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遮断地区
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遮断地区の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全18件 1~18 1/1ページ
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今までのウォルターズとは少し違う印象ですが、面白かったです。 じわじわと追い詰められていく集団の怖さや訳のわからない焦燥感が行間からじんわり浮いてくるお話でした。 | ||||
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ミステリというよりサスペンス、サスペンスというより普通小説。 どこに魅力があるのか全く分からなかった。 用意されたシチュエーションから、ほとんど当たり前の行動を登場人物達がしていくだけ。 ゼロとは言えないかもしれないが、分岐や、意表を衝く展開や、意外な事実は無いに等しい。 硬派だからといって、テーマに深さも掘り下げも感じられず、 生きていれば当たり前に分かっていることの再確認という印象しかなかった。 黒人の人物が活躍するところは最も良かったが。 (プロットではなく)構成と、舞台設定は若干良かったとは思うが、アイデアもエグみも、 とにかく色んなものが足りない作品だった。 口当たりは良いが無味無臭という感じ。 逆に他の著作が気になった。 | ||||
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最初は見栄の塊のような思いやりのない保健婦のおばちゃんと、低所得な妊婦の会話とか、あまり興味を惹かれないような雰囲気で始まるので、買ったはいいけど積読でなかなか読めなかったんだけど、勢いに乗ったら一気だった! 小児性愛者という実在性が疑われるモンスターが妄想の中で形をとり、子供たちとシングルマザーの他愛ない抗議集会(デモンストレーション)だったはずのものが血気盛んな少年たちの乱入により暴動へと変貌を遂げてしまう、その蠢きのリアリスティックさと、その暴動の原因となった誘拐事件の捜査が織りなされつつ、序盤で撒いた餌が、小児性愛者の正体と服役を終えたジミーの過去と交錯するあたりまでの、点と点がつながりゆくゾクゾク感と、あとは見え透いている冒頭で予告された悲劇へ向かって雪崩込む疾走感のあるアクションの連続で非常に面白かった!! 報いを受けるべき人が逃れ、罪もないゆきずりに近い人間が最悪の最期を遂げたり、単なるブラフ代理人として物語の都合上で殺されたとしか思えないキャラクターなど後味の悪い部分もありましたけれど、最後まで読んだときまさかこんなに幸せな気分で読了できるとは思ってもみませんでした。面白かったです! | ||||
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いろんな側面がある1日の出来事を上手くまとめてあって、暴動シーンはとても臨場感がありました。 差別、偏見の心理に共感してしまいました。 読み終わった後は、とてもすっきりしました。いろいろあるけどがんばっていきましょう | ||||
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魔女狩りの話です。 ロリコンが魔女で、襲いかかるのは噂を信じた愚鈍な民衆。 ただ、舞台は社会派なんですが、そこから先はあまり深く考えてません。 主題は社会問題ではなく、魔女も群衆も正気を失う中、一人だけ冷静だった男。 男はスラムの負け組で、刑務所に入っていた。 そんな男がヒーローの階段を駆け上がる物語です。 社会派の物語とかと考えると、政治的なポジションなど余計な情報で面白くなくなると思います。 素直に読めばスピード感もありたいへん面白いです。 | ||||
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海外小説は登場人物の名前が分からなくなるので敬遠していましたが、そんなことはなく読みやすかったです | ||||
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ミネッタ・ウォルターズ・・・どうしたの? と言うくらい違った印象を受けた作品。 ウォルターズといえば、暗い雲を背景に稲妻が走る魔女の城に 斧を持った殺人鬼・・的なイメージ(そんな作品を書いてる訳ではありません!) 悪魔でも!?(執事か)・・あくまでもイメージで 良い意味での暗い暗い英国本格ゴシックミステリー作家。って思ってました。 イギリスの暗い歴史的な負のイメージ。 『小児性愛者が、同じ団地に住んでいる?!!』 小さな子供を抱えた母親には衝撃的な噂に、行方不明の小さな女の子 行き場の無い人々が閉じ込められたように暮らす 最下層の団地の中 病気、傷害、身寄りが無く孤独なお年寄り。 子沢山のシングルマザー こんなところに、小児性愛者を住まわせるなんて! 最初は小さな、静かな抗議デモだったはずが・・・ 誘拐と暴動とそして殺人。 交錯しながら進む事件。 暗い現代の社会を描きながら、今回の彼女のこの作品には イギリスミステリーの中のポアロの暗さ厳しさではなく、マープルの優しさを感じました。 | ||||
