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風の歌を聴け



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風の歌を聴けの評価: 4.06/5点 レビュー 370件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.06pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全370件 281~300 15/19ページ
No.90:
(3pt)

読んでしまった時期

恐らく今、この小説の持つ独特の感触は薄れてしまっていると思う。
小説の賞味期限としてはもちろん長いモノであると思うし、村上春樹さんのデビュー作であるから、今後も読まれていくと思う。
しかし、出版された当時のショックは大きかった。これを私は高校生時に読んでしまって、その後「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読んでしまったが為に、新作が出るたびに買わずにはいられない作家になってしまった。
この作品はいろいろしかけは多いのだが、その仕掛けをいちいち解きたくなり、また自分の説を説明したくなるという作用を持つ。しかし、私の感じた1番大きなことはまるで消毒された様な文体だった、という事です。
今では当たり前のこの文体ですが、その当時は本当にショックだった。有名な1度英語で書いて翻訳した、という事実も良く分かりますが、それだけでない突き放した、自分の影を出来るだけ排除し、消した文章が、とても印象的でした。
今はやりの文体の恐らく原点、それを確認してみたい方にオススメいたします。
風の歌を聴け (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:風の歌を聴け (講談社文庫)より
4062748703
No.89:
(5pt)

思索の楽しみが詰まった一冊

簡単に要約すると、鼠と小指のない女の子の関係が壊れそうになるのを、主人公<僕>がとりもとうとする話です。主人公がなぜそのようなことをするかというと、一年前の4月4日に三人目の彼女(身ごもっていたと思われます)に自殺されているからです。そのときに味わった絶望を引きずっていた主人公は、同じ過ちを繰り返さないために、鼠とその彼女に接触します。結果として小指のない女の子は自殺せず、主人公の心も救済されます。
この話を小説の構造を利用して分かりにくく書いたのが『風の歌を聴け』と言えます。また冒頭一行目の「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」という言葉が本作の隠されたテーマを表しています。
この物語には様々なヒントが散りばめられています。その一例を挙げると。
 作中で、この物語は1970年8月8日に始まると書かれており、これは3人目の彼女が自殺した4月4日の倍であること。つまり主人公にとって2回目の経験であることの暗示。
 4月3日から彼女の自殺が発覚した日まで、主人公がタバコを吸っていないことの意味。
 鼠にわざわざレコードをプレゼントした訳。
 意味深なことばかりを言う主人公。P36などが顕著。
などなどです。私がここに書いたのは、人からの受け売りがほとんどです。他にも沢山のヒントが隠されているので、それを意識しながら読むと、また別の楽しみ方ができるかもしれません。
風の歌を聴け (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:風の歌を聴け (講談社文庫)より
4062748703
No.88:
(5pt)

時代を思う

言わずとしれた村上春樹のデビュー作。群像新人賞を受賞している。舞台は1970年代初頭の芦屋・神戸である。主人公の僕は東京の大学から夏休みで帰郷している。鼠、ジェイズバーのオーナー、小指のない女の子、少ない登場人物が織り成す一夏。政治の時代を終えた大学生の生活と心。それを村上春樹の淡々とした文章が追う。英語で書いたものを自ら翻訳したと村上氏自身が語るように、感情を移入しない距離感が独特の世界を織り成す。たとえば鼠が「大学の芝生が嫌で中退した」というように、ところどころにちりばめられた地元の人間にはわかるキーワード(関西学院大学の中央芝生のことであろうと考えれる)を深読みすることもまたおもしろい。
風の歌を聴け (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:風の歌を聴け (講談社文庫)より
4062748703
No.87:
(5pt)

