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サトリ
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サトリの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 21~27 2/2ページ
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ニコライはイメージとして、フレミングの「007」原作、ならびにショーン・コネリーの演じた初期「007」映画のボンド。 ポーカー勝負は「カジノ・ロワイヤル」日本の心を学ぶのは「007は二度死ぬ」 スパイなんだが、すぐに身元のばれる偽名も気にしない、任務を外れて女性絡みのトラブルに自ら身を任せ、街中での 後先考えぬ大暴れ、口撃に対する皮肉の聞いた切り替えし、おまけに絶対に死なないのは分かっているし (『シブミ』の前日譚ナ訳で...) チョット新鮮なのは、「犬の力」「フランキー・マシーン」のウインズロウらしく、ベトナムに麻薬絡みのイタリア・マフィアが登場する辺りか... 実に軽快に、(もっとも字がでかくて、スカスカなのもあるが...)2日ほどで読了。 それはそれで気分が変わっていいのだが、前述のオリジナル2作品が、最後に誰が生き残るのか、最後の数ページまで 予測の着かぬ期待に違わぬ衝撃巨編であったのと比すると、本作品は、『シブミ』と言う親本との繋ぎ、整合性を優先したのか、 戦後まもなくと言う時代設定からか、ちょっと<ぬるい>作品と感ぜられた。 (ゴールドの間抜けぶりとか、最強の暗殺者たるコブラとの対決だって...終わり方も評判よければ続編も、みたいに感じられる終わり方。) 版権料が余程莫大なのか、上下で\3360! 2日で読み終わるには本当にもったいない。繰り返しになるが字がでかくて、 スカスカなんで、イヤでも必要以上に誤植が気になるし(例 P183 今朝の→今朝も)この値段でこの程度の気の使い方か、 と作品とは別に反感をもってしまう... だが驚くなかれ、キングの新作(文芸春秋)は上下\5800!(ただし、字はびっしりだが...)はァ〜 今後はウインズロウは角川で文庫にしてください。 | ||||
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1951年、上海で生まれ日本で育ったロシア人、ニコライ・ヘルは育ての親で、戦犯として極刑を受ける岸川将軍を殺害した罪で服役していました。巣鴨拘置所服役中にCAI局員が面会に訪れ、自由を引き換えにある人物の暗殺を依頼されます。東洋で生まれ育ち、囲碁の達人でもある主人公の考え方や行動は、在りし日の日本人の価値観を持っており、これはまさに日本人のために書かれた冒険小説なのではないかと思ってしまいます。 本作は名作と名高いトレヴェニアンシブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)の前日譚を、当代きっての書き手であるウィンズロウが敬意をもって挑んでいます。登場人物の性格、言動や時系列的な整合性を完璧にとってなおかつ、冒険活劇としてハイレベルの作品に仕上がっています。作中巧みな伏線が豊富に散りばめられており、どの部分も読み飛ばすには惜しく、読者にはゆっくりディテールを楽しんで読んでいただきたいと思います。 本作の大きな魅力に、ニコライの人物像、東洋的なものの考え方が大きな位置を占めています。 生存能力がすこぶる高く、孤独な暗殺者ニコライは一方で繊細で孤独を嫌い、義と個人の尊重を基に行動をする点は、ウィンズロウが造形したストリート・キッズ (創元推理文庫)のニール・ケアリーに共通する部分が多いように思います。またもう一人伊藤計劃が虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)で創造したクラヴィス・シェパードも同じ匂いをもっています。後者に関しては西洋人が描く東洋思想と、日本人が描く西洋人の主人公に共通項が多いのは興味深い点といえましょう。東洋で育ったニコライは仏教の哲学にもなじみがあり、苦しみは執着から生まれ、執着ゆえに好ましくない行為をしてしまう。その悪い行いは業(カルマ)を作り出す。その悪い業の罠から解き放ってくれるのが〈サトリ〉であると作中にありますが、これほど東洋哲学に精通した西洋文学を私は知りません。逆に自分が日本人であることを実感させてくれる深さを感じました。 | ||||
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1951年、上海で生まれ日本で育ったロシア人、ニコライ・ヘルは育ての親で、戦犯として極刑を受ける岸川将軍を殺害した罪で服役していました。巣鴨拘置所服役中にCAI局員が面会に訪れ、自由を引き換えにある人物の暗殺を依頼されます。東洋で生まれ育ち、囲碁の達人でもある主人公の考え方や行動は、在りし日の日本人の価値観を持っており、これはまさに日本人のために書かれた冒険小説なのではないかと思ってしまいます。 本作は名作と名高いトレヴェニアンシブミ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)の前日譚を、当代きっての書き手であるウィンズロウが敬意をもって挑んでいます。登場人物の性格、言動や時系列的な整合性を完璧にとってなおかつ、冒険活劇としてハイレベルの作品に仕上がっています。