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007/ロシアから愛をこめて
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【この小説が収録されている参考書籍】
007/ロシアから愛をこめての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.23pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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これはおもて表紙。うら表紙は、ボンド・ガール、タチアナ役の美しい女優、ダニエラ・ビアンキ。楽しめます。 | ||||
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中古で購入したが、文字が小さくて若干読みにくい。 | ||||
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「ジェームズ・ボンド」シリーズ第5作の新訳版。 旧訳版で井上一夫氏が読みやすさ重視で意訳した表現も、白石朗氏は原文に忠実に訳しているようだが、その分訳文がやや生硬になっている。これはもう好みの問題だろう。 旧訳版に収録された戸田安宣氏の「フレミングに見るイギリス的なもの」は、「イギリス的な、あまりにイギリス的な」と改題、加筆されて、本書にも再録されている。さらに、小山正氏の「クイズで読み解く「007映画」への情熱と愛」を加えて、新訳版ならではフレッシュさを出そうとしている。 007映画といえば、ダニエル・クレイグは今回の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年)でボンド役を降板するが、イオン・プロダクションは007映画自体は今後も製作していくようだ。同じ設定の中で別人が007という称号を引き継いで活躍するのか、あるいは世界観を一新してリブートするのか、ファンとしては興味は尽きない。 | ||||
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JFKの愛読書だったことと並んで 英国諜報部員ジェームズ・ボンドの名を広く世界に知らしめた映画版シリーズ。 中でも屈指の名作とされる『OO7危機一発』'63の原作だけに イロイロ語りたいだろうとは思いますが。 わざわざこんなにページを割く必要はないと断言します。 内容の方もトリビア満載のクイズ形式 と思わせておいて実はスタッフ、キャスト表見れば一目瞭然だったり 映画ファンには一般常識レヴェルだったりな情報ばかり。 また思い入れだかなんだか知らないけれど 最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』を監督”しなかった”ヒトについて クドクド話されても此方には意味不明です。 | ||||
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ありがとうございます | ||||
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去る10月31日(2020年)に亡くなった 初代ジェームズ・ボンド、ショーン・コネリーを偲んで。 映画『007危機一発』のパンフと同じく 緑色の地に ポートレートをあしらった表紙の 文庫本。 43年ぶりの再読であります。 映画『OO7私を愛したスパイ』のオモシロサに ノックアウトされ中学校の図書館で ハヤカワミステリ文庫阪『ゴールドフィンガー』 に続いて借りて読んだ。 国語の先生による定番の ~危機一発は間違い ~一髪が正しい というお小言もナツカシイ。 シリーズの枠を超え映画史レベルに評価され愛され続けている 映画版のムードとテンポも素晴らしいが 小説版の面白さと凄さを改めて認識。 前半部を丸ごと使って描写される ロシア(旧ソビエト時代)の 秘密機関スメルシュが練りに練った 暗殺計画。 勘付きつつも、その罠の中に飛び込んでいく 英国魂! 映画よりもそこら辺の濃厚さが 心地よい。 迫りくる危機また危機、罠からワナをかいくぐる ボンドの 行動の端々からにじみ出る 後世のスーパースパイのイメージとは裏腹の ただの人間ぶり。 本書に関しては ”一発”より”一髪”が似つかわしい。 | ||||
