古書収集十番勝負(魔術的な急斜面)
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今は『古書収集十番勝負』と改題。 | ||||
| ||||
|
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
専門的な古書の世界を舞台に、コレクター心理と店舗相続とを絡ませた濃密なミステリーで、とても興味津津となり、深く面白く未知の分野に惹き込まれていった。 ”知る人ぞ知る“現実社会の影や、静かに進行する都市の変化と、時間が作る稀少価値、話の展開と底辺に流れる時間、生身の人の生業や生々しい相続の欲、あらゆる事柄を織り交ぜた濃厚な一冊でした◎ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
普段あまりなじみのない古書の世界をうまく垣間見せてくれて楽しめる作品ではあるのだが、どうも、物語の芯になる部分がよくわからない。 だから、どうなんだ、と感じる部分も多い。あまり深く考えずに素直に読んでいくほうがいいのかも | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
紀田さんは出版文化史、整理学、文学研究の泰斗ですが、元来は推理小説、怪奇小説のマニアからスタートしています。そんな紀田さんが古書業界を舞台に書かれた推理小説が本書です。私は紀田さんのファンですから、単行本が出版された時に読みました。今回タイトルを変えて文庫が再版されました。 神田神保町、世界有数の古書街ですが、本書の舞台は神保町です。その神保町で店を構える村雲書店、余命幾ばくもない店主は店の跡継ぎを決める為に、タイムリミットまでに希少価値のある古書10点を妥当な価格で蒐集するという課題を出します。その10点とは、徳永直:赤い恋以上 夢野久作:白髪小僧 海野十三:十八時の音楽浴 、他7点。後継者となるため2人は課題書を次々と入手していきます。しかし、かなり入手困難な本も何点かあり、そんな時に舞い込んだのが笠舞浩一郎なる人物から届いた古書リストです。入手困難な本も混じっています。そして、関係者はそのリストに引かれ、オークション会場に向かいますが・・・ 推理小説というよりは、神田神保町、そして、そこに蠢く人達の生態を描いた古書風俗小説といった趣の本です。珍しい古書、その値付け方法、珍しい競りの方法とかが描かれていていますし、いかにもいそうな古書マニアの生態も描かれています。また、選定されている古書もマニアなら欲しいと思うような本が巧に選ばれています。 梶山さんのせどり男爵数奇譚を挙げるまでもなく、古書を扱った文学は昔からありますが、推理小説と結びつけたのは本邦初?ですかね。 昨今、マンガで古書ブームが起こり、小山清の落穂拾いが見直されているようです。このブームが一時的なものに終わらないよう願っております。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
神田の古書店の跡継ぎを決めるために行われることになった古書収集勝負。 ミステリとしては正直お粗末だけど 古書業界の内情とか、熱狂とか希少価値とかそういった側面は読んでて 興味深かった。 本は奥深いなぁと。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
おもしろく読了しました。90年代初頭、バブルのとば口に差しかかった古書店街の住人たちの意地と欲の絡み合いが、生き生きと描き出されています。私は読書という実用的見地から古書を愛好し「神田神保町古書店街」という世界にも類のない空間の永続を願う者(ユネスコは本当ならこうした空間を「世界遺産」として認定すべきだ)に過ぎません。その点この小説の中で狂態を繰り広げる書痴の世界からは一線を画しています。しかし「安政大地震の見聞録がある。ディケンズの初版本がある。漱石や夢二の初版本がある。仮にそうした存在感のある書物が一冊でも本棚にあれば、十坪の店内に−例えば1836年現在の空気が瀰漫するのだ」という本書の一節が語る「本の魅力」にはしみじみ共感します。本は単にそこに盛られた情報だけではなく紙質や紙の匂い、活字の字体や挿絵そして装幀、さらにはそのときそのとき自分が書き加えた書き込みなど、その有するモノ性の全てによって私に語りかけ、そのときそのときの私の情念を受け止め、再読の際にはその全てを私に送り返してくれる存在です。読む私との関わりの中で本は成長していきます。「読書の危機」とは「本」をそして本の彼方にいる「作者」を自分と対等の対話者と見ず、自分に従属し奉仕する道具や召使いと見ることにより、読書を媒介とした自己=趣味の形成が失われてしまうことのような気がします。その点この小説に出てくる書痴たちも古書店主たちも、皆それぞれに「モノ」としての本に関わってしまったことにより、個性=趣味をくっきりと持たされてしまっています。それは一見一番世俗的とも観じられる大阪人・蜷川ですらそうです。だからこそそこに、個性と個性の丁々発止のやりとりが浮かび上がってくるのです。それが金という物差しで測定されるのは、それがバブルという時代だからでもありますが、むしろこうした個と個のぶつかり合いが自然に金のやりとりに転化せざるを得ないところに、金の持つ力の不思議を見てもよいのかもしれません。私にとって近くて遠かった「神田神保町古書店街」の奥の院に、少し近づくことができたのは収穫でした。ただゲームの参加者たちが10冊の本にたどり着くまでの経緯が少し安直ですし、本書の陰の主人公ともいえる「洗足池の怪人」の正体は、他の評者の方も指摘するように少し強引すぎる気がします。もっともそれらの欠点はそう設定しないと、本書が途方もなく長い物語になりかねない危険性故避けられなかった欠点でしょう。現在の居住地「金沢」から上京の度ごと「神田神保町古書店街」に通い詰めている私にとって本書は、ミステリーとしての欠点にもかかわらず、この不思議な街に対する愛とエールの詰まった佳作として、今後も珍玩すべき書の一つとなりました。「神田神保町古書店街」よ永遠に! | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 12件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|