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カリブ海の秘密
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【この小説が収録されている参考書籍】
カリブ海の秘密の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.05pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 1~20 1/2ページ
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ミス・マープルは言わずもがな、登場人物にもうひとり、とても印象に残る人物がいました。 えらい年寄りで偏屈、身体の自由は利かないけれど、頭脳明晰の富豪、ラフィール氏。棺桶に片足突っ込んだようなこの年寄りと、我らがヒーロー、ミス・マープルのやり取り、お互いに敬意を払うふたりの関係に、ぐっと来ました。ラストの台詞なんか、思わずこちらも〝敬礼〟したくなりましたよ。 永井 淳(ながい じゅん)の訳文は、まずまず読みやすかったです。訳文の初出は1971年(昭和46年)と古いにも関わらず、ほとんど違和感なく読み通すことができました。 それと、何かの儀式を行っているみたいなシルエット姿のカバー写真が、なかなかにインパクトがあって良いなと。 登場人物が見かけとは異なり、その陰に邪悪なものを潜ませている‥‥。本篇で醸成されてゆくその不吉な雰囲気とイメージが重なるところがあって、このカバー写真の選択は、グッジョブや!思いました。 | ||||
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「カリブ海の秘密」とは? 直接、この「秘密」を解く鍵となる言葉は、何なのか? 見つかりませんでした。 「カリブ海の秘密」は、誰かの秘密です。 噂話でばらまかれます。いつまでたっても消えません。 特に未解決の殺人事件はいつまでも、あちらこちらで噂されるものです。 なので、脅迫されないように、おしゃべりなヤツの口は封じなければ・・・ これが、次の殺人事件を呼び込むのです。 本書の舞台は、カリブ海の西インド諸島のひとつ、サン・トレノ島にあるホテル。 ホテルの名前は、 ゴールデン・パーム・ホテル(表紙カバーのソデ、登場人物、15頁、27頁) ゴールデン・パーム(32頁) ゴールデン・パーム・トリー・ホテル(267頁) 「パーム・トリー」は、 「しゅろの樹」(16頁)、椰子の木、または「ココナッツの木」(230頁) 厳密には、どう訳すべき木でしょうか? 冒頭の「登場人物」では、 「ゴールデン・パーム・ホテルの滞在客」としか紹介されていない人たち。 なぜでしょう? 本文の中では、詳しく書かれているのに。謎です。 というわけで、読者は著者に成り代わって、紹介してみます。 ・パルグレイヴ少佐: 懐古談にふける醜(ぶ)男老人(9頁)。なぜか殺された(197頁) ・ラフィール: 老人(32頁)。体の自由がほとんどきかない(33頁)。お金持ち(212頁) ・エスター・ウォルターズ: ラフィール氏の秘書。娘がいる(226頁)。 ・アーサー・ジャクスン: ラフィール氏のマッサージ師。看護係(33頁) ・ジェレミー・プレスコット: 兄。聖堂参事会員(16頁) ・ジョーン・プレスコット: 妹 ・グレゴリー・ダイスン: アメリカ人(34頁)。夫。ラッキーと再婚(102頁) ・ラッキー・ダイソン: アメリカ人(34頁)。妻。前の奥さんの親戚(103頁) ・エドワード・ヒリンドン: 夫。背が高く痩せた植物学者(34頁)。大佐(34頁) ・イーヴリン・ヒリンドン: 妻。日に焼けた植物学者(34頁) ・グレアム: 年配の博士(16頁)、医師(119頁) 心に残った文章。 「探偵小説の被害者はどんなタイプかね? 大金持ちの老人だよ」(223頁) 「大金持ちの老人」ラフィール氏と、ミス・マープルとの老成した推理の会話が興味深い。 特に、第17章の「ラフィール氏、活動を開始する」が面白かったです。 本書『カリブ海の秘密』は、1964年の作品。アガサ、74歳の時の作品。 古い作品なのに、面白さは変わりません。 | ||||
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犯人はすぐ想像ついたのですが、確信できないまま、ぐいぐい引っ張っていかれました。 犯人が当たっていたとわかったときは正直少し拍子抜けしましたが、引っ張る作者の力量がすごいのだと思います。 他のレビュアーも指摘されているように、老ワトソン訳が魅力的で、傑作のひとつだと思います。 | ||||
