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蛇の形



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【この小説が収録されている参考書籍】
蛇の形 (創元推理文庫)

蛇の形の評価: 4.33/5点 レビュー 15件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.33pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全15件 1~15 1/1ページ
No.15:
(4pt)

真実の追求と暴露の物語

自分の目の前で死んでいった隣人の黒人女性は殺されたのだ、という自身の確信を基に、20年間調査を重ね真実を追求していく信念の物語。
主人公の女性が精神的にとても強くて、自分が調べた内容を携えて過去の関係者たちを廻る。ところどころ、「他人に対し、すごいこと言うな~。日本人だったら絶対にこんなこと言えないだろう」と少々引き気味で思う。もちろん、それは正しい行動で、結局は人間の悪意ってものが20年前の事件を引き起こしていたのだから当然なのだが・・・。多分、自分だったらここまで他人(死んだ隣人)のため、真実の追求のために動けないだろう、という自己弁護(言い訳)の感情なのかな?
結局、隣人を殺した犯人も判明する。ただ、犯人自体は「え、そうだったの?」とあっさりとした印象で、衝撃などはあまりない(少なくとも私は)。
これは犯人捜しの物語ではなく、真実の追求と暴露の物語なのだと改めて思った。
蛇の形 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:蛇の形 (創元推理文庫)より
4488187064
No.14:
(4pt)

好みではないが卓越している

どういう経緯でこの本を買ったのか忘れてしまった。
『蛇の形』という奇なるタイトルに惹かれたのか。
アマゾンの書評に乗せられたのか。
それとも、児玉清、一押しの作品だったからなのか。
いずれにせよ、私の好みからは大きくかけ離れていた。
まず、登場人物が多すぎる。
20年前のお近所さんたちと主人公のお友達関係。
いかにもとるに足らなそうな登場人物ばかりなので憶える気にならない。
それなのに、その多くが最後の最後まで筋書に大きく絡んでくる。
まあ、絡んでくるというよりも・・・なのだが(謎)。
そして、なによりも主人公が好きになれない。
主人公のしつこさに辟易する。
20年も前の一見どうでもよさそうな事件を永遠と追い続ける女主人公。
正義を貫くとはいえヘビのような女である。
あんたが一番異常だろうと思いたくなるくらいに執念深い。
当然ながらそんなネチネチとした582ページにも及ぶ追及劇など楽しめるはずがない。
と、いやいやながらも読み進めていくと、これが意外とよく出来ている。
正確には、意外と、ではなく、すこぶるよく出来ている。
最後まで好きにはなれないが、最後まで技量の高さに感服させられる。
この作家は単に技巧だけではなく、実際にも凄まじい饒舌家なのではないだろうか。
セリフの文章力が突き抜けている。
嫌味なほどに卓越している。
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4488187064
No.13:
(4pt)

哀切【ネタバレ】

被害者黒人女性の人生を思うと涙が出そうになる最終ベージの切なさよ。
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4488187064
No.12:
(5pt)

見つけた!

P.D.ジェイムズの次、を見つけた。

発見のきっかけはミステリーチャンネルの「女彫刻家」放送を見てのことだったが、
しぶとく、粘り強く、けっして愉快ではない事件を追いつめる密度の濃さに浸り切った。
そしてなにより、読みながらも、読んだあとも、「これからも人生を生きていこう」という気分にさせてくれる。
推理小説であろうともここが個人的な好き嫌い判定のポイントなので大満足。

P.D.ジェイムズに漂う高貴なイギリスの香りといったものはない。
主人公は教師であり、登場人物の一般大衆っぷりもたいしたもので、
読みながら「これアメリカの話だっけ」と思うこともしばしばだった。
登場人物も多くて、だれがなにをしたのか、なにものなのか、「登場人物表」を見ないで読みつづけると
混乱してくる。

描かれる事柄はかなり残虐、グロテスクでもあるが、彼女はどんなことでも目を逸らさない。
それは強い人間だから、勇気があるから、という以上に、
「見なければいけないことから目をそむけてはならない」という人間としての覚悟のようなものだと感じた。
主人公の教師も、著者であるミレットも、生きることを逃げていない。
そこにしびれる。
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No.11:
(5pt)

