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ポケットにライ麦を
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【この小説が収録されている参考書籍】
ポケットにライ麦をの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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ライ麦もくろつぐみも全然知らなくて、今でも知らなくて、本編全部を読み終えた今でもまだ調べようともしていない。あくまでもそれほどしか心が動かされなかった程度のお話だったのかなと。この作品の前にこの作者さんの、そし誰(そして誰もいなくなった)とアクロイド殺しを見ましたが、前述の二作品がそれぞれマンチェスターUとリヴァプールだとすると、ポケ麦はニューカッスルですか? | ||||
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クリスティが創造した探偵役の中でも、ポアロと並んで人気、知名度を誇るミス・マープル。その12作ある長編のうち、6作目にあたるのが本作です。 この作品に興味を持たれた方は、まず最初に3つの誤解に陥っていないか、確認されることをお勧めします。 まず第一に、主人公はマープルではありません。ほぼ出ずっぱりで事件の捜査に当たるのは、警視庁から派遣されてきたニール警部と、その部下、ヘイ部長刑事。描写の大半は彼らの活動に割かれており、マープルは登場からして全体の4割以上が過ぎてから。その後も、ちょこちょこと顔を出すだけで、物語の構成から見れば、完全な脇役という位置づけです。 もっとも、マープル物ではこのスタイルはむしろ普通で、最終盤にちょろっと出てくるだけの『動く指』などに比べれば、まだしも登場する場面が多い、といえます。ですので、冒頭からマープルが登場し、捜査の主役となって真相へ近づいていく、といった一般的な探偵小説のスタイルを意識していると、思い切り肩透かしを食らうことでしょう。 第二に、この物語はマザー・グース(Nursery Rhymes)のひとつ、「六ペンスのうた」からタイトルを採っており、作中で歌に見立てた殺人事件が起こります。そのため、同じ趣向を持つ著名作中の著名作『そして誰もいなくなった』に感銘を受け、“もっとクリスティのマザー・グースものを読みたい!”と思った方が思わず手に取ってしまうかもしれません。 が、おそらくその場合も、ちょっと想像と違った印象を持つことになるのではないかと思います。確かに見立てはあるものの、それが全編に色濃く反映されているだけではなく、またサスペンスが主軸の『そして誰もいなくなった』と異なり、家庭内のいざこざを描いたホームドラマになっているためです。 そして第三に、この作品は上述のように、あくまでもホームドラマであり、ミステリ要素はあるものの、本格ミステリではないことです。 もともとクリスティは論理性やそれを裏付ける証拠などに拘泥しない、もう少し言えば端からさほど重要視していない作家です。もしクリスティが公明正大、読者との知恵比べを真剣に挑むような作風を好んでいれば、『アクロイド殺し』『オリエント急行の殺人』といった作品はたとえ思いついたとしても書かないでしょう。 クリスティを10冊程度読んだ人であれば、彼女が“ミステリの女王”ではあっても“本格ミステリの女王”ではないことにすぐ気づくと思います。しかも、第二次世界大戦以降の作品では、その傾向がどんどん増していき、自身が還暦を迎える1950年代以降になると、ミステリ要素を持った小説、謎解きを絡めながらお話として面白い小説を書く作家としての側面が強くなっていきます。 『ポケットにライ麦を』は発行が1953年、クリスティはすでに63歳になっています。この頃には、もうそうした志向が出ているため、本格ミステリとしては見れば、完全な落第作です。しかし、クリスティが本格ミステリとして書こうとしてない以上、そうなるのは当然といえるでしょう。 ここでまとめておきます。 ●マープルは主人公ではない ●マザー・グースは主題ではない ●本格ミステリではない この3点が気になる方は避けて通ったほうが無難でしょう。クリスティー文庫のアオリ文は毎度のことながら多分に盛っているというか、修正をし過ぎて別人になってしまった写真のような趣があるので、ゆめゆめ惑わされませんように。 では、この作品の面白さ、良さはどこにあるか。 それは何よりもクリスティの文章の上手さにあります。一読すればお分かりになるでしょうが、非常に読みやすいのが特徴です(もちろん、これには訳文の巧さもあるでしょう)。しかも、その読みやすさは、よく考えてみると、かなり凄いことなのです。 というのは、作中の主要登場人物となるフォテスキュー家の人々が、使用人まで含めて、なんともヒドい人たちばかりなのです。冒頭で当主レックスが殺されることから物語は始まりますが、仮にも人が、それも夫であり、父であり、当主である人物が亡くなったというのに、それに対して彼らが見せる態度といったら。