書かれていないことがより多くを語る

故郷の街に帰ってきた大学生が、バーでビールを飲み、友達としゃべり、女性と寝る話。ただそれだけの話しだし、実際、短い小説だ。なのに、読み終えた後で、長大な物語を読んだような気分にさせられ、多くのことを考えさせらてしまうのはなぜだろう? 
著者は様々な挿話をパッチワークのように張り合わせることで、一つの作品を作り上げている。そのスタイルが読み手に、話と話の間にある話を読むことを可能にしている。この作品においては、書かれていないことのほうが、書かれてることよりもより多くのことを物語っている。
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4062748703
No.86:
(5pt)

繊細な空気感

軽快なタッチで描かれています。すぐに物語に引き込まれ、短時間で読むことのできる小説です。
とはいえ、内容が希薄というわけではなく、豊かな感性に満ち溢れていて、言葉の一つ一つに無駄がなく、全ての文章が活き活きとしていて、繊細な感情に満ち溢れています。
この小説は主人公の大学生時代の夏休みの出来事を綴った小説ですが、主人公が、現在、過去において様々な人々に出会い、様々な境遇に遭遇し、その度に心を動かさせれている若者の感性を、静かで、穏やかな表現で描写しています。もしかしたら、形は違えど誰もが経験している感情なので、共感を生むのかもしれません。
何気ない日常を描いているのだけれど、それこそがリアルで、その中で感じている微細な感情こそが私たちにとって大切であり、読んでいるうちに自分の中にある感受性を再発見できるかもしれません。読み終えた後には自分の中に何かが残ると思います。
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No.85:
(5pt)

ビールが飲みたい

 村上春樹の小説を始めて読んだのは、もう10年以上前のことになるけれど、その時は衝撃的だった。なにげなく買った、「風の歌を聴け」を読んだが最後、もうぞっこんだった。村上春樹をして、70年代後半のアメリカ文学主流であったヴォネガットやブローディガンの文体、散文調のアフォリズムから発しているにもかかわらず、そこには新しい時代の感性があったといったのは、加藤典洋氏で、大学在学中に読んで、虚無の学生時代が後の翻訳家としての道のりに変化していったと言ったのは柴田元幸氏で、都市を生きる瑞々しい感性、様々な商品のラベルに代表される消費文化の空虚に魅せられたというのは川本三郎氏で、現存作家の中で最高の実力と資質をもつだけではなく、近代日本文学のあり方そのものを変えた大きな存在であるといったのは福田和也氏で、素直になんだか1人で飲むビールもいいなと思ったのが多くの読者のワンオブゼムである私である。ビールが飲みたい。
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4062748703
No.84:
(4pt)

なんども読める。

あっさりとした、それでいて味わい深いお話。
短めの内容なので、著者独特の文章スタイルに触れるきっかけとしておすすめ。
1973年のピンボール
羊をめぐる冒険
ダンス・ダンス・ダンス
へと続くシリーズ第一作。
*作品紹介では三部作とあるが2007年現在では四部作。
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4062748703
No.83:
(4pt)

読み易いです。

私は始めて村上春樹の本を読んだのですが、やはり評判どおりいいですね。
「風の歌を聴け」のタイトルの通り、全編を通して長い詩のような軽快で読み易い文章で、最後まで飽きずに読めます。キザっぽい台詞まわしもどこかアメリカ映画を見てるようで、わりと好意的に受け取れると思います。
風の歌を聴け (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:風の歌を聴け (講談社文庫)より
4062748703
No.82:
(5pt)

村上春樹はやっぱりすごい

一気に読みました。
やはり村上春樹と言う作家はただ者ではないと思わされる作品であった。
1979年に書かれた小説とは思えないほど、新しく、革命的な文章だ。
相変わらずストーリーは明確ではなく、つかみどころのない小説であるが、なぜか不思議と総会で心地よい気持ちになれる。
そして一番感じたことが、現在日本の小説界を代表する作家である伊坂幸太郎が彼の影響を多大に受けているであろうと言うこと。
登場人物の機知に飛んだ一言一言がそれを感じさせる。
高校生の頃まで毛嫌いしていた村上春樹への評価が180度変わった作品。
現代日本文学の金字塔と言っても過言ではない作品だと思う。
風の歌を聴け (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:風の歌を聴け (講談社文庫)より
4062748703
No.81:
(5pt)

