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ターミナル・エクスペリメント



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【この小説が収録されている参考書籍】
ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)

ターミナル・エクスペリメントの評価: 4.22/5点 レビュー 18件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.22pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全18件 1~18 1/1ページ
No.18:
(4pt)

死んだらどうなる。について書かれた本格SF

魂の存在や死後の世界について書かれた物語は数多くありますが、神話、伝承の類は別として、そのほとんどが“トンデモ”または“宗教的”と捉えられているのではないでしょうか?
 にもかかわらず、本書は、本格SF作家が、真面目に取り組んだ魂と死後の世界に関する物語です。
 と言っても、いかにもSFという、しちめんどうくさい理論に覆われた話ではありません。
 物語は、普通の夫婦の危機に起こった普通じゃない事件の顛末です。ただし、その骨格にはしっかりしたSF的なアイデアがあり、ミステリーとサスペンスの皮をまとっています。発表時点から見れば近未来(16年後)の2011年のトロントを舞台にした日常的な風景が通俗小説のように語られます。
 不倫と殺人事件という下世話な話が、魂と死後の世界という観念的な話にどうつながっていくのか?そのあたりが本書の特徴で、ソウヤーの腕の見せ所です。
 冒頭はサスペンス的に始まりますが、昔(1995年頃)を回想するシーンで主人公が魂の存在を発見するあたりまでのリアルさが、物語全体の雰囲気を形作っています。
 その後、話は佳境に入り、ミステリータッチの展開で一気に終盤まで流れ込んでいくのですが、ある意味ではとんでもない話なのに、あまりおかしいと感じないのは、主人公とその奥さんの話が、あまりにも地についているためだからでしょうか。
 一SFマニアとしては、瀬名氏の解説のとおり突っ込みどころがいくつかあって、その飛躍にニヤリとさせられるのですが、期待を裏切られた感じも少し残ります。ちょっと詰めが甘いよなあ。この展開もいいけど、もっとガチガチの展開を期待していたのでした。
 世界の反応にしても、幅広く、興味深く表現されているけれど、実際にはもっと大きな影響がありそうで、欲を言えば、そこも読みたかったのです。
 主人公の周りの小さな世界で語られていた話が、最後に一気に広がります。
 宗教のことは良くわかりませんが、キリスト教的な世界観に支配されている感じはあります。
 分厚い本ですが読みやすいので一気読みもできます。が、最後の10ページは読み飛ばさない方が良いでしょう。
 クライマックスでスピリットが選んだ方法もその一つだけれど、解説に書かれているとおり、作者は、議論のネタをばらまいていったのかもしれません。
ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)Amazon書評・レビュー:ターミナル・エクスペリメント (ハヤカワSF)より
4150111928
No.17:
(2pt)

なかなかの肩透かし

SF"風味"の設定に、ミステリ"風味"の設定。 さわりだけ聞くと面白そうなのだが、 元になるアイデアから話が発展していかないのでほとんど盛り上がりが無い。 描写や説明がさっぱりしすぎて緊迫感が無いせいかもしれない。 というか作者はおそらく科学に精通しているわけではないのだろう。 設定についての作中の解説は面白く読めたが、 話としては読了しても何も残らない。 起こった現象に対して登場人物達がちょっと右往左往しただけの話に思える。
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4150111928
No.16:
(4pt)

ミステリーなサイバーパンク? サイバーパンクなミステリー?

脳の活動をスキャンすることで自分の“魂”をコンピューターに展開できるようになっている世界。デジタル化された“魂”(人口生命のようなもの)と、そのオリジナル?の魂から寿命などの制限を取り除いた不死をシミュレートする魂と肉体の制限をすべて取り除いた死後の世界をシミュレートする純粋な魂を作成し、それらが意思を持ってネットワークに放たれたことで、殺人事件などの騒動が起こる。

いろいろ話の展開に多少ひっかかるところがあったり、今となっては古い技術が使われていたりするものの、基本的には物語に引き込まれるように読み進められる。純粋にストーリーを楽しめた。

本のジャンルとしてはSFなのだが、殺人事件の真犯人を探すところはミステリーになってくる。犯人がリアルな人間ではなく、コンピューターで動いているプログラム(魂のシミュレーション)だというのが面白い。2045年といわれている技術的特異点(シンギュラリティ)を迎えると、このような犯罪も発生するのだろうかと考えると、フィクションではなくなる日がくるのではないかと読み終えてから思った。
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4150111928
No.15:
(4pt)

一寸の虫にも五分の魂?

