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殺人都市川崎
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殺人都市川崎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.42pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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誇張はありますが、どこか痛快な川崎ディスり。 これを地元民が面白いと感じられるかの境目は、実際に舞台となる「川崎区」の状況を知っているかどうかだと思います。 川崎市でも、川崎区から離れた地域の人、川崎区と関わりのない人が読んでもピンとこないかも。 隣接した川崎区と幸区の雰囲気の違い、武蔵小杉住民の思い上がり、もちろん現実はここまでひどくないですが面白かったです。 ただ、自分も後から川崎に来た外様です。 揶揄されているような生粋の川崎区民が読んだらどう思うのか気になりますが、彼らが本を読むイメージはあまりありません…。 (イメージです、もちろん川崎区民にも色んな人がいます。) 読んでいる途中からたびたび違和感がありましたが、最後のドンデン返しは突拍子もなさすぎて驚きました。 ただ、オチを知ってから読み直すと確かに新たな発見がありました。 作者の新作が読めないのが残念です。 | ||||
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本年、2月に亡くなられたとのこと。本作が最後の作品となったようです。シュールな幕切れのお話となりました。 作者によるデフォルメがありますので、少し作品の背景である川崎の街について補っておきますと、だいたい、ここで注目されているJR川崎駅近くの繁華街は、もともと「昭和時代」の華やぎをのこしたところでした。そして、さらに遡りますと、宿場町であった川崎、俗に言う川崎宿がその歴史的な発端となっています。多摩川をわたるとお江戸。多摩川からこちら神奈川、旧相模国川崎は、いずれ、京浜東北線ならば、鶴見、新子安、東神奈川、横浜、とつづきます。 大正以降川崎は2度壊滅状態となり、ほぼゼロの焼け野が原から2度立ち直っています。関東大震災と第二次世界大戦ですね。大震災のあとに映画館ができます。東京と横浜にはさまれて、あまり目立ちませんが、復活の底力は住民の地力のあらわれでした。 川崎大師という有名なお寺、作中に平間寺ともありますが、ここは、もっと歴史が古くて、12世紀の終わりごろです。やはり関東大震災、大東亜戦争と2回被災して、ながく伝わった寺の宝などもずいぶんと焼失しています。初詣の客が全国でもトップレベルの数となります。 昭和の終わりごろ、チネチッタという「イタリアを模した映画館街」が生まれてから、もともとのイタリア由来の底抜けの明るさを遠くいろいろと輸入しました。あちらでは、フェリーニ、ヴィスコンティ、ワイラーらによる映画作成のおこなわれた撮影所の名前です。イタリアも我が国も第二次大戦の敗戦国でしたので、映画製作は国土復興の時期にも行われていた事業でありました。わたしには、川崎チネチッタの映画広告のための画を描いていた知り合いがいましたので、なかなか面白い話をいくつか聞いています。確か地下街アゼリアの充実と同時期でしたので、一時期、明石家さんま氏、大竹しのぶ氏らの『男女七人……物語』の撮影の舞台ともなりました。 競馬競輪の行き帰りのアニさんたちのたむろする、つまり耳の上に赤鉛筆、手には新聞がある、多くの国籍のひとびとの出入りする駅でしたので、一時期は川崎駅は人種のるつぼ、路上生活のひとも多少あるところでした。 それが平成年間のあいだに、なんだか少しきれいなマチに変わってきたのです。で、本作では、「殺人都市」となりました。これはいかんともなしがたいです。 でも、しずかなハミングを聞いてよ。「余計に川崎が懐かしくなる。同じような雰囲気の、イタリアを模した映画館街のことを思い出すからだ。」(p.137) | ||||
