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(短編集)
真実の10メートル手前
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真実の10メートル手前の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.89pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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成長した大刀洗万智シリーズの短編集です。何気ない会話などから、真実へのきっかけをつかみ取る、という古典部作品の延長かと思います。 冒頭の「真実の10メートル手前」でフィリピン文化に対する誤解がありますので指摘しておきます。主人公は、店員を外国人と推察する決め手として、否定疑問文への回答法、チップの習慣を挙げていますが、これはフィリピンにはあてはまりません。タガログ語は、日本語と同じく相手の言説に対し賛否を答えます。またチップも一部の外国人に特化した飲食店を除いて一般的ではありません。 西欧文化が万国共通だという認識はぜひ改めていただきたいものです。 | ||||
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話によってそれぞれ視点人物は違うが、フリーライターの大刀洗万智を事件を追求する中心に据えた短編集。大刀洗万智は「王とサーカス」という長編で主人公になっていて、非常に面白い話だった。見かけのクールさの下に熱い思いを持ったなかなか面白い人物だ。しかし、この短編集では余りにも切れ者過ぎるんじゃないだろうか。それが少し息苦しさを感じさせる上に、事件が余りにも暗すぎる。暗澹たる思いになる。後味が悪いのだ。小説としてはとても上手いとは思うのだが、私には米澤穂信は、短編より長編が良いみたいだ。 | ||||
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表題作を含む6編の短編が収録されています。 最初の数ページをめくっていたら生まれ故郷の「大垣出身」の文字が目に入ったので、思わず購入してしまいました。 全編ともに探偵役は、ジャーナリストの大刀洗万智になります。 表題作は、大刀洗万智が、経営破綻したベンチャー企業の社長の早坂一太と妹の真理(この二人が大垣出身の設定)の行方を推理をしながら追っていくというものです。 表題の意味も最後まで読むと分かります。 一編が50ページ程の短編だから仕方がないのかもしれませんが、正直ちょっとストーリーに物足りなさを感じるものもありました。 | ||||
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美貌の女性記者が追いかけるいくつかの事件. わずかな手がかりから真相に迫る. 殺人事件などの重大犯罪ではないので,いわゆる日常の謎に分類される短編集. 美人で仕事もできるが,やや冷たい印象を受ける女性記者のキャラクターには, ミステリアスな魅力があり, わずかな言葉や情報から真実に迫っていくプロセスもまずまず楽しめる. ただ,その謎解きにややこじつけ感は否めず,真相もあまり救いがない事件ばかりなので, なんだか思い込みの激しい人,という印象もなきにしもあらず. 日常の謎モノ全体に言えることだが,動かぬ証拠を突きつけるような体裁にはなりにくいので, 観察していたらこうだった,という真相解明ならよいが, 探偵役が能動的に問い詰めるようなスタイルは成立しにくいのではないか. | ||||
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前作「王とサーカス」の前日譚にして続編的短編集。 フリージャーナリスト・大刀洗万智が遭遇する幾つかの事件を描く。 面白かったには面白かったが、全体として纏まりが薄かった印象。王とサーカスや満願に比べると満足度は低い。 センドーこと大刀洗万智が本作では、主人公というよりも完全無欠な探偵役に終始してしまっていたためなのか、あまり面白くない。 「真実~」・「綱渡り~」・「正義漢」はミステリ的にもいまいちであったが、「名を刻む死」は素晴らしかった。 本作で最も作者らしい話であり、ありえなさそうだがどこにでも転がっていそうな理不尽さが良かった。 「ナイフを失われた思い出の中に」は『さよなら妖精』と『王とサーカス』を読んだ者なら必読の一作だろう。 事件自体は少し無理を感じるものであったが、『さよなら妖精』を閉じる作品としてはこれ以上ないといっていい。 「恋累心中」は作者らしい、いやらしい事件の真実が気持よくて良い。 全体として大刀洗を活躍させるための作品感が拭えない。 悪い意味で事件を解決する探偵モノ感が増してしまっているのが非常に微妙に感じる。 そういった意味では短編集としての出来も『満願』の方が上だろう。 個人的にだが、大刀洗万智の物語は『さよなら妖精』・『王とサーカス』・「ナイフを失われた思い出の中に」でまとまってしまった印象がある。 これ以上は彼女の成長の余地が感じられず、これ以後の作品では本当にただの無敵の探偵役に「なり下がって」しまうのではないかと危惧してしまった一作であった。 | ||||