ソウヤーは広げた大風呂敷を折り目正しく畳んでくれる作家ではないので、結構重要なネタが回収されず放置状態のまま終わることが多い。
この小説最大の大風呂敷は序盤の「魂波」つまり人間の魂を発見する話たが、ここから派生した「動物に魂はあるか?」の問題も、あっけないほど深く追求されないまま終わる。

ウシには魂はない。でも、なぜかチンパンジーには魂がある。これだけ。
まともな線引きの根拠も示さないまま、こんなことだけ言われても困る。
じゃあ、犬猫はどうなの?、イルカやクジラは?、作者得意の?ネアンデルタールは?、あるいは異形のエイリアンは?と際限なく疑問がわく。
このあたりの妙にギクシャクした筆致からすると、ソウヤー自身、このままこのネタを続ければ泥沼にはまることを察知して、むりやり議論をうっちゃってしまった感じがする。

でも、愛犬家の私としては、ウチの犬に魂がないなんて言われても到底納得できないし、クジラに魂はないなんてことを書いたらシーシェパードが黙っていないだろう。
ウシに魂があるなんて考えるとステーキが不味くなるから、とりあえずウシには魂はないことにして・・・その程度の話なのか!?

まあこんな感じで、ツッコミどころ満載のソウヤーではあるが、善意にとれば広げる風呂敷が大きいだけ色んなことを考えさせてくれる作家ではある(なんという善意の解釈)。
デカルト主義(動物機械論)や動物の魂にまつわる本を検索していたら、もろ「動物に魂はあるのか」(中公新書)という本があったのでAmazonで注文してしまった。
あるいは、前に読んだ「生物と無生物のあいだ」(講談社現代新書)を再読してみようかなんて気になったりもする。

そんなわけで?ほんとは3つ星だが、オマケで4つ星を献上する。
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4150111928
No.14:
(5pt)

人間の魂っていったい何なんだろう。その疑問に答える一冊

無性にSF小説が読みたくなるときがあります。
 何か面白いSF小説はないものかと探していたところ,様々なSF小説が下敷きになっているアメリカの人気テレビドラマ「LOST」にソーヤーという名前の登場人物がいたことから,その作者の名前ソーヤーに惹かれ,今更ながら発見したのが本書。
 面白いです。
 難しい理論に読者が置き去りにされることなく,読みやすい文体で,夫婦の危機という人間臭さも描きながらも,サスペンスフルでぐいぐいと読み進めずにはいられない知的エンターテイメントです。

 主人公ピーター・ホブスンが大学院生時代に立ち会った臓器移植手術で目撃した脳死者の反応に,果たして本当に死亡していたのかとの疑念をもち,自ら立ち上げた会社で,確実に死亡したことを科学的に感知できる脳波計を作成する。その実験中に,なんと人が死亡する瞬間に人体から離れていく信号を発見してしまう。これは人の魂なのか?これが魂だとすれば,この信号が人体に入ってくるのはいつなのか。そしてついに,妊婦の協力を得て,その信号が宿る瞬間を記録することに成功する。

 という世界を騒然とさせる大発見から本書はスタートしますが,その後は急きょサスペンス的展開となっていきます。
 後半における展開は,グレッグ・イーガンのいくつかの作品を思い出しました。
 ソーヤーという作家は日本でも大変人気があるそうで,なるほどと思います。

ところで,本書の中で主人公がロバートBパーカーの小説を読むシーンがあります。私もパーカーのスペンサーシリーズが好きなので,この場面での主人公の気持ちがよく分かります。未読の方は「初秋」をお奨めします。大変面白いです。
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4150111928
No.13:
(3pt)

