鷺と雪

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評判

鷺と雪の評価:

3.96/5点 レビュー 67件。 B ランク

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平均点3.96pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全94件 81〜94 5/5ページ
No.14
(5pt)

シンプルで面白い作品です。

 近年、直木賞に選ばれた作品はどれも読みやすいです。
 本作は「オズの魔法使い」に例えると、主人公の英子がドロシーで、ベッキーさんは、知恵を与える良い魔法使い。
 つまりは、英子が昭和初期の東京を回るロードムーヴィーです。
 ベッキーという名は、映画「虚栄の市」にもじっているようにもみえますが、若者が読むと、どうしたって、あのタレントを想像してしまいます。なんか、若者向けに考えて狙った気がします。
 冒頭は、つかみにくいのですが、男性作家だからこそ描ける女性の優しさが、今風のユーモアを織り交ぜた文章で進んでいくので、さらっと読みやすいです。
 ラストはちょっと強引のような気がしますが、そこが他と抜きん出たところなのかもしれません。
 でも、ちょっと寂しいかな。
 
 追加
 このレビューを書いた一週間後に、録画して見忘れていた「週刊ブックレビュー」で本書の特集を発見しました。
 私には読んだ後に感想を話し合う友達が一人もいないので、番組では、著者の狙いが本人の口から聞くことが出来たり、司会の児玉清さんは、三越のライオン像に跨る習慣(都市伝説?)はあったのは事実だということを知り、本書の見方がとても変わりました。
 もう一度読み直そ。
 
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.13
(3pt)

時代の空気を映す物語

長いキャリアを持つ著者の直木賞作品。これまでも本屋さんで名前を
よく見ましたがなんとなく手が出ませんでしたが、受賞作ということ
で初めて読んでみました。
本書は、連作となる短編が3本。どれもテンポはゆったりとしていて、
ミステリーというより、戦前の時代の空気を感じさせる歴史書的な
物語集です。
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.12
(4pt)

三作通して軍靴の足音が不穏な時代を描写する

『街の灯』『玻璃の天』に続く本作は氏の「推理」小説としては、
円紫シリーズなどと比べその輝きが少ないことを認めざるは得ないだろう。
しかし、会話がやや現代風に改められてはいるものの
これだけの考証を行い、それを作品の中に時代の雰囲気と共に
反映させたエネルギーは高く評価すべきだ。
十五年戦争の前夜、最も華開いた昭和の消費文化。
数々の作品に採り上げられた記号といえども
イメージだけではなく、生活感を持って描写し得た作品は
それほど多くはない。その後に設定を置いた本作は
その中でも高い質を持ったものに相違ない。
自由に外出できないお嬢様を探偵役に据えた逆転の発想が、
三作通して軍靴の足音が不穏な時代を描写するに相応しい。
今日という不穏な時代に直木賞受賞したのも十分に肯ける。
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.11
(5pt)

謎解き物としても十分に楽しめますが、圧巻です!

直木賞受賞作品とのことでしたので購入しました。
この本はベッキーさんとお嬢様の推理を基本としたシリーズの完結編です。
ただ単に謎解き物して楽しむのであれば
この作品から入っても十分満足できます。
しかし、シリーズ全般を通して伏線が張られているので、
全ての作品を通して読むと、懸命に生きる少女が
壮大な歴史のうねりの中でどう生き抜いていくのか?
ひとつひとつの事柄が積み重なり、歴史が作られていく。
ラストは本当に圧巻です。
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.10
(5pt)

最期

この作品を読み終わった後、しばらく私は呆然としていた
背筋が凍る想いというものを久々に感じた気分だった
終わり方が面白い作品なら、今までのもそうだろう
だが、流石というべきか今回のは異例でゾクッときた
続きが気にならないといえば嘘になるが、もしこれの続きがあっても読みたいとは思わないかもしれない
不思議な感覚だ
初めて生まれた私の中の感情だった
上からものを言うつもりはないが、これはとてもすばらしい作品だと思う
一生私の心の中にあり続ける物語だろう
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.9
(4pt)

軽さと博識

 昭和の戦前期を舞台に、ハイソな日常に潜むミステリーを描いた連作短編。能、文学、昭和初期の電話番号などに関するトリビアをバランスよく組み合わせている。この博識が北村センセイの特徴だろう。
 大仰な表現やドラマチックな言葉遣いを嫌う文体の軽さが、もう一つの特徴。ひと味足りないような読後感が、今作ではいい方に傾いている。2.26事件などという余りに衝撃的で情念的な事柄が、軽い文体にしっとりとした粘り気を加えている。
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.8
(5pt)

結末は、意外性100%!

