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グロテスク



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グロテスクの評価: 3.94/5点 レビュー 288件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.94pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全210件 161~180 9/11ページ
No.50:
(5pt)

姉妹の物語。

本屋で買って読みました。わたしは姉妹なのでよく理解できました!同姓の兄弟とか姉妹ってたいてい、似てないんですよね。どっちが美人か。どっちの方が親にかわいがられているか。小さい頃からくらべられます。勝負は決まっているんですがね。この作品についておもったのは「体にとってなにが良いのか」は、当人にとってはわからないことであること。もし食欲が旺盛で心は満足していたとしても、あまりに食べたいだけ食べてしまったら病気になるように。結局欲望に生きてしまった二人の女たちは自分の身を滅ぼしてしまいました。なにを食べたら体にいいのか、いい状態が保てるのか。教えられないとわからないですし。幸せになる方法は自分なりに掴まなきゃいけない。欲望に忠実なだけでは生きていけない。登場人物はみなタフで好きです。文章も巧いよっ。オススメです。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.49:
(4pt)

「女」であることのグロテスク

佐野氏の「東電OL殺人事件」を読んだ時に妙に引っ掛かったのは、筆者の使う「堕落」という言葉だった。この本の底流には「娼婦になること」=「堕落」という社会的な決め付けのようなものが先にあって、それから高学歴を持った女性が娼婦になった「堕落」はどうして起こったのかが書かれているように感じたのだ。娼婦になることが堕落でない、と言いたいのではない。ただ、そうした決め付けが、事件を外側から捉えただけで、被害者の内面にたどり着いていないもどかしさのようなものに結びついていると感じたのだ。被害者の内面を描くことは、むしろフィクションでなければ不可能なのかもしれない。しかし、だからと言って本作品が被害者の内面を完璧に暴いたものだと考えている訳ではない。小説である以上、それはあくまで作者の想像・創造の中のものでしかないからだ。ただ、この作品の中で「娼婦になること」=「堕落」という単純な図式で割り切れないものが描かれたように思うのである。作品は4人の女性の独白の形で進んで行く。違う人物のはずなのに、どこか区別が曖昧なのは、この4人が別の人間でありながら、実は「女であること」に縛られた、同じ人間の別の相であるからではないのか。特にユリコの姉は、ユリコ自身ではないのかとすら思ってしまう。ユリコの美貌を厭い、憎んでいたのは、ユリコ自身も同じだったのではないか。彼女の名前が最後まで語られなかったのは、そこに理由があるように思えてしまう。4人が見ている周り人々の姿は、どこまでが真実のものであるのか。誰かの目を通して見えてくる誰かは、その見つめている人の目からは逃れることができない。そこに見える歪みは、見つめている本人自身の歪みなのだ。結局、娼婦になった彼女たちは、娼婦になることでしか自身を救えなかったのだ。どんな自分であれ、醜かろうと、仕事ができなかろうと、他から「女」であること認められ、自分自身に「女」であることを実感させてくれたものが、娼婦であったのだから。それを「堕落」と言うならば、その通りであろうが、少なくとも、この作品の中で彼女たちは、娼婦になることで、さまざまな差別からの自由を得たのであると思う。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.48:
(4pt)

1年前に読みましたが何回か読み返してしまいます

既に多くのレビューがされていますので、内容についての論評を書くつもりはあまりありません。ただ、私はこの本を5回読み返しました。人間の深層心理、心の闇の部分、例えば、嫉妬心、競争心、虚栄心、堕落へのほのかな憧れ、等々が、微に入り、細に入り、これでもかとばかりに描写されています。怖いものと見たさで、つい読み返してしまうのです。そして、心に残るのは心理描写による「グロテスク」以外にも、登場人物の風体、仕草、持ち物等についても、「グロテスク」さが十分に表現されている点です。グロテスクを通り越して、滑稽なものもあり、思い出しては、つい笑ってしまう描写もあります。読み返しても十分に楽しめます。最後に、できれば、夜暗いベッドで読むと小説の世界にシンクロするようで楽しめます。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.47:
(5pt)

