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月の裏側
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月の裏側の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全67件 41~60 3/4ページ
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叙景詩としては全く素晴らしい。このような空気感を持つ作品は滅多に無い。ただ、その素晴らしい叙景にストーリーが上質に絡み合ってるとは言えず、通俗的に例えると「麺が全くダメな素晴らしいスープのラーメン」。一読の損はないが。 | ||||
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初期恩田ホラーのなかでもぴかいちの作品。水郷の町で起きる失踪事件に共通するのは、ぬらぬらとしたあの存在。モデルとなった彼の地、確かになにかがいそうです。 | ||||
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どこか寂しさの残る作品です。 「盗まれた町」という作品のオマージュなんですが、さすがですね。日本的情緒というか、郷愁というか、共同体の人間心理とじりじりと迫り来るホラー感覚が素晴らしい。 なかでもいちばんすごい手法がチャプター12から13への移り変わりですね。恐怖で盛り上げて盛り上げておいて、安らぎの中へすとんと落とす。落として落として落としていく。安らぎの中に不安を覆いかくしたんですね。すごかった。 | ||||
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読み終えて最初に、恩田陸さんが昔書かれた『球形の季節』の大人版みたいだなって思いました。テーマといい、設定といい、どこか『球形の季節』に似ているのですよね。 でも、同じような事件ですが関わるのが高校生ではなくて大人なので、事件への対処方法や考え方が違うのですが。『球形の季節』の高校生たちは変化を望むけど、『月の裏側』の大人たちは変化を恐れる、みたいに。 ただ両者とも、読んでいて面白いことには違いがありません。 この『月の裏側』を読んだあと、自分の周りにいるのは本物の人間だろうかって、疑いたくなりましたし。また、恩田陸さんの作品を買おうとも思いました。 でも、評価をするとしたら、星二つで。『月の裏側』のほうが完成度は高いと思うのですが、『球形の季節』のほうが、受けた衝撃が大きかったもので。 | ||||
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おもしろいが、設定はありがちかな?読むのが遅かったかな? 人間てなんだろう、自分ってなんだろう、存在って何? ホラーというより、いやホラーなんですけど深い問いかけがあります。 みんなもこんな事考えた事ないですか、青色とか赤色とか言ってるけど自分の認識している青色は他人が認識している青色とは違っていて本当の色って何なんだ?って考えた事とかないですか? うまく言えないけど、そんなこととか書いてあります。 あと、少し宗教的、一神教的です。 | ||||
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この小説からは、ピンク・フロイドの「狂気」がきこえてくる。まず心臓の音だ。無人の町からは、レジの音が急に流れてくるかもしれない。 静かな流れの恐ろしさもある。掘り割りに潜むものが、次第に大きくなり、ある日全体を支配してしまう。日常とは、みんなが同じ状態になれば、それが日常になるということなのだと思う。 | ||||
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作品の舞台となるのは、九州の水源都市「YANAKURA(架空)」 私は九州なんて一度も行った事がありませんが、読んでいる内に何故かとても懐かしい感覚に襲われました。 これはとても不思議で、今までにこんな作品には出会ったことがありません。 挿絵もないのに、その場その場の風景がとてもリアルに、鮮明に感じられる、恩田さんの描写力には感服します。 読んでいる間は、現実とは違った「YANAKURA」の中で生活している錯覚を覚えるほどでした。 事件の手がかりとなるアイテムにも個性があり、興味を惹かれます。 取材テープに混ざる異音、ちぎれた作り物の指、遺体を焼いた後に残る骨以外のもの...などなど。 本格的なミステリーと思うと肩透かしを喰らいます。 SFホラーくらいに思って読むと良いかもしれません。 ストーリーが次から次へと意外な方向へ展開していくので、飽きがきません。それどころか先が気になって仕方なくなります。 なので、分厚いですが一気に読めてしまいます。 ラストは賛否両論有ると思いますが、それは他の恩田陸作品にも言えること。恩田陸が好きな人には絶対お奨めです。 私は現実的で論理的な結末より、精神世界で締めくくられるような不安定なラストが大好きです。 恩田陸さん初心者の方は「MAZE」あたりから入るのがお奨めです。 「MAZE」もラストが賛否両論あるので、それで気に入ったら読むと良いかもしれません。 | ||||
