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鷺と雪



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鷺と雪の評価: 3.96/5点 レビュー 69件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.96pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全47件 21~40 2/3ページ
No.27:
(5pt)

昭和エレジー

なるほど直木賞を取る方は良く勉強されていますね。226事件で終わらずに少なくとも終戦まで続けて頂きたい。
鷺と雪 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:鷺と雪 (文春文庫)より
416758607X
No.26:
(5pt)

時代を重ねて

 9月以降、世の中の雰囲気が少し変わったが、この作品を読んだころ(5月か6月?)には、
「何となく変な世の中だよなあ」と言う気がしていて、北村先生の時代に対する痛切なメッセージを感じたものだった。
 小説の舞台は、戦争に向かう昭和初期。その中で、心ある人たちが心ならずも時代に流されていくという宿命。
この重いテーマを、様々なミステリー仕立てのアイデアや、魅力的で賢明な主人公たちを配して、一気に読ませる。
所々に窺われる「軽さ」とか「衒学」というのはあくまでも小道具で(もちろん、それも大事です)、
北村作品の本質は、人の持つ根源的な「悲しさ」、「喜び」、「優しさ」の表出であろう。
 この作品でも、帯(本に巻かれているやつです)の裏に引用されている、ベッキーさんの悲痛ではあるが希望を込めた言葉や、
「善く敗るるものは亡びず」という言葉を支えとして戦いに向かう若者の真情などが胸を打つ。
「欲しいものが何であれ、命を、まして他人の命をもって贖われる世ではなくなることを―願う」というベッキーさんの願いが叶うように、
特に、若い世代がこの小説を読んでくれることを心から願っている。
鷺と雪Amazon書評・レビュー:鷺と雪より
4163280804
No.25:
(5pt)

時代を重ねて

9月以降、世の中の雰囲気が少し変わったが、この作品を読んだころ(5月か6月?)には、
「何となく変な世の中だよなあ」と言う気がしていて、北村先生の時代に対する痛切なメッセージを感じたものだった。
 小説の舞台は、戦争に向かう昭和初期。その中で、心ある人たちが心ならずも時代に流されていくという宿命。
この重いテーマを、様々なミステリー仕立てのアイデアや、魅力的で賢明な主人公たちを配して、一気に読ませる。
所々に窺われる「軽さ」とか「衒学」というのはあくまでも小道具で(もちろん、それも大事です)、
北村作品の本質は、人の持つ根源的な「悲しさ」、「喜び」、「優しさ」の表出であろう。
 この作品でも、帯(本に巻かれているやつです)の裏に引用されている、ベッキーさんの悲痛ではあるが希望を込めた言葉や、
「善く敗るるものは亡びず」という言葉を支えとして戦いに向かう若者の真情などが胸を打つ。
「欲しいものが何であれ、命を、まして他人の命をもって贖われる世ではなくなることを―願う」というベッキーさんの願いが叶うように、
特に、若い世代がこの小説を読んでくれることを心から願っている。

鷺と雪 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:鷺と雪 (文春文庫)より
416758607X
No.24:
(5pt)

シンプルで面白い作品です。

 近年、直木賞に選ばれた作品はどれも読みやすいです。
 本作は「オズの魔法使い」に例えると、主人公の英子がドロシーで、ベッキーさんは、知恵を与える良い魔法使い。
 つまりは、英子が昭和初期の東京を回るロードムーヴィーです。
 ベッキーという名は、映画「虚栄の市」にもじっているようにもみえますが、若者が読むと、どうしたって、あのタレントを想像してしまいます。なんか、若者向けに考えて狙った気がします。
 冒頭は、つかみにくいのですが、男性作家だからこそ描ける女性の優しさが、今風のユーモアを織り交ぜた文章で進んでいくので、さらっと読みやすいです。
 ラストはちょっと強引のような気がしますが、そこが他と抜きん出たところなのかもしれません。
 でも、ちょっと寂しいかな。
 
 追加
 このレビューを書いた一週間後に、録画して見忘れていた「週刊ブックレビュー」で本書の特集を発見しました。
 私には読んだ後に感想を話し合う友達が一人もいないので、番組では、著者の狙いが本人の口から聞くことが出来たり、司会の児玉清さんは、三越のライオン像に跨る習慣(都市伝説?)はあったのは事実だということを知り、本書の見方がとても変わりました。
 もう一度読み直そ。
 