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「ジェームズ・ボンド」シリーズの第5作。 本作の舞台はソ連とトルコ、それにイスタンブールからパリに至るシンプロン・オリエント急行だ。作者イアン・ランカスター・フレミングは1933年にロイター通信の特派員としてモスクワに派遣され、メトロポリタン=ヴィッカース電気会社社員のスパイ事件の公判を傍聴して記事にした。1939年にも『タイムズ』特派員としてロバート・スピア・ハドソン通産大臣率いる通商使節団に同行してモスクワを再訪したが、どうやらこのときは秘密情報機関(SIS)からソ連の世情をよく観察して潜在兵力と士気を推測してくれと依頼されていたらしい。 1955年9月には、ブリッジ仲間で首都警察犯罪捜査担当副総監のロナルド・マーチン・ハウ卿が、国際刑事警察機構(ICPO)総会に出席するのに同行して、イスタンブールを訪れた。ICPO総会自体は案に相違して退屈な代物だったが、トルコでは9月5日にギリシャ人テロリストによる爆破事件が発生して、創作意欲を大いにそそられた。こうした騒然とした雰囲気は本作でも、SISの手先になっているジプシーの一族が、ソ連国家保安省(MGB)――現実にはMGBは1953年に内務省(MVD)に編入され、1954年にふたたび独立して国家保安委員会(KGB)になっていたが――のブルガリア人工作員たちに襲撃されるシーンや、SISトルコ支局長「ダーコ・ケリム」がMGBに殺された報復として、SISがソ連領事館を爆破するくだりに活かされている。 部員の裏切りなどの失態が相次いだソ連情報機関が、党指導部の批判にさらされる。ヨシフ・ヴィッサリオノヴィッチ・スターリン書記長が死去して、ラヴレンティ・パーヴロヴィッチ・ベリア内務大臣が失脚すると、東京でユーリー・アレクサンドロヴィッチ・ラストヴォロフ中佐、フランクフルトでニコライ・エフゲネヴィッチ・ホフロフ大尉、メルボルンでウラディミール・ミハイロヴィッチ・ペトロフ大佐とその妻エフドキア・アレクセイエヴナ・ペトロヴァ大尉、ウィーンでピョートル・セルゲーヴィッチ・デリアビン少佐が、粛清を恐れて西側に亡命したのは事実だ。 西側に報復を企てたソ連スパイの首脳たちは、SISに狙いをつけて、そのエース部員ボンドを3か月以内に「辱めて殺すべし」と決定。その実行を「スメルシュ」(「スパイどもに死を」の略)に委ねる。フレミングは本作の扉で「この小説の事件はとにかく、背景の大部分は正確な事実にのっとっている」と断言している。だが、スメルシュが存在したのは1943年から1946年までで、本作が執筆された1956年にはすでに廃止されていた。しかも、スメルシュはその名前から想像されるような暗殺機関ではなく、赤軍の監視機関だった。 フレミングが初めてスメルシュの名前を目にしたのは、第二次世界大戦直後、ある雑誌でだったという。その後、元スメルシュ要員を自称するロシア人亡命者がフレミングの勤務先ケムズリー・ハウスを訪れて、アパートの一室に缶詰めになって2万語もの証言を行った。第1作『カジノ・ロワイヤル』を読むと、「本部:レニングラード(モスクワに支部あり)」などという枝葉末節はともかくとして、「一課:ソ連の内外の各種組織における防諜活動を担当/二課:処刑を含めた各種作戦行動/三課:管理および財務/四課:捜査活動および法務。人事/五課:告発。SMERSHの捜査対象者全員に最終的な判決をくだす部局」という記述は、方面軍や軍におけるスメルシュの編制とおおむね一致する。察するに、そのロシア人はたしかにスメルシュの下級要員だったのだろう。