静かな感動が残った

もしも自分が、近所の嫌われ者の死にたまたま立ち会ったとしたら。ショックを受けてしばらくは夢にうなされるかもしれませんが、恐らく数週間もしたらすっかり忘れるでしょう。ところがこの主人公は、嫌われ者だった隣人の黒人女性の死を忘れられず、20年もの間コツコツと情報を集め続け、満を持して調査に乗り出すのです。そのこだわり方はいささか常軌を逸して見えます。主人公の夫はそんな妻に苛立ち夫婦仲にも隙間風が吹いているほどで、隣人の死の真相よりも、むしろ調査の動機のほうが気になります。
そうやって読み進んでいくうちに、この調査は単に事件の真相の探索ではなく、主人公が自分の人生を取り戻すための戦いであったことが明らかになっていきます。その展開が鮮やかでした。
小説の中で、主人公の容姿はほとんど説明されていません。読み始めたばかりのころ、イメージされる容姿はギスギスした気味の悪いオバサンでしたが、読み終わるころには美しい女性に変貌していました。1冊の小説を読む中で、主人公のイメージがこれほど変わるのも自分としては珍しいことでした。
ラストに明かされる、恐らくは調査の一番の動機となったのであろう一文に、胸が締め付けられました。
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No.10:
(3pt)

読後感

大した力量の作家さんだなあとそれは文句なく認めますが、うーん、読後感があんまりよろしくないです。結局誰も彼も救われない、悲惨な人たちばかり。胸が重苦しいまま読了しました。クライムノベルというのはそういうものなのでしょうか。

あとは、手紙や資料などが随所に挿入されているのですが、読み進める上でやっかいで、またプロットについては見事だという意見が多いかもしれませんが、私はちょっとあざといと感じました。もう少し物語の早い段階で読者にヒントを与えてそこからの展開を書いて欲しかったです。結局、主人公は本当に復讐を狙っていた人物は別にいたのに、ずっと他の人物を追いかけているような印象を与え続けていたことで、最後にからくりが明かされたときも腑に落ちるというよりは、なーんだ、これまで注意をわざとそらされていたんだな…と少し腹立ちさえ覚えました。まあこの感じ方は個人差があるとは思いますが。

力作であることはもちろん認めますが、もやもやがかなり強く残る作品なので、すっきりした読後感を求める人にはお勧めしません。
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No.9:
(4pt)

蛇とは?

どうして四つ星にしたかというと。
手紙がいっぱいあって、
フルタイムで働いて、しかも仕事に追われている私は
うーーむうーーむうなりながら考える時間がなくて
何がなんだか途中でわからなくなってしまって
正直言うと、読み終えるのに少し時間がかかったから。
でも、仕事が少しひまになったときに
そして、主人公の過去が見え始めたときに
一気に読み終えた。
あなたが女性で
結婚の経験があり
中年以上なら
「蛇」の意味を
私と共有できるかも知れない。
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No.8:
(5pt)

「推理小説」を越えて…

ただの謎解きにとどまらず、「人生」や「人間」なるものの謎解きにまで迫ろうとするときに、ミステリーは強烈な力を持って迫り、もはやジャンル分けなんぞどうでも良くなる。妻と夫の、母と娘の在りようは、とってつけではない深さをこの作品に添えている。なぜに20年も?の疑問は最終章までつきまとう。その疑問が、解けそうで解けなそうでの微妙な歯がゆさに次々と頁はめくられ…わかった気になりつつあったところに飛び込む最後の「手紙」。これにて一気に5つ星。「お見事…」と呟き、涙をかみしめ読後を味わおう。
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No.7:
(4pt)

どろろんウォルターズくん

個人的には「鉄の枷」「女彫刻家」以来のウォルターズ女史。相変わらず英国式ドロドロ人間関係を描かせたらピカイチ。悪行/悪意と裏切りのクリスクロス。イギリスの天気は今日も悪いぜ、どーんっ!ってな感じ。故にその中から出てくる一筋の善や正義が、まさに雲の隙間からヒラヒラ降りてくる天使のように美しく見えるんだな。きっと。 探偵ならば犯人を捜すのは当然。が、一介の主婦が20年前の事件の真犯人を執念深く調査するのは…。その執念「何故に彼女は?」と「誰が犯人?」二つの謎を読者は提供されるのね。まぁ、その執念の源が小説として説得力があるかどうかは意見が分かれるところだろうけど。。 それでも最後の手紙に心打たれることは請け合い。買って損なし。  
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No.6:
(5pt)

