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(短編集)

ブラジル蝶の謎



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【この小説が収録されている参考書籍】
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)
ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)

ブラジル蝶の謎の評価: 3.71/5点 レビュー 21件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.71pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全21件 1~20 1/2ページ
12>>
No.21:
(3pt)

欲を言えば、もっと掘り下げたドラマを読みたいような

ミステリの短編集として、無難に、謎と意外な解決、物語がどの作品にもまとまって描かれていて、つまらなくはありません。
とはいえ、欲をいえば、もう少し人間関係のドラマを読みたかったような。例えば、強請っていたことが犯行の動機なら、表面上は好人物を装う強請魔の2面性やお金に対する執着、犯罪をする側の追い詰められた心理など、もう少し描かれていたらと思います。
短編なので紙面が限られていたのだと思いますが、そういった物語としてのふくらみがあるとより印象深くなったように思います。
まあ、読み手は好き勝手なことを言うだけですが。
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100
No.20:
(4pt)

小粒だけど、味のある短編集

ベテラン・ミステリ作家の有栖川氏ですが、実は最近ファンになったばかりです。読んだのは6冊目、各国シリーズは3冊目です。有栖川氏の作品はトリック重視で、どちらかと言えば本格派に属するそうですが、自分はパズルを解くようなタイプのミステリはどうも現実感に欠ける気がして、それよりも人間ドラマや深みのある話の方が好きです。それにもかかわらず、なぜ有栖川氏を好きになったかといえば、主役である火村とアリスの2人、そしてその会話のかけあいがおもしろいこと、これは大阪人である作者独特の感性でしょう。そして自分が関西在住のため、もろに日常の生活圏である京都から大阪、神戸にかけてが舞台になっていることが多いので親しみがわくことです。これらは、トリック重視タイプの作家さんを楽しむ方法としては邪道だと思うのですが、それでも読んでいて楽しいことに変わりありません。

よかったのは最後の2つ「人喰いの滝」と「蝶々がはばたく」です。「人喰い」の方は、あとがきで有栖川氏本人が書かれていたように、ラストが「北村薫氏にほめていただいた。”エルンストのシュールな絵のよう”なんだそうだ。」ということで、その場面を画像として頭に浮かべようとしてみたら、ありありと不思議な情景が目に見えてきて、なるほどと共感できました。雪の上にずらーっと・・・ここはネタばれするのであまり詳しく書けませんが。
そして「蝶々がはばたく」。たまには北陸の温泉に一泊してゆっくりカニでも食うか、ということで向かう列車の中、アリスが隣に乗り合わせた男性から聞いた話。事件と言うほどでもない不思議な過去の出来事の真相を火村が解きます。雪国の旅情と、熟年男性が過ごした大学時代、学園紛争と友情の甘酸っぱい青春の香り、その最中に起きた出来事、それらが1995年の阪神大震災と繋がる、その最後の締め方の見事さ。そして読み終わった後はすぐに、必ず有栖川氏自身が書かれたあとがきを読んでほしいです。震災当日「私のマンションのバルコニーからは、大阪湾を隔てた西宮あたりで何本も黒煙が上がっているのが見えていた。」というリアルな実経験が描かれていて、心に迫るものがあります。今回は小粒の短編が多いと感じましたが、有栖川氏が全体の構成をどう意図してこの短編集を作ったのか、そしてラスト、このあたりが見事だと思いました。
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100
No.19:
(4pt)

今回は割りとあっさりめかも?

今回の場合は国名シリーズの1・2作品目と比べれば
作品の深さ、という点では控えめかもしれませんね。
それと、たてつく犯人が結構います。

表題作はたてつく犯人の典例でしょう。
あることをしてしまったがために
白を切るつもりだった人間は、ことごとく
崩壊してしまったのです。

で、最後に無駄にほえるわけです。
それでも火村の圧倒的な言動に
引き下がっていきますが…

この表題作は一応謎が謎を
呼ぶ感じとなっていますが
これから刊行される作品で
何らかの補完はなされるのでしょうか…

オカマが出てくる作品である
「彼女か彼か」は火村が抱いた疑問から
意外な展開を見せます。

基本あっさりなので
期待すると肩透かしを食らっちゃうかも。
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100
No.18:
(5pt)

はばたく蝶々

作家アリスシリーズの第6作。(国名シリーズ第3作)

【ブラジル蝶の謎】
二週間前にサラ金社長が病死し、遺産相続の件で集まった、社長の弟・朋芳が鈍器で撲殺された。部屋の天井には亡き社長のコレクションであるカラフルなブラジルの蝶が多数、留められていた。
ブラジル蝶でなくてもよかったかなと思ったけど、最後に犯人が火村にいうセリフとリンクさせていてうまいなと思いました。

