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ホロー荘の殺人



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ホロー荘の殺人の評価: 4.27/5点 レビュー 44件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.27pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全44件 41~44 3/3ページ
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No.4:
(5pt)

もっと評価されて然るべき、文学性の高い、クリスティー作品の高位にランクできる傑作

この「ホロー荘の殺人」という作品、傑作がひしめくクリスティー作品の中にあっては、それほど評価の高い作品ではないのだが、もっと評価されて然るべき作品だろう。この作品について、クリスティーは、その自伝で、「ある意味では探偵小説というより、むしろ普通小説」であり、「ポアロの登場が失敗の小説だった」とし、「彼は彼としての役目をちゃんと果たしてはいるが、この小説から彼を抜きにしたらもっとよくなるのではなかろうかと思い続け」、「ポアロを取りのけて劇化し、成功を収めた」と語っている。この作品の訳者である中村能三氏は、「この作品におけるポアロの役割を考えあわせれば、女史はそもそもからこの作品で、いわゆる推理小説を書く気はなかったのではないか」とまで述べる一方で、「女史の作品のうちで最も文学性の高いものであり、女史の作品群中でも五指のうちにはいる傑作」と評価しているのだ。私は、この作品を二度読んでみたのだが、たしかに、この作品には普通小説並の読み応えがあり、クリスティーならではの巧みな心理描写に、知らず知らずのうちに、ぐいぐいと惹き込まれていく。この作品にポアロが不要なのは事実だが、かといって、推理小説としても特に不足があるわけでもない。五指かどうかは別にしても、高位にランクできる傑作であることは間違いがないと思う。ちなみに、この作品のキーワードは、「すれ違う愛」であり、四人の女と二人の男が織り成す「すれ違う愛」が、それぞれの男女の対し方によって、正反対の結果を生むストーリーとその結末は、まさにクリスティーが緻密に組み立てた感動の名人芸だ。ミステリ界広しといえども、こうした類いの作品を書けるのは、クリスティーを措いて外にいない。
ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300228
No.3:
(5pt)

人間心理の奥深さを描き出したミステリ

登場人物を描写していく序盤に、特に魅力を感じるミステリです。なかでも、妖精が飛び回るように天真爛漫で、捉えどころのないアンカテル夫人のキャラがいかしてます。周りの人間が彼女の言動に翻弄される様子が、見事に描き出されています。本書の魅力は、登場人物たちの心理の綾にあるのだろうと思います。ミステリとしての仕掛けの妙ではなく、人物間相互に働く心理劇の面白さ、彼ら自身にもよく分からない気持ちの変化、その辺がとても巧く描き出されていました。本作品の二年前(1944年)に書かれた『春にして君を離れ』に通じる、恋愛をからめた人間心理の奥深さ、それを本書にも感じるのです。舞台となるホロー荘の Hollow を英和辞典で引いてみると、「うつろの」「空虚な」という意味があることが分かります。本書を読み終えて、何やらそこに暗示されているものがあるように思いました。これは、でも、深読みしすぎかもしれません。この作品の味わい、魅力を綴ったエッセイとして、芳野昌之さんの『アガサ・クリスティーの誘惑』の一編も忘れがたいです。「人間性という垣根」というタイトルが付いた一章。機会があったら、ぜひ読んでみてください。
ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300228
No.2:
(4pt)

少し悲しい…

登場人物が皆すごくよく書き込まれていて、まるで恋愛小説を読んでいるような感じです。女性のほうが楽しんで読めるかもしれません。痛快な謎解き、事件の解決というよりも、登場人物の丁寧な心理描写や関係者たちの人間関係などから、ポアロと一緒に事件をたどっていくような気持ちで読める作品でした。
ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300228
No.1:
(5pt)

読む人の年齢で評価が別れるのでは?

私が始めてこの本を読んだのは中学生の時で、その時はちっとも面白いとも思えなかったのですが、十ウン年後読み返してみて、その内容にうたれました。人物造型がステレオタイプだと言われれば、たしかにそうですが、人がどうしようもなくて犯罪にいたる道、またそれに関わっていかざるをえない人の苦悩を、人と人がわかりあうことの難しさ、切なさを感じさせられて、読む方もしーんと考えさせられました。
離婚を経験したクリスティーでなくては書けなかった一冊ではないでしょうか。
ホロー荘の殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-28)Amazon書評・レビュー:ホロー荘の殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-28)より
4150700281

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