない話なのに、あまりおかしいと感じないのは、主人公とその奥さんの話が、あまりにも地についているためだからでしょうか。
 一SFマニアとしては、瀬名氏の解説のとおり突っ込みどころがいくつかあって、その飛躍にニヤリとさせられるのですが、期待を裏切られた感じも少し残ります。ちょっと詰めが甘いよなあ。この展開もいいけど、もっとガチガチの展開を期待していたのでした。
 世界の反応にしても、幅広く、興味深く表現されているけれど、実際にはもっと大きな影響がありそうで、欲を言えば、そこも読みたかったのです。
 主人公の周りの小さな世界で語られていた話が、最後に一気に広がります。
 宗教のことは良くわかりませんが、キリスト教的な世界観に支配されている感じはあります。
 分厚い本ですが読みやすいので一気読みもできます。が、最後の10ページは読み飛ばさない方が良いでしょう。
 クライマックスでスピリットが選んだ方法もその一つだけれど、解説に書かれているとおり、作者は、議論のネタをばらまいていったのかもしれません。
ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)Amazon書評・レビュー:ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)より
4150111928
No.17:
(2pt)

なかなかの肩透かし

SF"風味"の設定に、ミステリ"風味"の設定。 さわりだけ聞くと面白そうなのだが、 元になるアイデアから話が発展していかないのでほとんど盛り上がりが無い。 描写や説明がさっぱりしすぎて緊迫感が無いせいかもしれない。 というか作者はおそらく科学に精通しているわけではないのだろう。 設定についての作中の解説は面白く読めたが、 話としては読了しても何も残らない。 起こった現象に対して登場人物達がちょっと右往左往しただけの話に思える。
ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)Amazon書評・レビュー:ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)より
4150111928
No.16:
(4pt)

ミステリーなサイバーパンク? サイバーパンクなミステリー?

脳の活動をスキャンすることで自分の“魂”をコンピューターに展開できるようになっている世界。デジタル化された“魂”(人口生命のようなもの)と、そのオリジナル?の魂から寿命などの制限を取り除いた不死をシミュレートする魂と肉体の制限をすべて取り除いた死後の世界をシミュレートする純粋な魂を作成し、それらが意思を持ってネットワークに放たれたことで、殺人事件などの騒動が起こる。

いろいろ話の展開に多少ひっかかるところがあったり、今となっては古い技術が使われていたりするものの、基本的には物語に引き込まれるように読み進められる。純粋にストーリーを楽しめた。

本のジャンルとしてはSFなのだが、殺人事件の真犯人を探すところはミステリーになってくる。犯人がリアルな人間ではなく、コンピューターで動いているプログラム(魂のシミュレーション)だというのが面白い。2045年といわれている技術的特異点(シンギュラリティ)を迎えると、このような犯罪も発生するのだろうかと考えると、フィクションではなくなる日がくるのではないかと読み終えてから思った。
ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)Amazon書評・レビュー:ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)より
4150111928
No.15:
(4pt)

一寸の虫にも五分の魂?

ソウヤーは広げた大風呂敷を折り目正しく畳んでくれる作家ではないので、結構重要なネタが回収されず放置状態のまま終わることが多い。
この小説最大の大風呂敷は序盤の「魂波」つまり人間の魂を発見する話たが、ここから派生した「動物に魂はあるか?」の問題も、あっけないほど深く追求されないまま終わる。

ウシには魂はない。でも、なぜかチンパンジーには魂がある。これだけ。
まともな線引きの根拠も示さないまま、こんなことだけ言われても困る。
じゃあ、犬猫はどうなの?、イルカやクジラは?、作者得意の?ネアンデルタールは?、あるいは異形のエイリアンは?と際限なく疑問がわく。
このあたりの妙にギクシャクした筆致からすると、ソウヤー自身、このままこのネタを続ければ泥沼にはまることを察知して、むりやり議論をうっちゃってしまった感じがする。

でも、愛犬家の私としては、ウチの犬に魂がないなんて言われても到底納得できないし、クジラに魂はないなんてことを書いたらシーシェパードが黙っていないだろう。
ウシに魂があるなんて考えるとステーキが不味くなるから、とりあえずウシには魂はないことにして・・・その程度の話なのか!?

まあこんな感じで、ツッコミどころ満載のソウヤーではあるが、善意にとれば広げる風呂敷が大きいだけ色んなことを考えさせてくれる作家ではある(なんという善意の解釈)。
デカルト主義(動物機械論)や動物の魂にまつわる本を検索していたら、もろ「動物に魂はあるのか」(中公新書)という本があったのでAmazonで注文してしまった。
あるいは、前に読んだ「生物と無生物のあいだ」(講談社現代新書)を再読してみようかなんて気になったりもする。

そんなわけで?ほんとは3つ星だが、オマケで4つ星を献上する。
ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)Amazon書評・レビュー:ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)より
4150111928
No.14:
(5pt)

人間の魂っていったい何なんだろう。その疑問に答える一冊

無性にSF小説が読みたくなるときがあります。
 何か面白いSF小説はないものかと探していたところ,様々なSF小説が下敷きになっているアメリカの人気テレビドラマ「LOST」にソーヤーという名前の登場人物がいたことから,その作者の名前ソーヤーに惹かれ,今更ながら発見したのが本書。
 面白いです。
 難しい理論に読者が置き去りにされることなく,読みやすい文体で,夫婦の危機という人間臭さも描きながらも,サスペンスフルでぐいぐいと読み進めずにはいられない知的エンターテイメントです。

 主人公ピーター・ホブスンが大学院生時代に立ち会った臓器移植手術で目撃した脳死者の反応に,果たして本当に死亡していたのかとの疑念をもち,自ら立ち上げた会社で,確実に死亡したことを科学的に感知できる脳波計を作成する。その実験中に,なんと人が死亡する瞬間に人体から離れていく信号を発見してしまう。これは人の魂なのか?これが魂だとすれば,この信号が人体に入ってくるのはいつなのか。そしてついに,妊婦の協力を得て,その信号が宿る瞬間を記録することに成功する。

 という世界を騒然とさせる大発見から本書はスタートしますが,その後は急きょサスペンス的展開となっていきます。
 後半における展開は,グレッグ・イーガンのいくつかの作品を思い出しました。
 ソーヤーという作家は日本でも大変人気があるそうで,なるほどと思います。

ところで,本書の中で主人公がロバートBパーカーの小説を読むシーンがあります。私もパーカーのスペンサーシリーズが好きなので,この場面での主人公の気持ちがよく分かります。未読の方は「初秋」をお奨めします。大変面白いです。
ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)Amazon書評・レビュー:ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)より
4150111928



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