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灰色の虹
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灰色の虹の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 21~40 2/3ページ
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貫井作品としてはかなり読みやすい部類だと思います。さくさく読めました。 冤罪事件に関わった、というか冤罪事件を生み出してしまった刑事、検事、弁護士たちそれぞれの目線で各章が進んでいきます。 彼らは皆人一倍正義感が強い人間として描かれています。悪徳刑事とも思える「刑事」でも、強引なところはあったけれど悪い刑事ではなかったと後で他の刑事に言わせしめているほどです。 また「検事」に至っては全く持って「正義の人」として描かれています。個人的にはこの「検事」がユニークで面白くてこの章はかなり楽しめました。 あと「弁護士」もまたしかり。 誰も悪人ではないし正義を追求しているだけなのに冤罪が生まれてしまう成り行きは「死亡推定時刻(朔立木氏)」に似ているなと感じました。 読みやすいので途中からなんとなくことの真相に気が付いてしまいました。けれどそんなことは全く問題ありません。これからどうなっていくのだろう、どういう結末を迎えるのか・・・そういう思いで先を読み急いでしまいました。 とても理不尽で悲しい物語ですが筆者の登場人物それぞれに対する情愛がいつになく感じられいつもの作品よりは読後感は悪く無かったです。 | ||||
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日本の第一審有罪率は99.98%(事実上世界一)であり、これは検察官により起訴された事件の1000件に1件しか無罪とならないということを意味します(平成22年司法統計・刑事事件によれば、地方裁判所の通常第一審における有罪は61585件、一方無罪79件でした)。 しかも、裁判で自白を翻して起訴を認めないと「反省していない」ということで 情状酌量してもらえず・・・ 要するに一旦罪を認めてしまえばほぼ確実に有罪が待っているということです。 自白の強要ってなかなか表ざたにはなりませんし。 たまーに、ほんとにたまに冤罪ってことが証明されますが、 それはほんとに稀有なんだろうなと思います。 とにかく身に覚えのないことで逮捕されたら、なにがなんでも否認し続けなくてはとマジに思いました。 | ||||
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テーマとしてはすごく重いが、内容は非常に良かったと思います。又ラストのドンデン返しにも驚きました。貫井さんの作品はこれが初めてですが、他のもすぐ読みたくなりました。 もし自分が江木の立場だったらどうしただろう?という事を考えながら読んでいました。復習で殺人が許される訳では決してないし、人間としてしてはいけない行為だと思います。でも刑事の山名が、江木の心情が分かった時の文面は刑事でありながらも一人の人間なんだな~と感じました。結局読み終わっても自分だったらどうしたか、答えは出てきませんでした。でも気持ちは正直分からないでもない・・かな 色々な人に読んでもらって考えてほしいと思います。 | ||||
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何ともやりきれない重く悲しい話です。 現実にも同じようなことが起こっているのでしょう。 テンポもよく、どんどん物語に引き込まれます。 | ||||
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冤罪という重いテーマを描きながらエンターテイメントとしても成立している稀有な作品である。 なによりそれぞれの関係者を主役にした独立した章構成がどれも読みごたえのある物語になっている。 冤罪を生み出してしまう、裁判官弁護士警察官それぞれの心情を丹念に描ききった力作。 (おしむらくは、あと100ページばかり短かければ☆五つ。 冗長な箇所が気になる) | ||||
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最初から中盤ラストまで、主人公の江木に感情移入して、いっき読み、これからの著者の作品に期待を。 | ||||