 著者の書くミステリーは、論理の骨格に自在な引用を交えながら、いつしか日常性を超える部分を描いていて、愉しめる。同時に、例えば女子大生の生活等、その独特の世界を映し出す。
 本書では、日本の歴史を多少なりとも知っているものなら、必ず出てくるはずの事件とのつながりを念頭に、あれこれ想像を交えながら読み耽った。そうこうしているうちに、最後のページまで行き着いてしまった。
「……こんなこともあるのですね。この世では何でも起こるものだ」という、のこりわずかの場面での、ある登場人物の言葉が、読み終わった直後の気分を代弁してくれている。日常的行為と、歴史的事実との稀有の結合がある。
 とはいえ、最後の場面を描くまでに、著者は用意周到な伏線を張り巡らしている。これでもか、という言葉が聞こえてきそうなほどであり、その畳みかけるように描かれる事実の連鎖が、時代の雰囲気を感じさせる。特に、能の『鷺』の描写には、並々ならぬ著者の思い入れを感じる。書名が『鷺と雪』と題されたのも頷ける。
 次のような言葉には、著者の世の中に対する立ち位置がうかがわれ、興味深い。多くの登場人物の言葉は、これらの言葉との位置関係を確認してはじめて意味をもつように思う。
「≪妻がそうであった≫のではない。≪妻もまた、そうであった≫のです。妻は別に変り者ではなかった。当り前の考えを持ち、当たり前に生きていた」
「―――あれにとって、まことの幸せはあちらにあったのです。それに疑義を抱くことは、即ち、犯罪なのです。―――そこにあるのは至って明快で、一度も病んだことのない肉体にも似た、―――頑強な、殆ど健康といっていい思想なのです」
「(省略)わたしが捨てたのではない。―――わたしが捨てられたのです」
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.7
(5pt)

堪能しました

昭和11年の2月になんの事件がおきるのか・・・。
歴史に通暁している読者ならば、その年号ですぐぴんときてしまうのだろう。
だが、あまり詳しくはないわたしにとって、このラストは後ろから串刺しにされたも同然のショック。
それまでの「わたし」=主人公英子嬢が、貿易商で英国通の父上や気がよくてやさしいお兄さんに囲まれ大切に守られ、花のような青春の入り口で初々しく在ること、それにあのような形の結末を迎えさせるということ、日常の小さな謎解きではなく、歴史の大きな奔流に否応もなくまきこまれていってしまう、痛ましい少女期の終焉であるということが、胸にせまる。
三部作の最終話として、この結末で終わらせることで、小説の外に開かれたよりおおきな物語へとリンクしていくのが、なんともいえず感無量だった。
直木賞バンザイ!!
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.6
(5pt)

現代にどう繋ぐか

第141回の直木賞受賞作品である。本のレビューからややそれるが長年に渡り候補になりながら受賞が叶わず、喉に骨が引っかかるような思いであった北村先生に心からお祝いを申し上げたい。
この小説は三部作の最後となるシリーズで日本が大きく傾いていく前夜を女学生とそれを護る女性運転手という二人が事件(事件というほどに大変なものではないが)を解き明かしていく物語である。
いささか時代背景もあり、華族の悩みみたいなものは理解しがたい部分はあるが、物語を通じて何か我々が最近どこかに忘れてきた大事なもの、それは家族を思うことや社会のあり方や、利己的ではない抑制の効いた人間関係などが、やはり大切なんだということを決して説教じみて語るのではないところがよい。
長いシリーズの後半部分なんでいよいよ最後のクライマックスがどこへたどり着くのかが、この本の一番最初のエピソードで分かってしまうのも仕方ないのであろう。是非とも「街の灯」、「玻璃の天」とあわせて読んでいただくことをお勧めする。
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.5
(4pt)

時代の雰囲気

昭和7〜10年の時代を、私のようなものには想像もできない、今の日本と全く異なった時代を、タイムマシンで遡って経験してきた思いがする。作者はベッキーさんに、「善く敗るる者は亡びず」と復活の予言を語らせている。「人形流し」もまた「善く敗るる者」の物語であった。作者は現在の時代の雰囲気からなにかを感じとって、野に叫んでいるのでは?
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.4
(3pt)

やっぱり難しいジャンル

北村薫の作品はいつも楽しい。今回は昭和初期の設定なのに、登場人物には隣人のような親しみを感じる。また、元ネタとなっている事件の選択もいい。大事件ではないが、非常に趣のある事件で、それを見つめていた人や時代がやさしく書いてある。
それでもなお、素直に溜飲が下げられないのは、北村薫が書くミステリーの独自性にある。『日常の謎』を対象としたミステリーという新分野を切り開いた功績は大きいものの、時折、『これってミステリーなの』と思ってしまうことがあるのだ。
本書でも、『上野』と『ライオン』というヒントで『三越』を思い浮かべる読者は少なくないと思うが、それより先の動機は『三越入口の説明板』を読んだことがないとわからないだろうし、逆に『三越入口の説明板』を読んだことがあれば、答えそのものを知っていることになり、ちっともミステリーでない。
『日常の謎』には殺人事件のような強烈な動機がないだけに、つい、ミステリーとしての完成度を求めてしまう。完成度の高さに思わず唸ってしまう作品が多いだけに、『鷺と雪』にミステリーを求めすぎると期待がはずれてしまうかもしれない。
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.3
(2pt)

