フランキー・マシーンの冬



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長編小説

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フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)

2010年09月25日 フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)

フランク・マシアーノはマフィアの世界から足を洗ったつもりだった。地元サンディエゴで釣り餌店をはじめ複数のビジネスを営むかたわら、元妻と娘、恋人の間を忙しく立ち回り、“紳士の時間”にはサーフィンを楽しむ62歳の元殺し屋。だが“餌店のフランク”としての彼の平和な日々は、冬のある一日に突然終わりを告げる。過去の何者かが、かつて“フランキー・マシーン”と呼ばれた凄腕の存在を消し去ろうとしていた―。 (「BOOK」データベースより)




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フランキー・マシーンの冬の総合評価:8.82/10点レビュー 34件。Aランク


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全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(10pt)
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無敵の殺し屋を過去が追いかけてくる

前作『犬の力』は同じマフィアの話でも麻薬を軸にしたメキシコマフィアの話だったが、本作はアメリカの裏社会を題材にした小説の定番ともいうべきイタリアマフィアのお話。
加えて齢60を越える元凄腕の殺し屋が命を狙われる本書はウィンズロウ色が色濃く溢れたオフビートな作品。しかも主人公フランクの趣味はサーフィンと私の好きな『カリフォルニアの炎』の主人公ジャック・ウェイドと同じだから期待せずにはいられない。
そしてその期待は見事に適えられた。

とにかく主人公フランキー・マシーンことフランクがカッコいいのだ。
どんなタフな奴が来ても動じない度胸と対処すべき術を心得ている。よくよく考えるとウィンズロウ作品の主人公というのは自身の信ずる正義と矜持に従うタフな心を持った人物だったが、腕っぷしまでが強い人物はいなかった。つまり本書はようやくタフな心に加え、腕っぷしと殺人技術まで兼ね備えた無敵の男が主人公になった作品なのだ。
今まで伝説の殺し屋と噂されるキャラクターは色んな小説に出てきたが、その強さを知らしめるのは単に1,2つのエピソードだけでお茶を濁される作品がほとんどだった。しかしウィンズロウはその由縁をしっかりと描く。だから読者は彼がまごう事なき伝説の殺し屋であることを理解し、その伝説を保たれるよう応援してしまう。

物語はフランクがフランキー・マシーンになった「成り立ち」とフランクを殺そうとする者たちを探索する現代の話とが平行して進む。フランクが過去を回想するたびに、殺した人間の係累に思いを馳せ、もしやそれが現状の引鉄かと推測し、そこへ向かうといった具合だ。
『犬の力』では30年以上にも亘る麻薬捜査官とマフィアとの闘争を描き、上下巻併せて1,000ページを超える大著であったが、本書はフランクの回想シーンが1963年の19歳だった頃から始まることを考えれば、62歳の現代から振り返れば43年分の歴史が語られているわけだが、上下巻併せても630ページ弱で『犬の力』よりも長い。しかも字の大きさは『犬の力』よりも大きい(昨今の出版状況の厳しさが偲ばれる)から、1冊にまとまるくらいのコンパクトな長さである。
つまり本書がいかにスピード感あふれ、なおかつエッセンスが詰まった作品であるかが解ると思う。

そして抜群のストーリー・テラーであるウィンズロウ、この過去のパートそして現代のパートが共に面白い。
このイタリア・マフィアの悪党どもがそれぞれの思惑を秘めて絡み合うジャムセッションは全くストーリーの先を読ませず、以前から私が云っているエルモア・レナードのスタイルを髣髴させる。特に本作は悪役の描き方といい、ストーリーの運び方といい、そして女性の描き方も付け加えて、さらにレナードの域に近づいているように感じた。元々“生きた”文章を書くことに長けたウィンズロウだったが、本書はさらに磨きがかかっている。ここぞというところにこれしかないという台詞や一文がびしっと決まっているのだ。

さらになかなか解らないのがなぜフランキー・マシーンを消そうとしているのか?そしてそれは誰の企みなのか?というメイン・テーマだ。殺し屋稼業だから、過去の恨みは数知れなく、フランクは思いつく限り現代に禍根を残す人物たちに接触を図る。浮かんでは消え、接触しては否定される動機の数々。