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クリスティの作品はどれも人物造形に秀でていますが、今回はマープルの捜査に協力するラフィール氏が特に優れていると感じました。 最初は「なんだこの嫌味を体現したかのような爺さんは!」と不快に思ったのですが、その爺さんが「あの婆さん(マープル)のことを見誤っておった!」と言った頃には、私も「あんたのこと見誤っておったよ!」となりました(笑) このラフィール氏とマープルのやりとりが夫婦漫才のように軽快で面白く、数ある登場人物の中でも、彼らお年寄りコンビが一番若々しくてエネルギッシュに感じました。 ストーリーですが、どの人物も怪しく描かれていて、ミスリードも巧みで期待を裏切らない出来でした。 ただ、クリスティの作品をよく読まれる方であれば、どこかで見たことのあるようなパターンなので、比較的犯人がわかりやすい方かなと思います。 トリックも凝ったものではなく、ミステリーとして見ると少々物足りなさはあるのですが、全体的にテンポが良くスラスラ読めたのでとても楽しめました。 でも楽しめた理由の大半は、上述したお年寄りコンビのおかげかなと思います。 これがもしポアロ物であれば、変わった爺さんがいるだけのあまり印象に残らない作品になっていたかもしれません。 それだけマープルとラフィール氏のコンビがとても素晴らしかったです。 クリスティの人物描写が好きな方であれば、この2人のやりとりを読むだけでも価値のある作品ではないかと思います。 | ||||
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学生時代に読んだものの再読ですが 改めて思った どうしてこう、クリスティの容疑者像って 似たようなものになるんだろ 浪費家の男でむろん性欲的にもだらしなく、 金持ちの女性のヒモ狙いで次々乗り換えを何とも思わないクズばかりで食傷気味になってきました 彼らって今ならこんな診断ゲット出来るんじゃないかな サイコパスか自閉症 | ||||
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ミスマープル、村を離れてカリブ海でも大活躍。 今回のサポート役、大富豪で介助がないと動けないラフィール氏、いいキャラです。 そして「復讐の女神」に続きます。 | ||||
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ミス・マープル物の長編9作目にあたり、クリスティの半世紀を超えるキャリアの中でも晩期に発表された作品です。 さしものクリスティも、この時期になると、クオリティに陰りが見られるようになります。ミステリとしての謎の構成もさることながら、彼女の最大の武器であったストーリーテリングの巧さが失われ、冗長で、本筋にも絡まなければ内容的にも面白くない台詞を延々と読まされることが頻繁になり、その強弩の末勢ぶりには悲しさを感じずにはおれません。 そんな中、この作品は(初版刊行時点で)74歳だった人が書いたとは思えぬほど、軽快さがあります。そして、すらすらと読める文章のあちこちに、まだまだなめてもらっちゃ困ります、といわんばかりの攻めの精神が伺えるのが嬉しいところです。 それが顕著に見受けられるのが冒頭部。イングランドの片田舎にある小さな村をホームグラウンドとするミス・マープルを遠くカリブ海のリゾートホテルに送り込み、「いたるところにあるセックス。婦女暴行、近親相姦、あらゆる種類の性的倒錯」(13ページ)といった言葉を連ねて、“ヴィクトリア朝時代の謹厳さと上品さ”という、マープルに、そしてクリスティ自身について回るイメージを拭き飛ばしにかかります。 しかも、このセックス談義が読者の関心を惹くためのネタに留まらず、物語全体のキーワードになっていることも見逃せません。実際、クリスティの諸作の中でも、ここまで不倫関係が多い作品は珍しいでしょう。あからさまなベッドシーンなどがないので目立ちにくいですが、性に対する放埒さが事件の背景にどっかりと腰を下ろしています。色と欲に任せて連続殺人を、それもかなり場当たり的に繰り返す犯人はなかなかのサイコパスで、このあたり、時代に合わせた犯人像を作り出していることも看て取れます。 もう一点、老人を侮るな、という気概をわかりやすく体現しているのが、中盤以降に活躍を見せるラフィールという人物です。大富豪で、病気を患い、人当たりが悪いこの老人はミステリの通例にならえば、典型的な被害者タイプ。