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ウォルターズがパニック映画の脚本を書いたら……、とそんな作品。 非常に映像的。 スリル満点。スピード感にも溢れて、大満足の一冊。 氏の邦訳は「鉄の枷」「女彫刻家」「蛇の形」しか読んでいませんが、本作はタッチがかなり違うようで。 通して感じられるのは、イギリスの醜い部分、ここでは低所得者層と貧困の問題をしっかり描き切っているところでしょうか。お涙頂戴でもなく、不正を声高に訴えるでもなく、エンターテイメントを壊すことなく、消化できているのが凄い。(なんかサラっと書いてますが) バランス感覚が優れているのか。力量なのか。 両方だな。きっと。 今回のキャラは、一見ダメダメな人生を送っている人たちの中にも実は……、という人たちイイですね。 エンディングもグっときますぜ。 | ||||
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登場人物は多いですが魅力的な人は一人もいません。 Aという人物の描写のあと、B、Cと続き次にAに戻ると、 知らないところで自体が進んでいたりします。 起きている出来事も、今の基準ではそこまで衝撃的ではありません。 ひところで言って面白くありません。 | ||||
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接点はないと思われる格差社会の上層と下層を並列に示してみせる、推理作家としての腕前には感心する。伏線も律儀に張ってある。 また、ふだん人間関係にしろ仕事にしろ心身にこたえることが多いから、物語の中で状況に的確に対応して行動する人物を疑似体験したいという要望には応えてくれるだろう。 一方で、前よりは後ろ、上よりは下、光よりは闇を見たい。そういう要望には応えてない。 そういう意味では、本作品の登場人物には魅力を感じなかった。まあ、無い物ねだりというべきですが。 例外的に興味を持ったのは、巡回保健師で、作者にはいつか彼女を深く掘り下げた話を書いてみてほしい。 また、なぜかマリリン・モンローの夫と同名の隣人の運命も面白い。芝エビだと思い込んでいたのがバナメイエビで、おまけにノロウィルスに感染してしまったというところ。 こういう人物がどんどん出てくると物語は生き生きしてくるだろうと思うんですが。 『養鶏場の殺人/火口箱 』(創元推理文庫)の解説者は本作品について、集団心理の暴走を描いたとしているが、疑問です。 その前に格差社会の下、鬱積する焦燥や絶望感のグルグルってものがあるだろう。そこから説き起こして人間の本性をたどって暴力に結び付けて描かないとリアリティはない。 新堂冬樹の登場人物も戯画化されていてほとんどマンガだが、暴力にさらされてズタボロになる心理は迫真的に描かれる。(『カリスマ』や『鬼子』など) 本作品にはそういう迫力ある人物は出てこない。W・ゴールディングの小説『蠅の王』やペキンパーの映画「わらの犬」みたいな、目を背けることを許さない深さも感じられない。 根本的に、小説で集団心理を描くことが難しいのかもしれない。 誰かに焦点を当てて描くと、集団心理ではなく個人の心理描写になってしまう。 ちなみに、その辺をブレークスルーした傑作がある。30年前に読んで今でも忘れられない。ユダヤ人作家エフライム・キション「うなるベートーヴェン」(『キションのベストジョーク』 (1980年)所収)。ユーモラスなショート・ショートだが、人間心理の機微とそれが集団になったときの反応が描かれている。 本作品は2001年発表。例の9・11と同年。 その後、国家予算を使ってできる限りの愚挙をやってのけ、正義の保安官の側に立たぬ者はならず者だと決めつける、あきれた考え方が頼みもしないのに世界に向けて発信された。 本作品はアフガン・イラク侵攻支持のプロパガンダではないだろうが、作者の身ぶりはどこやらネオコンっぽい。 社会に向き合い問題提起するより、せいぜいポリティカル・コレクトネスを意識してればいいだろうというスタンスに見える。 集団心理の暴走の極致が戦争だとすると、戦争と人間心理を描いた作品として、太宰治「十二月八日」と坂口安吾「真珠」を挙げたい。 両方とも1945年12月8日の真珠湾攻撃の話だが、戦闘場面などは描かれない。いわば内面化された戦争が描かれていてリアルに怖い。(この2作は青空文庫にあります) 小説で読みたいのはそういう描写であって、バイオレンスシーンを参照しながらカタルシスへと向かう暴力ではない。 まあ好き好きだが。 | ||||
