黒いトランク

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評判

黒いトランクの評価:

4.28/5点 レビュー 40件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.28pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全90件 61〜80 4/5ページ
No.30
(5pt)

さすがです!

鬼貫刑事はここから始まっていたのですね~
テレビのドラマではよく名前をみていたのですが、この本を読んでなるほどと納得しました。
しかし、緻密な推理小説です。
推理小説の原点のような気がします。
大変面白く読みました。
黒いトランク (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (創元推理文庫)より
4488403034
No.29
(5pt)

さすがです!

鬼貫刑事はここから始まっていたのですね~
テレビのドラマではよく名前をみていたのですが、この本を読んでなるほどと納得しました。
しかし、緻密な推理小説です。
推理小説の原点のような気がします。
大変面白く読みました。
黒いトランク (角川文庫 緑 374-1) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (角川文庫 緑 374-1)より
4041374014
No.28
(4pt)

面白く読みました。

多くの方が書かれているとおり、推理小説の醍醐味であるトリックを楽しめる小説です。
そして、文体が美しいです。
黒いトランク (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (創元推理文庫)より
4488403034
No.27
(4pt)

面白く読みました。

多くの方が書かれているとおり、推理小説の醍醐味であるトリックを楽しめる小説です。
そして、文体が美しいです。
黒いトランク (角川文庫 緑 374-1) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (角川文庫 緑 374-1)より
4041374014
No.26
(4pt)

じっくり読んでください

私の生まれる前の昭和49年当時の風景、風俗、世情を想像しながら読むと楽しいです。
まだ奥多摩湖ができる前でまだ「戦後」だった時代のことですから。
トリックは複雑で3つのトランクの移動がややこしく書き出さないとわからなくなると思います。
地道な捜査、旅趣、静かに流れる人物の感情がとてもいいです。文章の密度が高いと思いました。
アルバイト学生の職務日記は特におもしろかった。
捜査に赴いた旅先での食事メニューを書いてあれば私としてはもっとよかったと思います。
黒いトランク (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (創元推理文庫)より
4488403034
No.25
(4pt)

じっくり読んでください

私の生まれる前の昭和49年当時の風景、風俗、世情を想像しながら読むと楽しいです。
まだ奥多摩湖ができる前でまだ「戦後」だった時代のことですから。
トリックは複雑で3つのトランクの移動がややこしく書き出さないとわからなくなると思います。
地道な捜査、旅趣、静かに流れる人物の感情がとてもいいです。文章の密度が高いと思いました。
アルバイト学生の職務日記は特におもしろかった。
捜査に赴いた旅先での食事メニューを書いてあれば私としてはもっとよかったと思います。
黒いトランク (角川文庫 緑 374-1) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (角川文庫 緑 374-1)より
4041374014
No.24
(5pt)

本格推理の一つの頂点です。

鮎川哲也の事実上のデビュー作で、講談社の「書下し長編探偵小説全集」の公募に入選した作品です。1956年(昭和31年)に発表されました。氏はこれまでもアマチュア作家として、数々の筆名を用いながら作品を発表していましたが、(ペトロフ事件、赤い密室、等)この入選をきっかけに本格的にデビューしたのです。

 一つの殺人事件に対して刑事達の捜査が延々と続きますが、作者の言葉を借りれば「地味で退屈な上にテンポがおそく」とある様に、ストーリーが起伏に富んでいる訳でなく、クライマックスに向かって盛り上がる訳でもなく淡々と進行していきます。しかし、その文体は格調が高く洗練されており、風景描写や人間心理を鮮やかに表現している。元々は800枚ほどの作品だったそうだが、公募の規定に合わせて550枚位に書き直したそうなので、その時の作者の意気込みが伝わってくる様だ。

 この作品は正に論理の組み立てと崩壊である。一つの謎が解けると新たな謎がそれを打ち崩す。そしてその謎が解けた時、まるでパズルのピースがピタッと嵌った様に事件の概要が明らかにされるのである。その後隆盛を極める社会派推理の先駆けの様な、終戦後の社会情勢が見事に反映されているのも、この作品がただの本格物ではなく当時その物を表現しているといえるのではないだろうか?

 アリバイ崩しではあるがその中には、時刻表トリックだけではなく色々なトリックが詰め込まれ(詳しくは書けない)正に本格の王道を行っている。正し、自分は「青ずくめの男」だけは失敗だったと思う。それによりトリックが見破られる確率を上げてしまったのではないだろうか?