ところが、マープル顔負けの洞察力を示し、金に飽かせて人をこき使い、それでもって事件解決に協力するというキャラクターとなっています。クリスティのみならず、他作家を見てもかなり希有なワトソン役で、本作の忘れがたい魅力の一翼を担ってくれています。 さらに、クリスティは単に新しさに突っ走っているわけではありません。本書12章のタイトルにもなっている“古い罪は長い影を落とす”という言葉は、クリスティが本格ミステリに留まらなくなって以降、特に1950年代以降から最晩年までこだわったテーマであり、この作品もその中に位置づけることができます。 そして何よりも、ラフィールがマープルに贈る“Ave caesar, nos morituri te salutamus.”(皇帝万歳。我ら死せんとする者、陛下に敬礼す)という言葉。これはクリティファンなら先刻ご承知の通り、1922年に発表されたトミーとタペンス物の第1作『秘密組織』のクライマックスを飾った台詞です。40年余の時を経て、かつて自分が作家人生の幕開けで用いた言葉を再度持ってくる――ここには、さあ、ここからリスタートだ、というクリスティの気概がみなぎっているようです。 本作はクリスティ初心者の人にも、その読みやすさでオススメできる作品です。またクリスティを20冊、30冊と読んだ人にも、ふうん、マープル物にもこんなものがあるんだ、という興味を提供してくれると思います。同じリゾートホテルを舞台にした作品として、ポアロ物の『白昼の悪魔』と読み比べるのも面白いかもしれません。 なお、本作は2度に渡ってテレビシリーズの一作として映像化されています。マープルをジョーン・ヒクソンが演じた1989年版と、ジュリア・マッケンジーが演じた2013年版です。両者とも、登場人物の整理や細かな設定変更こそありますが、大きな改変はなく、原作では完全に浮いた扱いになっていた警察関係者をストーリーに絡めて全体のまとまりを整えているほか、ホテルの外にある現地の街でのシーンを盛り込み、西インド諸島らしい雰囲気を強めています。強いていえば前者はやや原作寄りで、後者はブードゥー趣味を加えたり、ジャマイカに別荘を持っていたイアン・フレミングを劇中に登場させたりとエンターテインメント性を高めた脚色になっています。どちらも悪い出来ではありませんが、個人的には、より本格志向で華やかさに富む後者に一票を投じます。ただし、マープルはヒクソンのほうが好みですが。 【補足データ】 初版:1964[昭和39]年11月 初版刊行時点でのクリスティの満年齢:74歳 長編として:全66作(Mary Westmacott名義で刊行された非ミステリ長編6作を除く)中の55作目 マープル物の長編として:全12作中の9作目 | ||||
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とても綺麗な商品でした。 安価だったので、こんなに綺麗な本が送られて来るとは思っていませんでした。ありがとうございました。 | ||||
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『カリブ海』の島でリューマチの療養中のマープル。 少佐が殺人者の写真を持ってると言い出すが見せてくれない、そして翌日殺された。 もしかしたら殺人者がそばにいて見せるのをやめたのかと思うマープル。 マープルの前に怪しい2組の夫婦。片方の旦那ともう片方の奥さんが浮気。 不倫妻は今の旦那も略奪したんだ。 ホテル経営者夫婦は情緒不安定。 島で療養してる大富豪のラフィールとマープルは協力して第三の殺人を防ぐ。 ラフィールの秘書とホテル経営者の旦那が不倫。 やれやれ不倫多すぎだ。 | ||||
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セントメアリーミード村から一転、陽光あふれる西インド諸島へやってきたミス・マープル。 血なまぐさい事件の萌芽は、ミス・マープルの到着を待っていたかのように成長してしまった。 ここに出てくるパルグレイブ少佐的な人物(驚くほどつまらない回顧話を繰り返す)は、 ほかのクリスティ作品にもしょっちゅう出てくるし、 『髪を染めた軽い女性』『陽気でガサツなタイプの男性』的な存在もよくみられる。 物静かで知性的なカップルもしかり。 長くクリスティ作品を読んでいると、名前だけで「あぁ、あんなタイプの人物ね・・・」と 予想できてしまう。 それでも今回のこの作品がたいそう面白いものになったのは、トリックもさることながら 一人の大金持ちのお爺さんのおかげだ。 