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黄色い部屋の謎
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【この小説が収録されている参考書籍】
黄色い部屋の謎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 21~36 2/2ページ
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本書は今から100年以上前の1907年に新聞連載された本格推理長編作品で、3つの不可能事件(いずれも現場からの犯人の消失)が扱われているが、とくに第一の事件の完全密室である黄色い部屋から犯人が消失した事件は、今日に至るまで最高の密室トリックと賞賛する声が多い。 本書が優れているのはその密室トリックだけではなく、全体を通して縦横に張り巡らされた伏線とそれらを踏まえて行われる謎解きの論理にあり、その構成の緻密さは、およそ100年前の作品とは思えない程、見事な出来映えである。 さらに探偵対犯人という構図だけではなく、少年探偵ルールタビーユと名刑事ラルサンの探偵同士の対決という要素を盛り込んだことも、どちらが勝つか(もちろん主人公側が勝つに決まっているのだが)読者の興趣を最後まで途切れさせない。 その中でアラや不満を指摘すると、次の3点が挙げられる。 1)犯人は手を撃たれて出血しているのに、誰もロベール・ダルザック以外の手を調べないのはおかしい。ラルサンが手のケガではなく鼻血だと言ってるから、誰も調べなかったのだろうか? 2)犯人は第一の事件当時、別の土地にいたことになっている。犯人は、犯行を行うにあたって最低半日はその土地を不在にしなければならなかったはずで、その言い訳をその地の関係者に当然説明しているはずだが、その記述が一切ないのは少しアンフェアのように感じる。 3)ルールタビーユは犯人の隠されたもう一つの名前を暴き立てるが、それまで一度も登場したことのない名前を持ち出されても、そこには何の感銘も興奮もない。 なお、本書の第二・第三の犯人消失事件は、現代では絶対にありえないこととして一笑に付されるだろうが、本書が連載された当時はそうではなかった。というのは、本書執筆の3年前にモーリス・ルブランがアルセーヌ・ルパンを世に出しているからである。 この神出鬼没にして超人的な怪盗は、英国のホームズに対抗する当時のフランス国民の英雄であり、本書の犯人が行う超人業(瞬間的な変装技や瞬間移動とも思えるすばやさ等)はそのルパンを模したと思われる。だから本書は「ルパンもの」を読むように、そういう当時の背景に思いを寄せて読まれるべきだと思う。 逆に、ルブランの『奇岩城』を読むときは、本書のルールタビーユとラルサン、犯人の三つ巴の対決が、少年探偵イジドール・ボートルレと名探偵ホームズ、そしてルパンの三つ巴の闘いとして再現されているということに、そしてルブランとルルーのライバル対決に思いを巡らせるべきなのである。 | ||||
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《密室もの》に新機軸を打ち出した歴史的名作。 本作以前の《密室もの》は、侵入が不可能であるという状況を、いかに 空間的に突破するかといった観点のみで考えられてきた傾向があります。 そのため、人ならざるものがトリックとして用いられ、 どうしても日常から遊離した印象を与えがちでした。 しかし本作では、発想の転換がなされ「空間」以外の概念をトリックに組み込むことで、 人の心理的盲点を突き、《密室》となっても不自然ではない状況を創出し得ています。 また、本作では、中盤でもう一つ、不可能状況が発生します。 Tの字型をした廊下で、探偵たちが三方から曲者を 追い立てたのに、相手が忽然と消えてしまうというもの。 世に言う《鉤の手廊下の消失》です。 ただ、このトリックに関しては真相が分かると拍子抜け。 なんで探偵たちは、すぐに気づかなかったんだろうかと訝しく思ってしまいます(w これらのトリック以外に、本作のセールスポイントをあげるとすると、 二人の探偵の推理対決という趣向、そして「意外な犯人」になるでしょう。 発想法や捜査法が対照的な二人の探偵の推理対決という趣向は、 一種の《多重解決》の興味があり、著者の苦労が偲ばれます。 そして「意外な犯人」の方なのですが、当時としてはかなり衝撃的だったと思います。 ただ、現在から見れば、類型化したひとつのパターンに過ぎず、 これだけで、サプライズとするのは苦しいところです。 しかし、それも演出次第であり、アレンジを加えれば、現在でも充分通用するものです。 本作は、読者に提示されるデータが不十分でフェアではないという批判もありますが、 それを補って余りあるミステリ的アイディアが溢れており、歴史的名作であることに 疑いはありません。 | ||||
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オペラ座の怪人は、最初は音楽で、次に映画で、最後に原作を読みました。 映画の印象が強いので、原作をしっかり消化できたように思えなかったので、 ルルーの他の著作を読もうと思って、この本を手に取りました。 ミステリーがすごく好きという訳ではありませんが、 オペラ座の怪人よりは、容易に読み進むことができました。 文学者で、映画化で脚光をあびるものがいろいろありますが、 オペラ座の怪人は、その筆頭かもしれません。 こうやって、他の著作の方を満足してしまう読者がいるのですから。 | ||||