ほとんどが死んで当然、死んで良かったのオンパレード。かなりヒドいです。 さすがに辟易して……きそうですが、ところがそうはなりません。 冷酷というか自分勝手というか、とにかくどうオマケしてもいい人とは言い難い人々の話を聞かされているのに、読んでいる側の心がダークになってきません。するっと、さらっと読ませてしまうのです。しかも、クリスティが好んで用いる恋愛というファクターも、ここではほとんど使わずに。 豪華な屋敷に暮らす大家族、家族全員ろくでもない人間という構図は『死が最後にやってくる』『ねじれた家』などでも見られる人物配置ですが、これらの作品には、主人公を巡るロマンスの要素が盛り込まれ、少なくともその当事者たちは比較的まとも、という逃げ口が用意されていました。いわば、読者が感情移入できる対象が用意されていたのです。 ところが『ポケットにライ麦を』にはこれがありません。ロマンスはあることはあるのですが、それがすべて悲劇の方向を向いています。ここまで徹しているのは、クリスティでも珍しいといえるでしょう。 クリスティは19世紀生まれの人で、世界に冠たる大英帝国が二度の世界大戦を経て、凋落していくさまをその目で見た人物です。レックス・フォテスキューは、犯罪すれすれの手腕で金を稼ぎ、それを元に投資信託会社をやって財を増そうとしています。そして一族はその決して綺麗とはいえない金に群がります。こうした人々が、謹厳なるヴィクトリア朝時代に生まれた還暦超えのおばあさんにどう見えたのか。第四章でニール警部が金持ち連中に対する不満をぶちまけるくだりがありますが、そこには英国社会の変貌に対するクリスティ自身の思いが込められているように感じます。 戦後の混乱期、人々が苦しんでいる時代に、怪しげな金で構えた大豪邸に住まう俗悪な成金。自分で稼いだわけでもない金を狙う親族たち。彼らが巻き起こした醜い事件を、マープルを絡めて描く――これが『ポケットにライ麦を』なのです。 こう聞いて面白そうだな、と思う方。そんな人のためにこの作品はあります。作家クリスティの手腕と、そこから垣間見える価値観をどうぞじっくりと味わってみてください。 【補足データ】 初版:1953[昭和28]年11月 初版刊行時点でのクリスティの満年齢:63歳 長編として:全66作(Mary Westmacott名義で刊行された非ミステリ長編6作を除く)中の45作目 マープル物の長編として:全12作中の6作目 【六ペンスのうた・原詞】 Sing a song of sixpence, A pocket full of rye. Four and twenty blackbirds, Baked in a pie. When the pie was opened, The birds began to sing; Wasn't that a dainty dish, To set before the king? The king was in his counting house, Counting out his money; The queen was in the parlour, Eating bread and honey. The maid was in the garden, Hanging out the clothes, When down came a blackbird And pecked off her nose. | ||||
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題名が面白いのでちょっと期待したのですが、マザーグースの歌とともに本編の謎にはあまり関わりがないのが残念です。また、犯人もたいした捜査をしてないようなのに、確信をもって推定されて少し唐突な感じがしました。そして最後の手紙、小説としてはいい味なのかもしれませんが、犯人を確定するための強引な手法という感じがしました。 | ||||
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マザーグースの歌に見立てて起こる殺人事件ものとしては ご存知の通り、「そして誰も・・・」が有名であり、クリスティー作品の中では 私は一番度肝を抜かれた小説でした。 それと比べるのは酷ですが、犯人が中盤ぐらいでわかってしまったことや 恨みを持つあの家のあの人は・・・実はというのもわかってしまったことで 純粋に謎解き、意外性という意味で、面白さに欠けました。 というものの、これだけハズレのない作品を死してなお 提供してくれるクリスティーに感謝です。 | ||||
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もう一度読み返す気にはなれないが、本格推理として悪く無い出来だったと思う。 星三つだが、3.5といったところか。 マザーグースの歌のとおりに殺人が行われる。つぐみを捜せと言われても、日本人にはイマイチぴんと来なかったが。 | ||||
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