野蛮なやつら



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    初公開日(参考)2012年02月
    分類

    長編小説

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    野蛮なやつら (角川文庫)

    2012年02月25日 野蛮なやつら (角川文庫)

    舞台はカリフォルニアのラグーナ・ビーチ。2人の若者ベンとチョンは、幼なじみのオフィーリアとの友好的な三角関係を愉しみつつ、極上のマリファナの栽培と売買で成功を収めていた。だがメキシコのバハ麻薬カルテルが彼らのビジネスに触手を伸ばす。傘下入りを断った2人に対し、組織はオフィーリアを拉致。彼女を取り戻すため、2人は危険な賭けに出るが―。鬼才ウィンズロウの超絶技巧が冴え渡る犯罪小説の最進化形。 (「BOOK」データベースより)




    書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

    野蛮なやつらの総合評価:5.43/10点レビュー 14件。Cランク


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    全2件 1~2 1/1ページ
    No.2:
    (8pt)

    三人の青春物語であり叙事詩であり伝説

    読み終わって大きな息が思わず出てしまった。
    怒涛の展開で連打の如く畳み掛ける言葉の嵐。今回の物語で要した章は289にまで上る。正味460ページ足らずの分量でこの章の多さ。いかに切りつめられた章立てであるかが解るだろう。

    ウィンズロウの文体はもはや詩である。
    短文の連発で散文的に書かれた語り口は彼独自のリズムで物語が展開する。固有名詞(62章を見よ!)に略語にスラングの応酬で綴られるその文章にはまぎれもなく行間から“声”が聞こえてくる。
    つまりはこの声を生かしたままで日本語に訳している東江氏の素晴らしい仕事ゆえに私達はウィンズロウが耳元で囁くかの如きライヴ感溢れる文体に酔うことが出来るのだ。

    ただそれがあまりに過剰になりすぎて、読者の理解を超えたところで鳴り響いている感じもする。恐らくこれはウィンズロウがあえて実験的に取り組んだ文体だろうが、この波は少々じゃじゃ馬すぎて、上手くライディングするのにはかなりの時間が必要だった。

    今回扱っているテーマは麻薬商戦。相手はメキシコの大麻薬カルテル。そう、主題としては『犬の力』と一緒なのだが、『犬の力』がDEA(麻薬取締局)と一大麻薬カルテルとの血で血を洗う凄惨な戦いを描いたのに対し、本書は独立経営でやっている麻薬商業者ベンとチョンと一大麻薬カルテルとの戦いを描いたもので、ベンとチョン、それに彼ら2人の恋人Oが加わったオフビートな味わいの物語になっている。

    このベンとチョン、そしてOの造形が素晴らしい。
    精神分析医の両親を持ち、自身も精神療法のクリニックを経営しながらも独学で育てた大麻をチョンと共同で売って生計を立てているベンは何かにつけ、人の行動を分析する傾向にある。そして根っからの非暴力主義者で時にふっと世界のどこかで弱者を救いにボランティアに出かける、そんな人間だ。

    片やベンのパートナーであるチョンはその名前からアジア系アメリカ人を想像するが生粋の白人。いつの間にか本名のジョンがチョンに変化してしまい、そのままで通している。海軍に所属し特殊部隊員となり、“スタンの国”で戦争の最前線に行き、いくつもの修羅場を潜り抜けてきた男。感情を表に出すことはなく、誰かに優位に立たれるのを好まない武闘派。

    そしてベンとチョンの恋人オフィーリアことO。美貌を誇る母親から生まれたOは自由奔放な精神の持ち主。知識は少ないがベンとチョンは彼女が頭がいいことを知っている。2人のオアシスで帰るべき家ともいうべき存在。