イマイチに感じた

自分には微妙に感じた。

魂を題材にしているのだが
どうにも日本人にはピンと来ない部分が多い。

例えば「動物には魂がない」という話が当然のように出てくるが
なんで?という感じがする。

また魂を科学的に発見してしまった事に対して
各宗教団体が様々な反応をする様子が
ユーモラス?に描かれているのだが
そもそも私はキリスト教が魂をどう考えてるのか全く知らないので
これをおもしろいと思えなかった。

話自体は良くできていると思う。
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4150111928
No.12:
(4pt)

2冊目も大変面白い小説であった

「SF+ミステリ」の面白小説、「イリーガル・エイリアン (ハヤカワ文庫SF)」(1997年発表)を読んで、この作者は期待できるとばかり、1995年のネビュラ賞に輝く本書を手に取ってみました。

医学博士のピーター・ホブスンは、学生時代の臓器移植立ち会いの経験から、「死とは何か」に興味を抱き、スーパー脳波計を開発。
高齢の女性、ペギー・フェネルの「死の瞬間」の測定に成功する。
そこには、魂とも呼べる電気信号が体外に放出される痕跡があり、「魂」の発見者として一躍有名になる。
その後、彼は、人工知能研究者の知人、サカール・ムハメドの力を借りて、コンピュータ上に自分の精神をスキャンし、3つの人格(「死後の生」「不死」「未改変」)を作り出す。
やがて、周囲の人間が殺されていく…。

魂の存在を科学的に描くという「SF的設定」が、途中から「殺人事件」の発生により、「ミステリ」へと変貌していくところは、「イリーガル・エイリアン」と同様で、私はこうしたジャンルミックスタイプの作風を大変気に入っています。
「コンピュータ上に作り上げた人格のうちの、誰が犯人なのか」−−大変魅力的な謎ではないでしょうか。

もっとも、本作品、SFとしての設定がありきたりだという意見や、主人公の人物設定に深みがない、という感想もあるようです。
しかし、私のように普段はミステリを読み、SFをほとんど読まない読者にしてみれば、SFの設定の中にうまくミステリを取り込んでいることだけで、斬新さや面白さを十分に感じるとともに、物語の行方に強く惹かれてしまうこととなるのです。

「ソウヤーは面白い」−−本書解説の作家、瀬名秀明のこの言葉を受けて、発表順としては後となる「イリーガル・エイリアン」の解説者の作家、北原尚彦は、「やっぱりソウヤーは面白い」と書いています。
これは単なる宣伝文句ではないようです。
2冊目の本書も、大変面白い小説でした。
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No.11:
(4pt)

SFの名作でありながら、ポピュラー・フィクションとしても優れています

何年かぶりにSFマイ・ブームが訪れ、前回のブームで取りこぼした名作、ブランク期間の傑作をつぶそうと、宇宙の戦士に続き本書を手にとりました。これこそロングテールの真髄というものでしょう。

普段SFを読まない理由のひとつとして、ストーリーの設定が自分の実生活とあまりにもかけ離れていて、自分とのかかわりを見いだせ辛いことが挙げられるように思います。ハードSFにいたっては物理と数学の世界の物語が少なくなく一般ウケという点で芳しくないのは当然と言えるでしょう。これはSFというジャンルがいくつかのサブタイプがあるものの特定の顧客に支持されたブランドとして確立されていることが原因なのだと思います。

しかしながら本作は設定こそ今のところあり得ないのですが、舞台の2011年はもうすぐそこですし、80年代のサイバーパンクと昨今の脳科学プチブームがあいまってタイムリーで身近に感じます。さらに本作にとっての設定はストーリー・テリングのTollとして位置づけられているので、マニアックな設定に拒否感を持つ一般読者にもとっつきやすいと思います。SFの中にも新たな読者を獲得するためにポピュラー・フィクションの世界に打って出る作品はSF界にとっても新しい読者獲得という意味で好ましいことなのではないでしょうか。
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No.10:
(5pt)

鬼に金棒の一作

死生観や自意識などの美味しいテーマでソウヤーがらつ腕をふるった傑作。
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No.9:
(4pt)