特に女性、読む価値ありです。

この作品を読むと、人間のおそろしく汚い部分を見せつけられているようで、胸が苦しくなりました。けれど読んでいるうちに、登場人物たちと自分との差はさしてないのではないか、と思えて来ました。誰の心の中にも、人を憎んだり、うらやんだり、嘘をついたりするみにくいものが、住み着いている、と感じました。そのみにくいものを、見て見ぬ振りをするのか、堂々と、向き合うのか。桐野さんの人間に対しての観察眼にはまったく恐れ入ります。人間のこんなにみにくい部分をありのままに書くのは、きっと桐野さんにとっても苦しかったのではないか、と思います。読んだ後、どっと暗い、どうしようもない気持ちになりますが、私たち(特に女性)のなかに巣食うみにくい固まりと向かい合うため、読む価値はあると、思います。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.46:
(4pt)

興味深い事件

東電OL殺人事件を根本にかかれた本。桐野さんの本は、初めて読みました。とても興味深いものでしたが、チャンの手記がちょっと、長すぎないかと。「東電OL殺人事件」の方も読んでみたくなりました。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
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No.45:
(5pt)

小説は事実より奇なり

実際の事件を参考にして書き上げられているこの作品、出来事自体の羅列は殆ど事件と同じと言う、身もふたも無い作りだが、実はこの小説そんなことなどどうでもよい、事件はただのきっかけではないかと思いました。この小説は何人かの登場人物の語り部、手記という形をとって流れていき、そこから出てくる話は微妙なずれを見せてきます(そう羅生門タイプです)。そこから醸し出される世界はまさに「グロテスク」。これでもかと言うぐらいに人間の闇の部分にだけとことん焦点をあて、自分自信の意識がすべてと言う恐ろしいくらいにリアリティある人たちを書き上げています。語り部によっては全然違うことを主張し、誰の言っている事が真実、事実なのか深い謎になり、手記の形を取っている章は、書き出されたものと言うことで、リアルさはあるが真実性が乏しく、物語をますますの迷宮えと落としていきます。まさに人間のエゴ。誰も彼もが本当の事を言っていて、また平気で嘘も吐いている。視点によって世界が違う、まさに醜悪な人間を映し出しています。これをグロテスクと言わずして何と言いましょう。実際の事件はバッググランドもあり、それなりの物語を持っていると思いますか、この事件においては小説のグロさが勝ったと感じます。「OUT」のある種ストレートな内容に比べて、少し難解なストーリーに見えますが、良く読めばそれほど難しい話でもありません。ただ恐ろしく気の滅入る話が続きます。読む人によってまったく違う世界が広がるとおもいます。これは一読する価値のある一冊です。自分自信と向き合うためにもぜひ読んでみてください。 あなただけが感じる真実が見えてきます。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.44:
(5pt)

”何か”

普通の人が普通に見過ごすある特定の本音。誰が主人公というわけでもない。女の、日頃気づかない細部に渡る差別意識、偽善という言葉を微塵も寄せ付けない厳しい世界観を、これでもか、と読者に叩きつける、文字通りグロテスクな小説である。「女に産まれたら、オシャレして綺麗な服着て、彼とデートするんだー。」こんな幸せ漂う文章などはこの本の中には存在しない。ひたすら妬み・差別・階級・比較・軽蔑を繰り返す。繰り返す日々の中で、女達の人間関係も少しずつある方向へと変化していく。和恵は何を思っただろうか。世の中に対する差別への怒りを”そういう形”でしか表現できなかったんだろうか。自分にもまた差別化を課すことで、自分に対しても怒りをぶつけたのだろうか。被害者気取りになりながらも、無意識に見下す容赦ないどす黒い本音と、極端に痩せたりする徹底的な行動は、”何か”に対して言葉では表現できないほどの憎悪をつのらせた結果なのかと、今でもふと考える時がある。「綺麗でしょ?私綺麗でしょ?」彼女の悲壮なまでの声が聞こえてくるような気がする。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.43:
(4pt)