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. 浦賀和宏を読むのは、これが初めてである。しかし、彼の存在は、デビュー当時から知っており、デビュー作を含めて何冊かの話題作は、その都度、読むつもりで購入してもいたのだが、その時々の優先順位の関係で、いずれも積読の山に埋もれさせてきたしまった。 今回は、書店で見かけて手に取り「浦賀和宏にしては薄いな。帯の推薦文を見ても、悪くはなさそうだし、これならすぐに読めそう」だと思ったのだが、解説を見てみると、浦賀が今年(2020年)の2月に、41歳の若さで亡くなったと、千街晶之が書いていた。 そうか、それなら、これは読まないといけないなと、私は購読を決めたのである。 浦賀和宏のデビューは、とても印象に残っている。 綾辻行人のデビューに始まる「新本格ミステリ」の最盛期、当時最も勢いのあった公募新人文学賞であるメフィスト賞の、第4回受賞作『Jの神話』(乾くるみ)、第5回受賞作『記憶の果て』(浦賀和宏)、第6回受賞作『歪んだ創世記』(積木鏡介)として、3冊同時の受賞作が一度に刊行されてため、大変インパクトがあったのだ。 とは言え、この3作は現時点でも未読である。 読みたいのは山々だったが、当時も今も、私には読みたい本が山ほどあるので、よほど評判が良くないと、なかなかすぐには読めず、後回しにしているうちに、さらに読むべき本がどんどん増えていくというパターンになってしまうからだ。 乾くるみについては、私が竹本健治ファンだったので、その代表作である『匣の中の失楽』へのオマージュ作である第2作『匣の中』だけは読んでいる。しかし、凝ってはいるが、さほど高くは評価できず、その後は乾の作品を読んではいない。積木鏡介の方は、前記受賞作を含めて、あまり評判が良くなかったので、触手が動かなかった。 そうした意味で、ながらく気になっていた課題の作家が、浦賀和宏だったのである。 浦賀の作品は、「世界観がひっくり返る」というタイプで、やや「うつ」的な作風である、というのは、なんとなく耳に入っていた。 私は、そういう作風が嫌いではないので、気にはなっていたのだが、ただ、年間ランキングなどでは、必ずしも際立った成績を上げていないところを見ると、どうやら「読者を選ぶタイプの作家」だと推察された。 竹本健治や笠井潔のファンであり、いわゆる「アンチ・ミステリー」が嫌いではない私は、「読者を選ぶタイプの作家」は嫌いではないのだが、しかし、やはりそれなりに「書けて」いないと、個性的なだけでは、読む価値はない。一一そうした躊躇があって、これまで何冊か購入しながらも、結局はこの「遺作」まで、浦賀和宏の作品を読むことができなかったのである。 そして今回、『殺人都市川崎』を読んでみて、どうであったか。 結論は、善かれ悪しかれ「おおよそ評判どおりで、想像したとおり」の作家であり、作風だった。 まず本作の売りである、ラストの「ドンデン返し」であるが、これは本格ミステリとしては、フェア・アンフェアの境界線上にあって、怒る人は怒るだろうものである。 しかし、この「世界が反転するラスト」は、たぶん浦賀和宏の「本質」的な部分であり、これに腹を立てる人は、浦賀作品を楽しめない、「世界が違う」読者なのだと思う。 この1作だけを読んで言うのも何だが、これまで耳にしてきた評判を勘案して言うならば、浦賀和宏という人は「この世界に違和感を感じていた人」だったのではないかと思う。 「自分は本来、ここに生きているべき人間ではない」「この世界は、どこか嘘くさくて、リアリティに欠ける」という乖離的な感覚を現実世界に対して感じており、「本来の、本当の世界に接したい、戻りたい」という「逃走」願望を表現したのが、浦賀ミステリの本質ではなかったかと思うのだ。 そして、そうした感覚自体は、私の好みである。 かの『虚無への供物』の作者で、私の好きな中井英夫は「神の(祝福の)手が 私を(うっかり、この汚れた地上に)落とした」というようなことを歌っていたが、この世界、この地上に違和感を感じるセンス、「これはあるべき世界ではない」と感じてしまうセンスを、私は、ある意味で健全なものだと思う。 浦賀のそれが少々「うつ」的なものだとしても、それでも私はそのセンスを肯定したいのだ。 だが、残念ながら、浦賀和宏の場合、この世界での「小説」としては、必ずしもうまく「書けている」とは言いがたかった。 どこかぎこちなく、拙いと言いたくなる弱さのあるのが否定できない。これで満足だとは、とうてい評価し得ないのである。 遺作に対し、あえて厳しい評価をするつもりはないのだが、やはり、作品評としては正直に書いておかねばならない。 浦賀和宏の作品は、ある種の人に「中毒性」の魅力を持つのではないだろうか。 しかし、それは、こちらの世界の住人を、十全に巻き込み連れ去るほどの力を持つものではなかったと、私には斯様に評価されたのである。 . | ||||
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川崎市で起こった一家惨殺犯に狙われる中学生の主人公と、別れてしまった元カノのそれぞれの物語。最後の仕掛けで、びっくりでした。今見えている世界がひっくり返るという感じですかね。作者の出身地である川崎市をかなり自虐的にかいているのも、いつも通りの浦賀さんだな、、という感じでした。 遺作となってしまったこの作品もシリーズ化される予定だったとか、、。もう新作を読めないなんて、悲しすぎます。 本当に大好きな作家さんでした。 とても寂しいです。 | ||||
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