それらを通じて語られるのはマフィアの世界の非情さ。使える者はとことん利用してあぶく銭を得てのし上がっていく。それを面白く思わない輩が武力を以って横取りしようと画策する。勝ち残るには権力とそれを保つ勢力が必要。だから下っ端は顔になろうと姑息な手段と殺しを請け負い、ボスへの信頼を得ていく。
前作『犬の力』では“犯罪はペイする”という言葉を立証するかの如く、メキシコの麻薬組織が他国の政府に資金援助をして磐石の組織基盤と資金システムを築いていくのに対し、本作のイタリア・マフィアはポルノ産業や賭博産業、高利貸し、クラブ経営といった浮世商売で一攫千金を狙い、他組織からの妬みと裏切りと麻薬とで崩壊していく。
フランクの元相棒マイク・ペッラが死に際に放つ「マフィアの世迷い言なんぞ、もうたくさんだ。そう、何もかも世迷い言だった。名誉も忠誠もあるもんか。初めっからなかった。おれたちは自分をだましてたんだ」述懐が象徴的だ。

そしてウィンズロウ作品の特徴の1つにプロットに政治が絡むことが挙げられる。表向きの目的に隠された政治的工作や陰謀、もしくは犯罪が絡む政治的倫理。それは初期のニール・ケアリーシリーズから盛り込まれていた。
特に本書ではその現在の腐ったアメリカ政治に対する作者の怒りとも嫌悪とも取れる“魂の叫び”が作品の最後の方にフランクの台詞として述べられている。その、政府が犯罪組織を撲滅したがるのは彼らが商売敵だからだという過激な論調は数々の職を転々としながら、自身も裏社会に通じてきたウィンズロウしか云えない言葉だろう。
というよりもこの部分がよくも検閲に引っかからなかったものだとアメリカ出版業界の懐の深さに感心する。

そしてまだまだ尽きないキャラクターのアイデア。本当に個性的だ。
主人公フランクは先に述べたとおりだが、彼のサーフィン仲間でFBI捜査官であるデイヴ・ハンセン。彼もある意味影の主役といえよう。『カリフォルニアの炎』のジャック・ウェイドを思わせる自分の信念と正義のために上司からの圧力にも屈しない不器用な男である。

そしてフランクの元相棒マイク・ペッラ。彼はフランクが抑制していた強欲を象徴する人物といえよう。フランクが長いこと彼と相棒そして友人として付合っていたのは彼の中に己の戒めるべき姿を見ていたからに違いない。久しぶりに見たマイクの凋落振りに自分の未来像なのかとフランクが絶句するところが象徴的だ。

また伝説の殺し屋フランキー・マシーンを殺して自らの伝説を築こうと息巻く若きマフィア、ジェームズ“ジミー・ザ・キッド”ジャカモーネも忘れられない男だ。ヒップホップに嵌り、エミネムのファッションを真似る男は組織のボスや幹部達を老いぼれと軽蔑し、かつてのイタリアマフィアの隆盛を取り戻そうと野心を募らせている。伝説の殺し屋を畏怖する人物が多い中で唯一恐れない男だ。

さらにフランクの別れた妻パトリシア、フランクの若き頃のボス、バップことフランク・バプティスタ、ラスヴェガスの高利貸しハービー・ゴールドスタイン、元警官でいくつものクラブを経営していたホレス“ビッグ・マック”マクマナスなどなど、フランクの過去に関わり、通り過ぎていった人物たちそれぞれも重ねられたエピソードが実に味わい深いゆえに鮮烈な印象を残す。
個人的にはフランクが標的として追っていたカジノの金を持ち逃げした警備主任のジョイ・ヴォールヒーズのエピソードの印象が最も強い。ほんの末節に過ぎないこのエピソードに追う者と追われる者の奇妙なシンパシーと逃亡人生の末路の悲惨さが痛烈に込められ、忘れがたい。こんなエピソードが書けるウィンズロウはどんな人生を歩んできたのだろうか?