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これでもか、というほど、下品でエキセントリックな描写の連続。英国ミステリの女王という謳い文句に、つい、ルースレンデルを連想してしまったが、レンデルとは似ても似つかない下品さだ。しかし、そこまで書くか?と言う、ある種の身も蓋もないところが、ゲテ物ワザに徹底しており、むしろ痛快だ。男性の作家ならどこかに労り、恥じらい、斟酌の思いが生じ、ここまでの剔抉はできないだろう。これも女性作家の性ならばこそか。ふと、誰かと作風が似ているなぁと思案し、ハタと思い至った。それは初期のころの桐野夏生であった。今の桐野夏生は変にかっこをつける術を身につけ、面白くなくなったが、初期の頃の桐野夏生はまさにこうであった。日本で見失った人と英国で再会したような、そんな思いで最後まで楽しく読ませてもらった。に、しても英国の貧民層は凄いね。日本人で良かったと思わせてくれたので、星四つです。 | ||||
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海外ミステリには珍しく、なかなか読みやすかった。 色んな風に読める内容ではある。 最近、メディア上に悪者が現れると、自分が正義の味方か何かのように「謝罪しろ」と言う第三者がいるが、あれは何なのかと思う。 直接の被害者でないのに、何故謝れと命令できるのか。 ノーリスクで他人に文句を言う、それは卑怯者と呼ばれる。 この小説で犯罪者に私刑を下そうとするのはラリッた若者だが、我々はそれを彼岸の馬鹿だと笑えるのだろうか。 | ||||
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ウォルターズについては女性作家の残酷で重たいミステリーは苦手なのでずっと読まず嫌いできたのですが、ほぼ1年前から読み始めました。『女彫刻家』、『病める狐』どれも面白いけれど、重くて暗い。ところが今回とても面白かった『遮断地区』で作風が変わったかというと、発表は『病める狐』(2002)の前年なのでこの『遮断地区』だけ違う書き方だったのかもしれない。でも、人種差別、性差別、階級差などの社会問題を扱っている点では共通しています。小説の展開の仕方が違うのかも知れない。 舞台はイギリスの郊外の団地。住民の教育レベル、収入が低いので、ドラッグや喧嘩は日常茶飯事のよう。1950年代労働党の理想主義の置き土産だったのだろうか、ハウジング・プロジェクトがイギリスのあちこちに作られたらしい。ハウジング・プロジェクトという名前からアメリカの大都市の低所得者用公営集合住宅を連想しますね。ニューヨークのゲットーとかインナー・シティと呼ばれている貧困層の居住地とそっくりです。 さてバシンデール団地という名前の看板から直す予算もなくなりBassindaleのスペルの一部が消えて”assid”になり”、それにペンキの落書きによるrow”が付け加えられたことにより、”Acid Row”(原題です)となってしまいます。まさにドラッグが蔓延する一角です。 そのバシンデール団地に越してきた老人と息子が小児性愛者だという情報によって、シングル・マザーの親子は差別的ではあるけれど自分の子供の安全を心配してある程度真面目に排除のデモを計画します。しかし、それがただ騒ぎを大きくしたいだけの不良たちによって団地が封鎖され、火炎瓶が飛び交う事態に発展。小説のもう1本の柱は、少女が行く不明になり、別の小児性愛者が容疑者とされる事件が発生します。 小説としては、2本の関連する柱、そして登場人物のリアルさ、そして誰が生き残り、誰が犠牲者となるかについてのサスペンスの作り方がうまい。人物のリアリティと言うのは、前述のシングル・マザーのように、母と娘の双方がシングル・マザーで、ちゃらんぽらんのようだけどそれなりに子供を育てているケースと、やはり少女を抱えて離婚をした若い母親の生きるため金はあるけれど如何わしい男と付き合う、あまり賢明とは言えない方法が対比的に描かれる。 このシングル・マザーのメラニーの適当さと真摯さの混ぜ具合がリアルだと思う。また妊娠しているメラニー(白人)のお腹の子の父親が黒人青年ジミーで前科者。このジミーが負傷した女性警官をエレベータで発見する時のリアクションが共感を呼びます。前科もあるし厄介ごとには関わりたくない、でも見捨てていけない。この負傷者を助けるジミーを手助けする老婦人の心意気。決してヒーローとは言えない登場人物の、緊急時における気高い振る舞いが気持ちよく描かれます。 | ||||
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今年のこのミス1位の評判もあるのだけど。 はやくキンドル版を出してください。 | ||||
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久しぶりにミネット・ウォルターズの作品を読んだが、これまで読んだ『氷の家』や『女性彫刻家』などとは全く作風の異なる作品だった。 かなり過激で、スピード感のある暴力的な内容に驚かされる。 アシッド・ロウという問題の多い街に小児性愛者と思しき老人と息子が引っ越して来たことを契機に抗議デモが起こる。彼らが住んでいた街では十歳の少女が失踪する事件をきっかけに暴動が起こる。暴徒によりバリケードで封鎖されたアシッド・ロウの中で主人公のソフィーは親子に監禁されるのだが… | ||||