この人は、クリスティ全作品を振り返ってみてもあまり見られない新顔キャラクターであり、 とっつきにくいのはとっつきにくいけれど、この偽悪的な人は実は頭脳明晰、 心の奥底に他人に対しての深い思いやりを持っているとても魅力的な老人だ。 そばにいたら大変だと思うけれど・・・。 二人で、お互いの持つ‘ものすごい脳みそ’を駆使しながら二人三脚で事件を解決してしまった。 この作品がおもしろかった理由は訳も与っていると思う。 こなれた会話、すいすい読ませる情景描写。 なかでも気に入っているのは、「おい、そこの人!」という呼びかけ。 原語でどうなっているのかわからないが、いかにもラフィール氏らしい口調で、 いつもここにきてはくすっと笑ってしまう。 続編『復讐の女神』も同じ役者に訳してもらいたかった (悪いことはないけれど)。 | ||||
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この作品を描いたときクリスティは74歳だった。マープルは78歳らしい。ということは等身大の高齢者ということになるだろう。 マープルは、たいてい椅子にいて編物をしている。読む方としては、高齢者が無理して動き回り、骨折したりするより、経験という武器を使い、いままでに蓄えた人間観察力にモノを言わせて事件を解決してゆくのを見るのは勉強にもなるのだ。マープルはイギリス人だが、日本人の感性と重なる部分が多いように感ずる。舞台はカリブ海。カリブ海の島々のなかの、英国領だった島が舞台だから、トロピカルなドリンクと食べ物、蝶や鳥、珊瑚礁の美しい海などの自然を背景に、イギリスからやってきて長い休暇を過ごす人々の人間模様が描かれる。誰も殺人事件とは思いもしなかった一人の男の突然死に、マープルが立ち止まる。偏屈、悪態をつくのが趣味のような、車いすの超老人は、マープルを噂好きな婆さん、とバカにしているが、気があうようになって老人、老女の知恵が結集してゆく。 | ||||
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お年寄りの突然死は当たり前。 いえいえ、お年寄りを見くびってはいけません。 経験と知恵、狡猾さ、正義の信念、仕事に縛られない時間を持ってます。 とても、面白かったです。 | ||||
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ミス・マープルものは温かくて ほんわりと読める 日本の推理探偵小説は暗い〜 | ||||
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旅先でもミス・マープルは有名。 現地警察官が 「えっ、ミス・マープルって、あの・・・ミス・マープル?」 と、意見を拝聴してくれるあたり、 この人はすごいなって笑いが込み上げてくる。 | ||||
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ミス・マープルがカリブ海の南国に旅行に来ます。本人は若干いやがってますが…。 そこで、自分が「ちょっとめんどくさい人だなぁ…。」と思っていた人が殺されてさぁたいへん!! おばちゃまが殺人事件を調べ始めたぞ!! これが、作品のストーリー序盤です。 さすがプロット職人なだけあり、彼女の作品に外れはありませんね。第2部の『復讐の女神』と違って、とっても軽めに書かれた作品でした。 また、彼女に手を貸すラフィールさんが、本当は「めんどくさい人」なのではなく「ただ、ちょっとめんどくさく見せている基本いい人」なのも面白く、彼女とラフィールさんの掛け合いは、夫婦漫才のようで面白かったです。 静けさと同居しているイメージがついてまわるミス・マープルですが、ある意味これはそんな彼女の既成概念を打ち崩した作品かもしれませんね。 これを読んだ後、映像の方も同様に見てみたらいいと思います。かなり忠実に再現されていますし、おじいちゃんおばあちゃんの掛け合いがかわいくて面白いです。 | ||||
