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死の蔵書
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死の蔵書の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 1~20 1/2ページ
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ジョン・ダニング(1942-2023) 若いうちから著作に手を染めていたにも関わらず、一度は筆を折り、10年以上沈黙している間は古本屋を経営、という異色の経歴である。日本で言えば出久根達郎のような人生ではあるまいか。 出久根氏は夏目漱石に私淑したが、ダ氏は幅広く泰西の現代文学に親しみ、かくして作家仲間に勧められて創作を再開した復活作にして出世作である当作は、膨大というより決壊したような古書に関する博覧強記が滝のように降り注ぐ、古書のトリビアの洪水のなかに殺人とスリルとハードボイルドが混入するというジャンル横断的な傑作だった。 傑作だった、と書いたものの、筆者はこの作品はミステリとしてもサスペンスとしてもいまいち帯に短し襷に長し、あるいはハードボイルドとしては中途半端、普通小説として見た時は後味が悪い所もある、と思っている ことに冒頭に出てくるキャロル嬢。同棲までしていながら冒頭100ページであっさり退場。ネタバレではないですしミステリに必要不可欠の犠牲者になる訳でもないので平穏な去り方ですが、540ページのうち冒頭2割に出てきてこの「要になったから貴女はもう好いですよ」といわんばかりの放り出し方はどうかと思う。彼女はあとで一行だけ出てくるがその時の扱いもあまり良くない。そうした登場人物の出没、ことに女性の扱いについてぞんざいさが目立つ…キャロルだけではない。そうした意味での女性の扱いの不手際さは、ハードボイルドはもともと女性賛美を反面に持っているが、根本的に著者にはそれがなく、無いのは資質の問題だから仕方がないが、それを装う化粧が下手。 しかしこれだと欠陥だけになってしまう。本当はこの小説はミステリ、ハードボイルド、サスペンスではなく、古書愛好という著者の偏執が各ジャンルの要素を主人公クリフ・ジョーンウェイに体現させて著者の愛したものを表白した小説だと思う。 他者には測りがたい、その無意識と多様性が文面から充満し揮発し、個別のミステリとしての完成度を越える著者の人間性が水に浮かぶ油のように、またそれがぎらぎらとスペクトルの色調で反射するように漂っているので、それが読後感をずっしりとした充足感に満たされるものにしている。 作家は処女作に向けて成長するという諺がある。この後ダ氏はいくつかこれに後続する作品を著されたが、後世ジョン・ダニングは「死の蔵書」一作を以て代表されるのではないかと予測する。 おそらくこれほど本人の体重を掛けた、制御できぬ内面の噴出は、おそらく生涯でもまれではないかと思われるからだ。なお、当作で復活したあと十数年、このシリーズは刊行されたが結果的には約20年で発表は途絶え、2023年に世を去られた後から見れば晩年の10年は休筆されていた。その意味でも本質的にはこの方はパターンに沿ってテクニカルに創作を制御するというよりは、自分の蓄積した無意識を攪拌して書くタイプの、その意味では私小説や純文学に近い素質を持っていた創作家だと思う。 没後一年で初めて読んだ筆者はおそらく「後世の読者」の第一歩の時期の読者なのだろう。今後もそうした酔狂にして幸福な読者が続きますように… (それだけの充足を与えてくれる本ではありました。個人の感想ですが) | ||||
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私も古書店めぐりが好きなので(この小説にえがかれている掘り出し屋のようなことをしに行くのではないが)興味深く読めた。しかし小説作品としてはちょっと雑味が多いかな。面白い要素をたくさんぶち込んで面白くするんだと作者さんが考えたのだろうけど、正直、古本屋に転向するほど古書好きのハードボイルドマッチョ刑事という設定はかなり強引だなと思った(笑)。古書なんて辛気臭いもの(失礼)がモチーフなんだからハードボイルド、ヴァイオレンス、ロマンスはオミットして知的世界に絞ってよかったと思う。犯人の意外性やトリックといった点ではいたって平凡。むしろ「えっ!?」と言ってしまうのは最後の一行。でもちょっとそこらの経緯、状況、思惑が錯綜していて分かりにくいところがあった。 | ||||