少しずつ息が詰まるような

北村さんの作品はとても好きですが、最近の物語はどうしてでしょうか。すっきりと楽しむことができません。
ヒロインはほのかに生身でありながら、少女趣味にもぎりぎり陥ることはない。些細な日常に潜む謎解きが世界の見え方をわずかに変えてみせる。喜劇も悲劇もヒロインの目の前を通り過ぎ、事件は結末を迎えても、読後感として物語は終わらない。
なぜなら、ヒロインは真にそのあり様を変えて主人公として物語に結末をつけることはなく、(成長期の)曖昧さにとどまり続けているからです。それが北村作品の魅力の背景にあると感じます。ああ、でもこれこそ「少女趣味」の王道なのかもしれません。
とはいえ、終わることのない物語は書き手にとっては辛いものでしょう。最近の作品は登場人物たちが生命感を失っていくようで、少しずつ息が詰まるような印象を受けていました。
ですからこのシリーズの1作目を読んだ時は、おお、これは浪漫な時代に背景をかりた「活劇」だ、物語性の復活だ、いっそ外連味を突き詰めてほしいと、手前勝手に嬉しくなったのですが・・・。時代背景への緻密さが物語の広がりをむしろ奪っていった面が残念でした。
とくに1作目に登場した青年将校の表現は、すでにその時点で2.26事件に連座する悲劇が、容易に想像できるものでした。3作目の「騒擾ゆき」も冒頭にしては、あまりに自明なキーワードであったと思います。
いずれ滅ぶだろう個性を意図的に置いたこと、それを読者に感じさせた点は、ミステリ作家の作為としては素直に過ぎたのではないでしょうか。私には物語を背景に重ね合わせる時に、大きな史実に引きずられたように感じられます。
しばし時を忘れて楽しめる北村作品に再び出会えたことを喜びつつ、傍観者たるを脱しえなかったヒロインを憂いつつ、また安心しつつ感想とします。
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.2
(5pt)

物語の弧が行く末を案じる

 『街の灯 (本格ミステリ・マスターズ)』『玻璃の天』に続く、花村英子とそのおかかえ運転手・ベッキーさんが主人公のミステリー・シリーズ第三弾。本書所収の3短編は、それぞれ昭和9年から11年にわたる3年の物語です。
 最初の「不在の父」はある華族の男が失踪し、今はルンペンとして暮らしているらしいという不思議な物語です。それは事実なのか、そしてそれはなぜなのか…。
 「獅子と地下鉄」が描くのは東京三越本店近くの和菓子店の少年が夜中に上野で補導されるという事件。少年はなぜひとりそんな行動をとったのか…。
 「鷺と雪」は英子の学友が銀座で撮った写真に、台湾にいるはずの許嫁(いいなずけ)が写っていたという怪異談。ドッペルゲンガーは果たしているのか…。
 こうした個々の短編は、日常に潜むささやかな、そして罪のない謎を扱った一話完結の物語です。しかし、北村薫がこのシリーズで真に描こうとするのは複数の短編を貫く、堅固で大きなストーリー・アーク(物語の弧)です。
 昭和の初期、巨大な時代の力がうねり、人々を飲み込もうとしています。押しとどめようもない波濤(はとう)を前に、市井の人々は無力であるか、もしくは気がつかない。しかし一方で、この「鷺と雪」の登場人物である軍人たちのようにわずかですが、なんらかの挙に出ようと決意する者たちがいます。
 「真実とされていることも、時には簡単に覆る」(96頁)その時代にあって、それでもベッキーさんは「わたくしは、人間の善き知恵を信じます」(242頁)と語ります。彼女の孤高ともいえる姿勢に、心洗われる思いがします。
 北村薫はこのミステリー・シリーズで果たして昭和のどこまでを描くのか、そして物語の弧はどこまでつながるのか。楽しみであると同時に、昭和のたどった道を知る身にはつらく痛ましい物語が立ち現れてくるであろうことを感じて、心さびしい思いがするのもまた事実です。
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804
No.1
(5pt)

ほのかな恋心と時代の足音

現代ではありえない浮世離れした、とよく評される北村薫さんの描く女性達。
芯が強くて、やや引っ込み思案で、「自尊心」があって、・・・とこれは私の感想。
英子嬢は、昭和初期の背景にはしっくりとくる。
学習院に通うお嬢様なのだから、やや浮世離れしているのが似つかわしい。
「鷺と雪」は、英子嬢とベッキーさんシリーズの三作目。
ほのかな恋心を頂いていた青年将校と、思わぬ遭遇。
時代という竜巻の気配。漠とした不安。
久々に、読書を堪能いたしました。
鷺と雪 Amazon書評・レビュー: 鷺と雪より
4163280804