ソウヤー節というのがどういうものか分かってきた気がする

医学博士ホブスンはある老女の臨終に立ち会って、脳波を測定する。そのとき、人間の魂が脳から抜け出していくのを世界で初めて記録する。魂の存在をさらに見極めようと彼は自分の脳をスキャンして、自分の精神のシミュレーションをコンピューターの中に3つ作り出す。しかしそのうちのひとつが、殺人事件を起こしてしまう…。

 2011年の近未来を舞台にした1995年発表の作品です。こんな荒唐無稽な粗筋の物語を幼稚なものと読者に感じさせることなくきちんと構築して一級のエンターテインメント小説に仕上げる作者ソウヤーの手腕はお見事です。500頁近いこの文庫本を一度も飽きることなく読み終えることができました。

 描かれる擬似科学知識の信憑度がどれほどのものなのかは文系人間の私には推し量るすべもありませんが、この物語を本物らしく思わせるのは主人公ホブスンが妻やその家族、そして友人たちとの間にもつ人間関係がしっかり描かれているからでしょう。その人間関係は決して順風満帆ではなく、私たちが常に感じるであろうすれ違いやそりの合わない思いが常につきまといます。それが全く飾り気なく綴られています。妻との夫婦関係は崩れ落ちる瀬戸際にまで行きますが、そこでホブスンが見せる苦悩はどっぷりと人間くさいものです。未来人とて私たち現代人と何も変わらない、もろくて傷つきやすい存在だという点に、深い共感を覚えながら頁を繰りました。

 そしてピーターとキャサリンのホブスン夫妻のその後を描いたエピローグには、ほろりとさせられました。傷つき、歯を食いしばることばかりに見える人生であっても、生きることの素晴らしさをSFという形で描くソウヤー。前回読んだ「フラッシュフォワード (ハヤカワ文庫SF)」同様、私は彼の著作にたっぷりと楽しませてもらうと同時に、心にほんのりぬくもりを感じることができました。
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No.8:
(5pt)

世界を少し好きになる、優しい傑作

良い小説を読んだ後は、それ以前より世界を少し好きになる。
この作品も、そうした小説のひとつだ。

筋としてはSFらしい設定、主題が一本走っているのに、しっかりエンターテイメント性を保ち物語物語している。

後半に進むにつれ、コンピュータ、ネット寄りの話が増え、ニューロマンサーやマトリックスといった仮想空間ものと、丸ごとスキャンされた自分の同一性、アイデンティティを問うところはイーガンの順列都市に通じるような気がした。

ドーキンスやデカルトなどに触れたり、それだけで1つ作品ができそうな未来の様式がさらっと登場していたりするが、あくまで物語を引き立てる要素としてうまく使われているため、全く違和感なく楽しめる。宗教や医学的な問題に触れながらも、ニュートラルで自然な結末に運んでいくのが見事。

個人的には、主人公や著者の腹の奥から絞り出てくる叫びのようなものが感じられたら、なお良かったかな。
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No.7:
(5pt)

死後の魂

死後の魂にまつわるストーリで、ソウヤーらしく、楽しめる活劇的SFに仕上がっています。死後の魂を取り扱っていますが、お気楽に一気読みが出来て、息抜きによろしいのでは。
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No.6:
(5pt)

SFの醍醐味を、SFファン以外にも楽しめるかたちに

『さよならダイノサウルス』『スタープレックス』では
ありったけのアイデアをぶち込んでそれらを見事にまとめ上げる、
という技巧を見せたソウヤー。
本書では『アルジャーノンに花束を』や『夏への扉』のような出だし。
一般向けのエンターテイメントかと思いきや、
(本作では数少ない科学的ifである)スーパー脳波計ひとつをもって物語は一気にSF色を増して来る。
とはいってもSFに親しんでいない人にも充分理解できる範囲。
ストーリー面でのifは魂と死後の生、もうひとつ挙げるとするならニューロンをコピーすることで人格を形成する、ということだろう。後半になると単なる物語上の装飾としか思えなかったものが次々と統合されてきて、
大仰なSF的プロットではない、さりげない事柄でもそれができるソウヤーの力量を感じる。
その感覚は上質のミステリを読み解く感じと同じである。物語の印象として静かなトーンで終わるのかと思いきや、
SFの王道ともいえる爽快なラスト。
このラストのまとめ方が読後感を非常に良くしている。
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No.5:
(4pt)

