■スポンサードリンク
古書収集十番勝負(魔術的な急斜面)
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
古書収集十番勝負(魔術的な急斜面)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.58pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
専門的な古書の世界を舞台に、コレクター心理と店舗相続とを絡ませた濃密なミステリーで、とても興味津津となり、深く面白く未知の分野に惹き込まれていった。 ”知る人ぞ知る“現実社会の影や、静かに進行する都市の変化と、時間が作る稀少価値、話の展開と底辺に流れる時間、生身の人の生業や生々しい相続の欲、あらゆる事柄を織り交ぜた濃厚な一冊でした◎ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
普段あまりなじみのない古書の世界をうまく垣間見せてくれて楽しめる作品ではあるのだが、どうも、物語の芯になる部分がよくわからない。 だから、どうなんだ、と感じる部分も多い。あまり深く考えずに素直に読んでいくほうがいいのかも | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
紀田さんは出版文化史、整理学、文学研究の泰斗ですが、元来は推理小説、怪奇小説のマニアからスタートしています。そんな紀田さんが古書業界を舞台に書かれた推理小説が本書です。私は紀田さんのファンですから、単行本が出版された時に読みました。今回タイトルを変えて文庫が再版されました。 神田神保町、世界有数の古書街ですが、本書の舞台は神保町です。その神保町で店を構える村雲書店、余命幾ばくもない店主は店の跡継ぎを決める為に、タイムリミットまでに希少価値のある古書10点を妥当な価格で蒐集するという課題を出します。その10点とは、徳永直:赤い恋以上 夢野久作:白髪小僧 海野十三:十八時の音楽浴 、他7点。後継者となるため2人は課題書を次々と入手していきます。しかし、かなり入手困難な本も何点かあり、そんな時に舞い込んだのが笠舞浩一郎なる人物から届いた古書リストです。入手困難な本も混じっています。そして、関係者はそのリストに引かれ、オークション会場に向かいますが・・・ 推理小説というよりは、神田神保町、そして、そこに蠢く人達の生態を描いた古書風俗小説といった趣の本です。珍しい古書、その値付け方法、珍しい競りの方法とかが描かれていていますし、いかにもいそうな古書マニアの生態も描かれています。また、選定されている古書もマニアなら欲しいと思うような本が巧に選ばれています。 梶山さんのせどり男爵数奇譚を挙げるまでもなく、古書を扱った文学は昔からありますが、推理小説と結びつけたのは本邦初?ですかね。 昨今、マンガで古書ブームが起こり、小山清の落穂拾いが見直されているようです。このブームが一時的なものに終わらないよう願っております。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
神田の古書店の跡継ぎを決めるために行われることになった古書収集勝負。 ミステリとしては正直お粗末だけど 古書業界の内情とか、熱狂とか希少価値とかそういった側面は読んでて 興味深かった。 本は奥深いなぁと。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
おもしろく読了しました。90年代初頭、バブルのとば口に差しかかった古書店街の住人たちの意地と欲の絡み合いが、生き生きと描き出されています。私は読書という実用的見地から古書を愛好し「神田神保町古書店街」という世界にも類のない空間の永続を願う者(ユネスコは本当ならこうした空間を「世界遺産」として認定すべきだ)に過ぎません。その点この小説の中で狂態を繰り広げる書痴の世界からは一線を画しています。しかし「安政大地震の見聞録がある。ディケンズの初版本がある。漱石や夢二の初版本がある。仮にそうした存在感のある書物が一冊でも本棚にあれば、十坪の店内に−例えば1836年現在の空気が瀰漫するのだ」という本書の一節が語る「本の魅力」にはしみじみ共感します。本は単にそこに盛られた情報だけではなく紙質や紙の匂い、活字の字体や挿絵そして装幀、さらにはそのときそのとき自分が書き加えた書き込みなど、その有するモノ性の全てによって私に語りかけ、そのときそのときの私の情念を受け止め、再読の際にはその全てを私に送り返してくれる存在です。読む私との関わりの中で本は成長していきます。