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警部ヴィスティング 鍵穴



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【この小説が収録されている参考書籍】
警部ヴィスティング 鍵穴 (小学館文庫 ホ 2-2)

警部ヴィスティング 鍵穴の評価: 3.86/5点 レビュー 7件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.86pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(5pt)

彼は何故そんな大金を保管していたのか?

「三億円事件」を連想し、世間体を気にする地位ある父親が息子の犯行を知って自殺を強要・・・とかいうツマラナイ予想はまるきり外れていました。彼は何故そんな大金を保管していたのか?その理由が納得いく形で提示されます。
警部ヴィスティング 鍵穴 (小学館文庫 ホ 2-2)Amazon書評・レビュー:警部ヴィスティング 鍵穴 (小学館文庫 ホ 2-2)より
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No.6:
(5pt)

鍵穴か、ジグソーパズルか??

カタリーナ・コードは肩透かし気味であったが、鍵穴では一転、私の覗き心を大いに満足させてくれました。
ヴィスティング・リーネ・スティレルのトリオ?がサスペンス満点の大捕り物を展開してくれました。パーナール氏曰く「税率を下げて、個人消費を促すべきだ」には同感同感!!
警部ヴィスティング 鍵穴 (小学館文庫 ホ 2-2)Amazon書評・レビュー:警部ヴィスティング 鍵穴 (小学館文庫 ホ 2-2)より
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No.5:
(4pt)

特命某重大事件捜査の型破りな顛末

主人公のヴィスティング刑事がなんと検事総長から呼び出され、急死した大物政治家の別荘から発見された大金の出所を探る極秘特命を受けるところから物語が始まる。
今回のテーマはミステリーらしからぬ政治家の汚職や経済犯罪かと首を傾げたが、やがて未解明の大金強奪事件や行方不明事件との絡みが明らかとなり、物語は思わぬ方向に展開していく。
このあたりのストーリーの運び方と構成は見事である。また、捜査のディテールもリアルで手に汗握る臨場感があり、読者を引き込む。
『カタリーナ・コード』で手段を選ばない切れ者として主人公親子を困惑させた国家犯罪捜査局のスティレル刑事が本書でも登場して、重要な役どころを担っているのも見どころである。
なお、物語の背景には、北欧で戦後長く続いた社会福祉国家政策が近年は新自由主義の揺さぶりを受けている事情を押さえておいたほうがいいだろう。

ただし、警察幹部ではなく、別系統の組織である検察トップが地方警察の刑事に捜査を依頼するのは違和感のある設定であるうえ、極秘捜査とはいえ、自宅を捜査本部として証拠物の大金が入ったダンボール箱を主人公の自宅倉庫に保管し、ジャーナリストである主人公の娘を臨時の本部員にして危険な秘密捜査をさせるのはどうだろうか。後者はジャーナリスト倫理だけでなく、民間人に危険な犯罪捜査を委ねる点で警察倫理からも問題がありそうだが・・・。
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No.4:
(2pt)

カタリーナコードが、、、

良かっただけに残念。あら、そんな話どこに出てきてましたっけ?とページを戻さねばならない場面多し。父娘のコミュニケーションも淡白。
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No.3:
(5pt)

人の個性をぶつけ合いながら、すべての謎と伏線をしっかりと回収してゆくエンターテインメント

『猟犬』『カタリーナ・コード』といい作品を連打しているのに、昨年のこの作品を見逃してしまっていた。今春、新作が出たのを機会に順番に読まねば、との反省読書。とりわけ前作から版元を変えて翻訳出版となった本シリーズは続けて4作を未解決事件四部作である。『猟犬』とはヴィスティングの娘リーネの立ち位置、職業、家族環境等が変わっているので、四部作まとめて邦訳とは小学館さん、グッドジョブ! 

 また『刑事ヴィスティング』(ドラマタイトルは警部ではない)の旧作二作(『猟犬』含む)を取りまとめたドラマ・シリーズをWOWWOWオンラインで視聴することができたので、同時に楽しませてもらっている。原作とはイメージが異なるものの、日本の低予算TVドラマに比べると相当に秀逸の映像で、鑑賞に値する。本も動画も人気が出て、他の邦訳も進むと有難い。

 ちなみに『猟犬』では警察官としての職務停止中という境遇だったが、本作では何と、検事総長から直々の特命責任者を命じられ、好きなスタッフを集結させて極秘捜査の任務に当たるという、またまた例外的な境遇で物語をスタートする。このアレンジの幅は、本シリーズの特徴かもしれない。

 本作では、大物政治家が急死した後に遺された大金の謎を極秘裏に究明する任務をヴィスティングが与えられる。情報収集役としてフリーの記者である娘リーネの他、鑑識のモンテルセンと操作をスタートするが、徐々に事件の裏闇が広がる中過去の事件の捜査責任者や、未解決事件を専門に扱う機関クリポスの捜査官スティレルも加わってゆく。

