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鷺と雪
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鷺と雪の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全69件 1~20 1/4ページ
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この巻で完結。終わってしまってとても残念です。 昭和初期、東京の上流社会に生きるお嬢様、花村英子を中心とした連作は夢のように美しいお話から始まりましたが、ここに至りひたひたと近づいてくる軍国主義と戦争の影がいよいよ色濃く感じられます。 「不在の父」ご学友の行方の知れない叔父を探す手伝いをすることで、英子は貧民救済所や無料宿泊所など今まで知らなかった世界に触れ、東京でもその日を食べられないような人々が多く存在していることを知ります。 「獅子と地下鉄」英子の同級生で大名華族の令嬢が、慕う人と結婚するために父親に直訴したエピソード、そして老舗の和菓子店の幼い息子が補導され、1人で夜に出歩いていたことがわかりますが、それにはいったいどんな理由があったのかという謎。それを探ろうとして治安のよくない地域に踏み込んでしまった危機一髪の英子をベッキーさんが救います。若い女性がさらわれて行方不明って昔は本当にあったのですね。 「鷺と雪」英子が参加した学習院からの修学旅行が興味深いです。まず当時の鉄道事情ですが朝の9時に東京を出発し、名古屋で関西線に乗り換え、二見に着いたのは夕方5時50分ということ、ほぼ9時間かかっています。が、英子は「朝には東京にいた身が座ったままで夕刻には伊勢にいる。弥次さん、喜多さんが聞いたらさぞおどろくことだろう」と感嘆しています。 伊勢、大阪、神戸、明石、そして戻って京都、奈良、最後は天橋立への1週間。なんという豪華版でしょうか。さすが上流家庭子女ばかりの学校です。 他にも叔父夫婦との能楽鑑賞や、いるはずがない人が写った写真の謎。 最後に帝国陸軍参謀本部の軍人である侯爵家長男がベッキーさんへ抱く思いと、庶民出の陸軍将校、若月さんへの英子のほのかな思慕、それらがすべて時代に波に抗うことができず、戦争に向かって飲み込まれてゆく様が描かれます。 華族からドロップアウトした子爵様、「華族や士族のいるような世の中がいつまでも続くとは思えない・・」とつぶやく侯爵様、社会の矛盾や軍部内での対立を暗示して最後は2.26事件前夜で終わります。 この後、何が起こるかを私たちは知っているわけで、この登場人物たちはいったいどうなるのだろうと思わずにはいられません。 シリーズをここで終えたのはどうしてなのか?戦争の混乱を描くのはこの小説の趣旨ではないということだと思いますし、物語の美しさも損なわれてしまいますが、できれば大河小説のように続きを読みたい気もします。いつか続編が書かれることがあれば・・と思ってしまいました。 | ||||
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ベッキーさんシリーズの三冊『街の灯』『玻璃の天』『鷺と雪』を通読した。昭和初期を舞台にお金持ちのお嬢さまの英子と女性運転手のベッキーさんが探偵役となって日常の謎を解く中編連作小説。ベッキーさんは外人ではなく、運転手の別宮が採用されたときに英子が読んでいたサッカレーの小説『虚栄の市』に登場するレベッカの愛称で、ベック→ベッキーとなったもの。昭和初期の山手の風俗が特有の雰囲気をつくりだす。いろいろな本が絡んでくるが、山村暮鳥の詩の一節「騒擾ゆき」がドキッとさせる。 | ||||
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昭和初期、士族出身の上流階級の御令嬢と女性運転手(別宮=ベッキーさん)が日常の謎を解くシリーズ第三弾。 当時の出来事、活躍した人物など巧みに取り入れて、セレブな人々の日常を描いている。事件そのものより、こちらの方に興味を惹かれた。 もっとも昭和史に精通している読者なら、歴史の裏側への示唆など、解説で知識を補完しなくともより愉しむことができるのだろう。 ある華族の失踪「不在の父」、徘徊していた良家の少年の動機「獅子と地下鉄」、婚約者のドッペルゲンガーを見た同級生「鷺と雪」の三作品が収録されている。言外の意味を想像するという点では文芸作品よりだろうか。 シリーズを最初から読み進めないと登場人物への思い入れが少ないので、面白さは減衰してしまうかもしない。 | ||||
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226事件当日に向けて様々な資料をもとに、一人の華族女学生を主人公に人間模様や都市伝説的事柄をからめて創作化した小説。 半ば過ぎ修学旅行の記述が冗長に感じるが、引率した気持ちで読み飛ばした。 | ||||