今までウィンズロウの作品で唯一不満だったのは物語の閉じ方だ。ペシミスティックで感傷的な終わり方はどの作品も魅力ある主人公を書いているだけに、同じ物語の世界を旅してきた読者の一人として、なんとも不完全燃焼な感じを抱いていた。ニール・ケアリーしかりジャック・ウェイドしかり。
しかし本書はこれこそ私が待ち望んだ結末といわんばかりの、静謐さと希望が入り混じった思わず笑みが零れる極上の終わり方だ。だから私は迷わず星10を献上する。ウィンズロウ作品初の星10を。

Tetchy
WHOKS60S
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

カッコいい老人に憧れる

2006年に発表された長編小説。サンディエゴを舞台に、引退したマフィアが「自分流の生き方」を貫くために闘う、老人が主役のクライム・アクション作品である。
かつては「マシーン」というあだ名を持っていた凄腕のマフィア、フランク・マシアーノは、62歳になる今はサンディエゴで「餌屋のフランク」と呼ばれ、釣り客相手の商売と魚の販売などのビジネスと、元妻、愛する一人娘、恋人との関係を大切に、平穏な日々を送っていた。ところがある日、マフィアのチンピラが自宅を訪れ、フランクに力を貸して欲しいという。嫌々ながら昔の義理から力を貸すことになったフランクだったのだが、話をつけに行ったところで襲撃され、殺されそうになる。その場は窮地を脱したフランクだったが、その後も執拗にマフィアから命を狙われるようになった。誰が、何の目的でフランクの命を狙うのか、思い当たる過去がいっぱいあるだけに相手を特定できず、フランクは徐々に追い詰められて行く・・・。
老サーファーにして元マフィアの凄腕、しかも商売上手という主人公の設定がかっこいい。「夜明けのパトロール」、「紳士の盟約」の主人公が歳をとったらこんな感じになるのか。空気はあくまで乾いているのだが、登場人物たちの言動は極めて生臭い。そんな中で「自分流の生き方」を貫き通すフランクは、まさにハードボイルド・ヒーローで、最後までかっこよさを失わない。
スカッとした読後感の作品を読みたい方には、絶対のオススメだ。

iisan
927253Y1
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

フランキー・マシーンの冬の感想

面白い。。

ひでお
FPCYVIYY
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

フランキー・マシーンの冬の感想

すっごく良かったです!一遍の映画を見てるようで、大人の物語だなあと。
老境にさしかかっているフランクはサンディエゴで釣り餌屋をやりながら、恋人との時間、週1回の娘とのランチデートや友人との波乗り、規則正しい日常の生活を愛し人生を楽しんでいたのですが、ある冬の夜家に帰ると一台の車が止まっており、それから命を狙われるはめになるのです。

もう何年もまっとうな生活をしていたものの、実はマフィアの1人であり伝説の殺し屋でもあったのですが、狙われる理由がわからないフランク。何が原因なのか理由をさぐるため過去を思い出すエピソードが、そのままフランクの青春の回想物語でもあるような気がしました。

決して褒められるような事をしてきたわけではないのですが、常にどこかファミリーからは一歩引いたところから眺め、決して仲間を裏切らず、自分に課した規律を守り生きてきたフランクがやっと見つけた平穏な日々を壊され追い詰められていく中で、かつて自分が追い詰めた人間のエピソードがあったりと、その対比も秀逸です。

エピソードに挿入される実際にあった出来事や映画の話など非常にリアルで、フィクションでありながら政治家や警察官などの汚職やそれまつわる世界観も全く違和感がなく、病んだアメリカ(日本もあまり違わないかもしれませんが)の現実が見えてきます。

それにしても渋くてカッコいいフランク。サーフィン仲間であるデイブも素敵です。
雨のサンディエゴと言うだけでも絵になりそうですが、最後もすごくよかったです。映画にしてほしい!
唯一の難点は登場人物が多く、名前が複雑で覚えるのがちょっと大変だったかもしれません。

たこやき
VQDQXTP1
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未読の方はご注意ください

No.30:
(5pt)