 過去を洗い出すと、空港での大金強奪事件、失踪事件、それに纏わりそうな未解決事件が繋がりを見せてゆく。一方で大金を収納し終わった政治家の別荘は放火される。という具合にヴィスティングが関わると、張り巡らされた導火線に一気に火が着くのは、本シリーズの特徴らしい。

 例によってページターナーぶりを発揮させながら、絡み合った複雑な糸のもつれを即席のチームワークで解いてゆくプロットの豊かさは並ではない。

 著者のホルストは、現職警察官として二十年のキャリアを持つという。その経験から生まれるストーリーには、現場リアリズムのような特性がおそらく顕著なのだろう。派手な事件と緻密な捜査、事件を探る個性的メンバーたちの勘どころなど、読むべき点、楽しむべき箇所が随所に見られ、飽きることなく身を任せられるストーリー運びである。

 人の個性をぶつけ合いながら、すべての謎と伏線をしっかりと回収してゆくエンターテインメントの完成度に拍手を送りたく思う。
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No.2:
(2pt)

がっかり

物語の入りは今後の展開を期待させるもので、途中は複雑な関係から推理する楽しさを味合わせ、いよいよ大円団。なんじゃこれは?と思わせる作品。延々といろいろな可能性を考えた時間が勿体ないと感じた。
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No.1:
(4pt)

「あざなわれる捜査」の綾、関係性の妙味

2020/2月に読んだ「警部ヴィスティング カタリーナ・コード」に続く警部ヴィスティング物の新しい翻訳。「警部ヴィスティング 鍵穴 The Innermost Room」(ヨルン・リーエル・ホルスト 小学館文庫)を読み終えました。因みに2020/10月に読んだノルウェー産ミステリ「最後の巡礼者」(ガード・スヴェン)は、第二次世界大戦が生んだもう一つの歴史の闇を照射しようとする傑作スリラーでした。そのような良いことがあると、やはりスウェーデンに限らずスカンディナビア産スリラーを無視することができなくなってしまいます。
 ヴィスティングは検事総長から急な呼び出しを受け、週末に亡くなった元国会議員・クラウセン(心臓発作のためその死因に疑わしい点は無かったが)のスターヴェルンにある別荘から八千万クローネ相当の巨額な外国紙幣が見つかったことを知らされます。そして、クラウセンは政界の大物でありながら、妻子に先立たれ、孤独な生涯を送っていたため、その「残された巨額な紙幣」の謎についての極秘捜査を命じられることになります。鑑識員・モルテンセンに加え、フリーランスの記者でありヴィスティングの娘でもあるリーネ、国家犯罪捜査局のスティレル(前回のレビューで私は彼をティレルと書いてしまった、しまった!)と前回の捜査側の主要メンバーもその捜査に巻き込まれていきます。その後、札束の入った段ボールが運び出された矢先、別荘は放火され、検事総長からは過去に起きた失踪事件についてクラウセンが関与していることを密告した手紙のコピーが手渡されることで事件は幾重にもその謎を深めていきます。そして、もう一つの重要な事件の関与が明らかになっていくわけですが、ストーリーを語るのはここまでにしたいと思います(笑)。果たしていくつかの事件の真相は、どう収斂していくのか?
 物語は、ノルウェーの警察捜査に基づいているのかどうか、とても地味に展開していきます。ヴィスティングと娘・リーナのそれぞれの立場を超えての、時に小さな諍いを繰り返しながらの関係性の妙味。決して抜きん出ようとはしないヴィスティングの地道な捜査と抜きん出ようとするスティレルの型破りな捜査の綾。それらは、前作同様、物語に或る深層的なダイナミズムを与えているような気がします。加えてこれも前作同様、スティーグ・ラーソンを引き合いに出すまでもない北欧メディアのステディな「姿勢」もまたとても興味深い。
 また、スリラーという見地からは、ある<登場人物>の存在が反転することで物語をキック・スタートさせ、効果的にサスペンスを盛り上げています。そして、この事件の真相に横たわる或るテーマに触れるとすれば、人は愛するものを失うことでその生き方を変えることを余儀なくされ、しかしながら例えばヴィスティングと娘・リーナのような関係性の下では良きベクトルが働き、何も変わることがないのでは?といった考察が頭を過ぎりました。パズルを完成させるためには、すべてのピースがあればいいわけではない。関係性の妙味を慈しみ、抜きん出たり、そのことを突然やめてみたり、他者へ注ぐ眼差しが少しでも暖かいものでありさえすればいいなどと少し小生意気なことを考えてみたりもしました。
 今回は、「未解決事件四部作」の二番目にあたるそうですね。次作を期待していますので、売れて欲しい。
警部ヴィスティング 鍵穴 (小学館文庫 ホ 2-2)Amazon書評・レビュー:警部ヴィスティング 鍵穴 (小学館文庫 ホ 2-2)より
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