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私は古書には全く興味はない。電子書籍でも読めればいいというタイプだ。なので、随所に出てくる古書の薀蓄は、興味はないのだが、なぜか読んでしまう。 ちょっと変わった刑事の行動にひきつけられるのだろうか?何となく読んでしまった。 | ||||
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アガサ・クリスティの様な本格的なミステリー小説を期待していたので 大きな肩透かしを食らった。 ジャンルとしてはどちらかと言うとハードボイルドに偏っており、 物語や登場人物の大部分はメインテーマの殺人とは無関係であるにも関わらず それらに無駄にページが割かれており 結果的に伏線どころか水増しにしかなっておらず また結末も結局登場人物の匙加減次第で 心理的、物理的に唸るようなトリックも無く 最終的には「悟りを開いて分からなかったことが分かった」との事で 辻褄合わせの解説じみた独白を入れる様はまるで 打ち切りが終了した連載作品を見ている様だった。 例えて言うなら料理の一つ一つはそれなりに美味しいし、食べ応えもあるのだが 全体として見ると単にぶつ切りにした皿が乱雑に並んでいるだけ、 と言うコース料理の様な小説だった。 | ||||
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作中にベストセラーなんぞ読むやつは間抜けのごとく描いていますが失礼しちゃうよねー、ベストセラーであるこの小説が読めなくなってもいいのかよー。と文句を言いつつも読み応えがあり面白さってことでは満足しています。 | ||||
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"本を読む人間は、大きく二つに分けることができる。ベストセラーを読む人種と、そうでない人種だ(中略)ベストセラーは、ベストセラー・リストに載った瞬間に生命を得て、そこから消えたときにはもう死んでいる"1992年発表の本書は稀覯本取引に絡む殺人事件を古書に関して博覧強記を誇る刑事が追う本好き向けハードボイルド小説。 個人的には著者の本は初めてでしたが"すべての本好きに捧げる"という紹介に惹かれて手にとってみました。 そんなアメリカの優れた推理小説に与えられるネロ・ウルフ賞受賞作である本書は、古本の掘り出し屋(簡単に言えばせどり、転売屋)であるボビーが殺された事件を主人公にして、並外れた古書マニアの刑事ジェーンウェイが癖のある古書店経営者と出会いながら追いかけていくのですが。 個人的には、まず、さながらレイモンド チャンドラーの『長いお別れ』(ロング・グッドバイ)の【フィリップ・マーロウが本好きだったら?】といった印象を受けるハードボイルドなジェーンウェイの古書あるいは本に関するこだわりや知識の量に冒頭から圧倒され(多少ネタバレかもしれませんが)本書真ん中あたりで【あっさり刑事を辞めて】まさかの本屋をオープンさせて第二部が始まるのには驚きました。(同じ本屋としてはワクワクしましたが) また、本書はいわゆる殺人事件を追う推理小説なのですが。一方で、調査を進める中で出会う【古書店経営者とのやりとり】は、日本と違い再版制度もなく、リスクを追った買い切りが当然のアメリカ書店業界の状態や、主にアメリカ文学の著者たち(ヘミングウェイやフォークナー、スティーブ・キング等)の位置付けがフィクションもあるとはいえ【何となく垣間見える感じがして】とても新鮮で。いわゆるラストの謎解き、犯人当て以上に面白かったです。 ベストセラーというより、どちらかと言えば古書、特にアメリカ文学好きな方へ。もしくは一風変わった『本好き刑事のハードボイルド小説』に興味ある人にオススメ。 | ||||
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古書に関する情報は豊富だが、推理小説としては、物足りない。 | ||||