【妄想日記】
庭で娘婿が焼身自殺をしたと思われたが頭部の傷から殺人だと分かる。三年前に自身の運転事故で愛息を亡くしてから言葉を失い、一年後に妻が自殺してからは鬱病にかかっていた。
燃やした理由にびっくり。

【彼女か彼か】
女装趣味のある男が自宅で殺された。元々美しく手術をしていなくても女性そのものに見えた。父の遺産と保険金が入る予定だったが、父親の隠し子と、父の面倒を見ていた従妹が取り分を要求しもめていた。恋敵とももめていたが前夜に和解し、親しげに飲んでいる姿が目撃されている。
証言矛盾の理由になるほど!男性ならではの視点ですね。

【鍵】
伊豆の別荘地で男が殺される。別荘の持ち主である社長の妻と姉、秘書、隣家の家族と前日にパーティをしていた。その夜、秘書が庭で撲殺され、そばには鍵が落ちていた。
なんの鍵かわかって、嫌な後味。

【人喰いの滝】
山奥の集落に住む老人が落ちて亡くなった。雪の上には老人の足跡のみ。東京から映画を撮りに来たロケ隊が泊まっていて、半年前に女優の一人が川に落ちて流されて人食いの滝と呼ばれる滝に飲まれて、遺体は上がっていない。
足跡をつけたトリックに無理があるような…。
この作品はシリーズのはじめの作品「46番目の密室」の次の作品。だからか少し読みにくさはあった。短編は時系列に並ぶわけではないらしく、蝶の話でサンドしたくて、初めと最後に蝶ものをもってきたらしい。

【蝶々がはばたく】
下宿のおばちゃんが肺炎で山梨に入院。おみまいの帰りに火村が蟹を食べたいと言い出し、アリスはバタフライ効果だとからかう。北陸に越前ガニを食べに行く計画を立てるが、火村が乗り遅れ、隣にいた男性から、35年前の男女蒸発事件の話を聞く。
地震をからめたが、地震と関係なく思いついたトリックなのに、阪神淡路大震災の一か月後に発表しタイミングが最悪だったらしい。
大地震が繰り返される日本。非運の中から蝶々がはばたく事を祈ります。
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100
No.17:
(4pt)

クロージン

すぐに読みました、期待した通りの本でした、これ以上書くことはありません。
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100
No.16:
(4pt)

バラエティに富んだ短編集

全編を通しての感想は、主人公の火村と有栖川のコンビネーションが絶妙で、(時として、漫才師のボケとツッコミのような?)二人の会話だけでも十分楽しめます。また、事件を淡々と描写していることや、事件後の捜査に重点が置かれているからでしょうか、殺人事件を扱っているのに、血なまぐさい感じは受けませんでした。トリックは、どれも実現可能なもので、(現実的かどうかは別にして)それは無理だろと心の中でつぶやく心配もありません。以下、各感想

ブラジル蝶の謎
死体が発見された部屋の天井に、コレクションの蝶がはりつけられていたという謎。犯人が使ったトリックの原型は、先例がありますが、それを現代風にアレンジしてます。途中で出てくる蝶についてのうんちくをもっと事件解明に活かしてほしかったです。

妄想日記
人間が燃えているのを目撃するという始まり方が興味をそそります。暗号ものと思わせつつ、実は…という作品。火村の解説を聞くと、被害者の生前の奇妙な行動が、なるほどと納得できます。

彼女か彼か
オネエ系の人々が出てくるからでしょうか、独特の雰囲気が、かもしだされています。


殺された男の近くに落ちていた鍵。そんなものに鍵があったのか。

人食いの滝
雪の上に残る足跡もの。滝の近くという環境をうまくトリックに織り込んでいます。また火村の推理も、六編中もっとも冴えていると感じました。

蝶々がはばたく
人間消失もの。トリックが巨大な割には、真相を知った後のスッキリ感がイマイチでした。(火村が似たような可能性を否定していたからかな);
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100
No.15:
(3pt)

国名シリーズでは平均的な作品か

国名シリーズの短編編で、今回の収録作品はやや小粒かなという印象が強い。いずれも標準以上の出来ではあるが、他のシリーズにあったような倒述ものや緻密なトリックがあまりなく、読後に強烈に残るようなエピソードはなかったが、それでも最後まで退屈させることなく読みきれるのは作者の力量であろう。
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No.14:
(3pt)

無難な面白さ

国名シリーズ第三弾
目を見張るほどの作品があるわけじゃないが、そこそこ論理的かつ想像の範囲内なミステリが
多いので、まあ推理しながら楽しむことはできる
ただ表題のブラジル蝶の蝶移動の謎があまりにも普通すぎ、妄想日記の図まで出てくるわりには
意味の無い謎言語にはややがっかりさせられた
図を出すなら何らかの暗号であって欲しかった
まあ全体的に無難に楽しめるレベルだろう
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100
No.13:
(3pt)

