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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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接点はないと思われる格差社会の上層と下層を並列に示してみせる、推理作家としての腕前には感心する。伏線も律儀に張ってある。 また、ふだん人間関係にしろ仕事にしろ心身にこたえることが多いから、物語の中で状況に的確に対応して行動する人物を疑似体験したいという要望には応えてくれるだろう。 一方で、前よりは後ろ、上よりは下、光よりは闇を見たい。そういう要望には応えてない。 そういう意味では、本作品の登場人物には魅力を感じなかった。まあ、無い物ねだりというべきですが。 例外的に興味を持ったのは、巡回保健師で、作者にはいつか彼女を深く掘り下げた話を書いてみてほしい。 また、なぜかマリリン・モンローの夫と同名の隣人の運命も面白い。芝エビだと思い込んでいたのがバナメイエビで、おまけにノロウィルスに感染してしまったというところ。 こういう人物がどんどん出てくると物語は生き生きしてくるだろうと思うんですが。 『養鶏場の殺人/火口箱 』(創元推理文庫)の解説者は本作品について、集団心理の暴走を描いたとしているが、疑問です。 その前に格差社会の下、鬱積する焦燥や絶望感のグルグルってものがあるだろう。そこから説き起こして人間の本性をたどって暴力に結び付けて描かないとリアリティはない。 新堂冬樹の登場人物も戯画化されていてほとんどマンガだが、暴力にさらされてズタボロになる心理は迫真的に描かれる。(『カリスマ』や『鬼子』など) 本作品にはそういう迫力ある人物は出てこない。W・ゴールディングの小説『蠅の王』やペキンパーの映画「わらの犬」みたいな、目を背けることを許さない深さも感じられない。 根本的に、小説で集団心理を描くことが難しいのかもしれない。 誰かに焦点を当てて描くと、集団心理ではなく個人の心理描写になってしまう。 ちなみに、その辺をブレークスルーした傑作がある。30年前に読んで今でも忘れられない。ユダヤ人作家エフライム・キション「うなるベートーヴェン」(『キションのベストジョーク』 (1980年)所収)。ユーモラスなショート・ショートだが、人間心理の機微とそれが集団になったときの反応が描かれている。 本作品は2001年発表。例の9・11と同年。 その後、国家予算を使ってできる限りの愚挙をやってのけ、正義の保安官の側に立たぬ者はならず者だと決めつける、あきれた考え方が頼みもしないのに世界に向けて発信された。 本作品はアフガン・イラク侵攻支持のプロパガンダではないだろうが、作者の身ぶりはどこやらネオコンっぽい。 社会に向き合い問題提起するより、せいぜいポリティカル・コレクトネスを意識してればいいだろうというスタンスに見える。 集団心理の暴走の極致が戦争だとすると、戦争と人間心理を描いた作品として、太宰治「十二月八日」と坂口安吾「真珠」を挙げたい。 両方とも1945年12月8日の真珠湾攻撃の話だが、戦闘場面などは描かれない。いわば内面化された戦争が描かれていてリアルに怖い。(この2作は青空文庫にあります) 小説で読みたいのはそういう描写であって、バイオレンスシーンを参照しながらカタルシスへと向かう暴力ではない。 まあ好き好きだが。 | ||||
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海外ミステリには珍しく、なかなか読みやすかった。 色んな風に読める内容ではある。 最近、メディア上に悪者が現れると、自分が正義の味方か何かのように「謝罪しろ」と言う第三者がいるが、あれは何なのかと思う。 直接の被害者でないのに、何故謝れと命令できるのか。 ノーリスクで他人に文句を言う、それは卑怯者と呼ばれる。 この小説で犯罪者に私刑を下そうとするのはラリッた若者だが、我々はそれを彼岸の馬鹿だと笑えるのだろうか。 | ||||
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今年のこのミス1位の評判もあるのだけど。 はやくキンドル版を出してください。 | ||||
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