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10年に1度位読み返す。 「本格派」にふさわしい格調高い舞台設定や登場人物など その雰囲気がとても好きなので、小ざかしい小手先のミステリに 辟易したときに読みたくなる。スジがわかっていてもです。 FWクロフツもそういう作家。 意見地味だが骨格がしっかりしているからでしょうか。 今読んでも密室もののナンバーワン。 これをこえる作品はもうあきらめています。 | ||||
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若い探偵ルールタビーユ そして 名探偵 ラルサンという 頭脳明晰な二人の謎解きに 読者は前半 惑わされてしまう。 黄色い部屋から 誰にも知られずに犯人は どのように脱出したのか。 絶対不可能と思われることを,可能にした ガストン・ルルー。 「オペラ座の怪人」しか この作家のことは知らなかったが、この本は最高の推理小説だ と思う。 そして この本には犯人・トリックの謎解きのほかに もうひとつ驚かされる結末が待っ ていた。 続編と言われている本も読みたくなる最後である。 | ||||
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発表後、1世紀以上経った今でも「密室事件」の最高峰である。ミステリを読み始めてから早や40年、この密室トリックを越える密室物に出会ったことはない。 当時は新聞に連載されていたらしい。好評だったのは予想できるが、そのため無理に長い物語になってしまった。事件現場に電車で向かう探偵役R.タビーユはその段階で事件の真相を看破していたのだから、即決の筈。しかし、彼は「黒衣婦人の香り」(同名の作品を後に発表している)などと呟いて読者を焦らすのだ。2番目、3番目の事件はあらずもがな。 しかし、最初の密室トリックがあまりにも素晴らしいので、欠点は全て隠れてしまう。作者は現在では、舞台「オペラ座の怪人」の原作者として名高くなってしまっているが、本作はミステリ史上に残る大傑作である。 | ||||
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書き方がとても上手な作家だと思いました。 ふつうの描写の仕方では、ラルサンの****も、不思議なガルリーも、意味をなさなかったでしょうね。 作者は、探偵役ルルタビユのせりふも、細心の注意をはらって書いてます。 読者をたぶらかすために、言葉を選びに選んで、ふさわしい語り口を選んでいます。 すばらしいです。 アガサ・クリスティがこの作品に、ひどく感心したそうですが、よくわかります。 念入りに仕組まれた小説の中に、意想外の真相が、巧みに隠されているのですから。 | ||||
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本格ミステリーでは、密室トリックは定番中の定番アイテムですよね。あらゆるミステリー作家が様々なアイデアを用いて密室トリックを生み出してます・・・けど、僕は実はこの密室トリックってのがあまり好きではないのです。ドアも窓も鍵がかかった室内で殺しが!犯人は消えていた!とか言われても、まあどうせ何とかしたんだろう、って思ってしまうわけです(これはどんなトリックでもそうなんですが、密室モノではその思いが著しい)。しかも真相で、実は糸を使って・・なんて探偵が解明しちゃうと一気に白けますね。あぁやっぱ糸ね・・とか。 だから国内ミステリーでよくあがる「本陣殺人事件」や「刺青殺人事件」もあまり好きではないです。 ところがどっこい、この作品については、とても楽しめて読めてしまった密室でした。上記の物理性を用いた小手先のトリックじゃないのがいいですよね。なんかアダルトなレベルで知的に感じるんです。そして探偵と記者による推理合戦が、とてもスリリングでスピード感があるのも読み応えがあります。まさに名作の冠に相応しい作品だと思いました。 | ||||
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推理小説を数多く読んでいると、残念ながら感性が麻痺してしまい、たいていの謎には驚かなくなってしまいます。どんなに不可思議な事件でも、「どうせ最後には探偵が見事に解決するんでしょ」と醒めた視線で見てしまうのです。しかし、この小説に出てくる3つの密室の謎は実に新鮮に感じられました。心の底から、どうして犯人は無事に逃げ出せたのか、知りたくてたまらなくなります。そして、その謎が解けた時の驚き。私の読んだ範囲内では密室トリックの最高峰に位置します。 ただ、この作品は重大なルール違反をおかしています。他の推理小説のトリックの種明かしをしてしまっているのです。エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』とコナン・ドイルの『まだらの紐』をまだ読んでいない人は、それらの本を先に読んだ方が良いと思います。 | ||||