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小さい頃、自分の見ている世界は、本当にみんなと同じだろうか、 そう思ったことが頻繁にありました。 自分が青だと思って青と言っている色は、 実は他の人の目には自分が赤と思っている色なのではないだろうか。 そんなふうに不安になったことが、何度もあって。 みんなと一緒は嫌、個性的でいたい。 そう思っているのに、でもなぜか時々、どうしようもなく不安を感じていて。 そのためか、この作品を読んで、 ひとつの共同体になることを、実はみんな望んでいるのではないか、と思ってしまいました。 みんなが一緒はコワイけど、 1人だけ違うほうがもっとコワイ。 | ||||
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どこかで読んだと思ったら、「屍鬼」と似てるんですね。(どちらが先か知りませんが)そこに踏み留まるか、いっそのこと、それになってしまうか。自分が自分であることの意義について、自分だったらどう選択するだろうと、考えさせられますが、「月の裏側」に象徴されるように、そちらに行ってしまった方が案外楽なのかも。ただ、ホラー小説としては、恐怖感を感じませんでした。 | ||||
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ある共同体が何かに巻き込まれたとき、しかもそれが避けがたいものであるとき、その中の人々はどういった行動をとるだろうか? 恐れおののき、惑い、そして…?小野不由美の『屍鬼』では、その共同体を崩壊させることによってカタルシスを得た。対して箭納倉の人々は、受容することによって平穏を得ることを選択した。このふたつは、両極であり、しかしよく似ている。なぜなら、共同体としてされる選択は「ひとつ」でしかなく、「ひとつ」の運命をたどるほかないからだ。その選択は、あるものにとっては意志的だが、またあるものにとっては気がつかないうちにそうなっていたというだけのものであったりする。しかし、その選択の結果は平等に、均一に確実に各人に配分される。白か黒か、グレーゾーンのない過酷さは、結局のところ共同体に属している人間の逃れられない重しであると、喉元に突きつけられるような気がした。 | ||||
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人類はもとも水の中で生活していた。しかし「何か」から逃げるように地上に上がって、個別の個体として生きてきた。だが、今また「何か」によって、ひとつにさせられようとしている。奇妙な話だけれども、読んでいて惹きつけられる。失踪した人たちは「盗まれる」のだろうか?いや、もしかしたら本来の姿にもどされるだけなのかもしれない。人は人に対し、どこまでその本質をとらえていけばいいのだろう?大きなうねりのような生命の流れの中では、その問いさえも無意味なのかもしれない。 | ||||
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九州のとある街で起こる事件を中心に、展開するお話。歴史と、文学が好きな作家のようです。中学生から大人まで読める楽しいお話です。映画化されたら見てみたいなと思います。 | ||||
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水郷の町で起きる奇妙な連続失踪事件。失踪した者たちは皆、しばらくすると帰ってくる。その間の記憶を無くしてはいるのだが、決して嫌な感じはしなかったと言って…。そして、調べて行くうちに彼らは「盗まれた」ようだと気づく。作中で面白かったのが、「人間は生物学上の都合から別々のものになりたがっている一方で、一つにもなりたがっている。」というくだり。「個性」という言葉が流行であるように、自分が他の人と別物であることを望みながらも一方で、少数派であることを極端に恐れる。本作の主人公たちの「盗まれる」ことによって「自分で無くなる」ことを恐れながら、一方で「盗まれる」ことで多数派になった者たちの安堵、心地よさも知っていて…。作品の形としては、ホラーというか、SFというかを用いて「恐怖」が前面にあるのだが、その中で、「個性」と「多数派」を同時に求める人間の面白さを感じた。なかなか不思議な味わいのある作品だと思う。 | ||||
