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冬の灯台が語るとき



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冬の灯台が語るときの評価: 4.39/5点 レビュー 18件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.39pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全16件 1~16 1/1ページ
No.16:
(5pt)

厳しくも美しい北欧の冬と、人々の人生の物語

「黄昏に眠る秋」に続くヨハン・テオリンの第2作、2008年作品です。前作はゆったりとしたテンポで、深みがありながらやや地味な印象でしたが、この作品で一気に力量が上がったという印象です。物語に幅が出て大きく複雑になり、奥行きにさらに深みが加わりました。

前作では、いわば家族に起きた不幸な出来事を身内が解決するというこじんまりしたお話でしたが、今回は3つのエピソードが平行して進みます。首都ストックホルムからエーランド島ウナギ岬の古い屋敷に引っ越してきたヨアキム一家の話、刺激を求めるチンピラまがいの若者3人が夏用の無人の別荘に押し入って窃盗を繰り返す話、そして島に赴任してきた新人警官ティルダと、前作で言わば探偵役をつとめた大叔父イェルロフの話です。
本編の前に語られる19世紀スウェーデンの怪談が印象的です。時計が止まっていたので勘違いして、クリスマス・イヴの真夜中に教会に行ってしまった老女は、何十年も前に海で溺れて亡くなったはずの許婚者を、ミサでみつけてしまいます。ざわざわと低いつぶやきが響くその場に集まっていたのは死人ばかりだったというお話。これからもわかるように、今回の作品は北欧の欝蒼と暗い冬に炉辺で語られるような怪奇色に満ちています。途中までは、もしかして古屋敷にまつわるゴースト・ストーリーなのか?と思ってしまうほどでした。怪奇小説が好きな方も気に入ると思います。

先年にヨアキムの姉が灯台元で溺れて亡くなり、今回は妻のカトリンまでが。ショックで呆然として無気力になってしまったヨアキムは、どうにか2人の子供たちの世話を続け、妻がまだ生きているかのようにテーブルの席をそのままにし、家のリフォームやクリスマスの準備を淡々とこなしていきます。が、それでも、カトリンや過去にこの屋敷で亡くなった人たちの気配を消すことができません。
警察学校の教官と不倫を続けているティルダや、ガールフレンドに出て行かれて鬱屈している窃盗犯のヘンリク、生活能力に欠けた芸術家肌のシングル・マザーに育てられたカトリンの母親ミルヤなど、登場人物たちのそれぞれが自分の問題を抱え、常に内面で自問自答していて、このあたりのゆっくりとした陰鬱な展開は、北欧ミステリ・ファンには親しみ深いものですが、テンポが速いハリウッド映画ばりのミステリが好きな方にはまったく物足りないかもしれません。
また、ミステリ色が出てくるのは、灯台元で死者が2人出たという話を聞いたイェルロフが、ティルダに推測を語り始めるあたり、物語のごく最後の方です。それまでは普通小説に近い作風ですが、3つのエピソードがクリスマス・イヴの夜に向かって収束していくあたりはなかなかスリリングです。また、真相は意外なもので、そんなことだったとは自分にはまったく予測できませんでした。

北欧ミステリには、北欧の人たちには待望の夏を描いたものもありますが、個人的には雪や風が吹きすさび、海が凍る冬を舞台にしたものがやはり好きです。この作品でも、凍った岸辺の不透明な白、沖の方のダークブルー、氷に走る黒い亀裂、薄青い空の色と、そして渦巻く雪と、寒々とした風景が描かれていて、なんともいえない美しさです。
他のレビューアさんも書いていらっしゃいましたが、私も英国最北端のシェットランドを舞台にしたアン・クリーヴスのシェットランド四部作を思い出しました。淡々とした雰囲気や淡い色彩がよく似ています。最近読んだミステリの中では一番でした。春と夏のあとの2作も続けて読んでいきたいです。
冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.15:
(5pt)