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マープルがセント・メアリ・ミード村を離れ、西インド諸島でのバカンス中に事件に遭遇するという楽しい設定。ホテルの滞在客を村の人々に見立てるのもマープルらしい。高級観光地の客も村人も、人間性の上では普遍的という首尾一貫したマープル物の趣旨が如実に出ている。発端は客の老少佐の死。少佐がマープルを相手に昔の自慢話をしている際に殺人の噂が持ち上る。ところが少佐が殺人犯とおぼしき人物の写真を見せようとした瞬間、マープルの背後を見てその写真を元に戻してしまう。そして、その晩に少佐は自室で亡くなる。当初は自然死かと思われたが、少佐の寝室に普段置いてない薬壜があった事、マープルに見せようとした写真が紛失している事などから殺人の疑いが高まる。マープルは慎み深い老婦人という立場を利用して、宿泊客の素性を大胆に探って行く...。浮かび上がる様々な人間模様。そして、薬壜の移動に気付いた女使用人が刺殺される...。誰の言葉が信用出来るのか否か疑心暗鬼のまま読者を引っ張って行くクリスティの筆力は流石だと思う。殺人者は過去の成功に酔い、同じパターンの犯罪を繰り返すというクリスティの従前からの主張も見事に組み込まれている。ミス・ディレクションに怪しい部分もあるが、これだけ楽しませてくれれば充分だろう。結末で「復讐の女神」と化して犯人に立ち向かうマープルだが、本作は三部作構想の初作で、次作「復讐の女神」も本作同様に佳作である。改めてクリスティの残してくれた作品群に感謝したい。 | ||||
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マープルがセント・メアリ・ミード村を離れ、西インド諸島でのバカンス中に事件に遭遇するという楽しい設定。ホテルの滞在客を村の人々に見立てるのもマープルらしい。高級観光地の客も村人も、人間性の上では普遍的という首尾一貫したマープル物の趣旨が如実に出ている。 発端は客の老少佐の死。少佐がマープルを相手に昔の自慢話をしている際に殺人の噂が持ち上る。ところが少佐が殺人犯とおぼしき人物の写真を見せようとした瞬間、マープルの背後を見てその写真を元に戻してしまう。そして、その晩に少佐は自室で亡くなる。当初は自然死かと思われたが、少佐の寝室に普段置いてない薬壜があった事、マープルに見せようとした写真が紛失している事などから殺人の疑いが高まる。マープルは慎み深い老婦人という立場を利用して、宿泊客の素性を大胆に探って行く...。浮かび上がる様々な人間模様。そして、薬壜の移動に気付いた女使用人が刺殺される...。 誰の言葉が信用出来るのか否か疑心暗鬼のまま読者を引っ張って行くクリスティの筆力は流石だと思う。殺人者は過去の成功に酔い、同じパターンの犯罪を繰り返すというクリスティの従前からの主張も見事に組み込まれている。ミス・ディレクションに怪しい部分もあるが、これだけ楽しませてくれれば充分だろう。結末で「復讐の女神」と化して犯人に立ち向かうマープルだが、本作は三部作構想の初作で、次作「復讐の女神」も本作同様に佳作である。改めてクリスティの残してくれた作品群に感謝したい。 | ||||
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この作品、コアなミステリー読者ほど ドツボにはまります。 読みなれない人だと「反則だろ!」 といいたくなるかと思います。 そんなことを言う私も 最後の最後のあの逆転劇には 「うわぁぁ!」と思ってしまいました。 この犯人やりおるなぁとも同時に。 そう、一連の事件はすべて 「殺人をそうでなくみせかけるシナリオ」だったのですから。 ただし、展開は割りとありがちな感じです。 なので、物珍しさはあまり感じないことでしょう。 | ||||
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この作品、コアなミステリー読者ほど ドツボにはまります。 読みなれない人だと「反則だろ!」 といいたくなるかと思います。 そんなことを言う私も 最後の最後のあの逆転劇には 「うわぁぁ!」と思ってしまいました。 この犯人やりおるなぁとも同時に。 そう、一連の事件はすべて 「殺人をそうでなくみせかけるシナリオ」だったのですから。 ただし、展開は割りとありがちな感じです。 なので、物珍しさはあまり感じないことでしょう。 | ||||
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ミス マープルものは、イギリスの文化、風土とを知るのによい。 特に、牧師がよくでてくるし、牧師の住んでいる家もよくでてくる。 本書はその代表例ともいえる。 海の話題が鉄道よりも多いのは、ひとえにイギリスものだからだろうか。 人間性の観察にたけたミス マープルものを呼んでおくと、イギリスでの会話の話題としてはハリーポッタよりもよいと思う。 ハリーポッタは、魔法の世界なので、現実のイギリスの描写が少ない。 海外文学を、その国にいくときの話題のために読むのは邪道だとは思いますが、、、 | ||||
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