 論理に始まり論理に終わる、この作品を良しとするか否とするか。そこが本格好きと、ただのミステリー好きとの違いを分ける。自分は正にこれが本格の傑作であると言わせてもらう。本格の巨匠の渾身の作品をぜひとも読んで納得してもらいたい。
黒いトランク (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (創元推理文庫)より
4488403034
No.23
(5pt)

本格推理の一つの頂点です。

鮎川哲也の事実上のデビュー作で、講談社の「書下し長編探偵小説全集」の公募に入選した作品です。1956年(昭和31年)に発表されました。氏はこれまでもアマチュア作家として、数々の筆名を用いながら作品を発表していましたが、(ペトロフ事件、赤い密室、等)この入選をきっかけに本格的にデビューしたのです。

 一つの殺人事件に対して刑事達の捜査が延々と続きますが、作者の言葉を借りれば「地味で退屈な上にテンポがおそく」とある様に、ストーリーが起伏に富んでいる訳でなく、クライマックスに向かって盛り上がる訳でもなく淡々と進行していきます。しかし、その文体は格調が高く洗練されており、風景描写や人間心理を鮮やかに表現している。元々は800枚ほどの作品だったそうだが、公募の規定に合わせて550枚位に書き直したそうなので、その時の作者の意気込みが伝わってくる様だ。

 この作品は正に論理の組み立てと崩壊である。一つの謎が解けると新たな謎がそれを打ち崩す。そしてその謎が解けた時、まるでパズルのピースがピタッと嵌った様に事件の概要が明らかにされるのである。その後隆盛を極める社会派推理の先駆けの様な、終戦後の社会情勢が見事に反映されているのも、この作品がただの本格物ではなく当時その物を表現しているといえるのではないだろうか?

 アリバイ崩しではあるがその中には、時刻表トリックだけではなく色々なトリックが詰め込まれ(詳しくは書けない)正に本格の王道を行っている。正し、自分は「青ずくめの男」だけは失敗だったと思う。それによりトリックが見破られる確率を上げてしまったのではないだろうか?

 論理に始まり論理に終わる、この作品を良しとするか否とするか。そこが本格好きと、ただのミステリー好きとの違いを分ける。自分は正にこれが本格の傑作であると言わせてもらう。本格の巨匠の渾身の作品をぜひとも読んで納得してもらいたい。
黒いトランク (角川文庫 緑 374-1) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (角川文庫 緑 374-1)より
4041374014
No.22
(3pt)

鮎川作品を始めて読んでみました。

前評判が高いので読んでみました。
 古い時刻表の1ページが原本のまま乗っていて、昔は九州と東京を24時間以上かけて走る列車があったんだなどとレトロな感動があります。
 話はよく練られているとは思いますが、一見複雑なトランクと人物の動きをトランクの重さの変化も含めて図に書いてみると案外単純で、途中で謎が解けてしまい、本格推理小説の醍醐味である最後の謎解きのワクワク感が得られなかったので私的には☆3つの評価としました。
黒いトランク (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (創元推理文庫)より
4488403034
No.21
(3pt)

鮎川作品を始めて読んでみました。

 前評判が高いので読んでみました。
 古い時刻表の1ページが原本のまま乗っていて、昔は九州と東京を24時間以上かけて走る列車があったんだなどとレトロな感動があります。
 話はよく練られているとは思いますが、一見複雑なトランクと人物の動きをトランクの重さの変化も含めて図に書いてみると案外単純で、途中で謎が解けてしまい、本格推理小説の醍醐味である最後の謎解きのワクワク感が得られなかったので私的には☆3つの評価としました。
黒いトランク (角川文庫 緑 374-1) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (角川文庫 緑 374-1)より
4041374014
No.20
(5pt)

異色の鬼貫警部もの

鬼貫警部自身が事件の関係者であり、被害者や容疑者達の名前や、殺人の動機等
一連のシリーズと趣を異にしている。
犯行の概要や探偵役が途中で交代する点等、明らかに「樽」を意識しているが、
「樽」よりも展開が早く、事件の経過や解明の過程が整理されて書かれているので
わかりやすいと感じられる。
昔に読んだのだが、トリックや本筋の細かいところは忘れても、鬼貫の「最初からないです」や、
手紙の「化けて出るぞ、かか。」、ラストの丹那刑事の「解りませんな」等々のやりとりは
印象的で記憶に残っている。
本作を読んで以降、他の作品で地道に事件を追う鬼貫に同情的になってしまう。
鮎川氏はこれを狙っていたのだろうか?
黒いトランク (角川文庫 緑 374-1) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (角川文庫 緑 374-1)より
4041374014
No.19
(5pt)

