■スポンサードリンク
抱く女
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
抱く女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.28pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 21~32 2/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
連合赤軍とか遠山美枝子の名前が出るけど、どうせなら 「グロテスク」や「残虐記」のようにあのリンチ事件を真正面から題材にして 欲しいと思うのは私だけでしょうか。映像界では若松浩二監督がやった。 文壇でやれるのはあなたでしょ、と言いたい。 かつてのヒリヒリするような乾いた文体で女性の立場からあの総括の空虚さ、 内ゲバの恐怖を描いて欲しいし是非読みたい。 それが出来るのは桐野夏生しかいないと思うのだが如何でしょう。 本編は面白かった。私は80年代~90年代に青春を送った人間だけど全てが商業化された 自分の世代のメディアが大嫌いで70年代に想いを馳せ,数少なったジャズ喫茶にも通ったクチなので 当時の雰囲気とか本当によく出てると思う。 でもここ3.4作くらいか、なんか軽いですよ桐野作品。全部読んでるから最近は 命削ってないのがよくわかります。ヒリヒリしないもの。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
青春時代を70年代に過ごした20歳の直子の青春小説。 この時代の社会情勢をふんだんに取り入れ、社会や家族への反発も抱えながら、当時の若者にとっての生きにくさや葛藤がよく描かれ、学生たちの生活の情景が浮かぶようです。一方で、親に甘え好き勝手に怠惰な生活を送っている女子学生のお話だけという気もします。 桐野夏生氏のファンとしては楽しめますが、ただ単に面白いかどうかに関しては微妙だと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
昔から嫌いな東京の吉祥寺界隈が舞台であること、ジャズ喫茶はまだしも雀荘のシーンが多いこと、主人公の直子とか云うのが恐ろしく未熟で幼稚で下半身がだらしない女であることに辟易した。しかし「三島由紀夫よりも高橋和巳、高橋和巳よりも高橋たか子が好き」という直子の文学的嗜好、さらには以下に引用する新宿の喫茶店での直子の心象描写-「「死の家の記録」。ドストエフスキーを読むのは初めてだったがすぐに魅了された。獄舎で飼っている犬が、孤独な主人公に走り寄ってくる。「いまこの世の中でおれに残されたのは、おれを愛し、おれになついているたった一つの存在、おれの親友、おれのたった一人の親友」。それがこの犬、と主人公は自分の苦しみを自分に誇るような気持ちになり、甘い喜びを覚える。この場面で、鼻の奥がつんとした。」(P.150)、もうこれだけで星五つを進呈する価値あり。「死の家の記録」の中でも最も好きな場面だ。ロシア(煉獄という意味では、今の日本も徐々に煉獄度を増しつつある)を知りたかったら、まず「死の家の記録」を読むことをお勧めしたい。 桐野夏生の小説は、人物造型が等身大でリアルなうえに、人間心理の暗黒面を露悪的に描いてくれるので、同じ直木賞作家でも、この小説と同じ時代をやたらに甘美に描く作家(三島由紀夫がお好きらしい)、あるいは松本清張と山崎豊子の合成亜流のくせにやたらに堅苦しい文体を駆使して純文学を気取る作家(あの作家を和製ドストエフスキーなどと持て囃す素人書評家がいたのには呆れた。かの素人書評家は、実はドストエフスキーを一冊も読んだことがないんではないのか?)の小説などと比べると、はるかに格が上である。今回は青春メロドラマの体裁の小品だが、決してノスタルジーに流されない点はさすがだ。次回は内ゲバ絡みの長編ミステリーを期待したい。 さてこの小説の背景になる「1972年」は、当時中学生だった私にとっては、夏休み(8月)に京橋のテアトル東京に「ゴッドファーザー」を見に出かけ、超満員だったがゆえに思い切って指定席券を買って見た、ただその一件に尽きる。第1次オイルショック前の、実に平穏な日々であった。世の中全体を見渡しても、1995年、2011年後の現在に比べれば、大した時代でもない。1960年代後半から70年代前半について「あの時代」などと特別視する向きもあるようだが、そんなものは特定世代(あるいはその世代に乗り遅れたことに罪悪感を感じている振りをしているただのミーハー。「流行に参加できなかったこと」ではなく「流行を間近で鑑賞できなかったこと」が残念なだけ。安全地帯に居る分には政治運動もサブカルもすべて「面白そうな流行」で済むからな。)の感傷的ノスタルジー、ナルシシズムの発露に過ぎない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ではあるけども、小池真理子さんにもあったけど、私はリアルタイムではないからあれだけど、やっぱタバコだったり喫茶店だったり、もっとこう、ITが無い時代と言う意味においても電子書籍でなくインクくさい本だったりの時代ではあったからそういう意味ではノスタルジーに浸れるし、昔懐かしいし、こちらの広告のタバコ吸うちょっと悪ぶったつっぱねた表情がこの作品あらわしている。 私は好き。 ありふれたありふれたどこにでもある生活を書く、そこが小説の醍醐味だし、その文字だけで人を惹きつける、年代を超えて読まれる、やっぱプロは違うと、すごいと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
