ウォータースライドをのぼれ



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初公開日(参考)2005年07月
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長編小説

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ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)

2005年07月28日 ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)

「じつに簡単な仕事でな、坊主」養父にして朋友会の雇われ探偵グレアムがニールに伝えた任務、それは健全さが売りの人気TV番組ホストのレイプ疑惑事件で、被害女性ポリーを裁判できちんと証言できるよう磨き上げることだった。世にも奇天烈な英語教室が始まる。彼女の口封じを狙う者あり、彼女を売り出して一儲けを企む者あり…様々な思惑が絡み合うポリーゲート事件の顛末。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

ウォータースライドをのぼれの総合評価:7.78/10点レビュー 9件。Bランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

極彩色な面々と女たちの共闘と

ニール・ケアリーシリーズ第4弾。
聞くところによると実質的なシリーズ最終作との事で、次の『砂漠で溺れるわけにはいかない』はおまけのような作品らしい。しかし逆に私は読後の今、この愛すべき人々との別れが実に惜しくてならなく、おまけの1作とはいえ、もう一度この仲間たちと逢えるのがなんとも嬉しい。

さて今回もグレアムの訪問とニールの後悔で幕を開けるが、前3作と違うのはニールの許には愛すべき存在カレンがいること。そして任務も今まではロンドンに中国、ネヴァダ州の山奥と移動に移動を重ねてきたが、今回は前作の舞台だった“孤独の高み”に仕事が舞い込んでくるという設定。したがって登場人物も3作目と重なる人物が多く、お馴染みの顔ぶれが出揃う。物語に挟まれる彼らとのやり取りにニールが彼の地に溶け込み、もはや村の住民の1人として認知されていることに気付かされる。
とうとうニールは安住の地を見つけたのだ。

しかしそんな安息の日々も長くは続かず、ポリーを巡って元FBIで渦中のキャンディ・ランディスに惚れてしまっている私立探偵チャック・ホワイティングに、謎の殺し屋“プレーオフ”、さらに元凄腕の探偵で今は極度のアル中で落ちぶれた生活を送っているウォルター・ウィザースが絡んでくる。さらにジャック・ランディスには悪徳建設業者の隠元豆ジョーイが付きまとっている。
やはり父親代わりのグレアムはまたしても災厄の天使であったわけだ。

本作は定点で繰り広げられる物語と異色な展開であるに加えて、今まで若くナイーヴな探偵ニールを中心にした“男”の物語であったのだが、今回はレイプの告発をした有名人の秘書とカレンの存在、そしてその2人に加わるその有名人の妻キャンディ3人が主導で展開する“女たち”の物語であるように感じた。

まずポリー・パジェットのインパクトが強烈。よくもまあ、訳者の東江氏はこんな読みにくい田舎訛りの文章を案出したものだ。原文がどのように書かれているのか非常に興味をそそる、それほど痛快な仕事だ(なにしろ“ちんちん”の田舎訛り訳語が「でっちぼ」なんだから参る。しかしつくづく金玉系が好きだねぇ、原作者もしくは訳者は)。
この一見脳足りんの尻軽女の風貌で教養の欠片さえも感じさせないポリーに教育を施し、裁判で衆人の同情を惹く人間に育てる過程は映画『マイ・フェア・レディ』、『プリティ・ウーマン』を思わせる。

さらにそのポリーが心に純粋な塊を持っており、次第にカレンの見方が変わっていくのに加え、夫の浮気に憤懣やるかたないキャンディの懐の深さに感服。特にポリーの妊娠が発覚してから敵同士であるべき存在キャンディが共に赤ん坊の名前を考えている様子など、男たちが想像できない女性たちの同族意識ともいうべき不思議な心理構造を見せる展開はまさに女たちの物語というべきシーンだろう。

こんな先の読めない展開と三文悪党どものジャムセッションとも云うべき、題名のとおりウォータースライドを滑るが如く二転三転するストーリー展開はクライムノヴェルの巨匠エルモア・レナードの作品を思い起こさせる。
そしてその本家に勝るとも劣らない痛快な展開が待ち受けている。