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直木賞を取った作品ということで、シリーズ第1弾「街の灯」から読み進めてきましたが、全体的にイマイチでした。 特に最終巻はこれで終わり?って感じのラストなので続きがありそうでなんだかスッキリしません。 「街の灯」「不在の父」などの作品で、格差について表現したいのはなんとなく分かったのですが、ミステリーとしてはすぐ答えが分かってしまう作品や逆に意味がよく分からない作品が多かったです。 昭和初期という時代をよく調べて、その時代の空気が伝わってきたのもよかったのですが、果たして全体を通して作者が読者に言いたかったことは何なのかが分かりませんでした。 | ||||
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表題作が直木賞を受賞したのだとしたら やはり個人的にはよく分からない。 表題作の終盤数ページだけは 読み応えがあると思うが 短編としても主題がよく分からない。 (※短編だが一貫性が非常に乏しい) この作品に収録されてるなかでなら 不在の父が1番読み応えがある と思う。 | ||||
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文芸臭は濃厚に漂っている。しかし 時代小説ではない,絶妙なストーリーテリングでもない,人間の苦悩を描いたものでもない,何を伝えたい? グルメの評価の高い料理店に行ったものの,自分の口に合うものは無かった,という感じ。口に合うお客が多いであろうことも理解は出来るのだが | ||||
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読み損ねていた作品。余韻を残し、この後のことをいろいろと想像してしまう。戦争の中、みんなどうなるのだろう… | ||||
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経年劣化はしょうがありませんね。それを承知の上で購入しているのですから。それ以外は 大変良い商品だったと思います。今は カミサンが読んでます。 | ||||
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むずかしい! 24文字以上のテキストを入力する必要があります。(必須) | ||||
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上品で穏やかなお話を堪能しました。 ラストがまた堪らない。 夢の様に楽しく無邪気な少女時代から、一気に時代の波にもまれていくんであろう事が伺える。 が、少女時代に培った美しい健全な芯は損なわれずに大人になっていくんだろうと感じる事ができた。 | ||||
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直木賞受賞作品です。華族の生活ぶりが伝わる作品です。大正から昭和にかけてののんびりとした余裕のある生活ぶりが何とも言えず豊かに感じられます。 | ||||
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どうやらこれはシリーズものらしいが私は直木賞受賞作品として購入したので前後は読んでいない 華族のお嬢様とその運転手であるベッキー(女性)が謎を解いていく物語だが・・・ 昭和11年で青年将校が登場すれば行きつく先の歴史的事件といえば一つしかないが・・・・ だからといってそれらが物語に深くかかわっているわけでもなく・・・ 解いている謎もなるほどというものでもなく・・・・ 正直これが何かの文学賞をとることそのものが不思議に思えた | ||||
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第141回直木賞受賞作にして、「ベッキーさんと私」シリーズの最終作。 昭和初期の華族のお嬢様と、社会情勢の中、北村薫さんお得意の「日常の謎」をきめ細やかな筆致で記した連作短編集。 華族主人の神隠しの謎を描いた「不在の父」、上野で補導された良家の少年の行動を探る「獅子と地下鉄」、物語を閉じる表題作「鷺と雪」の3作。 昭和11年2月の「あの」事件の中で「わたし」花村英子に起こった偶然が、物語の余韻を何時までも心に刻みつける。 もう少し読みたい、もっと読みたいと思いながらも、雪の帝都とこれからの時代を象徴させる物語の閉じ方で非常に印象的。 「日常の謎」のミステリとして良く出来ているのは「獅子と地下鉄」。 良家のお坊ちゃまが、夜の上野で補導される。彼が残したメモには上野と浅草の文字。上野と浅草に共通するものは? 上野に何があったのか? 彼の行動についての謎解きも、その視線も優しくて大好きです。 | ||||
