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終りなき夜に生れつく
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【この小説が収録されている参考書籍】
終りなき夜に生れつくの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全63件 1~20 1/4ページ
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そもそも、私は中学生時代、根っからのエラリー・クイーン派だった。一方、友だちがアガサ・クリスティ派で有名どころを何冊か読ませてもらった。しかし、子供だった私にはクリスティの真の面白さが理解できず「えー!?やっぱりこの人が犯人なの?つまんない〜。」と、今思うと恐ろしいことを言っていた。 年をとるのもそう思えば悪いことばかりではない。今はクリスティの面白さがわかる。 ある日どうしてもクリスティが読みたくなった私はこの本のタイトルと評価の高さに惹かれ手にすることに。乾伸一郎訳はかなり古めかしかったが、そのうち気にならなくなった。 ミステリなので詳しくは書けないが、すべては私が魅了された本文の前に掲げられたウィリアム・ブレイクの【罪なき者の予言】と言う詩の一節にあると言ってもいいと思う。 正直言って、犯人には途中で目星ついてしまった。が、クリスティの真価はそんなところにはない。人間というものに対して抱いているクリスティの哲学。「人の本性はけして変わるものではない」という徹頭徹尾冷めた視線である。 最初にブレイクの詩の一節を読み、結末まで辿り着いたら改めてその詩を思い浮かべるだろう。そして、なんとも言えぬ恐ろしさと哀しみに包まれるだろう。 名作の名値する。 | ||||
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まだクリスティーの本を全部読んだわけではないけれど、 とにかく恐ろしかった。 最初は主人公の独り言のような書き出しで、読みにくい 文だと思いながら辛抱して読んでいくと、いつのまにか 引き込まれて、最後まで読んでしまう。 どこにも救いはなく、『終わりなき夜に生まれつく』の 意味がよく分かった。 「わが終わりに わが始まりあり」はずいぶん前にツヴァイクの 『スコットランド女王メアリ・スチュアート』を読んで、 その中で長く幽閉されて死刑を待つばかりのメアリ・スチュアートが 刺繍の中にこの言葉を縫いこんだとされる。(メアリは刺繍の名手) 不思議な予言的な言葉通り、メアリは斬首されて終わるが、 息子がエリザベス一世の後を継ぎ国王となり、スチュアートの名は 続いて行く。 しかし、終わりなき夜に生まれつくものは、死してのちどうなるのか。 さらに黒々とした夜に生まれつくのだろうか? 考えさせられる。 | ||||
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原書のタイトルは、”Endless Night”(終わりなき夜) 本書『終わりなき夜に生まれつく』の中のタイトル関連文章を引用します。 「終わりなき夜に生まれつく人もいる」(エピグラフ) 「終わりなき夜に生まれつく人も……」(190頁) 「終わりなき夜に生まれつく人もいる」(191頁、326頁) 「終わりなき夜だ」(329頁) 「終わりなき夜」(341頁) 語り手は、「僕」マイケル(マイク)・ロジャーズ(主人公)。 本書のタイトル『終わりなき夜に生まれつく』について考えています。 「に生まれつく」という語句に引っかかっています。 犯人は生まれつきの犯罪者ではないと思います。 金に目がくらんで犯罪を犯した普通の男だと思うからです。 「に生まれつく」というタイトルにすると、 殺人者になるのが、天性の運命だったみたいに感じます。そうなのかな? 原書のタイトルが ”Endless Night” なのだから、 「終わりなき夜」というタイトルにするので必要十分だったのでは。 エピグラフは、ウィリアム・ブレイクの詩「無垢の予兆」の一部。 全132行の詩の一部。 そして、192頁の詩は、ウィリアム・ブレイクの詩「蠅」。 原作者アガサは、ウィリアム・ブレイクの詩集に想を得て、 この作品をつくったのでは。 ウィリアム・ブレイクの詩と絵を見ながら、 生まれつきの殺人者って存在するのか、考え続けています。 | ||||
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ポワロやミス・マーブルが作品中に何故必要か、分かった気持ちです。 | ||||
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ジョーン・スカダモアは弁護士の夫ロドニー、3人の子どもがおり、今やそれぞれ家庭を持っている。順風満帆の人生だ。 旅先で再会した学生時代の友人はやつれて、自分が若さを保っていることに恵まれていると思う。今の幸せな生活は夫や娘、息子を私が導いたからだ。もっと感謝されてもいいくらい。彼女はそんな人柄。 悪天候のため列車が来ず砂漠の宿泊所で長い孤独の時間を過ごすことになる。「春にして君を離れ」はジョーンの内省の物語だと思った。散歩も読書もし飽きて自分と向き合う外なく、目を逸らしてきた真実にさらされる。 安易な方に流れるのが人の性で、気付かない方が幸せなことも多い。過去を省みて真実を見つけても勇気がなければ、また過去に封印するだけ。 人の弱さ、過ちの気付き、立ち向かう勇気 が問われる。それらがジョーンの内面を通じて見事に書かれている名作だと思う。 ロドニーの「望んだ仕事に就けない男は男であって男でない」などなど力強い台詞も見所。 | ||||