エンタテインメント小説を紡ぎ出していたウィンズロウがTVというショービジネス界のスキャンダルとまさにエンタテインメントど真ん中の題材を描いた本作には斯界に蠢く巨額の浮利と思惑が交錯し、それぞれが自縄自縛状態に陥っていることを如実に描く。特にTVで幸せなアメリカ夫婦の象徴という虚像を担ってきた当事者ジャック・ランディスの有名税ともいうべき不自由な暮らしぶりなど考えさせられるものがある。

また逆に虚栄を売っているこの界を揶揄したギャグも盛り込まれている。特にニールが適当にでっち上げたポルノ映画のシリーズが一人歩きし、隠れ蓑として作った偽名が逆に注目を集めるくだりなどは実に面白い。

とにかく本作は前3作に比べると、危機一髪のドキドキハラハラ感よりもスラップスティックコメディ的な予想の斜め上を行く展開が実に面白く、何度も声を上げて笑ってしまった(特に伝説の殺し屋“プレーオフ”の末路が実に悲惨ながら笑ってしまう)。
したがって今までこのシリーズの売りでもあった若き探偵ニールのナイーヴさはほとんど出てこなくなっており、逆に恋人のカレンが正義感を振り回し、ニールの役割を果たしているようだ。しかし私は前作でニールは一皮向け、一人の男として成長したように捉えていたので全く違和感はなかった。

しかしもう残り1冊になってしまったのか。面白い小説というのは本当にクイクイ読めて時間が経つのが早く感じてしまう。残り1作品、物量的には最も薄いがするめを噛みしめるように読み、じっくり味わいたい。

Tetchy
WHOKS60S
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.8:
(2pt)

訳に問題あり

基本的にドン・ウィンズロウは素晴らしい!
が、しかし。が、しかしである。

何故なら端的にいうと訳者の方は世情に通じていらっしゃらないとお見受けする。
前書の「仏陀の鏡への道」でもニールがスラングを中国人通訳に教えるところに違和感があった(ファック・イエスを決まり金玉と訳すなど。決まり金玉等という表現は日本の若者にはなんのこっちゃだ。造語にしても酷い。更に原書を読んでないから何とも言えないがファックのところもニューヨーカーならファッキンと言うはずだし…まさか原書もファックだったのだろうか…)

さて、本書です、ポーリーのしゃべり方の表現はどうやったらあのような前時代的なことにできるのか。
いかにも高学歴の世間知らずが「田舎者はこのようにしゃべるはずだと勘違いした田舎訛」を日本中から集めて合成したようなしゃべり方…
今時の日本の地方在住中高校生には大変失礼な言い方だが、彼らでもこんなしゃべり方はせず、大都会のアホそうな若者言葉を勉強してものにしている。東京に修学旅行でいらした中高生の話し方を聞けば一目瞭然である。
原書のクレジットが1994年発行、国内が2005年発行と考えるとあのような時代錯誤で独りよがりな表現は如何なものか。
ポリーは本書によると「色気偏向型情婦の歩く見本」だそうなので話し方も90年代のギャル語か今時の若者言葉にすればリアル感があるのだが、訳者は日本の若者文化を多分ご存じないのだろうな。

せっかくのドン・ウィンズロウの洒脱な表現が訳者により野暮に変換された好例である。
ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)より
4488288049
No.7:
(5pt)

待ちました

いやあ、待たされました待ちました。シリーズ前作『高く孤独な道を行け』からなんと六年。ようやくのニール・ケアリー四作目です。恋人と同棲中、所属する朋友会の仕事は休暇中、引退も考えているニールの元に現れた養父ジョー・グレアム。「簡単」だとの言葉を信じて仕事を引き受けたもののそう簡単にいくはずもなく、恋人カレンまで巻き込んだ大騒動が・・・。前作までは、シリアスさの中の気の効いたジョークや無駄口、シニカルな笑いのバランスが絶妙でした。本作でもそれは同じなのですが、笑いの比重が大きくなっているよう、これまでと比べるとかなりコミカルで軽妙、ヘタをすればただのドタバタ劇で終わってしまいそうな事件ですが、そこはニール・ケアリー、決めるところはビッと決め、今までのファンを安心させてくれます。『歓喜の島』で活躍した人物が、本作にも重要な役割を持った人物として登場しているのも、ウィンズロウのファンには嬉しい(そしてちょっと悲しい)おまけです。このシリーズ、全五作なのだそうですが、最後の一作は後日談的な内容なんだとか。ということは、ニール・ケアリーが本格的に活躍するのはこれが最後ということなのかな?とても好きなシリーズなだけに、とても気になるところ。五作目も、早く読みたいような、読んでしまえばシリーズ終了なのでまだまだ読みたくないような、複雑な心境です。
ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)より
4488288049
No.6:
(4pt)