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簡潔な文章で登場人物のキャラクターを浮かび上がらせ、現実感を醸し出す力量には、感服します。 ただ、「満願」に比べると、どの作品も謎やひねりが物足りない印象を受けます。 表題作「真実の10メートル手前」は丁寧な推理を展開しながら、結末があっけない。「正義感」は謎らしい謎もなく、ひねりもなく、あっさりしすぎ。高校生の心中を題材にした「恋累心中」は高校生カップルが気の毒で後味が悪く、中学生が第一発見者となる「名を刻む死」も、やはり苦い読後感。比較的ミステリー色の濃い「ナイフを失われた思い出の中に」は、被害者が幼児で、容疑者が未成年の叔父という、設定からして重苦しい話。書き下ろしの「綱渡りの成功例」は、あまりにも謎が軽い。 また、主人公の女性記者 太刀洗万智の魅力が乏しく、その分作品集として損しているように思えます。 こう書いてくると凡作のように見えてしまいますが、全体を読み終えてそうは思わないのは、作者の力量のなせる技でしょう。 | ||||
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主人公は、大刀洗万智。 職業は、記者。 一見、淡々と大胆に行動する大刀洗だが、 内面は繊細で細やかな気配りを兼ね備える。 「王とサーカス」の後に 本作を読んだ。 前作は長編だったが、 本作は6話の短編集。 大刀洗が記者として追っている事件に関して、 持ち前の観察眼と思考で、謎解きを展開していく。 必ずしも、真犯人を暴くという訳ではなく、 関わる人物たちの心情にスポットを当てた内容である。 短編集とはいえ、読み応えのある話も多かった。 伏線を徐々に回収していく過程は、スマートだった。 だが、若干、読者にも分かりやすい伏線だったように感じる。 しかし、話によっては、都合のよい展開や 無理な設定も見受けられた。 特に「さよなら妖精」の後日談である 「ナイフを失われた思い出の中に」は、 期待していただけに、少し拍子抜けした話であった。 (万智の記者としての葛藤は理解できるが・・。) また、ほぼ全ての話が、 暗く報われることの少ないラストだった。 | ||||
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『王とサーカス』が期待外れだったので読むのを躊躇っていたのですが、直木賞候補ということで手に取ってみました。 結果は、『王とサーカス』よりは良かったです。探偵役が同じ新聞記者なのですが、前の作品よりも少しは人間として不自然じゃないというか。 それでも表題作は、どうしてこんな一刻を争う事態で、もったらもったらしているんだろう、これって作者が推理を展開する時間が必要だから、こんなに回り道しているのかな、と思ってしまいました。 それ以外は、まあまあです。 | ||||
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『王とサーカス』がめちゃくちゃ面白かったので手にとった一冊。 なるほど、たしかに太刀洗万智がジャーナリストとして歩んでいくまでの葛藤や覚悟が見えてくる。彼女について書く、という縛りのある短篇集の中、これだけのバリエーションを見せ、さらにそれぞれにきちんとメッセージが込められているのもさすが米澤穂信さんと思う。 けれど、たとえば「綱渡りの成功例」や「恋累心中」などは、ミステリーの謎解き部分がわかりやすすぎてそこが残念だった。頭から読んでいて引っかかった部分、ここが謎解きに使われるんだろうな、と思ったところがその通りになって意外性がないというか。 そういう意味では「名を刻む死」は文句無しに面白い! 『満願』でも思ったけど、こういう不思議な動機ものは本当に上手い! | ||||
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「真実の10メートル手前」:後味悪いな。 「正義漢」:ちょっと後味悪い。 「恋累心中」:これもな・・・ 「名を刻む死」:お父さん正しい、でも、なんだかな・・・ 「ナイフを失われた思い出の中に」:「蝦蟇倉市事件アンソロジー」を 購入しようか迷った1編で、読んでみたら「さよなら妖精」関連だった。 「綱渡りの成功例」:これもちょっと後味が・・・ ジャーナリストが主人公なので、事件がらみなのは理解できるが、 ちょっと苦いのばかりだったな。 大刀洗万智シリーズとあるので、この先も続くのかな? | ||||
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