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たゆたえども沈まず
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たゆたえども沈まずの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全188件 121~140 7/10ページ
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上野のゴッホ展に行く予定の方で、ゴッホを実はよく分かっていない方は、読んでから行くと楽しさ3倍。フィクションなので事実とは違うところも多いし、作家の解釈も多々ありますが、小説になっているので初心者でも読みやすく、面白く、あっという間に読める。心がじんわりし、ゴッホやテオ、彼らを支えた人々の生き様が感じられる良本です。これをきっかけに、ゴッホの映画を見たり、もう少し美術史寄りの本を読んでいったら、学びが深められると思います。フランスやオランダ、ニューヨークにも行きたくなりますよ。 | ||||
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19世紀後半のパリには、様々な芸術家や画商、パトロンとなるべき貴族をはじめとする上流階級が集まっていた。そこにはフィンセント・ファン・ゴッホやポール・セザンヌ、クロード・モネもいた。あるいはエドガー・ドガやオーギュスト・ルノワールも。 彼ら芸術家たちは、自らの作品を売ることによって生計を立てていた。しかし、皆が十分にお金を稼げるわけではない。売れるまで面倒をみていたのは、彼らの才能を見込んだ画商や画材店主だった。それが「タンギー爺さん」であり林忠正であり、テオだったのだ。フィンセントの弟・テオは、兄の生活を支えたできた弟というふうに中学校で、あるいは高校の美術で習ったが、テオ自身にも生活があったのだから、当然、兄との確執や葛藤もあっただろう。それを描いたのが本書である。冒頭で、フィンセント最期の地であるオーヴェールを訪れるのはテオの息子。彼は、伯父のフィンセントと父・テオに思いをはせるところから物語りが始まる。 芸術家たちを引きつけてやまない、華の都パリ。パリを去った芸術家たちも、思いはやはりパリにあったに違いない。もちろんフィンセントも。いつかパリに戻ることを夢見て。 そうした優れた芸術家たちを支えた人間に林忠正のような日本人がいたことは、同じ民族として誇らしい。そして、20世紀なっても、彼らの価値を誰よりも認めた松方幸次郎のようなコレクターがいたことも。日本人とパリは、かなり深いところでつながっているのかもしれない。「ジャポニズム」は必然だったのだ。21世紀になった現在、新たな「ジャポニズム」の担い手は、アニメとボーカロイドになっているけれども。それと北野武か。 「華の都パリ」の魅力に魅入られた人々がパリに何を求めていたのか。これはやはり行ってみないとわからないのかもしれない。そのときは「ブラタモリ」が参考になるのかなあ。 | ||||
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アムステルダムに向かう飛行機の中で読了。アムステルダムではゴッホ美術館に行く予定があり、ゴッホとその弟のテオが主人公のこの本を12時間の機中に。予習した甲斐があり、ゴッホ美術館のこと、ゴッホのことがよくわかった。ゴッホ美術館は、本書にも登場する弟のテオの子供が創設者で、日本人が売らないで取っておけ、と言ったことで、たくさんのゴッホが見られる美術館ができたことがこの小説でよくわかる。生きている間に絵が売れなかったゴッホが、末代まで不自由のない生活を与えることができるようになったとは。ゴッホ美術館に行く予定のある人には必読かな。 | ||||
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芸術に造詣が深くなくても、楽しめる本。 感動のあまり、諸処で鳥肌がぞわっと立つ。 | ||||
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「楽園のカンヴァス」以降、史実をもとにした、虚実入り混じった独自の世界がすてきだった。 でも今回は……。画商・林を“すくう”ことがテーマだったかもしれない。だが。 もう一方の主役であるファン・ゴッホ兄弟についてはあまりにも有名だ。テオとフィンセントの知られすぎた物語に、無理やり林忠正という男をくっつけた……ような印象。 テオが兄を支えたこと、フィンセント・ファン・ゴッホが、浮世絵のとりことなり、アルルに自分の「日本」を見出したこと……。そんな知られすぎた話以上の何かがなく、なんだか肩透かしをくらった気分でした。。 | ||||
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是非中・高生に読んで欲しい本。自分も中・高生時代に読んでいれば、もっと美術に明るい大人になっていたと思う。こういう本が人の人生を変える一冊なのだろう。さて、美術館に行かなきゃ! | ||||
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へぇ!と感心しながら情報・蘊蓄にふれていくのを楽しむ本として楽しむならそれもよし、文学として読むには文章にキレがなく散漫でした。 | ||||