直子は私の親とほぼ同世代で、私は生まれてもいない頃のお話ですが、 街の様子や学生達のスタイルが丁寧に描写されてあり、 当時の灰色っぽい世の中の様子がしっかりと目に浮かびます。 今の時代の若者に比べれば、 この時代の若者の方が確実にしっかりとした主張は持っていただろうし、 生命力にもあふれていたのではないかと思います。 厳しい時代であっただろうけど、馬鹿や無茶をするのも若さ故のこと。若さだけでなんでもできた時代なのでしょう。 だけど、直子のようにはっきりとした夢や理想もなく、ただなんとなく生きてる女の子にとってはとても生きにくい時代だったでしょうね。 スムーズに読めたわりに作品の世界観にのめり込めなかったのは、 主人公に魅力がなかったからかもしれません。 これこそが当時の若い女の子の等身大の姿なのかもしれないけど、ぼんやり流されているようにしか見えません。 彼女は深田と出会い、運命の恋をしたように思っているようだけど、 今の時点ではただカラダでつながってるだけだし、これもすぐにダメになるんじゃないかなぁ。 何か一つでもいいから、この子に熱いものを感じられたら違っていたかも。 桐野さんの作品としてはかなり異色な題材でしたが、 私はいつものようなダークでエグい桐野ワールドのほうが好きですね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1972年、吉祥寺。 2月の浅間山荘事件を経て挫折と混とんと 社会というより自分自身に対する違和感が満ち溢れていた時代 そのまっただ中で女子大生であるということ 私は1958年生まれなので、そのころは14歳 反対に冷めた目で彼らの生態を見つめていた記憶がある 終戦後の価値観がひっくり返ったのを冷めた目で見ていた若者がいるように 1972年の挫折を冷めた目で見ていた中学生だったような気がする そして所詮はまだ男世界で 女であることで生き難かった時代 たぶん男にはわからない屈辱感を感じながら 女が生きていた時代 ジャズ喫茶 雀荘 ウイスキー 切ないな 消化しきれていない 本も自分の時代の記憶も なんか悪い酒を飲んだような気分 でもそれが自虐を含めて気持ちいい やばい・・・ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
相変わらずの手加減なしの筆致で最後まで。一貫したテーマは女の自立か。 あの時代を総括しきれていないことへの現代へのメッセージとも受け取れて、どこにでもある切り口で、次は何を題材にするのか期待できる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
その後の「狂おしい愛」がどんなものか知りたくなりました。主人公がたくさんの人々との交流で様々な気持ちの変化を 感じたり、最近少ない、親密な女性友達との瞬間の出会いなど面白く楽しそうで、まさに青春小説!だと感じました。 直球勝負の言葉遣いや内面、時代背景は、私自身とはズレがありますが再読したい一冊です。これからもずっと期待。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
そもそもこの年代の、ある程度恵まれた人間の、この手の能天気さが好きじゃないのに手に取った自分の誤りだった。 手を付けたから一応読み通したけど、シラケよりバブルよりゆとりより始末が悪いな。と思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
桐野氏の作品は好きでほとんど読んでいるが、これは残念ながら、全く違う上っ面な書き物。 当時の空気感を、ファッションや言葉や曲名などの当時の物を使って並べただけ。 そして、この空っぽな主人公とその友人達。 あまりにも何も考えず、あまりにも軽薄で、それでいて利いた風な事を口にする。 当時の皆は、もっと真剣に悩み、議論し、行動し、そして傷ついて行ったのであって、このような疑似行為ではない。 主人公は、行きずりの男と行き当たりばったりにマリファナを吸い、前後不覚になって、偶然知り合うことになるバンドボーイと真剣に恋して、旅立っていくという、あまりにも安易な筋立て。 唯一、内ゲバのバカさ加減だけは書けているが、とにかくファッションとセックスだけで書いてるから理論の理の字もなくこれまた薄っぺらである。 作者には、当時も今も、上っ面なファッションでしか当時の時代と対峙できなかったということであって、この時代を書くには力量がないということだろう。 草間弥生さんの表紙がもったいない。 辛口だが、桐野氏の力量を知っているつもりだからこそ、書けもしないジャンルに良い格好して取りくまず、今まで通りのジャンルで書いてほしいと思ってのこと。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
紙やすりで削って吐露したような、主人公の日常。まさしく桐野さんのライ麦畑なんでしょう。「S大」の数年後輩として、主人公の孤独がわかります。「近鉄裏」と共に消えた、吉祥寺のもう一つの顔を思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この年代の人はこのテーマがどうしても書きたいんでしょうね。 主人公がどこまで作者なのかはわかりませんが、桐野さんらしい掘り下げ感もなく、どこかで何度も読んだ様なありきたりなストーリー。主人公に聡明さが全くなく、桐野さんに結びつかない。若いがゆえのバカさ、を書きたかったのかしら? 唯一、高橋の遺書にあの当時の若者の思考回路がうまく表現されてる感じがよかったかな? | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!