トリックの破綻が残念

 表題作はトリックが破綻している残念な作品。せめて編集者が気付くべきだろう。
 肝心の被害者の指紋が付かないという致命的な欠陥があり、トリックの構成上指紋を拭き取る処理も不可であるため、これではどんなボンクラ警察でも犯人に気付いてしまう。
 このトリックの根幹部分はちょっと気が利いていて何とかしたい部分があるがどうにもならないか。
 トリックの破綻について説明や回避をしようとするとおおむね以下の二つ。
1 携帯で電話をかける時は指先でボタンを押すから指紋の判別は不可能なのではないか
  確かに指の先っぽだけなので、特徴点12カ所を取ることはできないかも知れないが、ボタンを押した人物が同一人物でない、という特定は比較的簡単にできてしまう。つまり、指紋の同一性を証明するのは結構大変だが、非同一性を証明するのはわりと簡単、ということ。
2 被害者に手袋をさせればいいのでは?
  これは素人の陥りやすい間違いの一つで、手袋をしていても「手袋痕」というものが必ずつくので、これもだめ。よくテレビなどで捜査員が手袋をした手であたり構わずぺたぺた触っているけど、あんなことしたらすぐ捜査からはずされる。ではなぜ手袋をしているのかというと、自分の指紋を付けて、鑑定などのいらぬ手間をかけさせない為。
 ただこの根幹となるトリックがなかなか秀逸なのでなんとかしたいが、するとしたら方法はただ一つ、「2」の方法を発展させるしかないんだけど……。
 有栖川有栖はちょっと線が細いけど、推理小説に対しては真摯に向き合っている。それは評価するので、まあ、本編は手が滑った暴投みたいにとらえるのがよろしいかと……。  
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100
No.12:
(3pt)

対照的な二つの「蝶」

「彼女か彼か」が最も面白かった。立場を巧妙に利用したトリックといい、端役の口述で真相が明らかになるラストといい、痛快な試みである。 「妄想日記」は一見無理があるような顛末が逆にトリッキーで楽しめた。こんなのアリ?という推理小説特有の歪な納得感だ。 そして、「蝶々がはばたく」。ミステリ要素とはかけはなれたオチやこじつけ感に引っ掛かりは残るものの、関西人の著者ならではの情念がひしひしと伝わる名作だと評価して差し支えあるまい。 他の短編はしかし、正直なところ物足りない。「ブラジル蝶の謎」は犯人が現場に施した細工の意図が見え見えだし、「鍵」も鍵に隠された意味以外が取って付けたような紋切り型で捻りが無い。ましてや、「人喰いの滝」は60ページも割いてあのトリックはないだろうと興ざめしてしまった。 いい作品はいいだけに、作品ごとに出来のむらが著しいのが非常に勿体ない。本家クイーンの国名シリーズは長編だが、この日本版の国名シリーズも、短編を量産するより、プロットをしっかりと練って長編(あるいは中編)にした方がよいのではないだろうか。
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100
No.11:
(3pt)

ネタバレあり。

短編集としては平均以下の出来といった印象。
トリックに驚かされた。さすがは有栖川有栖といった感じ。
もっとハッと驚き、感心するような本格ミステリを読みたかった。
ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)より
4062645718
No.10:
(4pt)

読後の明るさ

有栖川有栖の国名シリーズはもちろんエラリー・クイーンの真似なんだが、有栖川の方がよい、と思う。

火村の過去の殺人願望が安物ぽくていやだけど。

最終話『蝶々がはばたく』では、思いがけず阪神淡路大震災に話がオチてて泣けてしまった。

何もなくなっても希望は残る。希望を残すのだ。

有栖川の作品に読後の明るさを感じるから好きなのだと、やっと気がついた。
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100
No.9:
(4pt)

読後の明るさ

有栖川有栖の国名シリーズはもちろんエラリー・クイーンの真似なんだが、有栖川の方がよい、と思う。
火村の過去の殺人願望が安物ぽくていやだけど。
最終話『蝶々がはばたく』では、思いがけず阪神淡路大震災に話がオチてて泣けてしまった。
何もなくなっても希望は残る。希望を残すのだ。
有栖川の作品に読後の明るさを感じるから好きなのだと、やっと気がついた。
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4062645718
No.8:
(3pt)

トリックに無理はなく、完成度は高いと思うが......

