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九月が永遠に続けば
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九月が永遠に続けばの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全136件 121~136 7/7ページ
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作者の作品は初読。ホラーサスペンス大賞受賞作という事で手に取ったが、作者の作風が良く伝わって来る。特異な登場人物設定の下、一見通常の家庭小説のような体裁で、ひたすら醜悪な人間心理を描いて読む者の心を陰鬱とさせる。好悪がハッキリと別れる作品であろう。 作品を通して、家族のあり方や愛憎の深層心理を抉ろうとする意図は全く感じられず、救いの無さに暗澹たる気分になる。サイコホラーの宿命と言ってしまえばそれまでだが、余りにも人物造形だけに依存している印象を否めない。ヒロインが俗物として唾棄している中年男が、結局は作中で一番マトモな人間であるという事実が作品の構図を浮き彫りにしている。起きている事象は平凡なのに、登場人物達の特異性だけで全体を構成する手法は虚し過ぎる。日常生活において、各人のチョットした思惑のズレが次第に大きな亀裂となって行くという構想は悪くないのだから、物語の構成力で怖さを醸し出す工夫が欲しかった。 | ||||
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多くの方々が、 本作に対しそれなりの感想を寄せておられるが、 珍しくわたしには、何も書けない。 意識し過ぎた小説、に他ならないからかもしれないが、 残念な展開、結末・・・・わからない。 | ||||
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怖い、恐怖という意味を改めて考えさせる。 本作は、 怪異や謎だけに恐怖は宿るのではなく、 もっと根源的に生活する上で、 皆秘密をもち暮らしていくが、 それらが明かされたときに、 恐怖も浮かび上がってくるという構造だ。 異母兄弟(的)な由縁だったり、 暴行を受けた女と精神科医の関係だったり、 40女の孤独といった、 小道具がいくつもあるところが、 小説のフックとして効いてる。 ストーリーにどんどん惹き込まれていく。 若干の肩すかし感はあるのだが、 ラストの乾いた感じは個人的には好きだ。 優れた心理劇である。 | ||||
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実は初読の作家さんで、先日まで名前すら存じ上げませんでした。 たまたま評価が高いレビューを見たので、手に取ってみました。 ”ゴミを出しに行った息子がそのまま帰らない”という、 とてもコワイ始まりに、続きが気になって気になって、 寝る時間も惜しんで読みました。 複雑な登場人物達に複雑な過去。 全ての糸がこんがらかった感じで、 もしかしてほどけないのでは?と思ったのですが、 ちゃんと結末はありました。 でも、謎が解けるまでは面白かったですが、 解けてみるとう〜ん、少し疑問が残りました。 高校3年生はこんなに大人じゃないです! という所でしょうか。 とはいえ、作者の方の年齢から行くと、 このくらい大人でもおかしくないのかもしれませんね。 そう思うと、もう少し時代が古い設定の方が良かったかもしれませんが、 携帯もストーリーのアイテムの一つと考えると、 それは少し難しいかも。 設定の矛盾点がマイナス要素でしたが、 全体的には美しい文章だなという印象。 続けて他の作品も読みたくなる作家さんです。 | ||||
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この作品はホラーサスペンス大賞受賞作だが、 ホラーを求めると、評価は低くなるだろう。 逆に、サスペンスとすれば、1級の作品である。 地味だが、アガサクリスティーの「春にして君を離れ」のような 自分で自分を追い詰めていくという作品である。 文章もこなれ、キャラもきちっと立っているし、とても新人の作品とは思えない。 心理サスペンスがお好きな人には大変お薦めの一編である。 | ||||
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鮮やかな心理描写と意表をつく展開に度肝を抜かれて一気読みしました。 複雑に絡み合う感情からもつれて明かされていく秘密と愛憎劇が美味です。 最終的に読者の想像にまかせるような形で締めくくられており消化不良になったり腑に落ちない点はありますが、読者を引き込む強さと独自性があって面白い。 | ||||
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’04年「第5回ホラーサスペンス大賞」大賞受賞作。 歴代の大賞受賞作(『そして粛清の扉を』、『リカ』、『人形(ギニョル)』、『裂けた瞳』)がセンセーショナルなものやグロテスクなものが目立ったなかで本書はひとりの高校生の失踪という事件を軸に、その母親の目を通した一人称の静かな心理描写の作品になっている。 そこである女性がすべての事件の中心的な存在として浮かび上がる。彼女自身、痛ましい過去の事件の被害者なのだが、実は周りの人たちの心を知らず知らずに壊してゆく・・・。 読み終わってしまってからが、なんかゾッ〜とする物語である。 | ||||
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とにかく文章が巧い。 練りに練ったストーリーも絹のように緻密だ。ごみを出しにいった息子がそのまま失踪してしまうところから始まる。シングルマザーであるヒロインはそれを追っていくうちにさまざまな不思議な人たちと出会う。近くに住む息子のガールフレンドの父(シングルファーザー)が助けてくれるのだが、これがいかにもだめ男で、その造形が抜群だ。エンディングもきっちり収まっており、とても新人の作品だとは思われない。 | ||||
