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愚か者死すべし
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愚か者死すべしの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.28pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全75件 61~75 4/4ページ
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前世紀の末に、シリーズ全作をつぎつぎと読み終えてしまったとき、やや茫然とした。なんで作家は、その後探偵沢崎を描いてくれないのか。ちょうど沢崎の依頼人たちが彼の仕事に(結果として)不満はないが、彼の説明義務の欠如に不満を抱く気分に近い。「彼」が無能なら、そうした「彼」を選んだ依頼人(つまり読者)の眼力不足だから、憤ったところで所詮は自業自得だ。だが「彼」は、しばしば依頼料(つまり一冊の値)以上の仕事内容を我々の前に示し、依頼時(つまり購読時)の期待を超える満足度を我々に与えてくれたのだ。 あらゆる災害が襲った今年、突如沢崎は帰ってきた。相変らず、留守のときの電話は秘書代行会社に任せている。代行会社の担当女性は一度も顔を合わせていない沢崎と心地良い挨拶を交わす。ブルーバードも乗り続けている。もしもそれだけだったら、ただのナツメロだ。だが、有り難いことにそうはなっていない。確かに沢崎は携帯は持たない。しかし携帯の機能は理解している。事件にはいずれも携帯が印象強くからむ。大げさに言えば、優れた小説作品には当然の生理がそこにある。つまり携帯のような極めて日常的(になった)小道具を、その日常性を読者に意識させつつ、意外な人物の思いもかけない展開のなかに位置づけ、ヒトもモノも的確に活写するという意味においてだ。生彩に富む表現が鏤められた本書を読んでいた約12時間、本当に幸せだった。 本書の後記によれば、次回作以降も準備されている、とのこと。災厄が増えるばかりで消えてくれないこの国で、もうしばらく沢崎のような男に会えるとは、なんと喜ばしいことだろうか。 | ||||
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期待を裏切らない、秀作である。著者の相変わらずの丁寧な仕事に感謝したい。「沢崎の世界」が物語のあちこちで明滅する。作品中にファンサービス(と思うが)もあって嬉しい。昔からのファンならではの楽しみ方であり、味わえる特権だ。たとえばこんなセリフには思わず笑顔になってしまう。言った本人の姿とともに、沢崎の苦笑も浮かんでくる。「図に乗るなよ、探偵」 | ||||
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今までどこにいっていたの。お帰りなさいといって読み始めたいほど、「さらば長き眠り」から続きを首を長くして待っていました。 探偵の生き方に自分を重ね、警察権力の在り方に憤りと今の時代(北海道警の裏金問題)を感じて、読みました。 引きこもりの若者と母の関係、また事件の発端の娘「啓子」が小説のなかで描かれていることに「うーん」とうなり、予想外の展開に終末が気になりあっという間に読み終えました。事件の展開で途中で読み返す事(事件とのつながりで)もあり、他の探偵小説では味わえないものがあります。 海外小説の探偵物しか読まないあなたに必読です。 | ||||
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ストーリーは勿論細部までこだわっていた全三部作に比べると細部が甘くなった気がしてなりません。また、大枠でのプロットも少し大げさすぎるのではないでしょうか?とここまで辛口気味なのはこの作者ならもっと凄い作品を仕上げてくれるに違いないという期待の裏返しです。全体をとっても傑作、細部にいたっても傑作といった素晴らしい作品を次に期待して今回は星三つ。でもこの作者じゃなかったら星4もしくは4.5ですね。 | ||||
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何しろ『私が殺した少女』、『さらば長き眠り』が良すぎただけに、原さんのような良心的な作家にとっては、沢崎シリーズの続きを書くというのは並大抵の重圧ではなかったでしょう。久々の新作発表に心から拍手を送ります。前2作と比較してどうだ、と言われると残念ながら2作の方が上です。しかし、この完成度の高さは他の追随を許さないと思います。お勧めできる作品です。 | ||||
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原 りょう はこれでいいんです!沢崎もこれでいいんです!原作品をまた読めるなんて・・・そして早い時期での次作の予告があるなんて・・・原 りょう は本当にこれでいいんです! | ||||
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新シリーズとはどういう意味なのでしょうか。前作から9年も経って発表し、作者自ら新しいシリーズと明言している作品であるのならば、「渡辺」「錦織」「橋爪」などという名前には言及さえしてほしくありませんでした。 この作品に新しいものは何もありません。登場人物たちはあいかわらず探偵に都合のいいことばかり喋り続け、デビュー作に登場する佐伯という男以来一貫して、沢崎という探偵を盲目的に信奉する発言を繰り返します。それはおそらく作者の狭い視点に原因があるのでしょう。そんな閉じ込められた視野の中でしか動けない探偵に同情の念を覚えます。 どうして今頃、こんな古臭いタイトルで新作を出したのか理由がわかりません。おそらく、作者本人も公言している通り、「生活のため」だけでしょう。 別に渡辺が出てきてもかまわないのです。狙撃犯がまた出てきてもかまいません。あいかわらず魅力的な女性が出てこなくてもかまいません。アフォリズムに磨きがかかっていなくてもかまいません。チャンドラーのように人物が掘り下げられていなくてもかまいません。でも、というよりも、そうであるならば、新シリーズなどと大口を叩かないでもらいたかった。9年も書けなかった作家に、新しいものを期待した方が「愚か」だったということでしょう。 | ||||
