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古書収集十番勝負(魔術的な急斜面)
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古書収集十番勝負(魔術的な急斜面)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.58pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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専門的な古書の世界を舞台に、コレクター心理と店舗相続とを絡ませた濃密なミステリーで、とても興味津津となり、深く面白く未知の分野に惹き込まれていった。 ”知る人ぞ知る“現実社会の影や、静かに進行する都市の変化と、時間が作る稀少価値、話の展開と底辺に流れる時間、生身の人の生業や生々しい相続の欲、あらゆる事柄を織り交ぜた濃厚な一冊でした◎ | ||||
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紀田さんは出版文化史、整理学、文学研究の泰斗ですが、元来は推理小説、怪奇小説のマニアからスタートしています。そんな紀田さんが古書業界を舞台に書かれた推理小説が本書です。私は紀田さんのファンですから、単行本が出版された時に読みました。今回タイトルを変えて文庫が再版されました。 神田神保町、世界有数の古書街ですが、本書の舞台は神保町です。その神保町で店を構える村雲書店、余命幾ばくもない店主は店の跡継ぎを決める為に、タイムリミットまでに希少価値のある古書10点を妥当な価格で蒐集するという課題を出します。その10点とは、徳永直:赤い恋以上 夢野久作:白髪小僧 海野十三:十八時の音楽浴 、他7点。後継者となるため2人は課題書を次々と入手していきます。しかし、かなり入手困難な本も何点かあり、そんな時に舞い込んだのが笠舞浩一郎なる人物から届いた古書リストです。入手困難な本も混じっています。そして、関係者はそのリストに引かれ、オークション会場に向かいますが・・・ 推理小説というよりは、神田神保町、そして、そこに蠢く人達の生態を描いた古書風俗小説といった趣の本です。珍しい古書、その値付け方法、珍しい競りの方法とかが描かれていていますし、いかにもいそうな古書マニアの生態も描かれています。また、選定されている古書もマニアなら欲しいと思うような本が巧に選ばれています。 梶山さんのせどり男爵数奇譚を挙げるまでもなく、古書を扱った文学は昔からありますが、推理小説と結びつけたのは本邦初?ですかね。 昨今、マンガで古書ブームが起こり、小山清の落穂拾いが見直されているようです。このブームが一時的なものに終わらないよう願っております。 | ||||
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〈愛書家は新聞を一面の下から見る習性がある。そこには出版広告がある。 逆に古本屋は新聞を社会面の下から見る習性がある。死亡記事や広告に 著名な蔵書家や作家、大学の先生などが載っていないかどうかを確認する のである〉(82頁) いやはや、古本屋稼業というのも、結構因果な商売なんですねw 本作では、死期の迫った古書店の店主が、跡継ぎを決めるため、長女の婿と次女の婿に 十冊の古書の仕入勝負を課すといった時代小説ばりのレトロな趣向が採られていますが、 舞台となるのが日本中が浮かれ騒いでいたバブル時代であるというミスマッチなところが 面白いです。 作中では、不動産屋が都心再開発の美名の下、悪質な地上げをしたことで神保町の 街並みが一変し、古本屋や愛書家の美風も、時代とともにすたれていっていることが 嘆かれていますが、本作からおよそ二十年経ち、不況が常態化した現在からすれば、 まだまだ牧歌的で、幸福な時代だったようにも思います。 | ||||
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ストーリーそのものは,倉島と蜷川のどちらが先に本を集めるかというだけのことで,それほど面白いものとはいえない。 本書の価値は,ストーリーよりも,古書と古書にまつわる人たちの生態の描写にこそあろう。 次のような描写(大学の金で古書を収集する教授・長岡が,喫茶店に入って,回顧するシーン)などは,古本好きなら皆が共感できるものと思う。そうした,古本好きが皆共感できるような描写が多いのが,本書の魅力である。 「長岡はふと,学生時代に神保町廻りに疲れるたびにこの店に入り,掘り出したばかりの本の包装紙を胸ときめかせながら開いたころのことを思いだした。あの頃の自分は,いまよりも感激性だった。欲しい本は無限にあったが,それを入手するために要する時間も,また無限にあるかのように思えたのだ。」(64頁) | ||||
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病で余命いくばくもない神保町の老舗古本屋の主が、後継者決定のために仰天計画を発表。同居している長女の夫と、次女の夫で古書店主としての才能を自負する、いずれも店員である2人に同じ10点の本を集めさせ、期間内にどちらがより安く手に入れるかを競わせるのだ。本のこととなれば正気を失うのが古本屋や愛書狂というもの。狭い世界の話だけに、本を集める2人の対決と、それに一枚噛んで儲けようとたくらむヘボ大学教授や、古書市の名物問題オヤジなど周囲の人間たちも生々しくおどろおどろしい。本のためにここまでするの!!というのは、紀田作品の“古本屋もの”を読む時いつも思う事で、もはや見守るしかない。そして、2人のどちらもが手に入れていないある本の競りの場で、事件は起こった。競売で仕入れたばかりのその本が消えた!身体検査をしても誰も持ち出していない。外は雨。一体誰がどんなトリックを使ったのか・・・?事件の謎解きはもちろんだが、やはり主眼は本に命を(!)懸ける面々の恐ろしくも滑稽な姿。また、紀田“古本屋もの”らしい古書業界裏話もたっぷり。本好き、読むのも好きだが集めること自体が好き、本という物質そのものが好き!!!な人におすすめ。なお、創元推理文庫版は『古書収集十番勝負』と改題されている。 | ||||
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病で余命いくばくもない神保町の老舗古本屋の主が、後継者決定のために仰天計画を発表。同居している長女の夫と、次女の夫で古書店主としての才能を自負する、いずれも店員である2人に同じ10点の本を集めさせ、期間内にどちらがより安く手に入れるかを競わせるのだ。どれも名だたる希書だ。(ちなみに、全ての本は実在する本のタイトルのもじりになっているが、『翡翠夫人』がさて何のパロディかはすぐおわかりになるはず。) 本のこととなれば正気を失うのが古本屋や愛書狂というもの。狭い世界の話だけに、本を集める2人の対決と、それに一枚噛んで儲けようとたくらむヘボ大学教授や、古書市の名物問題オヤジなど周囲の人間たちも生々しくおどろおどろしい。本のためにここまでするの!!というのは、紀!甡!?作品の“古本屋もの”を読む時いつも思う事で、もはや見守るしかない。 そして、2人のどちらもが手に入れていないある本の競りの場で、事件は起こった。競り落とされたばかりのその本が消えた!奪ったのは長女の夫か次女の夫か?しかし身体検査をしても誰も持ち出していない。外は雨。一体誰がどんなトリックを使ったのか・・・? 事件の謎解きはもちろんだが、やはり主眼は本に命を(!)懸ける面々の恐ろしくも滑稽な姿。また、紀田“古本屋もの”らしい古書業界裏話もたっぷり。本好き、読むのも好きだが集めること自体が好き、本という物質そのものが好き!!!な人におすすめ。 単行本(創元クライム・クラブ版)『魔術的な急斜面』改題。 | ||||
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