主人公の人間的魅力と迫力あるマフィアの世界を描いたクライムノヴェル

よかった、とてもよかった。やっぱりウィンズロウ作品は最高だ。
上巻の1/4越えまでは、主人公フランク・マシアーノの人間性や現在の生活ぶりが長々と描かれており、ちょっと退屈だと感じるが、そこでの内容は後々の人間関係や下巻終盤の展開に反映されている。
そしてこの後は退屈とは無縁の展開で、ページをめくる手が止まらなくなる。
物語の中では、彼の人間的魅力もさることながら、何と言ってもその銃さばきの見事さに魅せられる。
これが62歳だというところもいい。随時老齢期に突入したことを自覚しながらも、腕は衰えていない。
かっこいい。読んでいて爽快だ。
ただ、仲間のひとりが執拗なリンチを受け死亡したあと報復に出向き見事に仕留めるのだが、私としては物足りなく、もっと同じくらい長く苦しませればよかったのにと感じた。
登場人物が多くて整理するのがちょっとたいへんだったが、ストーリーとしてもよくできた内容だったと思う。
2024年現在、ウィンズロウは作家活動をやめると宣言しているようだが、絶対復帰してほしいと切に願う。 東江一紀氏の翻訳もすばらしい。故人となってしまったことは本当に残念だ。
本書は文字が大きく短い章で区切られていて、老齢期に入った私としてはたいへん読みやすかった。
フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)より
4042823068
No.29:
(3pt)

今一切れがないかと。

フランキーの若かりしころの因縁から、命を狙われているのではという話になり、回想シーンが入ってきます。
これが中々面白いのだが、ちょっと現代と過去のバランスがぶれているような。
誰がなぜ、彼を消そうとしているのかの謎はあるものの、結構シンプルに話が進んでいくので、物足りなさはあります。
年を取っても、流石のフランキーマシーンっぷりは、読んでて気持ちがいいんですけどね。
でも、元マフィアだからなぁ。晩年いい人になったってのが、今一繋がって入ってこなかったです。なので、星は3つで。
フランキー・マシーンの冬 下 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:フランキー・マシーンの冬 下 (角川文庫)より
4042823076
No.28:
(3pt)

面白いけど、想定内の展開

上巻読み終わってのみのレビューです。
殺し屋から足を洗い、全うな人生を歩んでるフランク・マシアーノが、かつての繋がりから命を狙われて、さてどうなるかというお話。
一体誰が何のために命を狙うのか。フランキー・マシーン”と呼ばれていた時代に、何があったのか。その辺りが徐々に語られていきます。
足を洗ったとは言え、流石は伝説の殺し屋。反撃の仕方が鮮やかで、そこが逆に物足りないかも。突然の事態なのに準備が周到過ぎて、ハラハラドキドキが足りません。
しかし、上巻はまだ物語としては序章な感じです。下巻での盛り上がりに期待です。
フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)より
4042823068
No.27:
(5pt)

満足満足

かっこいいですねー、このじいさんマフィア。中身はなにもないけれど大変楽しく読ませていただきました。楽しけりゃいい・面白けりゃいいを地で行く小説ですね。何といっても出だしのフランクの日常の解説が素晴らしい。私はハチャメチャな「犬の力」よりこっちが好きだしお薦めします。
フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)より
4042823068
No.26:
(3pt)

思ってたより普通

デビュー作のストリートキッズのさわやかな肩透かしにはズキュンとやられたし、犬の力は濃密なドラマドラマドラマ!のど傑作だったので評判のいいこの本も迷わず購入したのですが、思ったほどでもなかったですね。バカにしてるのかと思えるほどデカい文字、少ない情報量は昨今の翻訳書籍の価格高騰ぶりから仕方ないですけど、肝心の内容がアクション映画の脚本みたいにさっぱりしすぎて、重みが足りない。彼の作品にしては先が予測できすぎてる。映画で言うならボーンアイデンティティ、イコライザーや96時間(taken)に近いですかね。引退したむちゃくちゃ強い殺人マシーンを侮ってた皆さんが始末されるといった感じ。そこに謎解き等のサスペンス要素が加わっています。話自体は大好物ですけど、アクション系の話ならアクション描写に力を入れて欲しいところなんですが、簡潔すぎて迫力がない。さすがのドン・ウィンズロウでもアクションは苦手なのかなあ。
フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)より
4042823068



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