鷺と雪Amazon書評・レビュー:鷺と雪より
4163280804
No.23:
(5pt)

シンプルで面白い作品です。

近年、直木賞に選ばれた作品はどれも読みやすいです。
 本作は「オズの魔法使い」に例えると、主人公の英子がドロシーで、ベッキーさんは、知恵を与える良い魔法使い。
 つまりは、英子が昭和初期の東京を回るロードムーヴィーです。
 ベッキーという名は、映画「虚栄の市」にもじっているようにもみえますが、若者が読むと、どうしたって、あのタレントを想像してしまいます。なんか、若者向けに考えて狙った気がします。
 冒頭は、つかみにくいのですが、男性作家だからこそ描ける女性の優しさが、今風のユーモアを織り交ぜた文章で進んでいくので、さらっと読みやすいです。
 ラストはちょっと強引のような気がしますが、そこが他と抜きん出たところなのかもしれません。
 でも、ちょっと寂しいかな。
 
 追加
 このレビューを書いた一週間後に、録画して見忘れていた「週刊ブックレビュー」で本書の特集を発見しました。
 私には読んだ後に感想を話し合う友達が一人もいないので、番組では、著者の狙いが本人の口から聞くことが出来たり、司会の児玉清さんは、三越のライオン像に跨る習慣(都市伝説?)はあったのは事実だということを知り、本書の見方がとても変わりました。
 もう一度読み直そ。

鷺と雪 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:鷺と雪 (文春文庫)より
416758607X
No.22:
(4pt)

三作通して軍靴の足音が不穏な時代を描写する

『街の灯』『玻璃の天』に続く本作は氏の「推理」小説としては、
円紫シリーズなどと比べその輝きが少ないことを認めざるは得ないだろう。
しかし、会話がやや現代風に改められてはいるものの
これだけの考証を行い、それを作品の中に時代の雰囲気と共に
反映させたエネルギーは高く評価すべきだ。
十五年戦争の前夜、最も華開いた昭和の消費文化。
数々の作品に採り上げられた記号といえども
イメージだけではなく、生活感を持って描写し得た作品は
それほど多くはない。その後に設定を置いた本作は
その中でも高い質を持ったものに相違ない。
自由に外出できないお嬢様を探偵役に据えた逆転の発想が、
三作通して軍靴の足音が不穏な時代を描写するに相応しい。
今日という不穏な時代に直木賞受賞したのも十分に肯ける。
鷺と雪Amazon書評・レビュー:鷺と雪より
4163280804
No.21:
(4pt)

三作通して軍靴の足音が不穏な時代を描写する

『街の灯』『玻璃の天』に続く本作は氏の「推理」小説としては、
円紫シリーズなどと比べその輝きが少ないことを認めざるは得ないだろう。
しかし、会話がやや現代風に改められてはいるものの
これだけの考証を行い、それを作品の中に時代の雰囲気と共に
反映させたエネルギーは高く評価すべきだ。

十五年戦争の前夜、最も華開いた昭和の消費文化。
数々の作品に採り上げられた記号といえども
イメージだけではなく、生活感を持って描写し得た作品は
それほど多くはない。その後に設定を置いた本作は
その中でも高い質を持ったものに相違ない。

自由に外出できないお嬢様を探偵役に据えた逆転の発想が、
三作通して軍靴の足音が不穏な時代を描写するに相応しい。
今日という不穏な時代に直木賞受賞したのも十分に肯ける。

鷺と雪 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:鷺と雪 (文春文庫)より
416758607X
No.20:
(5pt)

謎解き物としても十分に楽しめますが、圧巻です!

直木賞受賞作品とのことでしたので購入しました。
この本はベッキーさんとお嬢様の推理を基本としたシリーズの完結編です。
ただ単に謎解き物して楽しむのであれば
この作品から入っても十分満足できます。
しかし、シリーズ全般を通して伏線が張られているので、
全ての作品を通して読むと、懸命に生きる少女が
壮大な歴史のうねりの中でどう生き抜いていくのか?
ひとつひとつの事柄が積み重なり、歴史が作られていく。
ラストは本当に圧巻です。
鷺と雪Amazon書評・レビュー:鷺と雪より
4163280804
No.19:
(5pt)

謎解き物としても十分に楽しめますが、圧巻です!

