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死の殻



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【この小説が収録されている参考書籍】
死の殻 (創元推理文庫)

死の殻の評価: 4.25/5点 レビュー 4件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.25pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(5pt)

ブレイク初期の名作

『野獣死すべし』で有名なニコラス・ブレイクの第二作目で、 '36年発表。邦訳は雑誌掲載のみで、久しく入手困難でしたが、意外性(笑)の創元推理文庫さんから、改訳されて出されました。二十一世紀に入り、忘れ去られつつある作家なので、一ファンとしては嬉しい限りです。

処女作での成功により、余裕ができたのか、本作では、ミステリ的な仕掛けが多く見られます。
また、自身の故郷のアイルランドを事件の真相究明ために、探偵ナイジェル・ストレンジウェイズが訪れるなどしていて、自分の書きたいものを詰め込んだ感じもします。

第一次世界大戦の空軍の伝説的英雄であるファーガス・オブライエンは脅迫状を受け取っていた。そこには、クリスマスでの殺害予告が書いてあった。警察の大袈裟な警備を嫌う彼の意を承けた、副警視総監の叔父から依頼されて、その護衛を引き受けたナイジェルだったが、犯人に出し抜かれてオブライエンは、殺されてしまう。
一面雪の降り積もった小屋の周囲には、行きの足跡一組だけで、犯人はどうやって姿を消したのか?
一見不可能状況の犯行(この点はあまり強調してませんが)をナイジェルは、容疑者を絞り込みながら、やがて事件の真相を追って、オブライエンの故郷であるアイルランドに向かう。
そこには不慮の死を遂げた薄幸の少女の存在があった…。

本作でのテーマは、後年のブレイクの諸作にも多くある復讐です。

個人的には、悲劇的な復讐者の姿はもちろんですが、その遠因となった過去に死んだ少女の姿も印象に残りました。

ナイジェルが、現地でその少女の薄幸な話を聞いた時に、目がチクチクとした、という描写がありますが、自分も同じように感じました。

ブレイクは人物描写に長けているので、総じてどの作品でも主役から端役に至るまで、生き生きと描いているので、本作も例に漏れずトリック云々だけで、はかれない余韻の深い作品となっています。

名作です。

是非ともご一読を。
死の殻 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:死の殻 (創元推理文庫)より
4488233023
No.2:
(5pt)

文学性とプロットの見事な融合

原題THOU SHELL OF DEATH [1936年刊行]
桂冠詩人セシル・デイ・ルイス(名優ダニエル・デイ・ルイスの父でもある)として、そして名作『野獣死すべし』で知られる著者の第二長編。
文学的教養が単なる衒学や装飾にとどまらずプロットとこれほど有機的に結びついている例を寡聞にして他に知らない。
折りに触れて再読を重ねているが、そのたびに孤独な復讐者たる真犯人像に心打たれる。
探偵ナイジェル・ストレンジウェイズの人物像も後期の透明な、悪く言えば無味乾燥なキャラクターでなく他者への共感を隠さず、煩悶し心揺さぶられる多感な青年として描かれている。
結末で明かされるタイトルに込められた寓意も素晴らしい。
世評高い『殺しにいたるメモ』や『メリーウィドウの航海』を上回る傑作。
死の殻 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:死の殻 (創元推理文庫)より
4488233023
No.1:
(4pt)

力作です

代表作といわれる「野獣死すべし」もまだ未読、本書を含めてニコラス・ブレイクのミステリは4冊しか読んだことがないのにこんなことを言うのも何ですが、この「死の殻」は著者の作品の中でも『力作』の部類に入るのではないでしょうか。雪が降り積もった密室状態での殺人の謎、何度も組み立てては修正・訂正が繰り返される推理、絶妙に張られた伏線、最後の最後にあかされる事件の真実と、ミステリのおもしろさとすごさを満喫できます。ただ、英語での言葉遊びや古典・文学からの引用が頻繁に出てきて(「死の殻」という題も戯曲からの引用だそうです)、英語のわかる人や古典に詳しい人ならば感心したり納得したりできるのでしょうが、私にしてみれば読みにくかったですが、そんなことを抜きにしても、充分に楽しめる一冊です。
死の殻 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:死の殻 (創元推理文庫)より
4488233023

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