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冤罪と復讐をテーマにした社会派ミステリーの傑作。現在と過去を曖昧にしながら、現在と過去を交錯させて描くことでミステリーを演出する構成は見事。 身に覚えのない殺人事件で冤罪に陥れられた江木雅史。江木の出所後、江木を冤罪に陥れた刑事や検事、弁護士、裁判官が殺害されるが… 江木雅史が冤罪という奈落にはまり込んでいく過程が迫真の描写で描かれており、自分がこういう目に会ったらどうしようと恐怖を感じた。恐怖を演出しながら、その裏にはしっかりとしたミステリーも用意されており、まんまと著者の術中にはまったようだ。 一年半前に椎名桔平主演でドラマ化されたようだが、見逃していた。ドラマでは原作と違うラストが用意されていたようだ。 | ||||
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貫井氏が冤罪をテーマにしたミステリーだが、いわゆる殺人トリックやら論理的に真犯人を見つけ出すといった本格趣向は皆無である。 冒頭のエピローグから主人公が何をこれから行うのかは明確であり、最後までミステリーらしい謎と言ったものはないまま進行する。 時制と復讐される人物ごとに章が変わり、読むに従って事件の全貌が判明するので読みだすとページを捲る手が止まらない。ゆっくり読んでいたり、途中で読むのを止めるのは、悲惨な話だけに早く結末を見届けたいという思いが強烈に沸いてくるだけにほぼ不可能。 いつもながら微塵の救いもないストーリーなのに不思議とワクワクさせてしまうのはこの作者ならではである。 復讐ものノワール小説の側面が強いが、殺される人物も表面的には普通の良き市民であるのに、読み進んでいくにつれ殺される事が当然のように思えてきて、ラストの目撃者などは早く殺されろ!と読者も思ってしまうだろう。読者の善悪感情をも麻痺させる強烈な負の連鎖の物語である。 構造的には貫井氏の代表作の慟哭のバリエーション的と言えるもので、ミステリー要素がほぼ最後までないが、ラストは一応サプライズ趣向がある。それまでの話が濃過ぎてあまりこのサプライズ自体は強烈に印象に残るというまでには至っていないが、貫井氏ならではのダークエンターティメントを堪能できる力作。ただ、本当に一編の救いもない読後どこに感情をぶつければいいのか分らなくなるようなヘビーな作品なので、そういうのが苦手な人にはあまりお勧めしない。 | ||||
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かつてある殺人事件に関わった刑事、 検察官、弁護士らが相次いで命を落とした。 最後まで無実を主張していた殺人事件の容疑者は、 出所後行方不明となっており…… 痴漢の冤罪を題材にした映画もあったけど、 こちらは更に重い殺人。 無実の罪で人生を根底からひっくり返されたら、 それはたまったもんじゃない。 しかし、冤罪に関わった関係者たちも、 違う視点から見るとおおむねは悪人とは言い切れない普通の人たち。 だからこそ根は深いのか。 ミステリーとして見ると、わりと予想できる結末でラストに驚きはなかったけど、 一読の価値は十二分にあります。 | ||||
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貫井先生は活躍中の作家では最も私と波長が合う一人だ。 多分全部読んでる。もっと売れてるKHやKMなどより全然面白い。 だが今ひとつヒットしない。でもそれでいい。映画化作品なんて書かないでくれ。 この人の真骨頂はやはりドロドロ情念系だ。色んな作風にチャレンジして新境地を見出そうとしてた時期もあった様だがそういった作品は眩暈がする程つまらなかった。最近の作品は本人もわかってきたのかおしなべてドロドロしてる。それでいい。これから年齢を重ねもっとドロドロするといい。 私的にはこの人のベストは「空白の叫び」であり、あそこまで強烈な後味の悪さを期待するも今回の作品はあれに比べたらサラサラとしてお茶漬けのようだ。前作「後悔と真実の色」が結構パンチ効いてたから期待したけど、今回は連鎖短編集のように主人公が変わり本物の主人公である被害者に感情移入しづらい。 「乱反射」や「夜想」は「あ、もうちょっとなのに惜しいな〜でも好き」という、映画監督でいうとブライアンデパルマみたいで(あくまで個人感想)味わい深かったが、これは味も薄め、トリックも薄め、不幸描写も薄めだ。 せっかく主人公がこんなに救いのない状況なんだからアレコレ話とばさず地の底からドーンと主人公の魂の叫びを貫井タッチで描ききって欲しかった。 次も出たら買うから期待してます。 | ||||