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書店で平積みされているのを発見したときの悦びは近年にないものでした。待ち焦がれた沢崎に逢えた喜びでいっぱいでした。出来はいうまでもなく最高です。一気読みです。今回も「これぞハードボイルド」というものでファンにはたまらない出来です。待っててよかった。これまでの作品の登場人物やエピソードがちりばめられていますので、長編3作及び短編集は必読でしょう。2004年の終わりに最高のプレゼントを頂きました。ありがとう。 | ||||
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原寮の約10年ぶりの新作だ。「人気ハードボイルド作家」といわれた著者だが、忘れかけている人も多い。「10年ひと昔」だからねえ。世の中に背を向けて新宿でひとりで探偵事務所を営む沢崎は中古のブルーバードに乗っている。たばこ好きのコーヒー好き。と、そんな「古風」な私立探偵「沢崎」シリーズの一冊。新宿署の駐車場での狙撃事件から、老資産家の誘拐事件、暴力団同士の抗争へと話が繋がり、ふたつの事件の背後にある真実に探偵・沢崎が迫っていくのだが、相変わらずの「これぞハードボイルド」という世界が展開されている。たまらないねえ。 | ||||
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原 寮氏ファン待望の傑作である、ハードボイルドにサスペンスを加味した味のある作風に新たな磨きがかかった、昨今の痛ましく凄惨なニュース報道が飛び交う現代において、それらの犯罪報道を普通の事、日常の事と、当たり前に感じるようになった今、その他人の痛みを感じなくなった麻痺した無痛の感覚と感情が浸透した現在の我ら日本人に、痛みを感じさせる痛快無比で緻密なストーリーが読む者の心を捉える、まさに愚か者は死すべしである、世の中には無礼で、礼儀知らずで、無知で、世間知らずで常識知らずのまぬけな輩が溢れかえる、そんな無法者たちにストレスを感じない正直者はいないだろう、正直者が割を食う現代においては、せめて無法者にはフィクションの中で死んで貰う、この世から消え去って貰うしかない、偽善者を含めた愚か者は全て死すべし、である、と感じた読後感爽快のハードボイルドノベル極上の作品である | ||||
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まず本書の価格は、まったくありがたいくらいに安い。10年を超えて同じ価値観を保てるものが少ない世の中にあって、前作以上のクオリティを備えた作品に出会えるのだから。 前作から実に9年。その間に沢崎が活躍する3部作と短編集を、一体なんべん読み返したことか。そんな勝手に膨張した私の期待感を、本作は少しも裏切ることはなかった。 さあ、何をおいても、読むべし。 | ||||
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原寮(ホントはうかんむりがないんだけど、活字がないので…)の探偵・沢崎シリーズの新作がようやっと出た。9年ぶりだそうだ。筆致は相変わらず、アフォリズムも冴えまくり、違いは、少しばかり沢崎が雄弁になったくらいかな。一気読みできる面白さです。あとがきで「前3作には時間がかかりすぎたので、もっと早く新3部作をお届けするつもり」とあるので、続刊を、超期待します。 | ||||
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9年の年月を経て、沢崎(主人公の探偵)が帰ってきた。‘さらば長き眠り’以降、原寮の長編はファンに多いに期待されていたが、今まで以上の出来映えに最高点を付けたく思う。 マーロウの流れを汲む沢崎の語り口調は従来と変わっていない。だが今回から出た新シリーズにおいては推理的な要素が一層、加味されたと思うのだ。最後まで展開の読めない興奮のストーリーとページをめくらせる期待感は近年、稀に見る最高のハードボイルドミステリと言えよう。 | ||||
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久々にして益々冴える原・沢崎節。西新宿の夜の空気を想い出させる一匹狼の独白。主人公が歳を取ったせいか、少々他人に親切になり過ぎたきらいがなきにしもあらず★一つを減ずるも、読書好きで原作品未読の各位におかれては、「前三部作を読了の後に是非読まれたい」。 | ||||
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伝説の男かどうかは兎も角も沢崎シリーズ久々の新刊です。余分な金は貰わない、依頼者には極力再会しないというマーロウとゴルゴ13を足した様な主人公に又会えた幸せを感じながら、更に磨きがかかった静かな文章を味わう極上品です。次回作(プラス次々回作!)を早期刊行するという巻末の決意に期待したいです。 | ||||
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