    この三人には他者が入れない強い絆で結ばれている。兄弟よりも濃い関係なのだ。

    そんな彼らに立ちふさがるのがバハ・カルテル。中でもその恐怖の象徴であるのがラド。元々麻薬対策特務組織の一員だったが、終わりのない戦いと一方で肥え太る麻薬組織の連中を見るにつけて仕事に嫌気が差し、カルテル側に移った人間。チェーンソーで人の首を切るのを何とも思わない冷徹な男。どんな嘘も見抜き、粛清を下す。組織の恐怖の掟が具現化した男だ。

    さてそんな彼らが登場する物語、オフビートテイストが最後まで続かないのが最近のウィンズロウ作品の特徴。前作の『夜明けのパトロール』同様、物語は次第に暗い様相を帯びてくる。ベンとチョン2人の麗しの君Oにバハ・カルテルの魔の手が伸び、誘拐されてしまうのだ。云うことを聞かなければチェーンソーでの死刑が待っている。
    大麻栽培と販売という犯罪と貧民国を訪れボランティア活動を行う慈善家の二足のわらじは上手く両立できると信じていたベンの信念に揺らぎが生じ、片や野蛮なる世界の怖さを知る武闘派チョンの暴力への信念はますます研ぎ澄まされていく。非暴力主義を貫けなくなったベンは全てを擲ってOを救おうとする。オフビートな犯罪小説から暗黒小説へ次第に物語はシフトしていく。

    『犬の力』でも散々見られた惨たらしい拷問シーンは今回もふんだんに盛り付けられている。書かれた文字から否が応にも想像が働くその映像に目を背けたくなる。そんな暗鬱になりがちな展開の中で誘拐されたOの茶目っ気ぶりが一服の清涼剤になる。

    淀みと気楽さ。
    なんとこれは麻薬ではないか?
    もしかしてウィンズロウは文章という名の麻薬を実現しようとこのような実験的な文体を採用したのだろうか?

    やがて物語はハメットの有名な作品『血の収穫』で見せた二大勢力の麻薬戦争の様相を見せ、ベンとチョンがたった2人で巨悪に立ち向かう様が繰り広げられる。

    これは彼ら三人の青春物語であり叙事詩であり伝説。
    こんな物語、ウィンズロウにしか書けないわ!


    ▼以下、ネタバレ感想

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    Tetchy
    WHOKS60S
    No.1:
    (6pt)

    ヒップでホップな??

    ウィンズロウお得意のモダン・ノワール。舞台は南カリフォルニア、道具立てはドラッグ、主要な登場人物にバハ・カルテル・・・、これはもう、期待するしかないのだが、鬼才が才に走り過ぎたというか、実験的手法が過ぎていてちょっと、いや、かなりがっかりだった。
    ストーリーは、大麻の栽培、供給で巨万の富を築いた若者二人組が、カリフォルニアでの大麻利権に手を出してきたバハ・カルテルに脅迫され、必死の反撃を見せるという犯罪アクション。登場人物(敵味方)のキャラクターが興味深く、きっちりと描かれており、ストーリー展開、エピソードも面白く、普通に(従来の手法で)書かれていれば、きっとオススメ度「8」になっていただろう。しかし、「『何作かごとに文体を発明し直す』ことを旨とする」(訳者あとがき)ウィンズドロウが本領発揮。まあ、とにかく、改行が多く、頭韻、脚韻、地口をふんだんに織り込んだ文章はまるでヒップホップ!
    好き嫌いが分かれるところだが、正直、好きになれなかった。
    しかし、オリヴァー・ストーン監督で映画化されているというので、傑作になること間違いない映画を楽しみにしたい。

    iisan
    927253Y1
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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
    未読の方はご注意ください

    No.12:
    (3pt)