直木賞受賞作品とのことでしたので購入しました。
この本はベッキーさんとお嬢様の推理を基本としたシリーズの完結編です。
ただ単に謎解き物して楽しむのであれば
この作品から入っても十分満足できます。
しかし、シリーズ全般を通して伏線が張られているので、
全ての作品を通して読むと、懸命に生きる少女が
壮大な歴史のうねりの中でどう生き抜いていくのか?
ひとつひとつの事柄が積み重なり、歴史が作られていく。
ラストは本当に圧巻です。
鷺と雪 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:鷺と雪 (文春文庫)より
416758607X
No.18:
(5pt)

最期

この作品を読み終わった後、しばらく私は呆然としていた
背筋が凍る想いというものを久々に感じた気分だった
終わり方が面白い作品なら、今までのもそうだろう
だが、流石というべきか今回のは異例でゾクッときた
続きが気にならないといえば嘘になるが、もしこれの続きがあっても読みたいとは思わないかもしれない
不思議な感覚だ
初めて生まれた私の中の感情だった
上からものを言うつもりはないが、これはとてもすばらしい作品だと思う
一生私の心の中にあり続ける物語だろう
鷺と雪Amazon書評・レビュー:鷺と雪より
4163280804
No.17:
(5pt)

最期

この作品を読み終わった後、しばらく私は呆然としていた
背筋が凍る想いというものを久々に感じた気分だった
終わり方が面白い作品なら、今までのもそうだろう
だが、流石というべきか今回のは異例でゾクッときた
続きが気にならないといえば嘘になるが、もしこれの続きがあっても読みたいとは思わないかもしれない
不思議な感覚だ
初めて生まれた私の中の感情だった
上からものを言うつもりはないが、これはとてもすばらしい作品だと思う
一生私の心の中にあり続ける物語だろう
鷺と雪 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:鷺と雪 (文春文庫)より
416758607X
No.16:
(4pt)

軽さと博識

昭和の戦前期を舞台に、ハイソな日常に潜むミステリーを描いた連作短編。能、文学、昭和初期の電話番号などに関するトリビアをバランスよく組み合わせている。この博識が北村センセイの特徴だろう。
 大仰な表現やドラマチックな言葉遣いを嫌う文体の軽さが、もう一つの特徴。ひと味足りないような読後感が、今作ではいい方に傾いている。2.26事件などという余りに衝撃的で情念的な事柄が、軽い文体にしっとりとした粘り気を加えている。
鷺と雪 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:鷺と雪 (文春文庫)より
416758607X
No.15:
(4pt)

軽さと博識

 昭和の戦前期を舞台に、ハイソな日常に潜むミステリーを描いた連作短編。能、文学、昭和初期の電話番号などに関するトリビアをバランスよく組み合わせている。この博識が北村センセイの特徴だろう。
 大仰な表現やドラマチックな言葉遣いを嫌う文体の軽さが、もう一つの特徴。ひと味足りないような読後感が、今作ではいい方に傾いている。2.26事件などという余りに衝撃的で情念的な事柄が、軽い文体にしっとりとした粘り気を加えている。
鷺と雪Amazon書評・レビュー:鷺と雪より
4163280804
No.14:
(5pt)

解き明かされた時に残る心温まる雰囲気

「わたしのベッキー」シリーズ第三弾で、三部作の最終巻です。
内容的には、三編の短編(「不在の父」「獅子と地下鉄」「鷺と雪」)からなっており、昭和初期の外面的には平穏な時代にところどころに射す暗雲が語られてゆきます。
もちろん、タイトルからも想像がつくように、終わりは「2・26事件」に至ります。
このあたりの何気ない日常の描写の中に登場する軍人たちの表現が、実によく計算しつくされておりなかなか良いです。
そうした若き軍人たちは、ヒロイン英子らの伴侶候補であり、優しいお兄さんでもあります。
そこから彼女が学び、成長してゆく姿がこの三巻の中で実に上手く表現されていました。
もちろん、このシリーズは「ミステリー」です。
従って、この本でもそれぞれ一つづつ「謎」が登場し、英子とそのお抱え運転手ベッキーの活躍で、その「謎」を解き明かして行きます。
第一話は、神隠しにあったように姿を行方不明の父親の行方。
第二話は、少年の謎の深夜行から補導に至る理由。
第三話は、外国にある婚約者が写った写真の謎。
どれも日常の何でもない一事ですが、その解き明かされた時に残る心温まる雰囲気が、バックにある時代の暗雲と実に見事なハーモニーを奏でています。
個人的には、第二巻の「玻璃の天」の方が動きがあって好きなのですが、これはこれで素晴らしい完結編になっていると思います。
鷺と雪Amazon書評・レビュー:鷺と雪より
4163280804
No.13:
(5pt)

結末は、意外性100%!