ウォルターズに買って損はなし

私がウォルターズが好きな一番の理由は、この人が安易なシリーズ化に走らないことです。
今までの個々の作品で登場した探偵役とその助手役の人々はすべて大変魅力的で、もし引き続いて登場させたら
ぜったいに支持を得るだろう、と思われる人たちばかりでした。
が、彼女は今まで一度もそれをしていません。
いったんシリーズ化するといつの間にか彼らの生活とか内面描写とかが中心になって、ミステリーとしての魅力は減少していくばかり、ということになりがちなのをよく知っているのでしょう。

もう一つは、この作品でも顕著でしたが、人間のもっとも醜い感情を大変リアリスティックに描き出すことに
非常に長けている一方で、同時に人間の尊厳というか、美しい面もナチュラルな形で描き出せることです。
この作品の場合主人公の女性の心根の美しさ、と精神の強さ、さらにはそれにふれて変わっていく人々、ですね。
醜い感情があふれている世界でなおかつこのような美しい精神を描き出せることに敬意を表しますし、
そのためいつでも読後感は大変さわやかで、この世界に何らかの希望がもてるような気がします。

プロット作りも見事です。今まで一度も(ハードカバーでも)買って損したと思ったことはありません。
今回も例外ではありませんでした。
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No.5:
(4pt)

20年で人間は・・

20年前の事故か事件を何故掘り返すのか?正義だけではない何かが彼女を突き動かす。20年で人は変わるの?変わらないとしたらどの部分が変わらないのか?20年の月日は人生にやさしかったのでしょうか?そんな事を考えながら一人称形式と手紙形式で綴られる真実。見事な構成と最後の結末。そんなに意表をつかないが考えさせられる結末。人間の執念と20年の歳月。時間が全てを解決しない事もあるのです。
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No.4:
(4pt)

執念。

『鉄の枷』と同じく、社会的弱者の声にならない叫びに胸をえぐられました。
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No.3:
(5pt)

人間の心の深遠

昔「平気で嘘をつく人」という本が出て、「人間の中には、邪悪であることがその人そのものであるという人間がいる」とありました。この本はまさに、そういう人々を描いた小説です。彼らは自分はコンプレックス、劣等感、妬みや嫉妬、そして恐ろしいほどの欲望とエゴにまみれて、そのためには何をしてもいい、誰を犠牲にしてもいいというルールをおのれに持っています。彼らのやりかた、あり方のあらゆるものが、この小説には詰まっています。その彼らの語る「自分にとって都合のよい真実と都合」に、主人公がどう切り込んでいくか。幾重にも重なる虚実と真実のはざまで、少しづつ見えてくる登場人物たちの本当の姿。ラストにある「なぜ主人公は何十年もかけ、自分の家庭すら危機にさらしてまで、真実を求めたか」の理由を知ったとき、人間とは何かを考えずにはいられません。読む時に、登場人物たちの言葉のひとつひとつに注意をはらいながら読むと、人間の「嘘のつきかた」がよくわかります。読み終わって一瞬呆然とする、そんな本でした。
蛇の形 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:蛇の形 (創元推理文庫)より
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No.2:
(4pt)

表地裏地。

ミネット・ウォルターズの人物造詣のうまさは尋常ではない。人間が他にむけて見せている「表地」と、時折透けて見える「裏地」。二面の描写を効果的に配置しながら、ともすると平板になりがちな紙上の「登場人物」たちを、我々が日常で接する「人物」のように彫り上げていく。どんな脇役にも、その背後の人生を感じさせられる作家は、どのジャンルを通じてもそう多くはない。主人公の一人称と、手紙や報告書などの「あきらかな第三者の視点」を使い分ける文章構成は読み応えたっぷり。自分自身が最後の登場人物として、主人公から昔語りを受けているような錯覚すら覚える。ただし、謎解き部分がややもたついた印象。限りなく☆五つにちかい☆四つ。
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No.1:
(5pt)

英国女流作家はすごい

サラウォータズ「荊の城」の数奇な物語に感心したばかりですが、ミネットウォルターズの最新作品はさらにすごいと思いました。、たいして親しくもなかった黒人女性が死んだ20年前の事件になぜこれほどまでにこだわるのか、犯人が誰かというよりもこの主人公の異常な執念の方が私にとっては大きな謎でした。それにしても登場人物の描き方が明確で、本人も含めて皆がそれぞれ人間性の嫌らしい部分があることによって皆が犯人ではないかと思わせるストーリーは抜群です。私の今年度ベストワンか。
蛇の形 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:蛇の形 (創元推理文庫)より
4488187064

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