蛇の形
- パレ・ローゼンクランツ賞受賞 (1)
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上手い!とうなってしまいました。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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自分の目の前で死んでいった隣人の黒人女性は殺されたのだ、という自身の確信を基に、20年間調査を重ね真実を追求していく信念の物語。 主人公の女性が精神的にとても強くて、自分が調べた内容を携えて過去の関係者たちを廻る。ところどころ、「他人に対し、すごいこと言うな~。日本人だったら絶対にこんなこと言えないだろう」と少々引き気味で思う。もちろん、それは正しい行動で、結局は人間の悪意ってものが20年前の事件を引き起こしていたのだから当然なのだが・・・。多分、自分だったらここまで他人(死んだ隣人)のため、真実の追求のために動けないだろう、という自己弁護(言い訳)の感情なのかな? 結局、隣人を殺した犯人も判明する。ただ、犯人自体は「え、そうだったの?」とあっさりとした印象で、衝撃などはあまりない(少なくとも私は)。 これは犯人捜しの物語ではなく、真実の追求と暴露の物語なのだと改めて思った。 | ||||
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どういう経緯でこの本を買ったのか忘れてしまった。 『蛇の形』という奇なるタイトルに惹かれたのか。 アマゾンの書評に乗せられたのか。 それとも、児玉清、一押しの作品だったからなのか。 いずれにせよ、私の好みからは大きくかけ離れていた。 まず、登場人物が多すぎる。 20年前のお近所さんたちと主人公のお友達関係。 いかにもとるに足らなそうな登場人物ばかりなので憶える気にならない。 それなのに、その多くが最後の最後まで筋書に大きく絡んでくる。 まあ、絡んでくるというよりも・・・なのだが(謎)。 そして、なによりも主人公が好きになれない。 主人公のしつこさに辟易する。 20年も前の一見どうでもよさそうな事件を永遠と追い続ける女主人公。 正義を貫くとはいえヘビのような女である。 あんたが一番異常だろうと思いたくなるくらいに執念深い。 当然ながらそんなネチネチとした582ページにも及ぶ追及劇など楽しめるはずがない。 と、いやいやながらも読み進めていくと、これが意外とよく出来ている。 正確には、意外と、ではなく、すこぶるよく出来ている。 最後まで好きにはなれないが、最後まで技量の高さに感服させられる。 この作家は単に技巧だけではなく、実際にも凄まじい饒舌家なのではないだろうか。 セリフの文章力が突き抜けている。 嫌味なほどに卓越している。 | ||||
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被害者黒人女性の人生を思うと涙が出そうになる最終ベージの切なさよ。 | ||||
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P.D.ジェイムズの次、を見つけた。 発見のきっかけはミステリーチャンネルの「女彫刻家」放送を見てのことだったが、 しぶとく、粘り強く、けっして愉快ではない事件を追いつめる密度の濃さに浸り切った。 そしてなにより、読みながらも、読んだあとも、「これからも人生を生きていこう」という気分にさせてくれる。 推理小説であろうともここが個人的な好き嫌い判定のポイントなので大満足。 P.D.ジェイムズに漂う高貴なイギリスの香りといったものはない。 主人公は教師であり、登場人物の一般大衆っぷりもたいしたもので、 読みながら「これアメリカの話だっけ」と思うこともしばしばだった。 登場人物も多くて、だれがなにをしたのか、なにものなのか、「登場人物表」を見ないで読みつづけると 混乱してくる。 描かれる事柄はかなり残虐、グロテスクでもあるが、彼女はどんなことでも目を逸らさない。 それは強い人間だから、勇気があるから、という以上に、 「見なければいけないことから目をそむけてはならない」という人間としての覚悟のようなものだと感じた。 主人公の教師も、著者であるミレットも、生きることを逃げていない。 そこにしびれる。 | ||||
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もしも自分が、近所の嫌われ者の死にたまたま立ち会ったとしたら。ショックを受けてしばらくは夢にうなされるかもしれませんが、恐らく数週間もしたらすっかり忘れるでしょう。ところがこの主人公は、嫌われ者だった隣人の黒人女性の死を忘れられず、20年もの間コツコツと情報を集め続け、満を持して調査に乗り出すのです。そのこだわり方はいささか常軌を逸して見えます。主人公の夫はそんな妻に苛立ち夫婦仲にも隙間風が吹いているほどで、隣人の死の真相よりも、むしろ調査の動機のほうが気になります。 そうやって読み進んでいくうちに、この調査は単に事件の真相の探索ではなく、主人公が自分の人生を取り戻すための戦いであったことが明らかになっていきます。その展開が鮮やかでした。 小説の中で、主人公の容姿はほとんど説明されていません。読み始めたばかりのころ、イメージされる容姿はギスギスした気味の悪いオバサンでしたが、読み終わるころには美しい女性に変貌していました。1冊の小説を読む中で、主人公のイメージがこれほど変わるのも自分としては珍しいことでした。 ラストに明かされる、恐らくは調査の一番の動機となったのであろう一文に、胸が締め付けられました。 | ||||
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