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エリカ&パトリック物の帯につられてまとめ買いをして自分が嫌いになってた処で「これだよ、これ!」という書籍に出会った。まさに渡りに船というのか下らない本をバッサバッサと切り捨てる作者の心意気に100%賛同の意を表する次第である。他のレビューアーの方々も同意権のご様子で中々ペーパーメディアも捨てたもんじゃない、と思えた。特に古本屋大好きな私は快哉を叫ぶものだ。尤も「新刊書」や「稀覯本」には縁がないし初回出版時の体裁で後から出てくる有象無象は鼻も引っ掛けない。唯一の例外が「三角寛」の「母念寺出版」再販シリーズ(中古価格で全冊揃い100万以上だった)が全て出た時には予約までしてしまった。閑話休題「掘り出し屋」と訳されている単語だが日本語では「瀬取師」=せとりし、という名前で呼ばれていた筈だ。後付名称ではなくキチンとした日本語でウィキペにも 多くの物の中から選び出して売ることを「糶取る(動詞)」または「糶り取る」と言う。「糶取り」とは「糶取る」の連用形である。 『書物語辞典(1936年 古典社)』によると、語源は不明。漢字は当て字で「糶取」「背取」などと書き、『せどりの營業は、店舗から店舖を訪問して相互の有無を通じて口錢を得るのを目的とする。即ち甲書店の依頼品を同業者間をたづね歩き値の安きを求め其の間に立つて若干の利得をする(同書より)』との事で、書店同士の売買の仲介をする事、またはそれを生業とした者を指す。との解説が有る。古書店巡りをしているとマニアが糶取り師に変り「銀背の帯付き」を狙って取り合いになったり、初版数の少なかった白水社辺りの本を漁っている姿を目撃している。日本じゃあんまりビジネスにはならないだろうな。金満家や成り上がりが応接間のセットに並べ応えのある背表紙が立派な本を漁るだけだし そういう本に見える隠し金庫のほうが商売になる。再閑話休題→デクスターやチャンドラーやライアルがお好きな方ならぜひご一読頂きたい。ハードボイルド系の好きな方も是非読んで欲しい。あ、エリカ&パトリックをゴミ箱に蹴り込んだ方には特にお勧めする次第。 | ||||
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本好きで、と言うよりも著者が好きになると古書店でできる限りその著者の本を探す口なので主人公ジェーンウェイの気持ちが 分からないでもないが、シミ一つ無い完璧な本を求めるほどのこだわりは無い(そんな高い買い物より、程度は時間の経過ほどの 古本で普通のものを何冊か買って読むほうがいいと思う人間で…)ので、殺人にいたるまでの高価な稀覯本の話に感覚的に距離感があり 身を入れて読み込むとまでには(まあそんなこともあるのかなア)引き込まれなかった。 本の内容や著者の考えを読みながら追体験するのが読書だと思っているので、ビジネスとしての売り買いで扱われる稀覯本の世界は 必ずしも読書家の世界とは少し異なった世界なのだろう。(アメリカなどの金持ちの道楽、人の持たないものを持つことに執着する, 本をロマンと考えるかビジネスと考えるかの違い。中には文化財として考える人もいるだろうし…。) まあ、それがあるからこの小説ができるわけだけれど、他の方のレビューにもある余分な挿話が多すぎると思う。作品としては面白い 素材であるし、もっと絞り込んでスリムになるといいと感じる。(アメリカの通俗な読者の好みをうまく織り込んでいるとは言えるが) 普通の面白さ。古書に関する本で個人的な好みをいえば「チャリング・クロス街84番地」(ヘレーン・ハンフ著江藤淳訳)のような 「本は読むためのもの」が好み(ミステリーではないけれど)。 | ||||
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外国にも書痴やせどり屋がいるのがうれしい、というのが本書を読んでの感想である。 あれ、ミステリとしてはどうなの? まあ、本書はとにかく古書をめぐる部分がなにより面白い一冊なのだ。 とにかく、よく知っている作家名や作品名が出てくるたびに、これは知ってるぜ、っていう感じになるのがうれしい。 だから、小説の感じは「せどり男爵〜」、「古本探偵〜」、はたまた「ビブリア〜」なんかによく似ている。 私のようなその手のものが好きな人にとっては、本作のこの部分は非常に面白いだろう。 さて、では肝心のミステリとしての出来はどうか、というと、どうにもハードボイルド感が強すぎる。 主人公が動き、少しずつ情報を集めて真相に至る、という展開は、まさにハードボイルドそのものである。 適度にバイオレンス場面やらサスペンスシーンなどが鏤められてもいることだしね。 ただし、ミステリとしての端正さを期待した場合には、少々肩すかしを食うかもしれない。 フーダニットの手がかりが十分に提出されているとはいいがたい。 それと最後はサプライズ・エンディングを狙ったのかな、って感じなんだけども、ちょっとね。 | ||||