リアル

読み終えた後、なんとも言えない嫌な気持ちが残った。精神が弱っているときはあまりおすすめしない。女は所詮美しくなければならないのだといったあまりにも当然のことへの焦燥感?差別に対するあきらめ?いや、それだけではない。周囲の言うことにまるで耳を傾けることができず、壊れていく和恵。彼女が怖かった。和恵が病気だと言ってしまえばそれまでだ。しかし、人間は誰しもまわりが見えなくなりがちである。そして一歩間違えば彼女のようになってしまうのかもしれない。さらに、今自分がそうであるが気付いていないだけかもしれない。和恵は、会議室の机で寝たり、極端にやせたり、トイレで昼食をとったりして、自分が気味悪がられていることくらいはわかっていた。だが、根本的なところが見えていなかった。そこがまた奇妙にリアルであった。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.42:
(5pt)

心して読め。

よくぞここまで、努力馬鹿と引きこもり系独善者を描写してくれました。決して、いい気分になれる本ではありません。彼女達の言動に、思い当たる節のある方は、へこむこと必至です。この本を読んで、自らの偏り具合を省みるのが、最適かと思われます。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
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No.41:
(4pt)

「女」

正直言って、読んで気分が良くなる本ではないことは確かです。でも、「女」ってそうだよなーって読んでて、そうそうって頷く箇所が多かった。作者の「女」に対する洞察力に脱帽です!「美人は得」は世の常ですが、学校でも会社でも、それは、痛いぐらいに分かってしまうから、綺麗な女の子に対して、嫉妬して、憧れずにはいられない。最初から、「美人」ではない子は、それ以外で努力して、認めてもらおうとする。でも、「女」に生まれたからには、ちやほやされたいし愛されたい。本の中で、絶叫までにも似た「愛されたい」という気持ちは、共感できました。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.40:
(5pt)

おもしろいが、読後感は悪い

この著者の作品は好んで繰り返し読むのだが、「グロテスク」はそのタイトル通りグロテスクであり、一気に読んでしまうほど引き込まれたが、読み終えた後は、どろどろとした暗い読後感で憂鬱になってしまうほどであった。つまり、それほどおもしろく、エネルギーに溢れた作品なのだ。ただ、気軽に読むことは、もう、私はできない。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
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No.39:
(4pt)

グロテスクなグロテスク

 この事件については「東電OL殺人事件」というタイトルで既に佐野眞一氏がルポとしてぶあつーい1冊にまとめてられている。ぶあつーいけど、あっと言う間。昼間は東電の総合職エリートとして働くOLが、夜な夜な渋谷で雨の日も風の日もフッカーとして立ち続け、殺された。捕まったネパール人男性は無実を訴え続けているにも関わらず、最高裁で有罪が確定している。 全ては闇の中であるこの事件。それ故に、今回は小説として死人を蘇らせ、殺された2人のフッカーを取り巻く人間達の告白という形で話は進む。 が、内容はイマイチ。佐野氏の「東電OL殺人事件」とは比較にならない。佐野氏は全裁判を傍聴し、警察の矛盾を暴き、ネパールまで行っていた。緻密に足でリサーチし、圧倒的な迫力があった。 作り物はやはり事実を超えられないのか。その他、小説に散りばめられたエピソードはどこかで聞いたような話。有吉佐和子の小説「非色」に描かれていたような出来がフツーな姉の美貌の妹に対する激しい嫉妬心。田口ランディの小説「コンセント」に描かれていたセックス神話、依存。(この小説もこの事件をコンセプトに書かれたのでしょう)それから、地下鉄サリン事件。  ↑という感想を持った自分に愕然とした。事実は小説より奇なりとはこのことで、毎日のニュースで流される事件に目新しさはUPDATEされ、数年前に度肝を抜かされたこの事件ぐらいではもはや驚かなくなっていた自分に。 それでも最後まで一気に読んだ理由は、登場人物達の病んだココロの闇っぷり。佐野氏がこの事件を外側から描いているとしたら、ここでは内側から描かれている。タイトルがグロテスクなのは、この事件が持っていた奇抜さではなく、心の中のグロテスクさ。それは誰もが持っているものなのだろう。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
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No.38:
(4pt)