ただの青春小説じゃなくて

わざわざ僕が言うまでもなくこの小説が「ただの青春小説」
じゃないことくらい分かりきったことですが、あえて言います。
この村上春樹さんの群像新人文学賞を受賞したデビュー作『風
の歌を聴け』は、ただの青春小説じゃないんです。
メタフィクショナルな構造で書かれたこの小説に登場する作家
デレク・ハートフィールドは架空の作家ですが、復刊ドットコム
にリクエストを出してしまうほどリアルに描かれています。僕も
初めて読んだときはそう思いましたが、少しして、「村上さんの
創作なんだろうな」と理解しました。
この、デレク・ハートフィールドが素晴らしい。
僕の村上春樹のベストは後にも先にもこれです。この作品を一生
読んでいくと思います。ふとした一瞬に「あ、読みたい」と思わせる
力がこの本にはあるから。
風の歌を聴けAmazon書評・レビュー:風の歌を聴けより
4061163671
No.80:
(5pt)

すばらしい!!

村上春樹=「ノルウェーの森」=退屈&暗いと思っていたので、この作品を読んだとき、
村上春樹の感性はすごいと思った!
とくに、バーでの鼠とジェイとのやりとりは、たまらなく、暖かくそれでいて乾いた感じが
楽しい。
3部作「風の歌を聴け、1973年のピンボール、羊をめぐる冒険」と
ダンスダンスダンスまで一気に読んでしまうとなぜか、せつなくなりました。
村上春樹の文章の巧さ、天才ぶりがわかる本。ぜひ、読んで見てください。
風の歌を聴け (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:風の歌を聴け (講談社文庫)より
4062748703
No.79:
(5pt)

春樹は嫌いだけど、この作品は本当に素晴らしい!

大嫌いな村上春樹の処女作というので、本屋でひやかし半分に立読みをしたら、1行目でやられてしまった。不覚。
「完璧な文章などといったものは存在しない」
正直なところ、この本で重要なのは最初の数ページ、21歳の僕の回想が始まる前までだと思う。
その数ページに春樹の文についてのスタンスが全て詰まっているように感じる。
「正直に語ることはひどくむずかしい。僕が正直になろうとすればするほど、正確な言葉は闇の奥深くへ沈みこんでいく。〜それでも僕はこんな風にも考えている。うまくいけばずっと先に、何年か何十年か先に、救済された自分を発見することができるかもしれない、と。」
「僕にとって文章を書くのはひどく苦痛な作業である。一ヶ月かけて一行もかけないこともあれば、三日三晩書き続けた挙句それがみんな見当違いといったこともある」
余談だけど、デレク・ハートフィールドは実在しないらしい。春樹の創作のようです。
風の歌を聴け (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:風の歌を聴け (講談社文庫)より
4062748703
No.78:
(3pt)

村上ワールドに初挑戦するならコレ!

村上春樹・著
群像新人賞受賞作であり、村上春樹のデビュー作でもある。
私は、村上春樹はそれほど好きではないのだが(「た」「た」と過去形が続くのがどうにも気になって思い切って世界にのめり込めない)、この作品は比較的好きである。
高校時代に昼休みに図書館で借りたこの本を、
次の授業であった世界史の一時間に私は一冊読み終えてしまったほど、
テンポがよく、あくがなく、読みやすい。
村上春樹を初めて読んでみたい、という人にはオススメできる作品。
風の歌を聴け (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:風の歌を聴け (講談社文庫)より
4062748703
No.77:
(4pt)