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とにかく事件の周りをひたすら迂回しまくってようやく解決するといった感じの作品で 純粋なミステリとはとても呼べないが内容自体は面白い 事件の謎は分かってみるとなるほどと思えるものが多く良くできており、 海外のレア本絡みのネタも元々知識がない分楽しく読めた ただ事件と無関係な凶悪人物との関係にかなりページが費やされてしまっているのがいまいち それでもまあ楽しめる一冊だろう | ||||
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本を骨董品としても扱う稀覯本マニアの話。 そういうのが好きな人には楽しめる話題がいっぱい詰め込んである。 単なる本好きにもそういうマニアの世界の存在を教えてくれる面白さがある。 ただし読み物としては、始め面白そうだなと思わせてはくれたものの尻すぼみ。 結末も自己本位な感傷をひけらかしている様な内容。 何よりいけないのは途中でハードボイルド気取りの台詞回しが延々続く所。 色んな隠喩を出して、知識のひけらかし合いみたいな事をてんこ盛りするとその作家の格が上がる様な文化がアメリカには有るのだろうかと思ってしまう。 アメリカ人には程良いと云う感覚が無いのだろうか、それとも感覚的な容量が違うのかなと時に考えてしまう。 最後の1/3は途中で止めるのももったいないから読だ、と云う感じ。 本の値段が細かく出ていたのは面白かった。 家の値段も出ていたけど、コーヒーの値段とかもう少し別の一般的な物の値段も出ていたらその時代・その場の感覚がもっと分かって良かったのにと思う。 本マニアの世界を描いた風俗小説としての面白さが1/3。 | ||||
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せっかく途中までは面白く読んでいたのに、キング等の読者に対しての熱烈な批判で白けてしまった。 ミステリはホラーよりも高い地位とでもおもってるんだろうかと疑いたくなるような高飛車な書き方。嫉妬しているのかと勘繰りたくなる。そういう「作者」本人が言いたかった事をぶちまけられると醒めてしまう。ミステリの出来も別に普通だし。 | ||||
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再読に値するミステリーというものは、それほどあるモノではないが、本書はそのような本の一冊である。本書に出てくる稀覯本のほとんどはその邦訳があり、これらを読んでからもう一度本書に戻ってくると、、面白さはさらに増すというものだ。 「ライ麦畑で捕まえて」「キャリー」「スタンド」「アフリカの日々」「蠅の王」等々・・・・・。 自宅に1万冊収容できる本棚が設置できるスペースがある住宅、これは読書家・愛書家にとっては夢のような環境だ。ジェーンウェイはこの住宅を5万ドルで手に入れることができたのだ、実に羨ましい。 肝心のこのミステリーの内容?中身? なにしろ私の評価は、★5つですから・・・・。 最後の一行に疑問が解消される・・・・・。 | ||||
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再読に値するミステリーというものは、それほどあるモノではないが、本書はそのような本の一冊である。本書に出てくる稀覯本のほとんどはその邦訳があり、これらを読んでからもう一度本書に戻ってくると、、面白さはさらに増すというものだ。 「ライ麦畑で捕まえて」「キャリー」「スタンド」「アフリカの日々」「蠅の王」等々・・・・・。 自宅に1万冊収容できる本棚が設置できるスペースがある住宅、これは読書家・愛書家にとっては夢のような環境だ。ジェーンウェイはこの住宅を5万ドルで手に入れることができたのだ、実に羨ましい。 肝心のこのミステリーの内容?中身? なにしろ私の評価は、★5つですから・・・・。 最後の一行に疑問が解消される・・・・・。 | ||||
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ある世界の、確かな奥行きを感じさせる本である。 本書は、間違いなくミステリーではあるが、古書業界を描いた風俗小説の側面もある。ハードボイルドだと思って読み進むと、鮮やかなトリックが仕掛けられている。一筋縄ではいかない。 一つ一つの出来事が、そのままの形でつながっていかない。すべてが、ずれながら動いていく。それが、リアリティを与える。 古書業界の末端で生きていた男ボビーが殺される。 サディスティックな連続殺人の容疑者ジャッキーの仕業ではないのか? 古書蒐集にのめりこんでいる刑事クリフは、ジャッキーと個人として対峙する。だが、犯人が古書の世界と無縁の者であると決めつけることもできない。 古書の世界が、憑かれた人々の世界であることがよくわかる。その世界の特異性に照らし出された、一人一人の姿がくっきりと浮かび上がる。エキセントリックさが、我らが隣人を感じさせ、思わず彼らの過去を想像する。信と不信が入り乱れ、最後の最後まで気が抜けない。 圧倒的な暴力にさらされた弱者バーバラが、態度を二転三転させる。怯えの描写には、何とも言えぬ感触を覚える。ジャッキー、クリフとの三すくみの関係は、思わぬ形の結果を導く。このエピソードだけでも本書を読む価値は充分ある。 | ||||