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現代英国を代表する女流ミステリー作家ウォルターズが2001年に発表した社会派ミステリーの問題作です。私は過去に日本の社会派ミステリーと呼ばれる一連の作品群を多く読んで来ましたが、本書を読んで海外作品には珍しく社会派の呼び名にふさわしい内容を持った意欲作だと感じました。 通称アシッド・ロウと呼ばれるバシンデール団地に小児性愛者が入居して来た事実がナイチンゲール医療センターの巡回保健師の女性の口から住民の一人に漏れる。やがて噂が広まり引っ越して来たばかりの老人と息子をターゲットにして群衆が抗議デモを計画する。折から十歳の少女が失踪した事件が発生し老人と息子に誘拐の疑惑を抱いた凶暴な若者達が暴走して石と火炎瓶で襲撃しようと企むのだった。 本書の読み所は小児性愛者の疑いのある老人と息子の家を訪ねていた女医ソフィーが暴動の発生と共にそのまま部屋に閉じ込められ、思わぬ暴行の犠牲となって血まみれの身体でも何とか抵抗して行くヴァイオレンスの色濃いサスペンスと刑務所帰りで真面目に更正して生きて行こうと考える黒人青年ジミーが恋人メラニーを助ける為に危険地帯へ乗り込んで行く体を張った活躍の大迫力に満ちたシーンです。やはり悪の道から立ち直って懸命に奮闘するジミーの性格が最高に良いですし、途中では惨い暴力や無意味な死もありますが全体としては救いのあるまとめ方をしているのが女流の著者らしい優しさでしょう。それから平行して姿を消した十歳の少女の行方を追う捜査の模様が描かれるのですが、こちらは正直言ってやや中だるみで緊張感を欠いておりあまり面白くありません。現実の捜査もこれと似て辛抱が肝心の退屈な物なのかも知れませんが、真相も平凡でもう少し面白く出来なかったかなと感じましてそれが私にとっての本書の惜しいと思える点です。団地の遮断地区での息詰まる緊迫のサスペンスは文句なく素晴らしいのですが、ミステリーの観点から見るとそれは緻密に計算された物ではなく偶発的な出来事の積み重ねであって運命の領域に属する人間ドラマだと言えましょう。私はその意味ともう一つの少女誘拐の謎を追う捜査の部分が今イチの出来だった事を併せまして、社会派人間ドラマの面では素晴らしいですが本書を著者の最高傑作とは呼びたくないなと思いました。著者の作品リストを見ますと2007年以降は執筆が途絶えておられる様で心配しましたが、今年ようやく中短編作が刊行された様ですのでまた再び以前の様に復活される事を信じて今後のご活躍を期待したいと思います。 | ||||
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小児性愛者が引っ越してきたという話が伝わり、貧しい人々が暮らす閉鎖的な団地では小児性愛者を排除しようとデモが起こり、いつしか大規模な暴動へと発展していく。無力な警察、その渦中で個々の出来ることを命懸けでしようとする人々。一人一人は弱者でもコミュニティの絆で対処する。この話に10歳の少女が失踪した事件を追う警察の捜査が絡んでゆく。ミステリーというよりドキュメンタリー・タッチの作品で、作者・ウォルターズの描く群像劇は、躍動感、迫力に富み、スピーディーな展開と個々の人々の心の暴走具合などが驚くほどの緊張感を醸し出している。彼女の冷やかな悪意、残酷な意思、凄まじいほどの暴力を描く筆致は勿論健在である。狂気が徐々に激化する状況の巧みな葛藤劇の記述テクニックは流石、女王ミネット・ウォルターズである。 さて、結末は?温かさある余韻が・・・。 これは、これは読ませます。傑作は、一気読みでどうぞ! | ||||
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シングルマザーや独居老人、ドラックに浸る不良少年たちの住む低所得者層団地に、前科のある小児性愛者が極秘に引っ越してくる。ある人物の不用意な発言からその噂が広まってシングルマザーらの団地住民はデモ行進を計画する。折しも、その小児性愛者が以前住んでいた団地で10歳の少女の失踪事件が発生。犯人はその小児性愛者なのか?という疑惑が膨らみ、不良少年たちもその小児性愛者を排斥しようと集まってくる。バリケードで封鎖された団地内で恐ろしい暴動が始まろうとしていた…。封鎖された団地内でたまたま小児性愛者の家で診療にあたっていた医師のソフィーは、その暴動に巻き込まれ小児性愛者の家に監禁されてしまう。警察が中に入れない中、暴動はどうなってしまうのか?ソフィーの運命は?そして、失踪した10歳の少女はどこに? 封鎖された団地内の出来事と、少女を探す警察の捜査が交互に挿入され、それぞれの事件がどうなるのか気になる読者を、ぐいぐいと最後まで引っ張っていく。また、最初に暴動の結果3人が死亡するという記事が示されているため、いったい誰が死んでしまうのかも読者の興味を引く。また、暴動や監禁という極限状況の中で、誰が人々を扇動し、誰が暴動を鎮静しようとし、誰が勇気をもって行動するのか、それぞれの人間の持つ本性があぶりだされる点も非常に興味深い。ミネット・ウォルターズ作品の中でも抜群に読みやすい作品だと思う。ミネット作品を「重い・暗い」という理由で敬遠していた方にもぜひお勧めしたい。 | ||||
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