だが、自分を売り込むにあたって、あたかもスメルシュが戦後も存続し、敵スパイを殺してまわっているかのように誇張したのではなかろうか。1960年ごろにはフレミングもこの誤りに気づいていたようで、第8作『サンダーボール作戦』からはスメルシュに替えて架空の国際犯罪組織「スペクター」を敵役に登場させている。 『ロシアから愛をこめて』の悪役は国家保安大臣「イワン・アレクサンドロヴィッチ・セーロフ大将」、スメルシュ長官「グルボザボイスチコフ大将」、第2課課長「ローザ・クレップ大佐」、企画課課長「クロンスティーン大佐」、首席死刑執行官の「クラスノ・グラニトスキー少佐」こと「ドノヴァン・『レッド』・グラント」。これらのうち実在した人物はセーロフだけだ。フレミングはセーロフを「あらゆる点においてベリアより大物だった」と持ち上げているが、これは過大評価だ。ベリアは一時党政治局員にまで上り詰めたが、セーロフは1958年にソ連軍参謀本部情報総局(GRU)局長に左遷され、1962年にGRU幹部オレグ・ウラディミロヴィッチ・ペンコフスキー陸軍大佐が米国の中央情報局(CIA)や英国のSISに寝返っていたことが発覚すると、そのGRU局長も解任されている。 クレップのモデルの1人は、中国、ラトヴィア、ドイツ、オーストリア、フィンランド、スウェーデンで暗躍したゾーヤ・イワノヴナ・ルイプキナ大佐らしい。ペトロフ夫妻の回想録Empire of Fearでルイプキナを知ったフレミングは、『ザ・サンデー・タイムズ』で記事にしている。合同国家政治局(OGPU)――正確には内務人民委員部(NKVD)だろうが――の工作員クレップは、スペイン内戦でトロツキー派のマルクス主義統一労働党(POUM)党首アンドレウ・ニン・イ・ペレスの愛人となり、のちに彼を暗殺して頭角を現す。バイセクシャルでもある。第6作『ドクター・ノオ』で、SIS長官「M」は、フランス軍参謀本部第二局局長「ルネ・マティス」たちに捕らわれてSISに引き渡されたクレップが、自殺したか、処刑されたかしたことを示唆している。フレミングはロシア語の労働運動スローガン「クレップ・イ・ロジィ(パンと薔薇を)」――つまり「最低限の生活と尊厳を」という意味――からローザ・クレップという名前を思いついたという。 表向きはチェスのモスクワ・チャンピオンでありながら裏ではスメルシュの参謀を務めるクロンスティーンは、美女と暗号機「スペクター」という餌を用意して、ボンドをフランスにおびき寄せ、痴情のもつれによる無理心中に見せかけて殺すという作戦を立案する。フランスの左翼系メディアがスキャンダルをセンセーショナルに書き立てれば、SISの面目は丸つぶれというわけだ。スペクターのモデルは、戦時中にドイツ国防軍が用いていた暗号機「エニグマ」だ。海軍情報部(NID)に所属していたフレミングはエニグマを入手する作戦を立案したが、採用されなかったという。クロンスティーンは爆弾を仕込んだスペクターで英国の暗号専門家たちを吹き飛ばそうとする悪辣さも見せる。 満月の夜に殺人衝動に駆られるグラントのモデルは、いうまでもなく狼男だろう。ドイツ人重量挙げ選手とアイルランド人ウェイトレスの間に生まれて、伯母に迷惑がられながら育てられたグラントは、粗暴な若者へと成長。北アイルランド独立を掲げるシン・フェーン党や密輸業者の用心棒を務める。16歳の満月の夜に浮浪者の喉を掻き切ったのを手始めに、満月の夜ごとに殺人を重ねる。警戒が厳しくなると、ベルファストに出てボクシング・ジムに所属し、18歳でチャンピオンに。英国陸軍にとられて通信隊の運転手になり、イングランドでの訓練を経て西ベルリンに配置される。オートバイで伝令の任務に就いたときに機密書類をごっそり持って東ベルリンに逃亡。「わたしは人殺しが特技なんですよ」とソ連国境警備隊将校に売り込めば、西ベルリンに送り返されて「バウムガルテン博士」を暗殺させられる。バウムガルテンのモデルは自由法律家協会(UFJ)のヴァルター・リンゼ博士だろう。1952年7月8日にリンゼは東独国家保安省(MfS)に拉致されてのちにソ連で処刑されている。