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ゴッホに関する一般的な情報は持っていましたが、彼に関わる日本人の事や、弟の心境が手に取るように分かり、感慨深く読み終えました。 | ||||
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原田マハさんの『ゴッホのあしあと 日本に憧れ続けた画家の生涯』を読み、その流れで本書を読了しましたが、期待が大き過ぎたようです。 登場人物に感情移入し辛く、特に美術商の林忠正を取り上げて展開したことが不満なのかもしれません。林忠正の評価をここで書くことはレビューから外れますので、控えますが、その行いに、「日本美術の正当な価値を西洋社会に認めさせた人」とか「日本の大切な美術品を、海外に流出させた『国賊(405p)』」だという賛否があることは記します。 小説ですので、そのストーリー展開は作者の範疇ですが、良く知られているゴッホの生涯と日本の美術商との関わりを無理に関連付けたように受け取っています。架空の美術商の狩野重吉を作り上げたのは、フィクションとしてのその接点の構築に他なりません。 裏表紙の歌川広重の「大はしあたけの夕立」と表紙の『星月夜』が本作品でもスパイスとしての役割を果たしていました。溪斎英泉の『雲竜打掛の花魁』の評価の高騰ぶりも記されています。フィンセント・ファン・ゴッホが『花魁』を描いているわけですから、流れは確かです。 原田さんが勤務されていたニューヨーク近代美術館「MOMA」に『星月夜』は収められているので、その思い入れは感じながら読みました。『星月夜』の素晴らしさを林は360pで感動しながら、認めています。それなら美術商として、ゴッホが生きている間に作品を購入しないという行動が矛盾してくるわけです。 林がフィンセントの能力を買いながら「なぜ、林さんは、テオからフィンセントの作品を買おうとしないんだ(207p)」に全ての関係性が現れていました。 実際に、ゴッホが生きていた時に、林は果たしてゴッホの価値を本当に理解していたかどうかが問われています。史実とフィクションは当然違いますが、そこを上手く説明しないとストーリー展開や設定そのものが絵空事になってしまいますので。 | ||||
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自身の作品が認められず苦悩するゴッホとその弟、パリで日本美術を広めようとする日本人画商を主人公とした小説。 大変良かった。 新進気鋭の画家として苦悩するゴッホ。二等国と舐められぬよう海外で奮闘する日本人。それぞれの主人公の気概と悩みを描きつつ、当時のパリの様子、ゴッホの絵など実物が想像できるような描写が多い。 小説だが、史実を折り混ぜており大変臨場感がある。 これを読むとパリに行きたくなるし、ゴッホの絵が見たくなる。 大変おすすめ。 | ||||
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200年もにわたる浮世絵の日本版画芸術のすべてを守った林忠正と言う稀有な人物にスポットを当てながら、ゴッホ兄弟の確執・葛藤・兄弟愛を見事に描いた作品。読み終わったあとゴッホ好きなわたしには、やりきれない切なさが残りましたが、いつもながらの原田マハの優しさに救われます。 | ||||
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孤高の画家ゴッホの人生を支えた、弟テオの視点と日本人画商、林の元で働く重吉の視点が交差する。セーヌ川の芥として涙は流されても、歴史としてやがて浮上する二人の姿は芸術の真価とは何かを問いかけてくる。 | ||||
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時代は19世紀末、舞台はパリ、日本画商の林忠正と加納重吉、パリの画商、テオドロス・ファン・ゴッホ、そしてその兄、フィンセント・ファン・ゴッホの物語。 モネら印象派の画家たちに浮世絵が従来の絵画の手法からかけ離れた表現を生み出すヒントを与えた。 そしてフィンセントも浮世絵に狂った画家の一人。 書けども書けども時代が付いてこず一枚も売れない。林忠正はその才能にいち早く気付く。 そして星月夜を見たときに忠正もかすかに瞳をうるわす。 著者の本は、楽園のカンヴァス、暗幕のゲルニカに続き3冊目だがどれも面白い。絵画を見る目に新しい視点を与えてくれた筆者に感謝しています。 | ||||
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セーヌ川左岸。 かつてオルセー美術館を訪れた。 19世紀の印象派の作品が数々。 薄暗い館内で、こちらに向かってギラギラと光を放っていた「ひまわり」。 強烈な太陽の光のごとく、躍動し、あつく燃えていた。 すべての動きはフリーズしてしまった。 フィンセント・ファン・ゴッホの人生とは。 パリ市の紋章になっている標語”Fluctuat nec mergitur”。 「不安定で揺れはするが、決して沈没はしない」 失敗を繰り返し、怒涛のごとく歩んでいく。 セーヌ川のように、芥とともに。 荒波の中、決して、つぶれずに、未来永劫に続くもの。 ジャポニズムが到来し、印象派へと移り変わっていくとき。 | ||||
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天才画家と思われている一人の男の魂の物語です。ぜひご一読ください。 | ||||