次作はぜひ…

 6年も待たされた(本当に待たされた)末のニール・ケアリーシリーズの最新刊。内容はウィンズロウらしさを存分に発揮している。プロットは秀逸で展開が速く、映画的である。驚異的などんでん返しがあるわけではないが、最後まで一気に読ませる力を持った小説であることは間違いない。登場人物も前作までのおなじみの面々が再び登場しているので、ファンは一安心といったところだろう(もちろん自分も)。 個人的には、カレン・ホーリーがあまり好きになれないのと、前作までのようにニールの葛藤があまり書きこまれていない(大人になったのか…)ので、その分星一つ引かせてもらいました。カレンはちょっとなあ…いかにも「教師」という感じで、あの正義感がちょっと怖い(笑)。ただ言葉は悪いが、腹黒い人間ばかり登場するので、彼女は一種の清涼剤のような役割を果たしているのかもしれません。 それにしても、6年は待たせすぎでしょう!!次作で完結らしいので、ぜひ短いインターバルで出してほしいものです。出版社にプレッシャーかけるしかないか…(笑)
ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)より
4488288049
No.5:
(3pt)

失われていく瑞々しさ

ニール・ケアリー・シリーズは、第一作の「ストリート・キッズ」の印象が強すぎ、それと同等以上の内容を求めているためか、続編を読んでの感動が薄くなってしまう。今回、久しぶりに訳出された本作(第四作)は、ドタバタ喜劇っぽいつくりで面白いのだが、あんなに瑞々しかったニールの魅力が段々失われていっているのではと思う。主人公も年をとるので変わって当然なのだが、「ストリート・キッズ」に魅せられ、本が出るたびに期待して読み続けている読者としては、期待とは違う方向の作品なんですよね。
ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)より
4488288049
No.4:
(4pt)

大人になったストリート・キッズの行く末は

二ール・ケアリーものは何年かに一度の出版だけど作中でも同じように時間が経っているので、デヴュー時には少年と青年の境目にいた彼も本作でついに結婚。シリーズ残り1作は後日談的な内容になっているとのこと。いままでよりスラプスティックス的な要素が強くなっており、その分、ご都合主義的な展開が目に付くけど楽しめる。正直、あの「ストリート・キッズ」のシリーズで楽しめないはずがない、いや、頼むから楽しませてくれ、失望させないで。とゆーのが多くの読者の本音では。読んで損せずホッとひと安心というところ。本当は、日本人の感性にバッチリあった第1作の設定でガンガン書きまくってくれれば良かったんだろうけど、そうはならずに第2作以降の展開には戸惑いながらも面白いからまあいいや、ってのが大方の感想だと思います。本書でもニールの健気でひたむきで、でもちょっと生意気なところと憎めない軽口は健在。バシバシ母性本能に訴える拗ねようも。ただ、もはやキッズではないニールの役回りは狂言回しに近い。マフィアを敵に回しても自分の彼女の側に立つってのを命を賭けながらもサラリとやってのけるところは流石だけど。二ールものが、主人公の洒脱さをひたすら楽しむシリーズにならないことに気付いて少し残念に思っていたところに颯爽と現れたウォルター・ウィザーズ(「歓喜の島」の主人公)。そうかそうか、洒落と粋で主人公が生きていくには設定は50年~60年台黄金期のアメリカでなくてはね、とそちらのシリーズ化に期待していたら、本作にアル中で落ちぶれきったウォルターが出てくるんだよね。この作者、どういうつもりだろう。分からん・・・。頼むから、シリーズ最終巻で無様な二ールの姿だけは見せないで、と祈るファンなのであった。
ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)より
4488288049



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