ホラー好きにおすすめ

「黄昏に眠る秋」は二時間ドラマだなあという感想でしたが(二時間ドラマ好きです)、
こちらは映画を1本観るくらいの面白さがありました。
ミステリとしてというよりもホラーとしてよくできていると思います。
ただ黄昏もそうだったんですが、灯台も犯人が登場した瞬間にわかってしまいます(笑)。
私はいままで犯人を当てることができたためしがないので、不思議でなりません。
これは私と作家さんの相性の問題なのか、翻訳の問題なのかわからないのですが、
残り二冊も読んで犯人がわかるのかどうか確認したくなってきました。
冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.14:
(4pt)

4部作が楽しみ

黄昏に眠る秋も面白かったですが今度の
2作目も、最初からハラハラしていて
4作読むのが楽しみです。
冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.13:
(4pt)

自然描写と幽霊

1作目の秋から読んでます。エーランド島の冬の自然の描写の美しさや激しさ、そこに生きる伝説や幽霊の存在が、このミステリーを格調の高い文学作品に仕上げています。
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No.12:
(4pt)

冬の灯台が語るとき(ハヤカワ・ミステリ文庫) ヨハン・テオリン

暗いストーリーで、心理描写がくわしくて、大人向けの苦い読後感で、複雑な人間関係に、疲れました。面白かったけど。
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No.11:
(5pt)

最高のスウェーデンミステリー

この本を読んだ人なら必ず感じるのが北欧スウェーデンという国の空気感、暗く重いだけれどすがちがしい、それは登場人物にも言える。多くの北欧ミステリー例えばミレニアムに重なる一筋縄ではいかないナゾとプロット、心理描写が散りばめられている。読む人を引き込み最後まで楽しませてくれる。知的北歃ミステリーファンこそ読んで欲しい一冊だと思う。
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No.10:
(5pt)

後世に残したい名作

冬の間に読み切りたかったのですが、春になってしまいました。そんなことを残念に思うのは、物語と季節感を少しでも共有したいから。
丁寧な叙述で語られる物語は、初冬からクリスマスのブリザードに向けて徐々に深まる寒さとともにゆったりと悲劇を内に秘めながら読者を誘っていきます。
ミステリの中心となる謎自体は弱いのですが、登場人物が良く描かれているので、謎を追うという興味よりも、彼らがどうなるかという点から読むことが出来ました。
これからこの本を読む人は、登場人物たちとともに戸惑い、迷い、悲しみながら読み進めることになると思います。その意味では、決して読んで楽しい物語ではありませんが、小説を読み、物語に浸る楽しみを存分に味わうことが出来ると思います。
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No.9:
(5pt)

北欧ミステリーの傑作シリーズの2作目、前作を上回る読みごたえある傑作

前作は秋、今回は冬のエーランド島が舞台。 うなぎ岬と呼ばれる灯台近くに建つ古い屋敷が舞台である。 ストックホルムからエーランド島のうなぎ屋敷に移住した一家にじわじわとトラブルが迫ってくる。 死者たちの声や幻視などホラーチックな要素も新たに加えられているが、基本は過去の不幸な出来事を丹念に解きほぐしていき、それが現在の出来事に絡み合っていく良質なミステリーである。 前作で活躍した元船長のイェルロフも本作でも謎解きの探偵役として活躍している。 前作では静謐な雰囲気が全面に出ていたが、本作では荒れ狂うブリザードの中繰り広げられる捕り物などアクション的な要素も新鮮に感じる。 過去のエピソードを効果的につなげてひとつの大きなストーリーに仕上げていく力量と読者を離さないリーダビリティーはさすがなもの。 次作が待ち遠しくなる傑作である。
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No.8:
(5pt)

小さな奇跡と

前作「黄昏に眠る秋」で読者に鮮烈な印象を与えた元船乗りのイェルロフとエーランド島。
シェーグレン症候群(今回はリウマチとだけ)に悩まされながらも自ら行動し、船乗りの経験と精神力で
事件を解決した前作と違って、ここでの彼は安楽椅子探偵といったところで出番も少々。
ですが、彼の登場シーンは短いながらも、再会の喜びでほっこりします。