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アガサクリスティーらしい作品。意外な犯人。他の人のキャラクターを覚えるのが大変です。 | ||||
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私はてっきり最後に、この物語の語り手以外の「誰か」による解説が入るものと思っていました。しかしそれがなく、それでいながら、このいい加減で自信過剰で、不安定な、一見いい男風の青年の口述によって、物語を余すことなく描き切っているところが、アガサ・クリスティの筆の素晴らしさだと感じました。 犯人は「アクロイド殺し」と似ている書きぶりから推察され、大金持ちの美しい女性と、顔はいいが肩書きも才能もない男性との結婚は「ナイルに死す」を彷彿させました。けれど、この作品の魅力は犯人探しではなく、犯人さえ予期しなかったその結末なのではないかと思いました。 「人は人生の大切な瞬間に気づかないものだー取り返しがつかなくなるまで」 自ら招いた自らの不幸。自ら壊してしまった大切な存在。いつもアガサクリスティの小説から教訓を得ているように感じます。 | ||||
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『終りなき夜に生れつく』(アガサ・クリスティー著、乾信一郎訳、早川書房・クリスティー文庫)は、著者のアガサ・クリスティー自身が気に入っていた作品だけあって、ストーリー展開の巧みさに引きずり込まれ、一気に読み通してしまいました。なお、本作品には。エルキュール・ポアロもミス・マープルも登場しません。 イギリスの小村の海を臨む「ジプシーが丘」で、「ぼく」マイケルは美しい女性・エリーに出会い、たちまち恋に落ち、誰にも知らせず結婚してしまいます。ぼくはイギリス人のしがない元運転手なのに、エリーはアメリカの大富豪の娘で、莫大な遺産の相続人なので、エリーの一族が二人の結婚を許すはずがないからです。一族内で孤立しているエリーの味方は、グレタというエリーの世話係だけです。莫大な遺産を巡って、エリーの継母コーラ、叔父フランク、従兄弟ルーベン、後見人アンドリュー、財産管理人スタンフォードら、一癖も二癖もある連中が蠢いています。 この「ジプシーが丘」は、不気味なジプシーの老女が、呪われた土地だ、ここに住む者は不幸になると予言した場所です。それでも、僕とエリーは、ここに豪壮な邸を建て、住み始めます。 しかし、幸せな日々は長くは続きませんでした。二人が「ジプシーが丘」で暮らし始めて3週間後、趣味の乗馬に出かけたエリーが、落馬して死んでしまったからです。 いったい、21歳のエリーに何が起こったのか。ジプシーの呪いによるものか、単なる事故か、あるいは、何者かの仕業か――謎が謎を呼びます。 そして、最後の最後に至って、信じられない真実が明らかになります。 | ||||
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最後の犯人の独白シーンで号泣してしまいました。泣くような作品ではないと思うのですが、犯人のたどってきた道筋に明るい善の道に進む分岐点がいくつもあったのにと思うと涙が流れるのです。 | ||||
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エリーが作中で主人公に語りかける台詞、「なぜそんなふうに私を見つめているの?まるで……」が読み終わった後に、最初に心に浮かんだ台詞だ。 非常に切なく、色々考えさせられるその読後感は同作者の「春にして君を離れ」と同じである。 改めてアガサ・クリスティの素晴らしい人間描写力を感じさせる一冊。 | ||||
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あざやかとしか言いようのない、クリスティー女史の奥深さを改めて思い知った一冊でした。訳文もとてもよかった。ただ誤植が気付いただけで3カ所あって、不思議なほど興醒めさせられました、滅多にないことなので。 新訳も版を重ねているのですから改善していただけたら。 | ||||
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本当に面白かった。犯人や結末も、過去に海外ドラマ版で見て知っていたはずなのに、しっかりだましてくれて感心した。 野心あふれるハンサムで、行動的(でも始めたことを長続きさせるのが苦手)な主人公の性格や、感情のうつろいがよく描けている。 その妻になる、一見わかりやすい「少女」タイプのエリーも、小説の後半から多面的になってきてこの作品で一番ミステリアスなのは実は彼女かも? と思わせる。 物語の形式上、 本当の核心に触れる秘密は 全部最後に明らかになる仕掛けになっているのだけど、その流れが見事。こころにくい。 主人公の母親、建築家サントニックス、エリーの後見人リピンコット、フィルポット村長、村の医者、ジプシーの老女エスター・リーなど、脇役のキャラクターも立っていて、ミステリーにも、ロマンスにも、物語として読ませる しっかりとしたつくりの作品。時間をおいて またぜひ読みたい。 | ||||
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おなじみの探偵物かと思いきや、こんな作品もあったのね。 とっても楽しめました。いつかまた読み返したいと思える作品でした。 結末はおいといて、儚く美しい作品でした。 | ||||
