利腕

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評判

利腕の評価:

4.48/5点 レビュー 21件。 B ランク

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平均点4.48pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全28件 21〜28 2/2ページ
No.8
(4pt)

作者自身の再生を図った作品

作者は元競馬騎手。作家に転向後、その経歴を活かして競馬界を舞台にした作品を次々に発表し、好評を博した。主人公は元騎手が多く、いずれもストイックな性格の持ち主。シリーズの代表作は「興奮」か。

だが、作者の手法はマンネリ化してきて次第にスランプに陥っていった。そんな作者の再生を示したのが、本作である。

本作の主人公シッドはこれまでと同様ストイックな性格に設定されている。プライドも高い。それが、敵の肉体的脅迫に合い、恐怖のあまり自身の持つ矜持が崩れそうになる。この自己の精神の崩壊と再生が本書のテーマであり、シッドの再生はまた作者自身の再生でもあるのだ。

シリーズ中でも、読み応え満点の快作である。
利腕 (1981年) (Hayakawa novels―競馬シリーズ) Amazon書評・レビュー: 利腕 (1981年) (Hayakawa novels―競馬シリーズ)より
B000J816NS
No.7
(4pt)

作者自身の再生を図った作品

作者は元競馬騎手。作家に転向後、その経歴を活かして競馬界を舞台にした作品を次々に発表し、好評を博した。主人公は元騎手が多く、いずれもストイックな性格の持ち主。シリーズの代表作は「興奮」か。
だが、作者の手法はマンネリ化してきて次第にスランプに陥っていった。そんな作者の再生を示したのが、本作である。
本作の主人公シッドはこれまでと同様ストイックな性格に設定されている。プライドも高い。それが、敵の肉体的脅迫に合い、恐怖のあまり自身の持つ矜持が崩れそうになる。この自己の精神の崩壊と再生が本書のテーマであり、シッドの再生はまた作者自身の再生でもあるのだ。
シリーズ中でも、読み応え満点の快作である。
利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18)) Amazon書評・レビュー: 利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18))より
4150707189
No.6
(5pt)

スカッとしました

競馬のことを知らないので、楽しめないかなと思いながらも、「アメリカ探偵作家クラブ賞受賞」「英国推理作家協会賞受賞」ということで、手に取りました。
 シッドは自分に厳しい人なので、「大丈夫?」と、ハラハラしますが、どのトラブルも乗り越えていきます。追いつめられ、ひりつく胸のうちを口にせずに突き進んでいくシッドはいい男です。
 周りの人間は「神経がない」と彼を評しますが、内面はその反対。読んでいる私にだけわかるシッドの苦しさに、親密感がわいてきます。
 日本とは違うイメージの優雅な競馬の世界の裏の話。陰謀、罠。ラストシーンは鮮烈です。相棒のチコもいい味出しています。
利腕 (1981年) (Hayakawa novels―競馬シリーズ) Amazon書評・レビュー: 利腕 (1981年) (Hayakawa novels―競馬シリーズ)より
B000J816NS
No.5
(5pt)

スカッとしました

 競馬のことを知らないので、楽しめないかなと思いながらも、「アメリカ探偵作家クラブ賞受賞」「英国推理作家協会賞受賞」ということで、手に取りました。 シッドは自分に厳しい人なので、「大丈夫?」と、ハラハラしますが、どのトラブルも乗り越えていきます。追いつめられ、ひりつく胸のうちを口にせずに突き進んでいくシッドはいい男です。 周りの人間は「神経がない」と彼を評しますが、内面はその反対。読んでいる私にだけわかるシッドの苦しさに、親密感がわいてきます。 日本とは違うイメージの優雅な競馬の世界の裏の話。陰謀、罠。ラストシーンは鮮烈です。相棒のチコもいい味出しています。
利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18)) Amazon書評・レビュー: 利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18))より
4150707189
No.4
(3pt)

もう少しリラックスしてよ、ハレーさん!

フランシスの競馬シリーズは、基本的に作品ごとに主人公が違う。だが、シッド・ハレーは例外で、「大穴」と本書「利腕」、そして「敵手」に登場する。ハレーは読者の人気も高いようだが、私はあまり好きではない。彼は自分の内なる弱さを克服しようと、常に自分を厳しく律している。フランシスの主人公は大なり小なりそうであり、それが悪いという気はない。ただハレーの場合、この性格が際立ちすぎていて、自虐的とすら言える。とにかく、精神的なゆとりが全くないので、読んでいて疲れるのである。前作「大穴」では、彼が第2の人生に踏み出す過程に重点が置かれていたためか、それほど気にならなかったのだが、本書「利腕」では、彼のこの "マゾ的突っ張り" がこれでもか、これでもかと前面に打ち出されており、かなり鼻についた。
利腕 (1981年) (Hayakawa novels―競馬シリーズ) Amazon書評・レビュー: 利腕 (1981年) (Hayakawa novels―競馬シリーズ)より
B000J816NS
No.3
(3pt)

もう少しリラックスしてよ、ハレーさん!