 著者の書くミステリーは、論理の骨格に自在な引用を交えながら、いつしか日常性を超える部分を描いていて、愉しめる。同時に、例えば女子大生の生活等、その独特の世界を映し出す。
 本書では、日本の歴史を多少なりとも知っているものなら、必ず出てくるはずの事件とのつながりを念頭に、あれこれ想像を交えながら読み耽った。そうこうしているうちに、最後のページまで行き着いてしまった。
「……こんなこともあるのですね。この世では何でも起こるものだ」という、のこりわずかの場面での、ある登場人物の言葉が、読み終わった直後の気分を代弁してくれている。日常的行為と、歴史的事実との稀有の結合がある。
 とはいえ、最後の場面を描くまでに、著者は用意周到な伏線を張り巡らしている。これでもか、という言葉が聞こえてきそうなほどであり、その畳みかけるように描かれる事実の連鎖が、時代の雰囲気を感じさせる。特に、能の『鷺』の描写には、並々ならぬ著者の思い入れを感じる。書名が『鷺と雪』と題されたのも頷ける。
 次のような言葉には、著者の世の中に対する立ち位置がうかがわれ、興味深い。多くの登場人物の言葉は、これらの言葉との位置関係を確認してはじめて意味をもつように思う。
「≪妻がそうであった≫のではない。≪妻もまた、そうであった≫のです。妻は別に変り者ではなかった。当り前の考えを持ち、当たり前に生きていた」
「―――あれにとって、まことの幸せはあちらにあったのです。それに疑義を抱くことは、即ち、犯罪なのです。―――そこにあるのは至って明快で、一度も病んだことのない肉体にも似た、―――頑強な、殆ど健康といっていい思想なのです」
「(省略)わたしが捨てたのではない。―――わたしが捨てられたのです」
鷺と雪Amazon書評・レビュー:鷺と雪より
4163280804
No.12:
(5pt)

解き明かされた時に残る心温まる雰囲気

「わたしのベッキー」シリーズ第三弾で、三部作の最終巻です。

内容的には、三編の短編(「不在の父」「獅子と地下鉄」「鷺と雪」)からなっており、昭和初期の外面的には平穏な時代にところどころに射す暗雲が語られてゆきます。
もちろん、タイトルからも想像がつくように、終わりは「2・26事件」に至ります。
このあたりの何気ない日常の描写の中に登場する軍人たちの表現が、実によく計算しつくされておりなかなか良いです。
そうした若き軍人たちは、ヒロイン英子らの伴侶候補であり、優しいお兄さんでもあります。
そこから彼女が学び、成長してゆく姿がこの三巻の中で実に上手く表現されていました。

もちろん、このシリーズは「ミステリー」です。
従って、この本でもそれぞれ一つづつ「謎」が登場し、英子とそのお抱え運転手ベッキーの活躍で、その「謎」を解き明かして行きます。
第一話は、神隠しにあったように姿を行方不明の父親の行方。
第二話は、少年の謎の深夜行から補導に至る理由。
第三話は、外国にある婚約者が写った写真の謎。
どれも日常の何でもない一事ですが、その解き明かされた時に残る心温まる雰囲気が、バックにある時代の暗雲と実に見事なハーモニーを奏でています。

個人的には、第二巻の「玻璃の天」の方が動きがあって好きなのですが、これはこれで素晴らしい完結編になっていると思います。
鷺と雪 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:鷺と雪 (文春文庫)より
416758607X
No.11:
(5pt)

結末は、意外性100%!