他人事ではないストーリー

普通だった人間が常軌を逸した行動を取るようになるのは何故なのか。己の価値観と社会の不条理とのギャップ。友達。教師。悪意。嫉妬。時代。世間の価値観。孤独。自己を取り巻く様様な要因が絡み合い、最悪の場合には人を破滅に追いやる。誰の周りにもある要因を描くからこそ、この小説は読む者を虜にする。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.37:
(5pt)

面白かった

女の階級社会をこれほどまでに露わにしてくれた作品は初めてであった。どんなに頭が良くても、運動ができても、高学歴で一流会社に勤めても、結局「美人」でなければ女としての価値はないのだという歪んだ社会を表している。そしてその「美人」を求めるのは男であり、つまり男の欲望のために女は美を追求しているのである。そんな空虚な現実をみごとに表現し、そんな社会をあざ笑うかのような作品だった。和恵がもはや自明の理が崩壊し、変貌していくぶりは本当に痛ましかった。そして相談しあえる友人が一人も存在しなかったという孤独感。それは和恵のみならず、「私」もユリコも同じであったと思う。正直、和恵とユリコが殺されて、安堵した。老いながらも娼婦を続けるしかない二人の姿はあまりにも痛々しく、弱かった。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
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No.36:
(5pt)

連帯感

彼女の小説には読み切らないと見えてこないものがある。よくぞ最後まで読んでくれましたとばかりに絶望の果てが希望だったり、再生だったりで、最後は読者は救われ、書き手と読み手が握手をしたくなるような連帯感が醍醐味。そこを求めて、苦しい現実を見定め、暗い淵を一緒に覗く思いなのだが、この「グロテスク」の、最後にきてのグロテスクの極致。「OUT」よりも凄惨な、これも人間の生きていく一つの姿をそこに見ることになる。ここでの救いは何かと問われれば、和恵は、確かに、殺されたのではなく、幸福感を抱えて死なせてもらったのではないかと思うのは、間違いであろうか
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.35:
(5pt)

一度読むことお薦めします

登場人物達とは生まれも境遇も違うが、なぜか感情移入出来る場面が多く、普段は無意識に見過ごしてきたこと等、この本によってあぶりだされる様な感じがして心苦しくなった。この本の中に描かれている差別は日常茶飯事のことなので普段はあまり気にはしていないが、こうして改めて読んでみると無意識の差別がどれだけ世の中あるのかと改めて考えさせられた。自分もまたされる方、する側の気持ちに共感でき人間の嫌らしさ、哀しさ、醜さなどを見せつけられた。みんな普段はこういったものを心の奥に隠して生活しているだけで、ここに描かれていることは他人のことではない。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.34:
(5pt)

お薦めです

ここに描いていることは決して他人事ではない、自分の無意識の領域を覗かれたような後味の悪い作品です。誰もが感じてる日常に潜む差別、内容こそ物語ですがテーマは誰もが身に覚えのあることを描いてます。差別はよくないと世間ではいいますが差別なしで世の中は成り立っていないことは事実です。そこを見事描ききった作家だなと思いました。ここに出てくる登場人物達の哀しみ、嫌らしさ、醜さ、絶望感等は共感こそできたもの、受け入れるには痛すぎました。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.33:
(4pt)