作中巧みな伏線が豊富に散りばめられており、どの部分も読み飛ばすには惜しく、読者にはゆっくりディテールを楽しんで読んでいただきたいと思います。 本作の大きな魅力に、ニコライの人物像、東洋的なものの考え方が大きな位置を占めています。 生存能力がすこぶる高く、孤独な暗殺者ニコライは一方で繊細で孤独を嫌い、義と個人の尊重を基に行動をする点は、ウィンズロウが造形したストリート・キッズ (創元推理文庫)のニール・ケアリーに共通する部分が多いように思います。またもう一人伊藤計劃が虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)で創造したクラヴィス・シェパードも同じ匂いをもっています。後者に関しては西洋人が描く東洋思想と、日本人が描く西洋人の主人公に共通項が多いのは興味深い点といえましょう。東洋で育ったニコライは仏教の哲学にもなじみがあり、苦しみは執着から生まれ、執着ゆえに好ましくない行為をしてしまう。その悪い行いは業(カルマ)を作り出す。その悪い業の罠から解き放ってくれるのが〈サトリ〉であると作中にありますが、これほど東洋哲学に精通した西洋文学を私は知りません。逆に自分が日本人であることを実感させてくれる深さを感じました。 | ||||
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ひとつめ。ドン・ウィンズロウといえば翻訳者は東江一紀氏で、訳出が遅いという印象があったが、今回は黒原敏行氏が担当。訳文は違和感なく読めたし、訳者あとがきを読んで驚いたが原書が米国で発売されてから一ヵ月後に日本語版出版が成し遂げられたというのは凄いことではないか。Bethesda SoftworksのRPG日本語版の販売スケジュールみたいな嬉しい快速さだ。「フランキー」の訳者あとがきによると未訳作品がぽこぽことあるらしいが、黒原氏にお任せできたらと願うのは暴論か。 ふたつめ。今まで全作品が文庫版でリリースされていたが、本書が分岐点となって、今後の作品は単行本サイズのものも出てくるのか。 みっつめ。ニール・ケアリーシリーズは東京創元社、それ以外の作品は角川書店から出ていたけれど、今回はたまたま「シブミ」の版権を持っていたから単発で早川書房だったのか。著者インタビューによると、もしかしたらニコライ・ヘルの新たな冒険が読めるかも知れないそうです。そうなったらまたハヤカワか。 | ||||
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ひとつめ。ドン・ウィンズロウといえば翻訳者は東江一紀氏で、訳出が遅いという印象があったが、今回は黒原敏行氏が担当。訳文は違和感なく読めたし、訳者あとがきを読んで驚いたが原書が米国で発売されてから一ヵ月後に日本語版出版が成し遂げられたというのは凄いことではないか。Bethesda SoftworksのRPG日本語版の販売スケジュールみたいな嬉しい快速さだ。「フランキー」の訳者あとがきによると未訳作品がぽこぽことあるらしいが、黒原氏にお任せできたらと願うのは暴論か。 ふたつめ。今まで全作品が文庫版でリリースされていたが、本書が分岐点となって、今後の作品は単行本サイズのものも出てくるのか。 みっつめ。ニール・ケアリーシリーズは東京創元社、それ以外の作品は角川書店から出ていたけれど、今回はたまたま「シブミ」の版権を持っていたから単発で早川書房だったのか。著者インタビューによると、もしかしたらニコライ・ヘルの新たな冒険が読めるかも知れないそうです。そうなったらまたハヤカワか。 | ||||
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1951年、シブミを会得したニコライ・ヘルは拘禁からの解放と引き換えにKGB大佐の暗殺任務を引き受ける。偽装に必要な教育を終えた後、いよいよ北京に浸透するヘル。作戦は順調に進行していると思えたが、中国秘密警察長官、KGB大佐、CIA各々の思惑から自体は急速に展開していく。 話は兎に角面白い。「犬の力」ほど壮大ではないが、各キャラクターが非常に立っているし、描写や台詞も良い。期待を裏切らない作品となっている。中国や日本への洞察の深さも驚きに値する。 しかし、許せない点は、「犬の力」がヒットしたからか、本作は字がバカでかく、上下巻にされている点。「犬の力」と同じ文字の大きさなら文庫1巻で済むはずが、上下巻で3,200円と超高額になっている。早川書房は☆1つ。 | ||||
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1951年、シブミを会得したニコライ・ヘルは拘禁からの解放と引き換えにKGB大佐の暗殺任務を引き受ける。偽装に必要な教育を終えた後、いよいよ北京に浸透するヘル。作戦は順調に進行していると思えたが、中国秘密警察長官、KGB大佐、CIA各々の思惑から自体は急速に展開していく。 話は兎に角面白い。「犬の力」ほど壮大ではないが、各キャラクターが非常に立っているし、描写や台詞も良い。期待を裏切らない作品となっている。中国や日本への洞察の深さも驚きに値する。 しかし、許せない点は、「犬の力」がヒットしたからか、本作は字がバカでかく、上下巻にされている点。「犬の力」と同じ文字の大きさなら文庫1巻で済むはずが、上下巻で3,200円と超高額になっている。早川書房は☆1つ。 | ||||
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