ハードでありソフト、万人受けする傑作

コアなSFファンからミステリーファンまで、あらゆる読者にマッチする優れた作品
です。
「ゴールデンフリース」でも登場する得意のAIものですが、冒頭で明かされる通り、
主人公本人のシミュレーションが犯行に及ぶという、とんでもないストーリーに加え、
夫婦のすれ違いを軸としながらも、医学、科学、ミステリーをミックスしながら昇華
する感動的なエンディング。翻訳ものであっても読み易く、SFビギナーでも大丈夫
でしょう。1995年度ネビュラ賞に輝く傑作です。
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No.4:
(4pt)

懐の深い作家。

実に奇想天外な作品です。いったいソウヤーってどういう脳みそしてるんでしょう…(^^;)。
話としては突拍子もなくて実に面白いのだけれど,後半は自分の内なる世界から始まって,ラストは人間の本能や根源的な「生」について深く洞察することになり,読み応えはあるのだけれど,読了するのにえらく時間がかかってしまった。車の運転でたとえると「イリーガルエイリアン」が中盤からアクセル全開で怒涛のように展開し,あまりの面白さに呆然とするならば,「ターミナルエクスペリメント」はギアがローにはいったままじりじりと峠を越え,ラストに広大な風景が広がって感動する…みたいなかんじでしょうか。私としてはジェットコースター並のエンターテイメントを期待していたのでちょっと拍子抜けしたかな?ソウヤーってこういう作品も書いてるのね。なかなかあなどれません。
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No.3:
(5pt)

素晴らしい

魅力的な人物描写と平易な文体のおかげでどんどん読みすすめることができ、話に夢中になったまま一気に読了した。登場人物たちの会話を通して、テーマとなっているハイテク技術について噛み砕いた解説を得られるので、SFにありがちな「読者のおいてけぼり」状態に陥らずに読みすすめることができる。また、登場人物達がそれらのテクノロジーに対して持つ考察なども垣間見え、興味をそそられる。SF小説を読んだことがない人にもぜひ読んでほしい。面白いです!
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No.2:
(4pt)

ハリウッドが飛びつきそうな内容

これは面白い!
基本的な発想は「魂の電子的なプロファイルを取る」というものだが、そのプロファイルを編集して異なる人格を作り出すことから始まる物語は、一種の倒叙ミステリとも言える。スピーディーなストーリー展開で一気に読めるエンターテインメントだ。技術的な実現性はともかく、プロットの料理の仕方が非常に優れているし、主人公を取り巻くエピソードや、脇役である刑事の個性もうならせる。
ハリウッドが飛びつきそうな内容だ。
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4150111928
No.1:
(5pt)

途中でやめられない面白さ

臨死体験や「魂」の存在を科学的に突き詰めようとする前半から、コンピュータ上の完全な人格コピーを使ったシミュレーション実験、それが引き起こす「殺人」事件の犯人&動機探し・・・個々のアイデアだけでも単独で長編が書けてしまいそうな面白いアイデアを盛り沢山で惜し気もなく繰り出しながら、俗っぽくて分りやすいキャラクター設定やストーリー展開に乗せて極上のエンターテインメント作品に仕上げている。本格ハードSF、ミステリ、VR/ハッカー小説、恋愛小説と様々な側面を持つジャンルミックスタイプの傑作。何より、高度な題材を扱っていながら変に小難しくせず、適度の遊びや穴を設けて、何ぴとにも取っ付き易い内容になっているのが好感が持てる。で、ラストの「臨死体験」で「ああやっぱりSFなんだなぁ」と思わせて終わる。面白くて途中でやめられませんでした。我国で人気があるのもうなずける。
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4150111928

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