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泣けます。というのは、内容的にではなく、ここまで本が好きな著者に共感して泣けます。古書から近代の作家まで、洋書が実名でオンパレードです。著者の好みも反映されていて、評価には多少意見の相違をみる場合もありますが。 しかし、カタログや紹介本ではなく、小説でここまで本の名前が出てくる作品は見たことが無いです。読んでいて楽しかったです。ただ、どうしても有名どころの洋書の名前ぐらいは知っておかないと、だたの推理小説に感じてしまうかもしれません。 | ||||
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泣けます。というのは、内容的にではなく、ここまで本が好きな著者に共感して泣けます。古書から近代の作家まで、洋書が実名でオンパレードです。著者の好みも反映されていて、評価には多少意見の相違をみる場合もありますが。 しかし、カタログや紹介本ではなく、小説でここまで本の名前が出てくる作品は見たことが無いです。読んでいて楽しかったです。ただ、どうしても有名どころの洋書の名前ぐらいは知っておかないと、だたの推理小説に感じてしまうかもしれません。 | ||||
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まだネットで本を探すことを知らなかったころに読み、共感と違和感、両方を感じた作品だ。 まず共感の方。どんなことをしても(いや、殺人までは考えないけど)手に入れたい本があるという思いは、とても理解できた。当時も何年越しかで探している本があったので、余計にわかるわかるという感じだったかも。 違和感の方は、気に入った本は本棚に並べておいて、読む分は別に買うという考え方。日本の住宅事情を考えると、これは限りがあるだろう。やっぱりアメリカは広いんだなーと妙な感心をした。それはきれいな状態で残しておきたい、価値のあるままにしておきたいという気持ちもわからなくはないけれど、読み込んだなーという痕跡があるのも、また一興ではないか。 何年かしてネットオークションをのぞくようになって、雑誌の切り抜きが万単位で取引されているのを知り、やはり何か変だと感じる。 かといって、読書に知識だけを求める友人が言うように、みんなメモリースティックに入れておけばいいというのも、違うんだよね。本というのは、手にとったときの重み、ページを開くときの楽しいような、もったいないようなわくわくした気持ち、紙のにおい、装丁そのものも含めて全部が「本」なのだ。好きな箇所をプリントアウトして読むというのは邪道だ。こういう感覚がわかる本好きさんには、ぜひ一読をお薦めしたい。 ミステリーとしての出来は多くの方が語られているので、もう書くまでもないだろう。 | ||||
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文章がとても読みやすく、情報を小出しにすることによって読者の興味を引き続けるテクニックが巧みで、最後まで面白く読むことができた。 犯人が判明した後も謎が残され、最後の一行で鮮やかにその謎が解き明かされるのもしゃれている。トリック自体は目新しいものではないのだが、とても効果的に使われていると思う。 古本にまつわる薀蓄も楽しく、全体としては十分満足できる作品なのだが、不満がないわけでもない。 メインストーリーの古本に絡んだ殺人事件と並行して、主人公の宿敵である犯罪者との対決と、その男に精神的に隷属させれてしまった女の救済というサブストーリーが語られるのだが、サブストーリーの方は、主人公のパーソナリティーを説明するのと、主人公が警察を辞めて古本屋になるきっかけを与える役目を果たすだけで、メインストーリーとは最後まで交わらないで終わってしまう。どこかでメインストーリーとサブストーリーが何らかの形で交わると思い込んで読んでいたので、少し拍子抜けしてしまった。 | ||||
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