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ここ最近彼女の作品を求め楽しんでいるが、 リーチ先生」 たゆたえども」 2作品を堪能しました。 たゆたえども」から昭和29年購入のゴッホ画集を引っ張り出して、我ながら古い画集をよくこれまで大切に保管していたことを一人で感激しています。 | ||||
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入念な下調べと、確実な筆致で、ゴッホの魅力を伝えきった一冊だった。 ゴッホは身近な画家ではあるが、さらなるテオとの交流。 ゴッホもパリも魅せられた浮世絵の日仏文化交流に果たした貢献。 その中で、実在した林忠正の存在感が、内容に深みを増し、 当時の日本人の海外で夢を果たすことへの強い意志と熱い思いと、苦労と苦悩も描ききっていて 読み応えのある内容だった。 | ||||
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フィンセントとテオはパリで生き抜くにはあまりにも繊細過ぎた。 そして感受性の強い兄弟の結び付きは強靭な精神力を生み出すのではなく、諸刃の剣となってしまった。 それに対して強い精神力と狡猾さと先見の明でパリを生き抜いた孤高の武士、林忠正。 フィクションとは言え史実をもとにした当時の世情、パリにおけるジャポニズムと印象派の関係性が興味深く、また分かりやすく描かれていて面白かった。 原田マハは芸術の造詣が深く、人物の人間性を描くのが本当に上手いですね。 本書に引き続き、印象派画家を描いた作品「ジヴェルニーの食卓」も読んでみたくなりました。 | ||||
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お礼が後れて申し訳なく思っています。少々いたんでおりましたが、貴重な本ありがとうごだいました。今後も貴重な本が入荷の際にはおしらせください。貴店のご繁栄ご祈念しております。 | ||||
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この小説の狂言回しは、ゴッホ(フィンセット)の弟テオと林忠正の弟子加納重吉ですね。ゴッホの状況はゴッホのテオ宛の手紙で明らかにされる。ゴッホが直接語り手として小説に現れることはない。私的には、ゴッホを物心両面で支えたテオの存在は聞き齧っていたが詳しいことは知らなかったので勉強になりました。因みにテオ宛のゴッホの手紙は651通とか。 ゴッホ兄弟のお互いを半身の間柄と自負する二人の織り成す深い兄弟愛は肉親らではの切ないものがありました。特にテオが兄の拳銃による自死は自分の責任だと思い悩み、兄の死後わずか半年後、重いうつ病を引き金に精神病院で死んでしまう。 重吉は、兄弟の物事を突き詰めて考える性質を「哲学者みたいだ、眉間にしわを寄せて」と評しています。ゴッホ家が牧師の家系であったということも関係しているかもしれません。ゴッホは若い時に聖職者を目指し伝道活動に従事したこともあるのですが、皮肉なことに自殺なので教会での葬式は認められなかった。 フィンセットとテオの兄弟愛がこの小説の縦糸でしたらテオと重吉の友情は横糸ですね。兄の画才を評価するが、二重人格とも思える兄の言動に辟易し葛藤を感じたときに相談に乗ってくれる優しい日本人の重吉は、テオの心の安息所だった。 「今回は、ミステリーやホラーといったジャンルの要素を極力排してみました」との著者の原田さんの言ですが、テオが自分の護身用の拳銃が入っている黒鞄をうっかりゴッホに渡してしまい、それがゴッホの自殺の契機になったというテロの思い込みのプロットは、ゴッホの自殺が突然の狂気によるものではなく、テオにこれ以上の苦労を掛けるのを良しとしないとするゴッホの思いがあったとする、著者の優しい推理があったのではと思いましたが、ちょっと無理があったような気がします。 そして題名の「たゆたえども沈まず」は、セーヌ川に浮かぶシテ島、ひいてはパリへの献辞のことのようですが、本小説のキーワードとして幾度も出てきます。重吉が兄の死に沈むテオを励ます場面、林忠正がアルルへの旅たちに際し面会に来たゴッホに送る言葉の一節に、そして耳切事件でアルルの病院に駆け付けたテオに意識朦朧状態で漏らしたゴッホの片言にリフレインされる。ゴッホはパリの化身のセーヌ川を渾身を込めて描きたいという夢があったんですね。 ゴッホの代表作でもある絵画「星月夜」の糸杉は、ゴッホの姿であり「たゆたえども沈まず」の精神を表したものとも思われてきます。 それにしてもゴッホの浮世絵を通しての日本への憧憬は凄いものがありますね。ゴッホ兄弟は500枚ぐらいの浮世絵のコレクションを持っていた。そしていくつかの浮世絵の模写にも真剣に取り組んだ。。南仏アルルへの移転は、浮世絵を代表する日本文化に触発され、アルルを「フランスの中の日本」と見立て、新進作家の活動拠点を築こうとしたんですね。正に現代のIT産業のメッカ、シリコンバレーみたいな拠点を目指した。 さて、蛇足ですが、巻頭のゴッホが亡くなった下宿屋の食堂をゴッホの命日に訪ねて来た二人の男性ですが、一人はオランダ人で「テオの息子」、そしてゴッホ研究者と名乗った日本人の「シキバ」は、精神科医の式場隆三郎、<裸の大将、山下清>を支援した方ですね。 ともかくゴッホのことを、この小説で読み更にYouTubeなどの動画で再認識できたことは嬉しい限りです。原田マハさんに大感謝です! | ||||
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