バウムガルテンを手際よく殺したグラントは、ソ連でスメルシュから厳しい訓練を受ける。フレミングはホフロフの回想録『赤い暗殺者』でMGBのテロ訓練について学んだようだ。数々の暗殺指令をこなしたグラントは、満月の夜は死刑囚を好きなだけ殺戮することを許される。SISの同僚になりすましてボンドに接近し、殺害するために、クレップによって起用される。シリーズに登場する数々の悪役のうちでも、グラントの猟奇性は際立っている。レッド・グラントという呼び名は、フレミングが毎冬を過ごすジャマイカのリオ・グランデ河の筏下りのガイドの名前を、そのまま拝借したという。 クレップに呼び出されたMGB中央資料室イギリス課課員「タチアナ・ロマノーヴァ伍長」は、SIS部員を誘惑して英国に偽装亡命し、偽情報を与えて、ほとぼりが冷めたら帰国しろと命じられる。タチアナのモデルはマリア・クリスティーナ・ジャニナ・スカルベックだろう。ポーランドの伯爵家に生まれたクリスティーナは、戦時中に特殊作戦執行部(SOE)工作員として活躍して叙勲された。戦時中にカイロでSOEの同僚エドワード・「テッド」・ハウと友人になった。クリスティーナは1946年に英国に帰化してクリスティーン・グランヴィルと改名したが、自分の才能を活かせる仕事に恵まれなかった。1947年にカイロを訪れて、ケムズリー・ニュース・グループの特派員になっていたハウと偶然再会し、フレミングの名前を紹介された。フレミングに求職の手紙を書いて、ロンドンのシャーロット街の「ベルトレリ・レストラン」で対面した。1959年11月末に『ザ・サンデー・タイムズ』に連載する紀行文の取材でシカゴを訪れたフレミングは、街を案内した作家ウィリアム・フランシス・ノーランに、タチアナはクリスティーンをベースにしたと語った。タチアナの容姿は、瞳が茶色でなく青であることを除けば、クリスティーンそっくりだという。タチアナがロマノフ王家の遠縁だという設定も、伯爵家の血を引くクリスティーンと似ている。暗号官としてイスタンブールのソ連領事館に赴任したタチアナは、ケリムと接触して、中央資料室の職員としてボンドのファイルを扱ううちに本人に惚れてしまった、ボンドが迎えにきてくれるならスペクターを持って英国に亡命したいと申し出る。 ケリムから報告を受けたMは、怪しみながらもタチアナの申し出を受け入れる。 第4作『ダイヤモンドは永遠に』以来無聊をかこっていたボンドは、家政婦「メイ」から、共産党系の電機産業組合に属するセールスマンがテレヴィを売り込みに足しげく通っているという報告を受けても、受け流してしまう。このセールスマンはMGBの監視員だったのだろう。メイの名前は、フレミングの友人アイヴァー・フェリックス・C・ブライスのニュー・ヨークの邸宅の家政婦メイ・マックスウェルから採っている。 Mに命じられたボンドは、Q課に支給されたアタッシェ・ケースを携えて、イスタンブールに飛ぶ。シリーズでこうした秘密兵器が登場するのは本作が初めてだ。気まぐれで安宿「クリスタル・パラス」にチェック・インしたボンドは、ケリムとともにタチアナからの接触を待つ。ケリムのモデルは、フレミングがイスタンブール滞在中に知り合った船主ナジム・カルカヴァンだという。ボンドがケリムの知人だと知ったクリスタル・パラスの支配人が、ボンドを最高級の「新婚の間」に移す。ある晩ボンドが「新婚の間」に戻ると、黒いチョーカーとストッキングだけを身に着けたタチアナがベッドで待ち受けている。ボンドはタチアナとねんごろになるが、その濡れ場はマジック・ミラーの裏側からカメラで16ミリ・フィルムに撮影される。それにしても、ボンドが気まぐれに選んだホテルに、なぜスメルシュが罠を張れたのかは不明だ。 ボンドと親密になるためにシンプロン・オリエント急行でパリに向かえと指示されていたタチアナは、飛行機は嫌だと言い張る。ボンドとケリムもそれに引きずられてしまう。夜勤のとき領事館からスペクターを持ちだしたタチアナは、シルケジ駅で2人と落ち合ってトルコを出る。