著者の書くミステリーは、論理の骨格に自在な引用を交えながら、いつしか日常性を超える部分を描いていて、愉しめる。同時に、例えば女子大生の生活等、その独特の世界を映し出す。
 本書では、日本の歴史を多少なりとも知っているものなら、必ず出てくるはずの事件とのつながりを念頭に、あれこれ想像を交えながら読み耽った。そうこうしているうちに、最後のページまで行き着いてしまった。
「……こんなこともあるのですね。この世では何でも起こるものだ」という、のこりわずかの場面での、ある登場人物の言葉が、読み終わった直後の気分を代弁してくれている。日常的行為と、歴史的事実との稀有の結合がある。
 とはいえ、最後の場面を描くまでに、著者は用意周到な伏線を張り巡らしている。これでもか、という言葉が聞こえてきそうなほどであり、その畳みかけるように描かれる事実の連鎖が、時代の雰囲気を感じさせる。特に、能の『鷺』の描写には、並々ならぬ著者の思い入れを感じる。書名が『鷺と雪』と題されたのも頷ける。
 次のような言葉には、著者の世の中に対する立ち位置がうかがわれ、興味深い。多くの登場人物の言葉は、これらの言葉との位置関係を確認してはじめて意味をもつように思う。

「≪妻がそうであった≫のではない。≪妻もまた、そうであった≫のです。妻は別に変り者ではなかった。当り前の考えを持ち、当たり前に生きていた」

「―――あれにとって、まことの幸せはあちらにあったのです。それに疑義を抱くことは、即ち、犯罪なのです。―――そこにあるのは至って明快で、一度も病んだことのない肉体にも似た、―――頑強な、殆ど健康といっていい思想なのです」

「(省略)わたしが捨てたのではない。―――わたしが捨てられたのです」
鷺と雪 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:鷺と雪 (文春文庫)より
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No.10:
(5pt)

堪能しました

昭和11年の2月になんの事件がおきるのか・・・。
歴史に通暁している読者ならば、その年号ですぐぴんときてしまうのだろう。
だが、あまり詳しくはないわたしにとって、このラストは後ろから串刺しにされたも同然のショック。
それまでの「わたし」=主人公英子嬢が、貿易商で英国通の父上や気がよくてやさしいお兄さんに囲まれ大切に守られ、花のような青春の入り口で初々しく在ること、それにあのような形の結末を迎えさせるということ、日常の小さな謎解きではなく、歴史の大きな奔流に否応もなくまきこまれていってしまう、痛ましい少女期の終焉であるということが、胸にせまる。
三部作の最終話として、この結末で終わらせることで、小説の外に開かれたよりおおきな物語へとリンクしていくのが、なんともいえず感無量だった。
直木賞バンザイ!!
鷺と雪 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:鷺と雪 (文春文庫)より
416758607X
No.9:
(5pt)

堪能しました

昭和11年の2月になんの事件がおきるのか・・・。
歴史に通暁している読者ならば、その年号ですぐぴんときてしまうのだろう。
だが、あまり詳しくはないわたしにとって、このラストは後ろから串刺しにされたも同然のショック。
それまでの「わたし」=主人公英子嬢が、貿易商で英国通の父上や気がよくてやさしいお兄さんに囲まれ大切に守られ、花のような青春の入り口で初々しく在ること、それにあのような形の結末を迎えさせるということ、日常の小さな謎解きではなく、歴史の大きな奔流に否応もなくまきこまれていってしまう、痛ましい少女期の終焉であるということが、胸にせまる。
三部作の最終話として、この結末で終わらせることで、小説の外に開かれたよりおおきな物語へとリンクしていくのが、なんともいえず感無量だった。
直木賞バンザイ!!
鷺と雪Amazon書評・レビュー:鷺と雪より
4163280804
No.8:
(5pt)

現代にどう繋ぐか

第141回の直木賞受賞作品である。本のレビューからややそれるが長年に渡り候補になりながら受賞が叶わず、喉に骨が引っかかるような思いであった北村先生に心からお祝いを申し上げたい。
この小説は三部作の最後となるシリーズで日本が大きく傾いていく前夜を女学生とそれを護る女性運転手という二人が事件(事件というほどに大変なものではないが)を解き明かしていく物語である。
いささか時代背景もあり、華族の悩みみたいなものは理解しがたい部分はあるが、物語を通じて何か我々が最近どこかに忘れてきた大事なもの、それは家族を思うことや社会のあり方や、利己的ではない抑制の効いた人間関係などが、やはり大切なんだということを決して説教じみて語るのではないところがよい。
長いシリーズの後半部分なんでいよいよ最後のクライマックスがどこへたどり着くのかが、この本の一番最初のエピソードで分かってしまうのも仕方ないのであろう。是非とも「街の灯」、「玻璃の天」とあわせて読んでいただくことをお勧めする。
鷺と雪Amazon書評・レビュー:鷺と雪より
4163280804

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