「読書の危機」とは「本」をそして本の彼方にいる「作者」を自分と対等の対話者と見ず、自分に従属し奉仕する道具や召使いと見ることにより、読書を媒介とした自己=趣味の形成が失われてしまうことのような気がします。その点この小説に出てくる書痴たちも古書店主たちも、皆それぞれに「モノ」としての本に関わってしまったことにより、個性=趣味をくっきりと持たされてしまっています。それは一見一番世俗的とも観じられる大阪人・蜷川ですらそうです。だからこそそこに、個性と個性の丁々発止のやりとりが浮かび上がってくるのです。それが金という物差しで測定されるのは、それがバブルという時代だからでもありますが、むしろこうした個と個のぶつかり合いが自然に金のやりとりに転化せざるを得ないところに、金の持つ力の不思議を見てもよいのかもしれません。私にとって近くて遠かった「神田神保町古書店街」の奥の院に、少し近づくことができたのは収穫でした。ただゲームの参加者たちが10冊の本にたどり着くまでの経緯が少し安直ですし、本書の陰の主人公ともいえる「洗足池の怪人」の正体は、他の評者の方も指摘するように少し強引すぎる気がします。もっともそれらの欠点はそう設定しないと、本書が途方もなく長い物語になりかねない危険性故避けられなかった欠点でしょう。現在の居住地「金沢」から上京の度ごと「神田神保町古書店街」に通い詰めている私にとって本書は、ミステリーとしての欠点にもかかわらず、この不思議な街に対する愛とエールの詰まった佳作として、今後も珍玩すべき書の一つとなりました。「神田神保町古書店街」よ永遠に! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
〈愛書家は新聞を一面の下から見る習性がある。そこには出版広告がある。 逆に古本屋は新聞を社会面の下から見る習性がある。死亡記事や広告に 著名な蔵書家や作家、大学の先生などが載っていないかどうかを確認する のである〉(82頁) いやはや、古本屋稼業というのも、結構因果な商売なんですねw 本作では、死期の迫った古書店の店主が、跡継ぎを決めるため、長女の婿と次女の婿に 十冊の古書の仕入勝負を課すといった時代小説ばりのレトロな趣向が採られていますが、 舞台となるのが日本中が浮かれ騒いでいたバブル時代であるというミスマッチなところが 面白いです。 作中では、不動産屋が都心再開発の美名の下、悪質な地上げをしたことで神保町の 街並みが一変し、古本屋や愛書家の美風も、時代とともにすたれていっていることが 嘆かれていますが、本作からおよそ二十年経ち、不況が常態化した現在からすれば、 まだまだ牧歌的で、幸福な時代だったようにも思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
古書の話としては面白い。しかし、ミステリとしてはどうしようもない出来。 神保町の古書店主が引退を決め、後継者選びのため、二人の候補者に古書10点の仕入れを競わせる。設定としては、確かに面白い。 登場人物も、みな一癖あって楽しい。いずれも劣らぬ偏執的な収集家ばかり。彼らが貴重な古書をめぐって争いを繰り広げるのである。 しかし、物語としては破綻している。犯人の意外性を第一に考えて書いたのだろうが、あまりにも不自然で、そこまでのストーリーからしても納得いかない。動機や結末、トリックについても同様である。 ミステリではなく、古書や古書店にまつわる裏話として楽しむべきだろう。 2000年に『古書収集十番勝負』と改題・文庫化されている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1991年に『魔術的な急斜面』として出た単行本の改題・文庫化。 古書の話としては面白い。しかし、ミステリとしてはどうしようもない出来。 神保町の古書店主が引退を決め、後継者選びのため、二人の候補者に古書10点の仕入れを競わせる。設定としては、確かに面白い。 登場人物も、みな一癖あって楽しい。いずれも劣らぬ偏執的な収集家ばかり。彼らが貴重な古書をめぐって争いを繰り広げるのである。 しかし、物語としては破綻している。犯人の意外性を第一に考えて書いたのだろうが、あまりにも不自然で、そこまでのストーリーからしても納得いかない。動機や結末、トリックについても同様である。 ミステリではなく、古書や古書店にまつわる裏話として楽しむべきだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ストーリーそのものは,倉島と蜷川のどちらが先に本を集めるかというだけのことで,それほど面白いものとはいえない。 本書の価値は,ストーリーよりも,古書と古書にまつわる人たちの生態の描写にこそあろう。 