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じっくりじっくり恐怖が押しよせてきて、いてもたってもいられなくなる恐怖・・・というものをこの本で味わいました。恐怖だけでなく、「自分とは、人間であることとは・・・」というように、「自分」についても考えさせられた作品です。SFとも言い切れず、ホラーともいいきれない、不思議な、でもすぐそばで起こっていそうなお話です。「人としての恐怖」がじわじわと迫ってくる数時間でした。登場人物にも感情移入できるし、終わりかたも、恩田陸にしては珍しく、「そう、それしかないよね、このお話のおしまいは・・」っていう感じでした。九州の柳川。もう、怖くていけないかも。 | ||||
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ホラー要素が強くて、現実的。だからこそ味わえてこの恐怖感。窓の外の雨の音や夜の暗闇が、いつもどおりのはずなのにこの本を読んだ後は別格とも言える、存在感を感じずにはいられない。最後まで読んでいくつかの謎が残る。でも、その余韻が恩田陸特有なものだとも言えるだろう。 | ||||
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怖いけど、いわゆるホラーって感じとはちょっと違う。う~ん・・・考えれば考えるほどぞわぞわっとくる、そんな本です。ちょっと気持ち悪い部分もありますが。普通の日常が舞台なだけに、有り得そうで怖いです。夜、川の近い場所で窓を開けて寝る前の読書に読んでください。絶対怖いです。笑 | ||||
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だんだん鬼の増えていく鬼ごっこってありますよね。あれ、つかまらないうちは、すごくハラハラします。物陰に隠れたりして、最後の一人になったりすると、死にそうなほどドキドキします。だけど、なんかのはずみで、早いうちにつかまっちゃって鬼になったりすると、味わいが全く違ってしまいます。 星新一のコントにもあったけど、吸血鬼だって、自分が仲間になってしまえば、どうということはないのかもしれません。 この小説の楽しみ方としては、最後まで、「ヤツラにだまされるな、ヤツラにつかまるな!」と念じて読むことです。そうすれば最後の最後までイヤな汗をかくくらい怖いです。 | ||||
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この本を手取ったわけはミステリーの評論本の中で「郷愁の作家」などと書かれていたからだ。短絡的に舞台が田舎だからではなく、たしかに著者の独特の表現や感覚をを介して憧憬めいたものを感じた。しかし肝心なミステリーとしての本質、著者自身の考える物語のあり方が私にはどうにも共感しがたいものがありました。個人的に登場人物は好きでしたが、急激な視点の変化や物語全般にわたる倒叙的な構成は読者に対して気遣いを感じず、エンターテイメント的な感覚で買う人には歯がゆいものがあります。最後に作中の事件状況(誰もいないのに電気が通ったり、街の人が誰もいなくなったのに政府の対応や被害地域の言明がなされてないなど)にはリアリティーはなく、設定が些か幼稚な印象は否めません。 | ||||
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ゾクッとします。僕がこれを読んだのは台風で豪雨と風が窓を叩く真夜中でした。最悪なんだか最高なんだか、この本を読むシチュエーションとしてはおあつらえ向きです。ザアザアと降る音の中に何かが近づいてくる音がしないか?誰かがベッドの後ろにいないか?雨の、水の気配がしないか?誰かの吐息が――怖すぎです。「六番目の小夜子」然り「球形の季節」然り、「形容しがたい感情」を描かせたら恩田陸さんに敵う人はそうそういないのではないでしょうか。それを味わうためにでもこれは読むに値する作品だと思います。読むうちに皮膚がジットリと濡れてきて、背筋を汗が走るのがなんとも。しかし終わり方は上記の作品よりもまたはっきりしていません。ともすれば無責任とも取れるような終わり方です。初めて恩田陸作品を読む人にはおすすめできません。台風一過、といったような爽やかな読後感ではないですね。月の裏側は表と違ってのっぺりとしたお顔らしく。 | ||||
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恩田さんの物語では「謎を謎のままで残す」ということが結構あると思います。「謎にドキドキして解きほぐされていく過程に夢中になってラストの真相でぐぐっと来たい」私にはちょっと物足りないかな?感がありましたが…。九州の片田舎で起こった非現実的な出来事。出来事自体にも、『ひとつになる』という誰しもが持っているような考えにもどきっとします。文の間の取り方やテンポで、作品の世界がとてもリアルに感じられました。キャラクターもそれぞれ立っていて魅力的でした。 | ||||
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