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原罪
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【この小説が収録されている参考書籍】
原罪の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.57pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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ロンドンの名門ペヴァレル出版の社内で起きた自殺と殺人。 若く野心に満ちた社長、その妹、高名な詩人、創業者の娘、忠実な秘書といった 多彩な人々が織りなす複雑な人間関係の謎にダルグリッシュ警視長やケイト・ミスキン警部が挑みます。 ヴェネツィアの宮殿を思わせる壮麗なイノセント・ハウスの外観など、 重厚な描写をじっくり楽しむことができるばかりでなく、 若き速記タイピスト、マンディの視線から描かれている場面も多く、 従来のジェイムズ作品より軽妙で取りつきやすいです。 事件の解決はいつものように劇的で、ケイトの同僚でユダヤ人のダニエル・アーロン警部が 重要な役割を果たします。ヨーロッパの悲劇的な過去を背負う登場人物の存在感もさることながら、 出版業界の内幕や盛りを過ぎたベストセラー作家の悲しさなども描かれ、 ジェイムズ作品をお好きな方には特におすすめの一冊です。 | ||||
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老舗出版社の社長が殺され変死事件が相次ぐが・・・というお話。 この著者のP・D・ジェイムズの著作は全部ではないですが、それなりに読んでいて、本書も他の傑作と同様面白いことこの上ないですが、本書に限って言えば最高傑作とは言えないまでも相当良く出来た秀作に位置する作品ではないかと思いました。 名のある名門出版社で怪事件、殺人事件が相次ぎ、やがて過去の戦争に端を発する事実が浮上し・・・という展開は初期最高傑作「ナイチンゲールの屍依」を彷彿とさせますが、そこはP・D・だけあって過去の著作の踏襲に終わらずに、閃きを見せてくれて読ませます。 作中に著者の推理小説観の様な物が開陳されていて、一種のメタ・ミステリの趣も見せますが、そこら辺は読者各自でどう受け入れるかを考えた方がいいと思いました(私は賛成ですが)。 ただ、若干作品の前半に張られた伏線が不発気味の所もあり、そこら辺はイマイチに感じたのも真実です(私の読み間違えでなければですが)。 ともあれ、読者を圧倒する重厚な力作。機会があったら是非。 | ||||
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出版社内でのドロドロとした愛憎渦巻く中、あっけらかんとした気儘な娘マンディと、 まるで「家政婦は見た」の家政婦のような掃除係デマリ―が、重苦しくなりがちなストーリーの雰囲気を、時々救ってくれている感じ。 しかし、殺人事件の真犯人探しよりも、先代からフランス人の経営者が携わっていた、やや独特の経営体制の、名門出版社内での、閉鎖的かつ濃厚な人間模様の方が、圧倒的に面白い。 兄と同じく自信家の妹クローディアとその恋人デクラン、殺された社長ジェラード・エティエンの 元恋人で、彼にすげなく捨てられ、現在も彼に複雑な思いを抱いているフランセス、そんな彼女を 切ない思いで影から見守るジェイムズ、自ら詩集も出版している、一見温厚な老紳士のゲイブリエル、 強烈な性格の、売れない作家エズミ・カーリングなど。 また、本書の中でも度々言及があるが、売れる本=良い本なのか?とは、普遍的な問題なのだなあ。 内容としては、「ナイチンゲールの屍衣」と似ている部分がある。 最後の結末については、非常に腑に落ちる結末だった。 しかし、上記のマンディやデマリーの存在に加えて、ある愛の結末が救いを与えてくれている。 それから、解説での、ジェイムズミステリーの魅力は、一言では説明しづらいという言葉には、 大いに同感。ポケミス版では、どういう解説がなされているのか知らないが、有栖川有栖の 今回の文庫版の解説文は、大変良かったと思う。 | ||||
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登場人物一人一人の生い立ちや生活を丁寧に書き込み、彼ら彼女らの心理を掘り下げてみせることでミステリーに奥行きを与え、問いかけるようにして作品を読者へ届けてきた英国推理小説界の重鎮P .D. ジェイムズ。本書は出版界を背景にして、人間ゆえの愛と憎しみを描き出したダルグリッシュ警視ものの秀作です。P .D. ジェイムズらしく華やかさは抑えてありますが、正真正銘のエンターテイメントです。 | ||||
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