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アガサの作品をかなり読んでるので、実は始めの方から犯人がほぼ分かっている状態で その「経緯」を面白く読んでいました。 ストーリー的には、ダークでありながらも華が有り(やっぱり大富豪出てくると楽しい) 複雑に絡み合う人間関係の描き方は、アガサらしいなと思います。 若干、「ナイルに死す」にも似ているのですが このストーリーは狂気、ナイルはもう少し「人間臭さ」を感じました。 後味がいいのか悪いのか分かりませんが、後半からは引き込まれます。 | ||||
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この本のレビューには、”ほぼネタバレ” のものが沢山あります。 自分は、★の評価だけ参考にしてレビューは読まずに作品を読んだので、十分に楽しむことができましたが、もし先にレビューを読んでいたらきっと買わなかったでしょう。 | ||||
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読んでいく途中にいろいろと注目すべきポイントが散りばめてあるのだが、結局は最後にそうなんだと感心して、もう一度最初から読み返す作品。読み終わった後が抜群! | ||||
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200ページくらい読んでも事件らしい事件も起こらず、退屈だなあと思っていたが、最初の殺人が起きてから少しずつ話が展開していき、最後は物語の構成が大きく変わる。 半分読んでつまらないと思っても、止めずに最後まで読んでほしい。 | ||||
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お馴染みのキャラクターが登場しないアガサ・クリスティーの「ノン・シリーズ」作品のなかの人気作。エルキュール・ポアロ、シャーロック・ホームズ、金田一耕助、フィリップ・マーロウ、ケイ・スカーペッタ、カミーユ・ヴェルーヴエン、鬼平こと長谷川平蔵……といった名物キャラクターが主人公のシリーズもの、というのがどうも苦手だ。全部読まないとなにか損している感じがするし、全部読んでもなにか損した感じがしそう。その点、エピソード1とか続編のない「ノン・シリーズ」は楽しみきって終わり!というのがいい。シリーズでないほうが話の密度が濃く、細部まで作家の神経が行き届いているような気がする。 それはさておきこの本、たまたま目にした丘の上の大邸宅を手に入れたいというお抱え運転手の夢がいきなりかなってしまうというありえない幸運から戦慄の結末まで、ぐいぐい読ませる。若く美しい大富豪の娘エリーに寄り添う、神々しいまでの美女、グレタ。ジプシーが丘には近づくなとエリーに警告する占い師の老女エスター。悲運の天才建築家、サントニックス。登場人物、とくに脇役のキャラクターが際立っていて、もしかしてあれは……と何分かおきに物語の先を推理している自分がいる。多少の邪魔が入っても、何度も中断しても、楽に読み進められるので、空港やテントのなかでの読書にもおすすめだ。 大邸宅、遺産、競売、美術商といった階級社会のわかりやすい記号が大道具小道具として話を盛り上げる。一般の読者にとっては裏社会も上流社会も等しく物語でしか経験しない非日常なのだ。エリーの「本物の金持ち」っぽいところを描いた箇所が興味深い。 「ただひたすら豪奢なのだ。・・・消費のための消費でもなければ、世間に見せびらかしたいわけでもない。そうではなく、不思議なほど単純なのだ。これみよがしの派手な金遣いもある段階を超えると、この種の単純さが現われる。・・・最高の絵を一枚買ったら、それ以外の絵を部屋に飾りたいとは思わないだろう。それだけのこと。持っているのは最高のものばかりだが、最高のものだから買うのではなく、なにかが気に入ったりほしくなったりしたら、それを手に入れられない理由がないからなのだ。『あいにく手が出ない』などという瞬間はまったくない。だから、妙な話だが、ときとして僕には理解できない不思議なほどの単純さに向かっている」。エリーはヴェニスの路上で観光客向けに描かれたへたくそな運河の絵が気に入って買うのだが、彼女がこの絵に「セザンヌの絵に向けたのと同じ熱望を抱いているのがよくわかった」と主人公マイクはさもこれが愉快なことのように述べる。こういうちょっとしたところにマイクとエリーの「格差婚」の地雷が埋まっているのである。 | ||||
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相当、古い中古本のせいか、四方が黄ばんでいます。破れ、シミ、落丁は、いっさい無かったです。内容は、ずば抜けて面白かったです、なるほど…という感じ。訳違いでまた読みたいです。 | ||||
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サントニックスと、グレタも交えた会話の後で,エリーが、マイクに「 私には、同情してくれないけど 」と、 言ったこと。 ギターを弾いているエリーが、 「なぜ、私をそんなふうにみつめているの、マイク?」「 まるで愛してる ような目で」と、言ったこと。もしかしたら、エリーは、すべて知っていて? 確かに悲しい救いのない部分もあるそんな物語でありながら、私は、自分が救われたい心境の時に必ずと言ってもいいくらい手にとります。この本を。それがなぜかも言葉にできないし、エリーが、全てしっていたかは、永遠に わからない、曖昧な、謎のまま。読む人にとって色を変えていくような部分がある本です。それが一番のミステリーなのかもしれません。 | ||||
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