    それを過剰な武装だと考える

    男2人、女1人の破天荒な仲良し3人組が、カリフォルニアのラグーナ・ビーチのマリファナ取引で荒稼ぎしていたところ、メキシコの麻薬組織が一方的に「関係」を求めてきて状況が一変し、男2人は勝負に出る。
     物語のディテールは、ウィンズロウの他の作品とかなり被る部分もあるが、重ね読みによってかえって理解が深まるような感覚があるので、あまり気にならない。そういう仔細にこだわるよりも、性格も行状もまったく正反対の親友2人が、あらゆる手を使って麻薬組織を翻弄する姿が面白い。2人のやり取りも、1人が「膝に載せたグロックと床に置いた散弾銃、そしてベルトに挿した接近戦用のケイバー・ナイフのために、両手をあけておきたい」のに対し、「ベンはそれを過剰な武装だと考える」といった具合だ。
     本作の文体は、「犬の力」や「ザ・カルテル」と大きく異なりかなりくだけているので読者の好き嫌いが分かれるところだろう。しかし、単にくだけた文体で書かれているだけでなく、改行など紙面の使い方そのものが独特。これはひとつの「実験」と言ってもいいのだろうし、いろいろな意味で、ウィンズロウ作品は読者を飽きさせない。
    野蛮なやつら (角川文庫)Amazon書評・レビュー:野蛮なやつら (角川文庫)より
    4041001749
    No.11:
    (3pt)

    実現できたかはともかく、

    世界観と文体、そしてタイトルにおいて「犬の力」のネクストレベルを描きたい意志は感じる。 映画は別物。
    野蛮なやつら (角川文庫)Amazon書評・レビュー:野蛮なやつら (角川文庫)より
    4041001749
    No.10:
    (4pt)

    ちょっとネタバレかも

    とても良かった。 三人で今を気ままに生きてることが全てで 仲間の為なら平気で命をかける。 一人でも欠けた時点で生きてる意味はなくなり 悲壮感もなく当たり前に死をともにする・・・。 犬の力と比較する方もいるけど ドン・ウィンズロウの作品の中で犬の力だけが特に異色だと思う。 ひたすらシリアスなのは犬の力だけなんで。 サトリもシリアスだけど これはトレヴェニアンの世界感を引き継いたものだから別もの。
    野蛮なやつら (角川文庫)Amazon書評・レビュー:野蛮なやつら (角川文庫)より
    4041001749
    No.9:
    (2pt)

    読みづらいんですかね。

    ウィンズローの作品には当たり外れがある。
    ドーン・パトロール(夜明けのパトロール)はいい。翻訳もいい。
    スラングや専門用語を理解して訳しているし、もちろん原書も良いのだろう。
    グレアムとニールのシリーズも前半はいいが、シリーズ後半は翻訳の出来が悪く評価出来ない。

    本書もどちらかというと外れ。
    まず、設定が現実味ない。主人公の裏社会での立ち位置とカルテルとの関わりなんか今ひとつリアルじゃない。
    突拍子もない設定なら突き抜ければ良いのに、中途半端。
    次にストーリーとか起承転結はなく、淡々と日々の流れを綴っただけのスタイルは退屈に感じる。

    また、原書の文体が面倒くさいせいもあるのだろうが、原文のニュアンスが伝わらない訳になっているところが散見出来る。
    直訳しちゃった?っていう感じでしょうか。

    スラングや若者文化が多く出て来る作品には東江さんは向かない。(銃、車等の専門用語、趣味的分野も苦手みたい)
    なぜなら、正しい英語は出来てもスラング等の口語の微妙なニュアンス、意味を日本語のスラングや現在の言葉(若者が使う言葉)で表現する事ができないからだ。
    おじさんが無理矢理若者言葉使うと、ん?微妙〜ってなるでしょ、あれ。
    野蛮なやつら (角川文庫)Amazon書評・レビュー:野蛮なやつら (角川文庫)より
    4041001749
    No.8:
    (2pt)

    漫画みたい。

    他の作品でいいのがあったのと、映画の評判がよかったのでよみました。漫画みたいで先がわかってしまったけど、まあまあかな。
    野蛮なやつら (角川文庫)Amazon書評・レビュー:野蛮なやつら (角川文庫)より
    4041001749



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