フランシスの競馬シリーズは、基本的に作品ごとに主人公が違う。だが、シッド・ハレーは例外で、「大穴」と本書「利腕」、そして「敵手」に登場する。ハレーは読者の人気も高いようだが、私はあまり好きではない。彼は自分の内なる弱さを克服しようと、常に自分を厳しく律している。フランシスの主人公は大なり小なりそうであり、それが悪いという気はない。ただハレーの場合、この性格が際立ちすぎていて、自虐的とすら言える。とにかく、精神的なゆとりが全くないので、読んでいて疲れるのである。前作「大穴」では、彼が第2の人生に踏み出す過程に重点が置かれていたためか、それほど気にならなかったのだが、本書「利腕」では、彼のこの "マゾ的突っ張り" がこれでもか、これでもかと前面に打ち出されており、かなり鼻についた。
利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18)) Amazon書評・レビュー: 利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18))より
4150707189
No.2
(5pt)

スポーツ精神で読みたい歴史的傑作!

『大穴』のシッド・ハレー・シリーズ続編ということで、連続して読む楽しみを満喫させてもらった。さて最初に言っておくが、本書はずば抜けた傑作である。他の作品のそれぞれも素晴らしいが、主人公を最も深追いした作品、そして作家の描きたいことを最も深く掘り下げ、最も丹念に描写し得た作品という意味で『利腕』はずば抜けているのだ。この書では作家のメッセージをうまく受け取ることができた。それほどまでに本書は表現力の豊かな作品であるようにぼくは感じたし、それだけどっぷりと作品世界に浸かって、夢中で400頁を繰ってしまったということなのだ。
 中でも、脅迫によって自己破壊・自己蔑視の極限に追い詰められた主人公が、恐怖を乗り越える過程の描写は素晴らしい。具体的には熱気レースに身を投じる男との出会いのシーンは、いつもぼくのいう小説的カタルシスの最たるもの。自己を如何に卑下しようと周囲の人物の眼に映る彼の姿は、読者の眼と同等に、ある種の尊厳に生きる男でしかないのである。それは恐怖を克服することでチャンプをものにしたことのあるシッド・ハレーの経歴であるし、前作「大穴」で過酷な闘いの中で、相手を捩じ伏せたハレーの土俵際での信頼性である。
 『利腕』には、複雑に絡み合った4人の依頼主と3つの事件がある。うち2つの事件は、ハレーたちへの先制攻撃・脅し・暴力に満ちている。それらは、常にそうした危険の大きい職業に付随してくるはずの命題であり、シッドのような男の存在への思い詰めた問いかけでもある。
 読みどころは多数ある。シッドと対極的な性格にある相棒チコ・バーンズとの友情や信頼は、最後の最後まで魅せてくれるし、過去の妻や新しき恋人との心の集積回路はデリケートで脆くできている。義父との、立場を越えた信頼関係や、調教師が「乗れよ」と差し出してくれる名馬フロティア。
縦髪と風のそよぎに、凭れかかる一瞬の安堵。また非情な暴力のさなかで、そのフロティアや、過去の障害レースでの優勝や、気球に憑かれ楽しそうに青空を舞う男のことや、新しい恋人を思い自らを鼓舞するシーンは秀逸であった。ぼくはフランシス作品のこのスポーツ感覚がたまらなく好きなのである。
利腕 (1981年) (Hayakawa novels―競馬シリーズ) Amazon書評・レビュー: 利腕 (1981年) (Hayakawa novels―競馬シリーズ)より
B000J816NS
No.1
(5pt)

スポーツ精神で読みたい歴史的傑作!

 『大穴』のシッド・ハレー・シリーズ続編ということで、連続して読む楽しみを満喫させてもらった。さて最初に言っておくが、本書はずば抜けた傑作である。他の作品のそれぞれも素晴らしいが、主人公を最も深追いした作品、そして作家の描きたいことを最も深く掘り下げ、最も丹念に描写し得た作品という意味で『利腕』はずば抜けているのだ。この書では作家のメッセージをうまく受け取ることができた。それほどまでに本書は表現力の豊かな作品であるようにぼくは感じたし、それだけどっぷりと作品世界に浸かって、夢中で400頁を繰ってしまったということなのだ。 中でも、脅迫によって自己破壊・自己蔑視の極限に追い詰められた主人公が、恐怖を乗り越える過程の描写は素晴らしい。具体的には熱気レースに身を投じる男との出会いのシーンは、いつもぼくのいう小説的カタルシスの最たるもの。自己を如何に卑下しようと周囲の人物の眼に映る彼の姿は、読者の眼と同等に、ある種の尊厳に生きる男でしかないのである。それは恐怖を克服することでチャンプをものにしたことのあるシッド・ハレーの経歴であるし、前作「大穴」で過酷な闘いの中で、相手を捩じ伏せたハレーの土俵際での信頼性である。 『利腕』には、複雑に絡み合った4人の依頼主と3つの事件がある。うち2つの事件は、ハレーたちへの先制攻撃・脅し・暴力に満ちている。それらは、常にそうした危険の大きい職業に付随してくるはずの命題であり、シッドのような男の存在への思い詰めた問いかけでもある。 読みどころは多数ある。シッドと対極的な性格にある相棒チコ・バーンズとの友情や信頼は、最後の最後まで魅せてくれるし、過去の妻や新しき恋人との心の集積回路はデリケートで脆くできている。義父との、立場を越えた信頼関係や、調教師が「乗れよ」と差し出してくれる名馬フロティア。縦髪と風のそよぎに、凭れかかる一瞬の安堵。また非情な暴力のさなかで、そのフロティアや、過去の障害レースでの優勝や、気球に憑かれ楽しそうに青空を舞う男のことや、新しい恋人を思い自らを鼓舞するシーンは秀逸であった。ぼくはフランシス作品のこのスポーツ感覚がたまらなく好きなのである。
利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18)) Amazon書評・レビュー: 利腕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 12‐18))より
4150707189