1950年2月24日に、ルーマニアの連合国管理委員会の米国代表部付き海軍武官ユージーン・サイモン・「フィッシュ」・カルプ海軍大佐が、アールベルグ・オリエント急行で旅行中に、オーストリアのザルツブルグ南郊のハライン・トンネル内の線路脇で、死体となって発見された事件を、フレミングは忘れなかった。オーストリア連邦警察ははじめ転落事故とみなしたが、ウィーンの米陸軍対情報部隊(CIC)は謀殺と考えた。カルプの海軍兵学校時代からの親友で国際電信電話会社(ITT)副社長でウィーン駐在のITT東欧担当代表のロバート・アレクサンダー・ヴォーゲラーが、1949年11月19日にハンガリーの国家保安局(AVH)に逮捕されて、1950年2月21日にブダペスト市裁判所でサボタージュとスパイ行為の罪で15年の禁固刑を宣告されていた。2月22日晩にウィーンにあるヴォーゲラーのベルギー出身の妻ルシールと長男ボビーと次男ビリーの住む家を訪ねたカルプは、スパイ行為の証拠となるような書類を回収してブリーフケースに収めたらしい。だが、現場ではそうしたブリーフケースは見つからなかった。1952年1月23日にルーマニア人学生が他の2人の共犯者とともに「外国組織」のためにカルプを殺したと自白したが、この自白は疑わしいとみられている。 1955年9月にICPO総会の取材を終えたフレミングは、あえて空路を使わず、ロマンと危険の香りに満ちたシンプロン・オリエント急行でパリに向かった。シンプロン・オリエント急行は食堂車を廃止していたが、フレミングはボンドたちに食堂車で食事させて、この旅に彩りを添えている。 ケリムはMGBの工作員「メルヒオール・ベンツ」と相討ちになって殉職。ケリムに代わってトリエステ支局の「ノーマン・ナッシュ中尉」が乗り込んでくるが、その正体はグラントだった。タチアナを抱水クロラールで眠らせたグラントは、ボンドに仕掛け銃を突きつける。列車がイタリア・スイス国境のシンプロン・トンネルに入ったら、その騒音に紛れてボンドを射殺し、タチアナを窓から放り出す計画だと語る。タチアナのバッグには、結婚してほしいとボンドに迫る手紙と、2人の濡れ場を撮影した16ミリ・フィルムが納められるという。つまり、結婚を迫るタチアナを列車から突き落としたボンドが、拳銃自殺したように見せかけるというのだ。だが、アタッシェ・ケースに隠したナイフで反撃したボンドは、グラントから奪った銃でとどめを刺す。 フレミングははじめ、ボンドとタチアナがロマンスを愉しむシーンで物語を終わらせるつもりでいた。だが、かねてからボンド・シリーズに行き詰まりを感じていたフレミングは、1956年4月に結末を書き変えた。第28章でボンドは、パリのホテル・リッツ204号室でグラントを待つクレップを捕えようとして、手痛い逆襲を喰らう。ショルダー・ホルスターからべレッタを抜こうとするが、消音器を上着に引っかけてもたつく。その間に、クレップの履いたブーツの爪先から、ナイフの刃が跳び出す。河豚毒が塗られたその刃で、ボンドは蹴られてしまう。ボンドの生死は不明のまま物語は終わる。つまり、フレミングはその気になれば本作を最終話にできるようにしたのだという。 さいわい、シリーズは続いた。『ドクター・ノオ』の第2章では、このミスで査問委員会にかけられたボンドが、兵器係「ブースロイド陸軍少佐」の勧告に従って、ベレッタからワルサーPPKに武器を持ち替える。現実世界のジェフリー・ブースロイドは陸軍少佐でこそなかったが、エジンバラの弾薬製造会社「インペリアル化学工業」の銃器専門家で、あるときボンドが武器の選択を間違っていると指摘する手紙をフレミングに送った。ならばとフレミングはブースロイドに実名で登場願ったわけだ(もっとも、イスラエルのモサドの暗殺者は、人間を殺すのに大口径の拳銃は不要だという考えで、ベレッタを愛用しているといわれる)。 『ロシアから愛をこめて』の原書の初版単行本の表紙には、イラストレーターのリチャード・「ディッキー」・ワーシー・チョッピングが用心鉄を削って早撃ちを可能にしたスミス・アンド・ウェッソンM36回転式拳銃と赤い薔薇の花を描いているが、これもブースロイドの助言によっている(チョッピングは本作以降のボンド作品の表紙絵をすべて描いている)。 