エーランド島の自然描写の巧みさで、実在はしないけれども事件の舞台となる「うなぎ岬」も
リアリティが増し、章の合間に挟まれる主人公ヨアキムの妻の母、ミルヤの語る屋敷にまつわる
話も臨場感が迫ってきます。(映像が目に浮かんできます)この挿話が前作の過去話よりも
雰囲気があり、物語に引き込む役目を充分にはたしています。

ミステリーなのですが、幽霊屋敷の様相も帯び、冬との関連でキングの「シャイニング」も
思い起こしちゃいました。静かに密かに怖かった・・・・
そして死者との奇跡はキャロル・オコンネルの「クリスマスに少女は還る」か。
この幽霊譚部分が純粋ミステリーファンにどう受け止められるか。
でも謎は謎のまま放っておいてもいいのではないか、エーランド島ならあってもおかしくないと
自然に思わされました。

蛇足ですが、イェルロフの語り口、かつての名作アニメ「赤毛のアン」のマシューを彷彿させられやしませんか?(笑)
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No.7:
(5pt)

悲劇を呼ぶウナギ岬で最愛の妻と薄幸の姉の死の謎を追う男を描く怪奇色濃厚な感動作!

デビュー作「黄昏に眠る秋」の深い抒情性を湛えた作風で新鮮な感動を呼び起こした北欧ミステリー界注目の新鋭作家テオリンのスウェーデンのエーランド島を舞台に描くミステリー四部作の第2弾です。本書の解説からこのシリーズの構成を知って真っ先に思い浮かんだのは、創元推理文庫で既に3作が紹介されているイギリスのベテラン女流推理作家アン・クリーヴスのシェトランド四重奏(カルテット)でした。両者を比較しますと先輩格のクリーヴス作品が探偵役にペレス警部を据えた警察小説なのに対して、テオリン作品では毎回一般人を主役に据えて警察はどちらかと言えば脇役に回し他にも全作に共通する人物(元船長イェルロフ)を登場させるという趣向の犯罪小説である点に違いがありますが、共に多視点による人物それぞれの感情を描き分けるという部分に於いては共通していると思います。本書を読んで感じた著者の特筆すべき長所は、やはり前作でも見事だった過去のエピソードを上手にストーリーに絡める独特な手法にあると言えましょう。
都会の喧騒を逃れエーランド島北東部にある双子の灯台を望むウナギ岬の屋敷に移り住んだヨアキム一家が突然の不幸に見舞われる。ヨアキムが母の実家を訪ねている留守の間に何と愛する妻カトリンが近くの海岸で溺死してしまったのだ。失意のあまり無気力になったヨアキムは娘リヴィアと息子ガブリエルにも妻の死を伝えられずにぼんやりと傷心の日々を送っていたが、やがて屋敷に徐々に異常現象が頻発しだし妻カトリンと共にドラッグ中毒だった亡き姉エテルの気配も感じられる様になっていく。
本書は前作と比べるとストーリー構成が複雑になり更に盛り沢山の趣向が加えられています。主筋の方では主人公ヨアキムが穏やかな性格である為に動きは少なくて中々事態が進展しませんが、その代わりにもう一つのストーリーである無人の別荘を狙った空き巣の3人組窃盗犯一味と近くの警察署に新しく赴任して来た女警官ティルダがブリザードの夜にウナギ屋敷で激突するアクション・シーンは大迫力のサスペンスで盛り上がります。女警官ティルダは都会の警官学校で成り行きから妻帯者の教官と不倫関係になり最近別れ話が起きて男に愛想をつかした強い女で、対する主人公ヨアキムはドラッグ中毒の姉エテルを長年世話して来た末に紆余曲折あって結局事故死させた事に今も負い目を感じて生きる心に弱さを持つ男と真に対照的ですが、しかし最後にティルダは身勝手な男にも不意の暴力沙汰にも負けずに立派に警官としての職務を果たし、ヨアキムは静かな情熱を心に秘めてわずかな手掛かりから不確かな死の謎の答を導き出すという風に犯罪と人生の問題を見事に解決しますから、結局は性格が違っても二人共に著者が愛着を持って造形した意志の強いヒーロー・ヒロイン像なのだろうと思います。そして前作で老骨に鞭打って粘り強さを見せてくれた元船長の老人イェルロフが本作では長い人生経験に裏打ちされた玄人顔負けの名推理を披露して二人を助ける活躍がとても渋いです。またヨアキムが真相に到達出来たのは物言わぬ屋敷の幽霊たちがいたからこそだと言っても良く、著者は超自然の存在を否定せずに本来は水と油の関係である理詰めのミステリーと巧く融合させています。本書に挿入されている画家ミルヤ・ランベの著書「ブリザードの書」中のウナギ岬を巡る悲劇的なエピソードの数々は本筋とは直接の関係はありませんが、それぞれに人間味が濃く深い感慨を抱かせる良い読み物だと思います。また短いながらも画家ミルヤ・ランベとカトリン母娘の性格描写も印象に残りましたし、ヨアキムが子ども達を母の墓前に連れて行くシーンが心に刻まれまして、何よりこれまで幾度も悲劇的な歴史を繰り返して来た不吉な屋敷であるのに逃げ出しもせず決して怯まずに明るく生きて行く覚悟を決めたヨアキムの気概が素晴らしいと思います。
本書はミステリーの仕掛けの部分では前作よりも意外性は減りましたがそれでも小粒ながらもピリリと辛いですし、前作とはまた違う味わいの抒情性に満ちた人間ドラマは深みを増して健在でこの先もますます期待が持てますので、次回作の春のエーランド島を舞台にした物語も紹介を楽しみに待ちたいと思います。
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No.6:
(4pt)