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科学界の大物スタンガースン博士の令嬢が「黄色い部屋」で血の海の中に倒れているのが発見されますが犯人の姿はどこにも見えません。秘密の抜け道の様なものもなく完全に密閉された部屋から犯人はいかにしてその姿を消したのか、というお話です。 現在読んで面白いというよりは、その歴史的価値に意味があるという作品でしょう。 心理的密室を作り上げた発想力と読者の注意を巧みにそらせる手腕については素晴らしいと思いました。 時代背景もあってかやや大時代的な描写が見られますが、次作の「黒衣婦人の香り」に比べればまだマシなので強くは言えません。 現在までを見渡しても数少ないフランスの本格推理小説として貴重な作品です。 | ||||
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この作品は世界でもっとも完成された密室トリックを使った作品として有名です。トリックもなかなかですが、しかしなんと行っても醍醐味はこの本に出てくる人体消失の謎でしょう。つまり行ってしまえば犯人当てです。密室トリックで優れている点では唯一仕掛けなどが使われていないところです。しかし黒衣婦人と黄色い部屋の秘密を読むとしたらこれはどうしたって黄色い部屋から読んでいただきたいと思います。明らかにトリックにしろ犯人当てにしろ優れているのは黄色い部屋のほうです。それに黒衣婦人を読んでしまった方には申しわけありませんが黒衣婦人を読んでしまうと犯人がわかってしまいそれだけでもこの本の魅力が半減してしまうのはまちがいないでしょう。ぜひどっちを買うか迷っているかたは黄色い部屋からよんでください。 | ||||
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密室トリックについては最後やられた~と思いました。ルルーお得意の発想の転換ですね。まあ、この謎を解きたい人は本を読んでみてください。ストーリーのほうは「オペラ座の怪人」ミュージカルに負けずと劣らずロマンチックです。恋愛にまつわる複雑な謎が絡み合い、貴方を魅了してくれますよ。 | ||||
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「オペラ座の怪人」「黒衣婦人の香り」に引き続き、日影 丈吉氏の翻訳です。 やはり、上の二つを読んだのならばこの本ですべて揃えてみるのも筋でしょう。 読みづらいところも多々ありますが、それはそれで味があります。 是非日影版「黄色い部屋」も読んでみてください。 | ||||
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銃声がなり悲鳴があがった令嬢マチルダの部屋は完全に密閉されていたにもかかわらず、マチルダは鈍器で殴られ、銃で応戦した。犯人はどこへ消えたのか?謎の犯人を追いつめた、ルールタヴィーユと探偵ラルサンは2方向から追い込んだにもかかわらず、2人がであったとき犯人は消えていた!密室関係の謎をこれでもかと満載しながら活劇小説のおもしろさを詰め込んだこの作品は密室もの推理小説の最高峰の一つといえます | ||||
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銃声がなり悲鳴があがった令嬢マチルダの部屋は完全に密閉されていた にもかかわらず、マチルダは鈍器で殴られ、銃で応戦した。 犯人はどこへ消えたのか? 謎の犯人を追いつめた、ルールタヴィーユと探偵ラルサンは 2方向から追い込んだにもかかわらず、2人がであったとき 犯人は消えていた! 密室関係の謎をこれでもかと満載しながら活劇小説のおもしろさを 詰め込んだこの作品は密室もの推理小説の最高峰の一つと いえます | ||||
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本作は《密室殺人》というテーマに沿って何か語ろうという時、決してはずすことが出来ない作品だろう。この種の犯罪を扱う後の作品の多くが、この一作を起点にして発想されていることは疑う余地がない。《密室》の巨匠とも呼ばれるディクスン・カーにしたところでそれは同様である。その証拠に、カーは著作「三つの棺」の作中にある密室講義でも本作のトリックとその歴史的価値について触れている。 犯罪記録や裁判について新聞に寄稿していたルルーではあったが、ミステリは本作が始めての作品だった。著者は執筆に当たりポーやドイルなどの先達によるミステリに影響を受け、しかしそれらを上回る論理的な密室殺人事件をここで作り上げようと考えた。著者からすれば二作家による密室事件は、トリックとして不十分なもので、特に解明にあたって《密室》という物理条件を翻してしまうことが、アンフェアと見えたようだ。この逸話は有名で、著者自身が残した熱っぽい言葉によっても確かめることが出来る。 物語は長編のミステリとしてよく書き込まれている。推理のために必要な描写以外にもサスペンスやロマン、犯罪の裏に潜むドラマの気配など多くの要素が、重層的にくみ上げられている。長編推理がまだそれほど一般的でなかった時期に、この完成度は評価できるだろう。 しかしやはり全体的なまとまりとしては幾分散漫な印象もあり、特に中間部で視点を変えるなどの手法を使っている部分では、テンポ感に乱れが出るのが気になる。第二の事件では仰々しい表現や感嘆符を重ねドラマティックに描写しようとするが、この時視点となるルールタビーユの意図が掴めないので、読者はサスペンスを感じにくく冗長に思う。 またルールタビーユが何度も口にする《黒衣婦人の香り》と言う台詞が本作の中では意味不明のままで、次作に持ち込まれていくのもスタイルとして疑問がないでもない。 | ||||
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