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筆者の貫井氏と言うと、どうしてもデビュー作の印象が強すぎ、その後の作品はやや印象が。。な、感じでしたがこれはいい。 冤罪もので、ごく普通の一般市民が無実の罪に、の過程がマッハのスピード感で。状況証拠の「推定有罪」で被疑者を追い込むところも迫力ですが、裁判官・検察・弁護士・家族等々、周辺の登場人物の描きこみ・波状攻撃。 それぞれがそれぞれの事情により被疑者を信じられず、「制度」という怪物が断を下し、被疑者とその周辺を破壊し尽くす。誰を恨んだらよいのか?・・・ページを繰る手が止まらず。 ただひとつ、ネタばらしになるので書きませんが、最終盤での「あのワード」、(エンタテインメント的に)書く必要はあることはあるのでしょうけど、無くても、、、個人的にちょっとだけ興ざめた部分。ともあれ、ゴラク・ミステリとしては間違いなく会心作、と思いました。あ〜おもしろかった。 | ||||
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読了して本を閉じたとき、ふと頭を過った。“江木は何色の世界を生きてきたのだろう”その答えは有無をいわず“灰色”だろう。しかし、必ずしもそうではない。江木にはかつて、“虹色”の世界を垣間見た瞬間があったのだ。最後の章を読んだとき、震えた。江木の恋人は一体どんな想いを抱いているだろうか。そして、家族。山名。江木本人──。考えずにはいられなかった。冤罪とは一体なんだ。当人にとって、生き地獄でしかないだろう。現代社会に生まれた凶器、それが冤罪だろうか。社会的にも、精神的にも、身体的にも腐蝕し尽くし、絶望の淵へと追いやる。その絶対的に勝ち目のない状態で、江木が選択できる唯一の手段は、復讐しかなかったのか……。 貫井徳郎さんの作品は深く考えさせられる。迷わず5星をつけたいところだが、トリックスター貫井としての奇抜さが見られなかった点とPAST3における書き込み不足は否めない。よって限りなく5に近い4、と評する。 | ||||
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丁寧に書き込まれた人物像で、僕にもこんな面があると思った。 長さを感じられないいい作品です〜 | ||||
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伊佐山刑事だけではなく、やる気のない弁護士、 それに自分の思ったとおりに決めつけてしまう検事。 これを読んでいて腹も立ちましたけど、 物語にはどんどん引きこまれました。 登場人物たちのエピソードを描き、 そこに復讐の殺人事件を盛り込んでくる構成 が良かったと思います。 暗く思い作品ですが、貫井徳郎はいいですね。 | ||||
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この作品は、身に覚えのない殺人罪で有罪判決を受けた一人の青年の人生がどのように激変していくか?を描いています。 私は今まで、テレビなどで冤罪のニュースを見るたびに「やってもいない罪を何故自白してしまうのか?」ということが不思議でなりませんでしたが、この小説を読むとこういうことが実際にも何件もあったのかもしれないな〜と少々恐くなりました。最高裁で有罪判決がおりるまでの展開は、自分も主人公と一体となって追い詰められているかのようで息苦しくなり、時々、「小説だから!フィクションだから!」と自分に言い聞かせながら読みました。 この小説で私が一番良いと思ったのは、主人公の青年だけでなく、警察官、検察官、弁護士、裁判官、目撃者・・・など登場人物の一人一人を丁寧に描写しており、各人物の人となりが細かくありありと浮き上がってくる部分です。誰か一人が物凄い悪者だったわけでなく、それぞれの少しの強引さ、怠慢さ、小心さ、などが積み重なっていった結果、一人の人間をメチャクチャにしてしまうほどの悲劇が生まれてしまった過程がよく分かり作品に厚みが出ていたように思います。 ラストはどのようになるのか?気になってページを捲る手が止まらず、ドンドン読み進めましたが、事件の真相は普通に読めば分かるものであり、アッと驚くようなところは特になかったです。またやはり作品の性質上、めでたしめでたし!と全てが解決してスッキリと終わるというわけではないので、読後もいろいろ考えてしまうかもしれません。しかし、久しぶりに中身の詰まった犯罪小説を読んだな〜!という充実感が確かにありました。 私は貫井徳郎さんの作品はこれが初めてだったので、「あぁ!出会えてよかった!」と素直に思いました。他の方のご意見を見ると良作が他にもたくさんあるようなので、これからしばらくの間は、貫井さんの他作品を片っ端から読んでみよう!と楽しみです。 | ||||