静かな良作のミステリー

物語は北欧のちいさな島の古い幽霊屋敷が舞台だ。
現代のある家族に起こった不幸を主軸に、
古い時代の短いエピソードとともに物語は進んでいく。
当然、読者は様々な可能性を考え、ある種のイメージを膨らませながら、
読み進むことになる。

が、ラストまで読み終えたとき、この物語がきちんとしたミステリーであり、
「死者」がこのように使われていたことを知って、それまでの雰囲気が
ガラリと変わる。
そして、「一人につきたった一行の刻印」に思いを寄せ、愛おしさを感じる。
彼らには、それぞれ名前があり、歴史があり、その時代を一生懸命に生きながら、
ある種の不幸が起こり、この世を去って行った。
そして、その名前を残された誰かが刻んでいったのだ。

誰しも、自分が「現代」を生きる主人公であり、その時代の空気を意識して
生きている。
でも、違う時代の同じ場所で、確かに誰かの物語が展開し、そして静かに
幕を下ろしたのだ。

この物語を読み終えた後、不思議とそれぞれの登場人物のすべてが溶け合い、
強く浮かび上がっていたものは薄まり、弱く後ろに消えていたものが浮かびあがる。
ラストにミステリーらしい展開が待っているが、本を閉じてしばらくした頃、
やがて、この物語もこの島の歴史のひとつになっていくことを感じさせる。

強い衝撃も興奮もないけれど、とても静かな余韻の残る良質なミステリーではないかと思う。
冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)Amazon書評・レビュー:冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
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No.5:
(5pt)

