死の蔵書
- 古書 (14)
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ジョン・ダニング(1942-2023) 若いうちから著作に手を染めていたにも関わらず、一度は筆を折り、10年以上沈黙している間は古本屋を経営、という異色の経歴である。日本で言えば出久根達郎のような人生ではあるまいか。 出久根氏は夏目漱石に私淑したが、ダ氏は幅広く泰西の現代文学に親しみ、かくして作家仲間に勧められて創作を再開した復活作にして出世作である当作は、膨大というより決壊したような古書に関する博覧強記が滝のように降り注ぐ、古書のトリビアの洪水のなかに殺人とスリルとハードボイルドが混入するというジャンル横断的な傑作だった。 傑作だった、と書いたものの、筆者はこの作品はミステリとしてもサスペンスとしてもいまいち帯に短し襷に長し、あるいはハードボイルドとしては中途半端、普通小説として見た時は後味が悪い所もある、と思っている ことに冒頭に出てくるキャロル嬢。同棲までしていながら冒頭100ページであっさり退場。ネタバレではないですしミステリに必要不可欠の犠牲者になる訳でもないので平穏な去り方ですが、540ページのうち冒頭2割に出てきてこの「要になったから貴女はもう好いですよ」といわんばかりの放り出し方はどうかと思う。彼女はあとで一行だけ出てくるがその時の扱いもあまり良くない。そうした登場人物の出没、ことに女性の扱いについてぞんざいさが目立つ…キャロルだけではない。そうした意味での女性の扱いの不手際さは、ハードボイルドはもともと女性賛美を反面に持っているが、根本的に著者にはそれがなく、無いのは資質の問題だから仕方がないが、それを装う化粧が下手。 しかしこれだと欠陥だけになってしまう。本当はこの小説はミステリ、ハードボイルド、サスペンスではなく、古書愛好という著者の偏執が各ジャンルの要素を主人公クリフ・ジョーンウェイに体現させて著者の愛したものを表白した小説だと思う。 他者には測りがたい、その無意識と多様性が文面から充満し揮発し、個別のミステリとしての完成度を越える著者の人間性が水に浮かぶ油のように、またそれがぎらぎらとスペクトルの色調で反射するように漂っているので、それが読後感をずっしりとした充足感に満たされるものにしている。 作家は処女作に向けて成長するという諺がある。この後ダ氏はいくつかこれに後続する作品を著されたが、後世ジョン・ダニングは「死の蔵書」一作を以て代表されるのではないかと予測する。 おそらくこれほど本人の体重を掛けた、制御できぬ内面の噴出は、おそらく生涯でもまれではないかと思われるからだ。なお、当作で復活したあと十数年、このシリーズは刊行されたが結果的には約20年で発表は途絶え、2023年に世を去られた後から見れば晩年の10年は休筆されていた。その意味でも本質的にはこの方はパターンに沿ってテクニカルに創作を制御するというよりは、自分の蓄積した無意識を攪拌して書くタイプの、その意味では私小説や純文学に近い素質を持っていた創作家だと思う。 没後一年で初めて読んだ筆者はおそらく「後世の読者」の第一歩の時期の読者なのだろう。今後もそうした酔狂にして幸福な読者が続きますように… (それだけの充足を与えてくれる本ではありました。個人の感想ですが) | ||||
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私も古書店めぐりが好きなので(この小説にえがかれている掘り出し屋のようなことをしに行くのではないが)興味深く読めた。しかし小説作品としてはちょっと雑味が多いかな。面白い要素をたくさんぶち込んで面白くするんだと作者さんが考えたのだろうけど、正直、古本屋に転向するほど古書好きのハードボイルドマッチョ刑事という設定はかなり強引だなと思った(笑)。古書なんて辛気臭いもの(失礼)がモチーフなんだからハードボイルド、ヴァイオレンス、ロマンスはオミットして知的世界に絞ってよかったと思う。犯人の意外性やトリックといった点ではいたって平凡。むしろ「えっ!?」と言ってしまうのは最後の一行。でもちょっとそこらの経緯、状況、思惑が錯綜していて分かりにくいところがあった。 | ||||
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私は古書には全く興味はない。電子書籍でも読めればいいというタイプだ。なので、随所に出てくる古書の薀蓄は、興味はないのだが、なぜか読んでしまう。 ちょっと変わった刑事の行動にひきつけられるのだろうか?何となく読んでしまった。 | ||||
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アガサ・クリスティの様な本格的なミステリー小説を期待していたので 大きな肩透かしを食らった。 ジャンルとしてはどちらかと言うとハードボイルドに偏っており、 物語や登場人物の大部分はメインテーマの殺人とは無関係であるにも関わらず それらに無駄にページが割かれており 結果的に伏線どころか水増しにしかなっておらず また結末も結局登場人物の匙加減次第で 心理的、物理的に唸るようなトリックも無く 最終的には「悟りを開いて分からなかったことが分かった」との事で 辻褄合わせの解説じみた独白を入れる様はまるで 打ち切りが終了した連載作品を見ている様だった。 例えて言うなら料理の一つ一つはそれなりに美味しいし、食べ応えもあるのだが 全体として見ると単にぶつ切りにした皿が乱雑に並んでいるだけ、 と言うコース料理の様な小説だった。 | ||||
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作中にベストセラーなんぞ読むやつは間抜けのごとく描いていますが失礼しちゃうよねー、ベストセラーであるこの小説が読めなくなってもいいのかよー。と文句を言いつつも読み応えがあり面白さってことでは満足しています。 | ||||
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