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ベッキーさんシリーズの最終作でした。 本作を含めたベッキーさんシリーズは、ミステリーに主眼を置いたとするには、その内容も結末もどこか中途半端ですし、 お嬢様の謎解きに主眼を置いたとするのであれば、ユーモアや快楽性が欠けていると思います。 ミステリーとお嬢様の両方の要件を満足させることもできていないのですが、 さらにそこに時代背景を持ち込んだので、なおのことストーリーが中途半端になってしまっています。 本作は、結末を2.26事件にもってくるのならば、もっと作品を重厚に仕上げることもできたはずですので、残念です。 北村氏の作品は、重めのテーマを軽めに、それこそ「雪」化粧したように綺麗に見せるのが上手なのかな、と思います。 どっしりとした作品ではないので、ななめ読みにちゃらちゃらと読めます。 直木賞受賞となっていますが、受賞作というには内容が貧困です。 どうでもよいことですが、本の帯に「昭和11年2月、雪の朝・・・」と記載されており、思いっきりネタばれしているので、 本作の伏線がすぐにわかってしまいました(笑)。 帯の記載の仕方も考えてほしいものです。 | ||||
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読了後だいぶ経ちますが、未だに心に残る作品です。3部作をいっきに読み続けてきて、この幕引きはないでしょう。問題が何にも解決してませんよ〜北村さん!読了直後は消化不良でかなり辛かったですが、時間が経っても忘れられないのはたぶん自分の中でまだベッキーさんが生きているからだと思います。この後、それぞれの運命が音を立てて変わっていきそうな気配のみ残しバンッ終わる。余韻が残る本です。。。 | ||||
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直木賞作品をずっと読み進めております。 その中では、最もつまらない作品でした。何故これが直木賞を受賞できたのか理解できません。 シリーズものということですが、この作品を単体で読んだのがいけなかったのかな? | ||||
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これでシリーズ完結というのはあまりに寂しい気もするけど、 この余韻が「らしさ」なのかも。 シリーズを通して、聡明で伸びやかな英子お嬢様の成長、 感受性が好ましい。 文武両道のスーパーウーマンであるベッキーさんの 格好良さももちろん。 戦前の空気を表すエピソードも多かったけど、 その都度、英子お嬢様とベッキーさんの、 自由への想い、人の世の平和と健やかさを 何より大切に思う言葉が印象的。 天下国家を背負える立場にない、 この時代の女性としての強い誇りも感じさせる。 ミステリーとしてだけではない、楽しみ方を満喫させてくれました。 | ||||
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ベッキーさんシリーズも最終巻になってしまいました。人が死なないミステリは落ち着いて読めるし、なにより上流階級の暮らしとはこういうものだったのか、と文化史を垣間みるようで、ミステリとはまたひと味違う面白さもある作品。昭和初期。まだ100年もたっていないのに、日本にもこういう社会があったのだと、日本人でありながら知らないことが多すぎて少し恥ずかしい。そう、長い日本の歴史から見たら、ついこないだのことなのに。 昭和11年2月。これから日本は激動の時代を迎える。純真で真っ直ぐな英子と聡明なベッキーさんはこれからどのように生きていくのだろうか。ミステリそのものよりも、この2人の人生が気になって仕方ない。派手さはないのに、とても魅力的な女性だった。2人とも。 日本が何をしたとか、いまだに自虐史観を掲げて後ろばかり見ている輩は多いけれど、日本人の根底を流れるものは、この時代から変わっていないと思いたい。四季を愛で、礼節を重んじ、「人間の善き知恵を信じる」こころを持っているはず。そう思いたい。 | ||||
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なぜに「昭和初期の超上流階級」が舞台である必要があるのか? そこに描かれるのはグロテスクなまでに浮世離れした華美な世界です。 作者がその辺りの出身である、ということならばまだ分からないでもないですが。 軍人の姿の描き方にそこはかとなく意図を感じられはするものの、 不快感しか残りませんでした。 | ||||
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