完璧な文章などといったものは存在しない・・・

はじめて読んだ時は、読み易くユーモアのある青春小説という印象を受けたが、特別何も心に残らなかった。とにかく不可解で、何度読み返しても意味のわからない箇所が何カ所もあった。この本が私にとって大きな意味を持ったのはそれから何年も経ってから。「完璧な文章などといったものは存在しない・・・」後に輝かしいキャリアを築くこの作家が、何故この一文から始まらなければならなかったのか。勝手な解釈かもしれないが、それが突然分かった気がしたのだ。作者も書いている「僕がその本当の意味を理解できたのはずっと後のことだった・・・」と。
幻の小説家ディレク=ハートフィールドの生涯を通して作者が伝えたかった事とは何か。繰り返される脈絡の不明確なエピソードの数々。数年後に再びこの本を開いた時、それは確かにある実感に基づいて書かれたものだと感じることが出来た。文章を書くということ、生きるということ、夢や幻、それから死。我々にとって意味があるものとは何か・・・。一人の人間が夜のキッチンでこれを書かねばならなかった理由がはっきりと感じられ、強く胸を打った。ある日のデイゲームで空を飛ぶ打球を見ながら「そうだ小説家になろう」と決意した一人の人間の想いと一緒にいる気がした。たとえそれが錯覚だったとしても。生涯忘れられない一冊だ。
村上春樹氏の小説はだいたいどれも好きだが、これが始まりだったというのは大切なことのような気がする。ちなみに英国でも人気作家だが、どういうわけか本作と二作目の「1973年のピンボール」のみ英訳版が出ていない。
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4062748703
No.76:
(5pt)

乾いた文章

この小説を読んだのは高校一年のころ。ブックオフの片隅にある百円の文庫本コーナーだった。正直言って、全く期待していなかった。というか村上春樹の名前すら知らなかった。だけど、この本は僕の中に革命をもたらした。まるで軽いステップを踏みながら踊っているような文章。当時の僕はすっかりこの小説に酔わされた。もし作者がジャス喫茶の経営者のままであったなら、僕は月並みにしか本と触れ合うことはなかっただろう。"僕"と"鼠"の二人が織りなす物語。乾いたタッチで描いた村上春樹のデビュー作。今の時代では感じ得ない空気を、この小説を通して感じてもらいたい。
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4062748703
No.75:
(2pt)

不毛

・文中で筆者自身も不毛だと書いているとおり、
 自己分析的というよりも、吐き出し的という程度の不毛な作品です。
・単なる不毛な学問書のようで、読むことに我慢が必要です。
 抑揚のないクラシック音楽を分かろうとして聴いているに等しい徒労感を感じます。
・彷徨する思索の文章は、無駄が多くて、切れ味も、ぬくもりもないように思います。
風の歌を聴け (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:風の歌を聴け (講談社文庫)より
4062748703
No.74:
(4pt)

それは神宮球場から始まった。

村上春樹は80年代の代表的な日本人そして作家です。この作家のデビュー作である「風の歌を聴け」を読むと、そこにはまだまだ戦後の色濃い70年代を彷彿とするアメリカ軍占領時代の文化が息づいています。FENのデイスク・ジョッキーだの、ビールとフレンチフライだの、靴を磨くのがオヤジの家訓だの、このバタ臭さ?が何とも言えません。でも、この時代の若者はこうしたアメリカが唯一のアメリカだった。映画やテレビやレコード(CDもなかった時代です。)で、夢のように想像していたアメリカ。プレップスクールの高校生のように生きてみたい極東日本の男の子。しかし、それは村上春樹だけではなく、大方の日本人の若者は多かれ少なかれ同じ気持ちだったと思います。
ガイジンになりたい日本人。アメリカ人みたいな日本人が日本語で書いた小説が、ある日神宮球場でヤクルト・スワローズの試合を外野席で見たその瞬間に始まった。それは事件でした。もし、作家があの試合を見ていなかったら彼はまだ奥さんと小さい飲食店を経営している粋なオジサンだったかもしれないわけですから。今や日本文学を世界に向かって背負って立つ大作家村上春樹の本当に初々しい爽やかな青春の物語がここにあります。是非ご堪能ください。
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4062748703
No.73:
(3pt)