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表面上平穏な母と息子の家庭に、その一切を暴くかのような事件が起こります。 ゴミを捨てに出させたまま息子は姿を消しました。 人と人のただならない関わり方は、周囲の人を巻き込みさまざまな悲劇を生み出します。 息子は生きているのか死んでしまったのか、生かしているのか殺しているのか。 波濤の先にはなにがあるのでしょう。 ところで、女のエロは3断面あるとおもわされました。 一つ目は少女漫画的なつながることへの妄想。 二つ目は昆虫のような交尾。 三つ目は罪の深さの分だけ得られる悦楽。 その全てが表されているサスペンス小説です。 果てというものを見てきた心になって読了しました。 このレベルのものを著者が書き続けられるのだったら、私はもう他にサスペンスの書き手を必要としないとまで思ってしまいました。 無力なひたすら無力な人間の有様が痛切な作品です。 | ||||
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これまで決定打に欠けたホラーサスペンス大賞が自信をもって世に送り出した作品が「九月が永遠に続けば」だと聞いた。「これが売れなきゃ何が売れる!」とばかりに気合の入った小説で、ページを捲る手にも気合がこもった。こういうのをリーダビリティーというのだろうな、などと思いながら読了。「いやぁ、いいもん読ましてもらいましたで」と本を閉じたはいいものの、椅子から立ち上がって三歩歩いた直後には「・・・あれ?どんな小説だったっけ?」と、ふと本を振り返る。『ゴミを捨てにいった息子が、そのまま行方不明になる』そんな魅力的な大きな謎も、いざ解決してしまうと「ああ、そうですか」と妙に納得してしまいそれ以外の感情がすべて飛んでしまうのだ。文章力、プロット、キャラクター。すべてがそつなく巧いので、逆に印象に残る部分が少ないように思えた。そういう意味ではとってもホラーサスペンス大賞的な小説であり優等生な作品だ。だけど優等生というものは所詮は近くて遠い存在。一般大衆というものは、劣等生でもユニークな人物に惹かれるもの。優等生であるこの小説が賞関係者の期待を裏切って世間の評判を集められなかったのは仕方ないことかもしれない。優等生を輩出し続けたホラーサスペンス大賞が優等生らしい潔さで賞自体を終了させてしまったのもまた、仕方のないことなのだろう・・・ | ||||
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新人(もっとも著者の沼田さんはプロフィールでは50代の人でしたが)にしては群を抜く表現力と心理描写にまず舌を巻きます。とてつもなく艇長に詳細な描写で読むものを引き込みます。 ある夜、突然一人息子が失踪した母の不安と苦悩の心情を、細かく描いている秀作。自身の情事。別れた夫の再婚相手の娘と息子の関係。そしてその母親亜沙実、と徐々に浮き上がる人間関係を、妖しげな雰囲気(この雰囲気がホラーなのかなあ?)で描いています。 と、作品自体は良いのですが、帯のホラーサスペンス大賞という文字に引かれた私からしてみれば、「えっ、どこがホラー!?」ってな訳なんですね。確かに息子が謎の失踪をするのは母親にとっては恐怖以外のなにものでもないのかもしれませんが、このてのものをホラー扱いするのはどうかと思います。 また服部といういおせっかい親父の存在もせっかくの物語に水を差すような気がしました。 暗い影に覆われたヒューマンミステリーというほうがあっている気がします。 | ||||
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息子の失踪により、息子のまったく知らなかった一面を知る。それは母親にとっては残酷なことかもしれない。自分の腕の中にいると思っていたが、実はすでに手の届かないところに息子はいた。失踪をきっかけにさまざまな事が見えてくる。自分の家庭、離婚した夫の新しい家庭。いろいろなものを巻き込んで、物語は思わぬ方向へ・・・。読み手をのめり込ませる力のある作品だと思う。しかし、失踪の理由や、複雑そうに見えて実際にはそれほど複雑ではない人間関係などに、少々不満が残った。ラストにも意外性がほしかった。 | ||||
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なぜか読んでると心が重くなりました(ホラーが入ってたせいかな?)息子の失踪を追う母親という設定で、私は桐野夏生さんの”柔らかな頬をオススメしますですが とても新人さんという感じではなく 表現力がすごくあり 内容もグイグイと引っ張っていく強さがありました題名と表紙には星5つ付けてもいいと思います(私はこれに惹かれて買いました) | ||||
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すごくせつなく読みました。読んでいるうちに、ドヨンドヨンと・・・不快感と悲しさと怒り。そこまでいくのかぁ?と・・・ミステリーなのでネタバレになるから詳しく言えないのが残念です。ちょっと終わりに近づくにつれ、都合よくまとまっていった気がしないでもないのですが、ぐんぐんと引きつけて書いていく作者はすばらしいと思います。ラストの1行まで読んで下さい。そこにちょっとした前向きさが、見えました。突然の、愛する息子の失踪から始まる底なし沼。おもしろいですよ。 | ||||
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愛する息子の失踪を追い続ける母親,と言えば「柔らかな頬」を連想させるが,こちらの方が切り口が深く生々しくホラーの要素も加わりどろどろとした感触がある。そう,この作品は読んでいて気味の悪い感触が皮膚を通して伝わってくるのである。新人の作品とは思えない,いや新人だからこそ変にまとまっていない斬新な切り口と鋭い文章能力,そしてここまで人物構成を複雑に絡め合わせるのかと感心する。それは息子が失踪すると同時に加速し,一気に最後まで読み終えた。一気に読み終えないとなんか気味の悪いことが自分に起きるようで・・。人間の心の弱さや醜さは誰でも持っていて,一歩間違うとそれが狂気に変わること。平凡な自分たちの世界のすぐ裏側にこんな世界があるとしたら・・・誰一人として幸福感や満足感をもてない結末が肌寒い。次回作が早く読みたい。 | ||||
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ホラーサスペンス大賞の大賞受賞作です。突然失踪した息子を捜す数日間の物語で、時間的にも空間的にも狭い中で話が進みます。「文章力」が評価されての受賞ということですが、穿った見方をすれば、物語性が弱いということでしょうか。その分、人物造形に秀でており、登場人物である狂人・凡人・俗人それぞれの描写に魅力を感じます。 | ||||
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