異色の鬼貫警部もの

鬼貫警部自身が事件の関係者であり、被害者や容疑者達の名前や、殺人の動機等
一連のシリーズと趣を異にしている。
犯行の概要や探偵役が途中で交代する点等、明らかに「樽」を意識しているが、
「樽」よりも展開が早く、事件の経過や解明の過程が整理されて書かれているので
わかりやすいと感じられる。
昔に読んだのだが、トリックや本筋の細かいところは忘れても、鬼貫の「最初からないです」や、
手紙の「化けて出るぞ、かか。」、ラストの丹那刑事の「解りませんな」等々のやりとりは
印象的で記憶に残っている。
本作を読んで以降、他の作品で地道に事件を追う鬼貫に同情的になってしまう。
鮎川氏はこれを狙っていたのだろうか?
黒いトランク (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (創元推理文庫)より
4488403034
No.18
(5pt)

アリバイ破りの金字塔

クロフツの樽を遥かに凌駕する傑作です。ぜひ一読を。
黒いトランク (角川文庫 緑 374-1) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (角川文庫 緑 374-1)より
4041374014
No.17
(5pt)

アリバイ破りの金字塔

クロフツの樽を遥かに凌駕する傑作です。ぜひ一読を。
黒いトランク (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (創元推理文庫)より
4488403034
No.16
(5pt)

本格              繋ぐ              社会派

一級の本格推理小説としながら、ある意味鉄道小説としても愉しめる本作で難攻不落の事件に
立ち向かう鬼貫(おにつら)警部の姿には勇気に近いものがわいてくる。
彼の1+1=2という几帳面且つ誠実な性格描写があるからこそ、この作品には《論理の道》み
たいなものが存在し、読者自身が鬼貫といっしょに靴底をすり減らしながら魅惑の謎に対して
智恵を絞るなんとも愉しい体験ができます。
いわゆる推理小説の分類に、フーダニット(誰が犯人なのか)、ハウダニット(どのように
犯罪を成し遂げたのか)、ホワイダニット(なぜ犯行に至ったのか)とあり、犯人当ての妙
からトリックの妙へ、そして繊細な動機を捉える読物に進化していった推理小説の歴史上に
おいて、この『黒いトランク』が本格の後、隆盛を誇った社会派の流れに与えた影響はもの
凄く大きいんじゃないだろうか?と個人的には強く思う。
メインのトリックの衝撃だけで収束せずにその一歩先まで見据えていたからこそ、本作は本格
でありながら、あまりに繊細な人間関係を描き出す事に成功しており、まさに戦後本格から
社会派主流に移行する一瞬間に存在したこれ以上でもこれ以下でもない絶妙の輝きだ。
それ故なおさら星影龍三タイプの名探偵では為り得る筈もなく、鮎川先生の枠に捉われない
発想が、鬼貫のコツコツ型大器晩成的性格と融合(もはや独立した存在)するという発想と
構成の矛盾、その矛盾が比類ない完成度に繋がったんだろう。
いや、結局謂うならば、散々賞讃しながらアレだが、この一冊は《推理小説》を意識(思考)
するというよりも体験(そのもの)なのであって、特に読者を選ばず万人が愉しめるだろう。
黒いトランク (角川文庫 緑 374-1) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (角川文庫 緑 374-1)より
4041374014
No.15
(5pt)

本格              繋ぐ              社会派

一級の本格推理小説としながら、ある意味鉄道小説としても愉しめる本作で難攻不落の事件に
立ち向かう鬼貫(おにつら)警部の姿には勇気に近いものがわいてくる。
彼の1+1=2という几帳面且つ誠実な性格描写があるからこそ、この作品には《論理の道》み
たいなものが存在し、読者自身が鬼貫といっしょに靴底をすり減らしながら魅惑の謎に対して
智恵を絞るなんとも愉しい体験ができます。
いわゆる推理小説の分類に、フーダニット(誰が犯人なのか)、ハウダニット(どのように
犯罪を成し遂げたのか)、ホワイダニット(なぜ犯行に至ったのか)とあり、犯人当ての妙
からトリックの妙へ、そして繊細な動機を捉える読物に進化していった推理小説の歴史上に
おいて、この『黒いトランク』が本格の後、隆盛を誇った社会派の流れに与えた影響はもの
凄く大きいんじゃないだろうか?と個人的には強く思う。
メインのトリックの衝撃だけで収束せずにその一歩先まで見据えていたからこそ、本作は本格
でありながら、あまりに繊細な人間関係を描き出す事に成功しており、まさに戦後本格から
社会派主流に移行する一瞬間に存在したこれ以上でもこれ以下でもない絶妙の輝きだ。
それ故なおさら星影龍三タイプの名探偵では為り得る筈もなく、鮎川先生の枠に捉われない
発想が、鬼貫のコツコツ型大器晩成的性格と融合(もはや独立した存在)するという発想と
構成の矛盾、その矛盾が比類ない完成度に繋がったんだろう。
いや、結局謂うならば、散々賞讃しながらアレだが、この一冊は《推理小説》を意識(思考)
するというよりも体験(そのもの)なのであって、特に読者を選ばず万人が愉しめるだろう。
黒いトランク (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (創元推理文庫)より
4488403034
No.14
(4pt)