1960年冬をジャマイカの別荘「ゴールデン・アイ」で過ごしたフレミングは、『ザ・サンデー・タイムズ』ワシントン特派員ヘンリー・ブランドンに誘われて、英国への帰途ワシントンに寄った。3月13日に友人マリオン・オーテス・ライター・チャールズの家で昼食をとったあと、車でジョージタウンの街を案内されると、歩道を歩く民主党大統領候補者ジョン・フィッツジェラルド・「ジャック」・ケネディ上院議員とその妻ジャクリーン・リー・ブーヴィエ・ケネディと遭遇。ライター夫人にケネディ家での夕食会にフレミングを連れていっていいかと訊かれて、ケネディ夫妻は快諾。夕食会でケネディにキューバのフィデル・アレハンドロ・カストロ・ルスにどう対処すべきか意見を求められたフレミングは、冗談半分に3つばかりの提案を行っている。 1961年3月に米『ライフ』誌に掲載された「ジョン・F・ケネディのお気に入りの10冊」という記事で第9位に『ロシアから愛をこめて』が挙げられていて、ボンドの世界的人気に火がついた。 | ||||
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中学時代に読んでいて、月間バーゲンで発見懐かしさから購入。 品切れの起きない電子書籍の良さを再確認中。 ターボプロップエンジンのバイカウント機をジェットエンジンとした迷訳を、当時は気付かず読み飛ばしていたのを飛行機をネット検索して気付きました。 ネットを検索しながら情景をよりリアルに想像出来ました。 バラエティ的な映画版と違って冷戦下のスパイ物とミステリ色が強く、中学生当時に驚いた記憶がある作品で。 映像作品と原作の違いを最初に意識させられた作品です。 | ||||
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今作では二章までボンドは登場せず、スメルシュ側の話が展開されています。 映画ではボンド不在のままそれほど長く引っ張る訳にもいかなかったのか、クレッブがグラントの品定めをする一部シーンはあるものの、一章部分はかなり端折られています。 この一章部分、上記二人の非常人ぶりが掘り下げられていて、映画「ロシアより~」が好きな方も必読な内容になっていると思います。 個人的にはマチスがまた出てきてくれたのが嬉しかったですね。 | ||||
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映画にかなり近い内容です。 まったく一緒というわけではありませんが、細かな心理描写が有るので映画と合わせてみると面白いです。 ヒロインもとても魅力的です。 | ||||
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まさに古典的読み物を新品同様に入手でき感謝しています。 文庫本の字が小さいので読みにくいのですが、楽しんで読んで いるところです。ありがとうございました。 | ||||
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訳者も懐かしい井上一夫さんで これが一番好きで面白いです 映画も無論素晴らしかった・・・ | ||||
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ショーン・コネリー主演の映画『ロシアより愛をこめて』の原作であることは改めて言うまでもないが、原作というよりは原案としたほうが正しい。 この作品に関しては、映画のほうが遥かによくできているし、断トツに面白い。 映画の順番と異なり、この小説はシリーズ第5作だから、中だるみだったのかもしれない。ストーリーに魅力がないのが一番の欠点。ただし、登場人物の描写やアクションシーンはさすがフレミングならでは。映画と違って、かなりローテクで驚く。 本国では私が生まれた年(1957年)に発表されたので、当時の雰囲気を知ることができる。 | ||||
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