よく考えられたトリックで、無理がなく合理的な解答が用意されていて、ミステリーとしての完成度は高いと思うが、一見魅力的な謎には大して意味がなく、犯人が関係者や捜査陣を撹乱するためだけに用意したものというパターンが多いような気がする。他にも『ひらめき』を必要とするパターンが多く、推理の楽しみを十分に味わえるかどうかは微妙。
ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)より
4062645718
No.7:
(3pt)

気軽に読めるが、、

100P近い中編も収められている短編集。単純に「事件が起こり、火村が登場し、事件を解決する」というばかりではない。そこそこユーモアで、設定の妙も存在しているように思う。もう少しだけお笑いをやってくれたら…というのはわがままかなぁ(コテコテではなくブラックユーモア!)。火村とアリスのコンビはもっともっと抽斗があるような気がする。それでもかなり読みやすく、ティータイムのお供になってくれるような短編集であることは間違いなし。
ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)より
4062645718
No.6:
(3pt)

アイディアひとつ

 1996年の講談社ノベルスの文庫化。
 国名シリーズの第三弾で、6つの短篇が収められている。
 はっきり言って、作品としてのレベルはかなり低い。トリックというかアイディアそのものは面白いのだが、ストーリーが破綻しているものが多い。納得できなかったり、トリックとして成り立たないものもある。
 アイディアそのものは面白いのだから、もう少し、お話づくりに精を出してもらえないだろうか。
ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)より
4062645718
No.5:
(4pt)

小粒ではあるが良品

『ブラジル蝶の謎』『妄想日記』『彼女か彼か』『鍵』『人喰いの滝』『蝶々がはばたく』の6編からなる短編集です。短編だとどうしてもひとつのトリックの解明だけが主眼となるので小説としての満足度はあまり高くありませんが、タイトル作『ブラジル蝶の謎』における、なぜ犯人は天井一面に被害者のコレクションである蝶の標本を貼り付けたという謎などは、シンプルなだけに説得力が高いと感じました。
『彼女か彼か』は被害者がゲイといういかにも現代ならではの設定が魅力的で、ユーモラスな趣きも持っています。比較的ページ数の多い『人喰いの滝』はもうちょっと頑張って長編に膨らませて欲しかったと思うほど充実した作品。ラストの『蝶々がはばたく』には珍しく殺人事件が出てこず、火村と有栖川の休暇旅行を舞台にしているところが興味深いです。
ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)より
4062645718
No.4:
(4pt)

タイトル外の短編が傑作!

タイトルになっている「ブラジル蝶の謎」も面白いのですが、本書の別の短編が面白いです。特に、「妄想日記」は、精神障害者と、その医師との間の確執…悲しいことです。他にも「彼女か彼か」なんかは、今までとは少し異なったキャラが出てきて面白いです。相変わらず、推理作家有栖川&火村教授コンビ絶好調です。
ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社文庫)より
4062645718
No.3:
(4pt)

ひとつを除いて大満足、惜しい。

 国名シリーズ第3弾。6つの短編の内5つはボクにとっては「新たな有栖川」という感じで楽しめた。  ボクが小説に求めるのはドラマであり、推理小説であってもそれは同じで謎解き中心の(いわゆる)本格派が体に馴染まないのも説明が付く。それでも、謎解きを楽しみたい時には、国名シリーズはうってつけ。同じ短編でも、ポワロよりとっつき安いのは、ただ単に舞台が日本かイギリスかの違いだろうとは思うのだけど。  「妄想日記」は何となく背景が見えたし、「彼女か彼か」は謎解きの糸口は見えていた。解決章の前で少し時間を置いて整理して考えてみるという訓練をすれば、「謎解き」にも今以上に興味を持てるかもしれないな。  「人食いの滝」が奇想過ぎてアレだったかなーという点を除けば、大満足。惜しい。
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100
No.2:
(5pt)

満足!

実は、私が始めて読んだ有栖川作品。これまでは氏の関連書籍(『作家の犯行現場』メディアファクトリー)や、対談、ガイドブックなどは読んでいたのだが肝心の小説がまだだった。まずは試しにと、この短編集から読み始めた。氏が書いた最初のシリーズ、推理作家の有栖川(「私」)と江神コンビに続く第二シリーズ、有栖川&犯罪学者火村英生コンビの第二短編集。
正直言って、これは嬉しい驚きだった。面白い。文章も、勝手に抱いていたイメージ(日本の推理作家の文章は何故かよみにくい)に反して、読みやすい。そして、デビュー当時からの「本格推理の旗手」という評はまさしくその通りだった。カー、クイーンなどに代表される純粋なロジック、パズラーの楽しみを存分に味わえる。この本の表題作にみられるような(犯罪現場の天井一面の蝶の標本!)特異な舞台設定もそうだ。とかくリアリズム、社会性重視に偏り勝ちな昨今の推理小説界の中でも貴重な、「いい薫り」のする推理小説。
ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:ブラジル蝶の謎 (講談社ノベルス)より
4061819100

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