推理トリックと日本的情緒、旅情の見事な融合。好みは分かれそう

トリックの緻密さと完成度は改めて言うまでもないけれど、それを面白いと思うかどうかは好みが分かれると思う。(私は考えるのが面倒だった;)ただそれと並行して、捜査を進めていく鬼貫警部の地味で温厚なキャラクターが、全体のストーリーに何とも言えない人間味と情緒を与えている。
中国〜九州地方の地理に疎い私には、情景が一度読んだだけではあまりぴんとこなかったけれど、ストーリーは人間模様と情緒、そして旅情さえも感じさせる、色々な意味で西洋にはないだろう独特の「湿気」ともいえる雰囲気を醸し出している。
推理小説の古典的名著というと、今の時代においては「古色蒼然」としてしまっているものもあるけど、この本は全然そんなことはない。推理小説ファンならぜひ一読をすすめたい。
黒いトランク (角川文庫 緑 374-1) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (角川文庫 緑 374-1)より
4041374014
No.13
(4pt)

推理トリックと日本的情緒、旅情の見事な融合。好みは分かれそう

トリックの緻密さと完成度は改めて言うまでもないけれど、それを面白いと思うかどうかは好みが分かれると思う。(私は考えるのが面倒だった;)ただそれと並行して、捜査を進めていく鬼貫警部の地味で温厚なキャラクターが、全体のストーリーに何とも言えない人間味と情緒を与えている。
中国〜九州地方の地理に疎い私には、情景が一度読んだだけではあまりぴんとこなかったけれど、ストーリーは人間模様と情緒、そして旅情さえも感じさせる、色々な意味で西洋にはないだろう独特の「湿気」ともいえる雰囲気を醸し出している。
推理小説の古典的名著というと、今の時代においては「古色蒼然」としてしまっているものもあるけど、この本は全然そんなことはない。推理小説ファンならぜひ一読をすすめたい。
黒いトランク (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (創元推理文庫)より
4488403034
No.12
(5pt)

何と美しい文体

1956年7月10日発表。御大鮎川哲也のデビュー作。実際はGHQに勤務の傍ら那珂川透、薔薇小路棘麿、青井久利、中河通、宇田川蘭子などの多々なる筆名を用いつつ、1950年に『宝石』の100万円懸賞の長篇部門に『ペトロフ事件』が入選しているので正確な意味での文壇デビューとはいえないかもしれないが・・・。本作を読んで感じ入るのは単にプロットが精緻にできているということでなく、一文一文の文章表現ですら精緻で、深い教養をバックグラウンドに抱えているのが良く分かることだ。文体の美しさはまるで中島敦の『山月記』を読んでいる時のような気持ちになった。そして随所に出てくる傑作の情景、たとえば石川達三の『日陰の村』や北原白秋、なんとエラリー・クイーンのライツビィルまで飛び出してきて驚き・感激である。傑作として生き残る作品というのは本作のようにすべてにおいて流麗華麗かつ精緻なるものなのだと感心してしまった。さすがである。
黒いトランク (角川文庫 緑 374-1) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (角川文庫 緑 374-1)より
4041374014
No.11
(5pt)

何と美しい文体

1956年7月10日発表。御大鮎川哲也のデビュー作。実際はGHQに勤務の傍ら那珂川透、薔薇小路棘麿、青井久利、中河通、宇田川蘭子などの多々なる筆名を用いつつ、1950年に『宝石』の100万円懸賞の長篇部門に『ペトロフ事件』が入選しているので正確な意味での文壇デビューとはいえないかもしれないが・・・。本作を読んで感じ入るのは単にプロットが精緻にできているということでなく、一文一文の文章表現ですら精緻で、深い教養をバックグラウンドに抱えているのが良く分かることだ。文体の美しさはまるで中島敦の『山月記』を読んでいる時のような気持ちになった。そして随所に出てくる傑作の情景、たとえば石川達三の『日陰の村』や北原白秋、なんとエラリー・クイーンのライツビィルまで飛び出してきて驚き・感激である。傑作として生き残る作品というのは本作のようにすべてにおいて流麗華麗かつ精緻なるものなのだと感心してしまった。さすがである。
黒いトランク (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 黒いトランク (創元推理文庫)より
4488403034