デビュー作

村上春樹のデビュー作。氏の作品には前期と後期に分別されていて、それは『ねじまき鳥クロニクル』以前以後である。前期の作品の特徴は、ノスタルジー、デタッチメント(無関心)、諦念、といったところで、後期の作品の特徴は、現実の諸問題とのコミットメント(関わり)、である。この作品は、まさにその前期作品の特徴の、ど真ん中を射ている。前期作品と後期作品の世界観、どちらが好きかと言うのは人それぞれだと思うが、僕はメタフィクション化が促進された後期の世界観の方が断然好きだ。しかしながら友人は、この前期のあっさりしているようで陰影を含まれた感じの方が好きだと言っていたので、まさに人それぞれ。
時代の虚無を、必要最低限の言葉数で、物語として感じられる作品だ。氏の作品は、氏の文学史全体を把握していくことによって、見方が変わってくると思う。何はともあれ、今や「世界のMurakami」となった彼の、記念すべき出発点だ。
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4062748703
No.72:
(4pt)

灰色じみた蒼

この作品を色で表すとしたら、灰色じみた蒼か、灰色じみた緑だと思う。とにかく灰色が入っているイメージだ。それは、「鼠」というへんてこな人物が登場するからかもしれないし、文章の静謐さ、簡潔さ、つめたさからきているのかもしれない。
作品世界は、どこまでも性的な世界だな、と思う。
村上作品に出てくる主人公の「僕」は、女性の読者からしたらどれも非常に中性的で、男性性が押さえ込まれている。彼のしたセックスだって、なんだか即物的で簡潔で、いやらしさがない。
でも、その抑圧された男性性が、女性の読者にとっては、なぜか余計に性的に感じられる。主人公が、自己主張のあまり無い、わけのわからない青年であるにも関わらずとても魅力的に思えるのは、そのためだろうと思う。この「僕」は、すごくセクシーだ。分かりやすいセクシーさじゃなくて、なんだか、心の底からくすぐられるセクシーさなのだ。女性読者はそれをかぎつけて心酔するし、男性読者はそれに共感する(のではないかと思う)。
この感想は、村上の他の作品『ノルウェイの森』の主人公に対しても抱いた。村上の描く「僕」には、そういう共通点がある。とても魅力的だ。
わけもわからず、さらっと読めてしまう短編。わけもわからないだけに、何回読んでも飽きたりしないし、何回でも求めてしまう作品。
風の歌を聴けAmazon書評・レビュー:風の歌を聴けより
4061163671
No.71:
(5pt)

36人目のレビュー

頭で考える事と心で感じる事、その境界線を破壊してくれるような物語はそう多くはありません。然しながら、この物語は自分の無意識君の所まで壁抜けして入って来た困り者の一人でした。今更ここのレビュー見て新たにこの作品を読む人も少ないとは思いますが、今までにこの物語を読んだ事のある方、是非極力頭を使わずにボケラーと字面を眺めてみて下さい。ココはコウイウ意味なんじゃナイノ?とか。鼠って何のメタファーだよね?とか。そういうの抜きも、たまにはいいじゃないですか?ビール飲むときは、ビール飲みたいから。ビール飲んで美味しいのは、ビールが旨いから。そういうのもアリにしませんか?『風の歌を聴け』と命令されてるんだから、自分の五感で風の声を聞いてみようかなと、自分的にはそれで全然オーケーでした。その無意識君からのフィードバックを、しばらくしてから自我意識君がモグモグやる訳です。それに耐えうる作品を書いておられる村上春樹さんマンセーです。結局の所、物語とは書き手と読み手のお互いの影が交わるところなのでしょうから。どうぞ言の葉をモグモグ反芻して下さいませ。自我意識君が思いもかけない事を発見出来るかもしれませんよ。
風の歌を聴け (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:風の歌を聴け (講談社文庫)より
4062748703

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