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冤罪と復讐の物語です。 描き尽くされた感のある題材ですが、貫井徳郎氏の筆はひと味違います。 冤罪被害者の物語と、冤罪を作り出した側である刑事、検事、弁護士・・・それぞれの物語が折り混ざって描かれ、その一つ一つの物語が短編でも良いくらいにストーリー性があって、全体として奥行きが出ています。 人物のキャラクター像が精緻に作られていて、抜群のリーダビリティでページをめくる手が止まりません。さすがミステリー界期待の星です。 とはいえ、ラストがもう一つでした。完全に予想通りの展開で、貫井氏ならではのトリックに欠けました。エピローグも平凡でもう一ひねりを望んでいた私は肩すかしをくらった気分。まあ、純粋に小説としての完成型を求めればこういう帰結になるのだとは思いますが、トリックスターの貫井氏らしさが欲しかったと思います。 | ||||
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重いテーマですが、じっくり読む価値有りです。 虹が灰色に、まず江木雅史に同調しました。 初出の名前には、ルビがあるから印象に残るのでしょうか。ストーリーを間違えて読み進めたくなくて、ついつい読み返してしまいます。 伊佐山の馴染み、矢沢の妻、石嶺のこだわり、他にも目撃者・母・父・姉そして由梨恵と思いが幾重にも寄せられて、読んでいる自分も苦しくなります。 不謹慎ですが、怜さんには会いたいと思いました。 真相の解明を、とても山名ひとりに任せてはいられない心境です。 初レビューで恐縮ですが、ご参考になれば幸いです。 | ||||
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「慟哭』以来ほとんどの作品読んでいます。読みやすく、もっと売れて良い作家だと思いますが 暗い作品が多いからかなあ。今回も、暗く、救いようのない悲しい話です。<冤罪>がテーマとなっていますが それを暴くことではなく、主人公が何度もあがいても罪人に認定されていく過程は、実際の冤罪もこんな感じで起こるのかも、 と考えさせられます。特に自分の勝手な推理をもとに主人公を追い詰める刑事は、本当に怖い。もし自分が同じ立場なら自白してしまうかも、と 思わせます。追いつめる側と追いつまれる側の心理描写が、上手く感情移入しやすいところが、暗い話が多いのに貫井さんの作品を読み続ける理由かもしれません。今回4つ星にしたのは、今回はラストがもう少し、刺激が欲しかった、という思いがあったからです。 | ||||
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冤罪の罪を着せられて殺人者になってしまった男が、理不尽な運命に復讐することを決意し、生きていく意味を見出そうとする。 冤罪の罪を着せられた男とその周囲の人間の心情がどのように変わっていったか、また結果的に冤罪であった事件に関与した刑事、検察官、弁護士がどのような心境で事件に臨んでいたのかが詳細に描かれていて惹きこまれた。 冤罪事件について、「明らかに証拠不十分で、こんなに簡単に冤罪になるのか」という思いもあったが、それは本書の主眼ではなく、誰も信じてくれない孤独の闇から、いかに男が本当の殺人者に変貌したのかに読み応えがあると思う。 ただ、最後の終わり方はあまりに救いようがなく悲愴なものだったと思う。また、結局真実が明らかにならずに残ってしまった部分があったのも残念だった。 | ||||
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世界でも指折りの日本の犯罪検挙率。その中に冤罪がどれだけ 含まれているのかと思うと想像を絶する。 一番不幸な状態から、一番幸せだった時へと流れていくプロロットは うまいなという感じがします。 しかし、登場人物一人ひとりに深みがなく…あまりにも悪人過ぎて こういうのって殺されちゃうんだよね〜と どこか昭和的な感じがする。 いまの時代何が怖いかというと あからさまに嫌われている人物よりも 普通の顔をして、いい子にしているけれど裏ではとんでもなく狡賢い奴 が犯罪なり冤罪なりを策略してしまうのが怖い。 ここで復習という名のもとに殺された刑事、検事、弁護士はあまりに昭和的な 悪人である。 そこに古さと人物描写の軽さを感じた。もっと人間を観察してほしい。 今回著者の作品を初めて読みましたが、もう少し頑張って! そうすれば次回作も買うよ!って感じですね。 | ||||
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