いかにも生臭い人物といかにも別世界の人物

 東電OL殺人事件被害者のプロフィールを参考にして作者が創造したと思われる和恵は、主要登場人物4~5人のなかの1人です。 4人の女性は、有名大学へと続く初等~高等教育機関のなかの高校の同窓生。この有名な教育機関のなかでは、早くからいる人たちのほうが「上」という暗黙の序列がある。高校からよりは中学から、中学からよりは小学校から。それだけ早くからここに入れるということは、それだけお金持ちで恵まれているということだから。そして後から入ってきた人たちは勉強は出来ても貧乏で垢抜けなくて「ダサい」。つまり内部生と外部生の間に最初からはっきりと階級の差がある社会として、この学校は描かれています。 後から入ってもダサくないのは、抜群の美貌を持つユリコ。 涼しい顔で常に学年トップの成績を保つミツル。 容貌も頭脳も平凡だから、勝負をあきらめて地味な存在に徹し、陰で他人に対する意地悪さを磨く「わたし」(ユリコの姉)。 そして、この階級社会の現実に気づかず、痛々しいほどダサくがんばり続けるのが、地味で垢抜けない努力家の和恵です。一流企業のサラリーマンである父親によって植え付けられた、学歴エリートの正論「努力」を素直に信じて。けれど、その努力を続けて有名大学から一流企業の総合職となった和恵が、もうひとつの夜の顔を持つようになったとき、彼女は遅まきながら既に気づいている。自分の努力は、サラリーマンとして会社に認めてもらえず、女として社会に認めてもらえなかった。だからってなぜ娼婦に?という点は結局ナゾのままですが、もうとっくに普通の人間としてのタガが外れてしまった和恵の描写には、生々しすぎて目を背けたくなるような迫力があります。 小説の大部分が、事件関係者と周囲の人物がそれまでにたどってきた人生と内面を描いており、「OUT」のようなスリルとスピード感には欠けます。ただ、最終章の展開は意外でした。和恵を意地悪く傍観していた「わたし」、「常に負ける存在である自分を、勝負から降りてしまうように仕向けた」女性に、訪れる変化。ちょっと強引な展開でしたが、彼女が隠蔽し抑圧してきた生臭いものが爆発することは、設定からして説得力があります。 この生々しい和恵と「わたし」に対し、天性の娼婦ユリコと殺人者チャンは、この物語に華を添える、ドラマチックないかにも架空の存在です。その際立った対照のせいか、最終章のラストはホラー的に怖かったです。出たーっ。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.32:
(5pt)

So grotesque

東電OL殺人事件をモチーフにして書かれたといわれる作品である。(主人公の職業は、大手建設会社シンクタンクとなっているが)インタビュー、手記、手紙、上告文を通じて、有名私立学校で共に過ごし、卒業した数人の女性の生き様と人間関係が描かれている。ある者は、一流大を経て大手企業に就職、昼はキャリアウーマン、夜は娼婦となり、ある者は東大医学部を経て某宗教に入団、テロ犯罪に関わる。ある者は輝く美貌を持ち、ある者は、自意識の下で悪意を磨いて生き延びようとする。読み進めるほど、まるで他人のえぐれた生傷を見せられているような感覚を覚えながら、同時に、せつなさ、それどころか懐かしささえ感じる。どうして彼女は、そこまで勉強を、仕事を、世間に認められるはずの様々なことを頑張り、果てには、「変人」と指差されるほど、家族にすら顔を背けられるほど、濃い化粧と奇異な服装で装い、何を武装したのだろう。かの事件について、もし詳しく知りたいならば、すでにルポルタージュが何冊も出ている。だがこの本は、文学に昇華されていて、読んだ私を、余計に迷わせた。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501
No.31:
(4pt)

女の確執を書かせればピカイチ

女の確執から生じる憎悪、客観的に自分を見れない非常識がこのテーマ(グロテスク)になっているようです。人間は劣等感の塊だから、悪いほうに悪いほうに進むと最悪はこんなになってしまうかもしれない。手の施しようがない程悲しい女達の人生である。読後もすっきりした後味は無いものの、女の確執を書かせればこの著者はピカイチですね。近年の外国人犯罪も日本人の心のグロテスクを土壌に増幅しているようだし、著者のメッセージの深さに感服。複数人の語りで構成される本書ですが、みんな饒舌すぎて、口調も同じ印象を受けたため、☆4つにしました。
グロテスクAmazon書評・レビュー:グロテスクより
4163219501

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