スエーデン生まれの傑作ミステリー

娘がストックホルムで生活していることもあり、また過日NHKのドキュメンタリーで紹介されたヘンテコな島エーランド(南北135km東西16km最高点57m)が舞台のスエーデン産ミステリーに興味を持って読み始めた。始めはあまり期待していなかったが、読み進むうちにづんづん引き込まれて行く。このバルト海に面した平べったい島の厳しい自然環境の描写がなかなか素晴らしい。一見平凡な工芸が専門の教員が主人公として登場する。彼は都会のストックホルムを離れて自然豊かなこの島の19世紀半ばに建てられた灯台守の屋敷に引っ越してくる。が、この家は当初から海難事故を始めとして多くの悲劇を経験してきた訳有りの物件だった。そして彼を取り巻く人々の過去も経歴・行動含めて単純には語れないものなのだ。作者は登場人物同士の謎めく、かかわり合いをちらつかせながら読者を引っ張っていく。スエーデン地方警察の女子警官の活躍ぶりなどを散りばめながら、物語は進んでいくがアッという結末が待ち受けている。本の性格上詳細には触れないが、ひとこと面白かった。
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No.4:
(5pt)

前作にも増して良かったです

前作「黄昏に眠る秋」よりも評価が高いようなので期待して
手に取りました。
他のレビュアーの方も書いていらしたかもしれませんが、
冒頭あたりでは、幽霊話なのかクライムノベルなのかどの方向に
いくのかと思いつつ読み進んでいたものの、後半への展開に一気に
引き込まれ読了しました。
個人的には前作より更に良かったと思います。
ストックホルムからゆとりのある生活を求めて島に家を
買って越してきた一家を襲う不幸と島の歴史やそこで起こる事件が
見事に絡み合ってひとつの結末へ繋がっていきます。

前作との関連は物語には直接影響しないので、未読の方は、
前作を読んでからでも読まなくてもどちらでも楽しめるはずです。
ただ、前作を読んでいるとあの愛すべき元船長との再会、という
楽しみがありますね。
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No.3:
(5pt)

2012上半期いちばんの掘り出し物かも

おもしろくてビックリ!
前作「黄昏に眠る秋」は個人的にはスカだったんですけどね・・・。
ただでさえ神秘的な北欧の最果ての島が舞台なうえ、館モノっぽい雰囲気もあり、そこで不幸のどん底へひた走る主人公一家。
想像するしかない極限の寒さやブリザードも立派な主役になってます。
肩すかしや、終盤の破たんもなく、「おもしろかった〜」と言って本を閉じることができました。
女性警官の登場も、最初は「ココがネックになるかも・・・」と危ぶみましたが、最後まで非常に好感のもてる流れで良かったです。
次作も楽しみです。
北欧、行きた〜い!
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No.2:
(4pt)

幽霊とミステリー

幽霊はミステリーにおいて便利な存在です。
死者が語るですから、それだけで引き込まれます。
ここではうまく処理してくれているので
幽霊の不気味さと謎がうっとおしい天候の舞台と相まって
話の雰囲気を盛り上げ、
どんどん読み進めることができました。

イェルロフさんは魅力的なキャラクターです。
この人が登場するなら前作も読みたいです。
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No.1:
(5pt)

トマス・H・クックを彷彿とさせれう語り口が、やみつきになる傑作

スウエーデンの<エーランド島>の<うなぎ岬>のイワクの多い古屋敷に越してきたばかりのヨアキムの妻の溺死は事故か他殺か?
ヨアキムの姉の死因も溺死、これは偶然の一致なのか? この話を縦糸に、
この古屋敷に纏わる多くの物語の回想(幽霊譚も多数)、この島で多発する窃盗事件、ようやくこの島に設置なった駐在所の新人警官の物語などを横糸に、
齢80歳を越える、新人警官の大叔父の元<船長>が結構冴えた推理を披露し、話の大団円は、何十年に一度という大ブリザードの夜に向って集約してゆく。
この屋敷に纏わる古い回想が多数挿入され、現在の話と交互に語られる様は、クックの手法を思い起こさせるが、切れ味はいずれ劣らぬ<鋭さ>を見せる。
冒頭50〜60ページ過ぎまでは、この物語がどの方向に向ってゆくのか、本当にミステリーなのか、あるいは幽霊話になるのか、まったく分からず、困惑を覚えるが、
それでも飽きずに読ませる魅力十分。一旦この語り口に捉われたら、読む手を置くにあたわず!でした。
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