次のような描写(大学の金で古書を収集する教授・長岡が,喫茶店に入って,回顧するシーン)などは,古本好きなら皆が共感できるものと思う。そうした,古本好きが皆共感できるような描写が多いのが,本書の魅力である。 「長岡はふと,学生時代に神保町廻りに疲れるたびにこの店に入り,掘り出したばかりの本の包装紙を胸ときめかせながら開いたころのことを思いだした。あの頃の自分は,いまよりも感激性だった。欲しい本は無限にあったが,それを入手するために要する時間も,また無限にあるかのように思えたのだ。」(64頁) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「魔術的な急斜面」の改題作。 意外性はありましたが、最後たたみかけるように話が終わってしまったので、読後感は「満足!」という感じではありませんでした。 ただ、とても読み易かったのと、古書界事情たるものを垣間見る事ができたのが良かったです。古書についての知識が全くなくても話が楽しめる点も良かったです。が、やはり少々消化不良気味だったので、評価は星三つで。。。面白い作品で、軽快に読み進められてた分、終わり方が残念でした。 古書店の後継ぎ争いが思わぬ展開を見せる。古本十番勝負! 徳永直『赤い恋以上』・湯浅良幸『日本史阿波史年表』・福永武彦『ある青春』・鈴木正『狩野享吉の研究』・川上澄生『ゑげれすいろは静物』『有朋堂対訳詳解漢文叢書』・菊池寛『真珠夫人』川口松太郎『鶴八鶴次郎』・夢野久作『白髪小僧』・海野十三『十八時の音楽浴』―この十冊を巡って繰り広げられる、壮絶極まりない稀書収集合戦の行方は。。。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
病で余命いくばくもない神保町の老舗古本屋の主が、後継者決定のために仰天計画を発表。同居している長女の夫と、次女の夫で古書店主としての才能を自負する、いずれも店員である2人に同じ10点の本を集めさせ、期間内にどちらがより安く手に入れるかを競わせるのだ。本のこととなれば正気を失うのが古本屋や愛書狂というもの。狭い世界の話だけに、本を集める2人の対決と、それに一枚噛んで儲けようとたくらむヘボ大学教授や、古書市の名物問題オヤジなど周囲の人間たちも生々しくおどろおどろしい。本のためにここまでするの!!というのは、紀田作品の“古本屋もの”を読む時いつも思う事で、もはや見守るしかない。そして、2人のどちらもが手に入れていないある本の競りの場で、事件は起こった。競売で仕入れたばかりのその本が消えた!身体検査をしても誰も持ち出していない。外は雨。一体誰がどんなトリックを使ったのか・・・?事件の謎解きはもちろんだが、やはり主眼は本に命を(!)懸ける面々の恐ろしくも滑稽な姿。また、紀田“古本屋もの”らしい古書業界裏話もたっぷり。本好き、読むのも好きだが集めること自体が好き、本という物質そのものが好き!!!な人におすすめ。なお、創元推理文庫版は『古書収集十番勝負』と改題されている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
病で余命いくばくもない神保町の老舗古本屋の主が、後継者決定のために仰天計画を発表。同居している長女の夫と、次女の夫で古書店主としての才能を自負する、いずれも店員である2人に同じ10点の本を集めさせ、期間内にどちらがより安く手に入れるかを競わせるのだ。どれも名だたる希書だ。(ちなみに、全ての本は実在する本のタイトルのもじりになっているが、『翡翠夫人』がさて何のパロディかはすぐおわかりになるはず。) 本のこととなれば正気を失うのが古本屋や愛書狂というもの。狭い世界の話だけに、本を集める2人の対決と、それに一枚噛んで儲けようとたくらむヘボ大学教授や、古書市の名物問題オヤジなど周囲の人間たちも生々しくおどろおどろしい。本のためにここまでするの!!というのは、紀!甡!?作品の“古本屋もの”を読む時いつも思う事で、もはや見守るしかない。 そして、2人のどちらもが手に入れていないある本の競りの場で、事件は起こった。競り落とされたばかりのその本が消えた!奪ったのは長女の夫か次女の夫か?しかし身体検査をしても誰も持ち出していない。外は雨。一体誰がどんなトリックを使ったのか・・・? 事件の謎解きはもちろんだが、やはり主眼は本に命を(!)懸ける面々の恐ろしくも滑稽な姿。また、紀田“古本屋もの”らしい古書業界裏話もたっぷり。本好き、読むのも好きだが集めること自体が好き、本という物質そのものが好き!!!な人におすすめ。 単行本(創元クライム・クラブ版)『魔術的な急斜面』改題。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!