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魔偶の如き齎すもの
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魔偶の如き齎すものの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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この短編集では、個々の事件の謎よりも、刀城言耶が小説家としてデビューして以降、どのように「作家探偵・東城雅哉」のイメージが作られていったかを描くことに力が注がれている。 文庫版では1篇追加され全5篇だが、表題作「魔偶の如き齎すもの」での推理は、前半3篇の内容を踏まえつつ行われるため、追加された「椅人の如き座るもの」は、装丁でも目次でも明らかにボーナストラック扱いになっている。 いっぽうで全5篇中、収録順に1番目、3番目、5番目は、刀城言耶が事件現場を全く見ずに、聞かされた話や読んだ文章を基に推理する「安楽椅子探偵」ものであり、その点で短編集全体としてはABABAの構成になっている。 短編集としての配列・全体構成に配慮がなされ、かつ真相に至る手がかりは、すべて読者にもわかる形で提示されていて、刀城言耶シリーズはフェアプレイの本格推理だったのだ、と再認識させられる。 あえて事件の謎を単純なものにして、「作家探偵・東城雅哉」のイメージは、本人の意志とは関係なく、周囲が作りだしたことを印象付けることに、作者の意図があったのでは?と思える。 刀城言耶は、「昭和の名探偵」として名高い(とシリーズ中で設定されている)冬城牙城の実の息子であるために、次代の「名探偵」たることを期待されているらしいのだが、あくまでも小説家であり民間人であって、捜査権も何もない。したがって、いわゆる「後期クイーン的問題」から逃れられず、「探偵の知らない情報が存在する(かもしれない)ことを探偵は察知できない」ために「作中で探偵が最終的に提示した解決が、本当に真の解決かどうか作中では証明できない」。 それゆえ、与えられた情報に基づいて考えられる限りの可能性を検討しつつ、犯人側が負けを認めるか、周囲が納得するかしなければ、事件を解決したことにならない。 本人が証明するのではなく、周囲が認めるのだ。 こうした推理手続きの煩雑さは、「後期クイーン的問題」を踏まえた「本格推理」では避けて通れない。 刀城言耶シリーズの本質はフェアプレイの本格推理であり、「名探偵」たることを周囲から期待されている刀城言耶は、本人が証明するのではなく、あくまでも周囲から認められることで、結果を出しているのだと読者に再認識させるために書かれたのが、この短編集なのでは? | ||||
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三津田先生は、トリックよりも雰囲気を大事にするタイプのように見受けられる。だからといって、決して、トリックを軽んじているわけでもないが、雰囲気作りさえうまくいっていれば、トリックはありきたりのものでも良いと割り切っているのだろう。実際、それでうまくいっているし、ある程度手抜きをするのは、まあ、商業的に当然のことなので、やむを得ない。事実、本気になれば、物凄い作品を書いてくれるので、全く文句は無い。ただ、毎度おなじみの曖昧なラストは、絶対やめていただきたい。ホラーとミステリーは違うのだ。 さて、本作だが、当然、傑作ではないし、身過ぎ世過ぎのために書いた雪かきとしての短編集に過ぎないが、充分面白い。少なくとも、長編最新作よりも断然面白く読めた。それは、短編であるがゆえに、余計な不純物 (あの人とかあの人とか) が混じっていないためかもしれないが、とにかく、読んで損は無い、、、と思う。まあ、人は選ぶかもしれないが。。。しかし、三津田先生のファンを自認するあなたなら、ぜひ、読むべきだ。 | ||||
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以前から思っていましたが刀城言耶シリーズは短編向きでは無いように感じます。 尺が短いので大きな魅力である多重推理があっさりしてたり、あるいは無かったり、何か物足りないんですね。 ホラー描写もせっかく怖いのにすぐ解決しちゃうのであまり余韻が残らなくて何だか勿体ないです。 あとは短編に限らないんですが、コメディー描写が本編のホラーやミステリの重厚さに比べて軽すぎて浮いているように感じます。 ここだけ急に漫画っぽくなるというか。 三津田先生は楽しんで描いていらっしゃるようなのでファンとしては複雑な気持ちです。 | ||||
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