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サトリ



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サトリの評価: 3.91/5点 レビュー 35件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.91pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全27件 1~20 1/2ページ
12>>
No.27:
(4pt)

上巻の方が面白かったかな

ロシアの要人を暗殺する上巻から下巻に入り、物語が錯綜し始めます。
上巻だけでも物語は完結してるので下巻は要るか?とも思います。
終わり方が続編があるような終わり方でありウィンズローも意欲があるようなので、サトリのヘルの続編も読んでみたいです。
サトリ (下) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (下) (ハヤカワ文庫NV)より
415041274X
No.26:
(4pt)

早く下巻を

トレヴェニアンのシブミの前日譚。
章立てが細かくなっているので読みやすく、内容もテンポ良い。ウィンズローは初めて読んだが面白い小説を書くものだ。
えてして亡くなった作家の作品を受け継いで書くと、首を傾げたくなる例が多いが本作は十二分の出来。トレヴェニアンも草葉の陰で喜んでいるだろう。
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
4150412731
No.25:
(5pt)

傑作

おもしろくておもしろくてページをめくる手が止まらなかった。さすがウィンズロウ。
『シブミ』とか『サトリ』の日本語に意見を述べているレビュアーがいるが、そんなことはどうでもいい。要するに中身。主人公ニコライ・ヘルが神業のように必殺技を決めるところは、爽快なエンタメ要素として十分余りある。日本人側から見ても、誇りを感じた。

残念だったところは、ラストがちょっと物足りなかったこと。ヘルの復讐劇をたっぷりと堪能したかったのだが。しかし全体的には十分おもしろかったので満点評価とする。

私は訳者あとがきで、本書出版より以前(32年前)に出版されているトレヴェニアン著『シブミ』を知った。その前日譚、主人公の若き日を描いたものがウィンズロウ著による本書とのこと。
とても興味がわいたので、この後『シブミ』に取り掛かることにした。
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
4150412731
No.24:
(4pt)

捉え方で変わる作品

これが、とある暗殺者(と言えるか微妙だけど)の誕生の物語だと読めば、よくできた設定とプロットと人物描写の妙を感じるのだけど、ドン・ウィンズロウの作品ととらえると普段の書き込み方には遠く、悲惨な状況すら淡々と描く描写を感じられず何となく物足りない。シブミの前日談と捉えれば、トレヴェニヤンの語りを引き継ぐ者の作品と捉えれば、いやむしろ、そう捉えた方が楽しめる。人物もランドなど素敵な小悪党じゃないか?
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
4150412731
No.23:
(5pt)

作者が違う事に気がついていなかった

解説まで読んで初めてシブミの時の作者と違う人間が書いているということを知りました。
一人の主人公の物語を多くの人間が描くというのはあまり馴染みがなかったので全く分かっていませんでした。

ちょっと最後のソランジュの最期があっけなっくて残念でしたがそれでもあらゆるスパイものやアクションもので必要なお約束事を抑えつつ「近接感覚」という独特の能力をもとにしたストーリーは引き込まれます。
サトリ (下) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (下) (ハヤカワ文庫NV)より
415041274X
No.22:
(5pt)

海外の目線で日本を学ぶ

「シブミ」「サトリ」という言葉は口語としては一般的ではない。
が、その微妙な人間の生きる姿勢におけるニュアンスを拾い上げるセンスというのは流石だ。
そしてそのスタイルに沿って生きる人間を描く、という時点でもう面白いに決まってると私は感じました。

同時並行的に「シブミ」を読んでいるので私が感じたことが本書からなのか「シブミ」からなのか分からなくなる。
ということはそれだけ登場人物像が貫徹されている、ということだろう。
それだけ貫徹されたニコライ・ヘルという人物を読んでいくのが面白いのはその人間が作られていく過程を丁寧に描いているからこそであり、その人物が北京で自ら飛び込んでいく魑魅魍魎の世界に胸がときめくのと同時に登場人物を「心配する」ということが読書において可能になる。
最高に面白いです。
早く下を読みたいです。
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
4150412731
No.21:
(5pt)

ウィンズロウの膂力に唸る傑作

「シブミ」のニコライ・ヘルの若き日を描いた前日譚。
この小説に関しては、2つの点が重要ではないかと思いました。以下に述べると、
1、トレヴェニアンが描いた世界をどこまで模倣できるか。
2、トレヴェニアンの作品と同じ位かまたはそれ以上の面白さで小説を書けるか。
という難題が著者のウィンズロウに課されている様に感じました。
1について言うと、個人差があると思いますが、かなり忠実に「シブミ」の世界観、雰囲気を醸し出す事に成功している様に思えました。主人公のキャラクターの描き方、特にアクションシーン、立ち居振る舞い等、よく出来ている様に思えました。事に、秘術である「裸ー殺」を使うシーンは迫真的で流石ウィンズロウと頷きました。
2に関してはこれまた著者のウィンズロウの筆力によるものか、かなり面白い活劇小説になっていて唸りました。ソフトカバー版の賛辞に「潔いほどに映像的サスペンス」というのがあったと記憶しますが、確かに凄く読み易い小説で最初から最後まで存分に楽しめました。ネタの謀略もよく考えられていて感心しました。
という訳で、名作「シブミ」を読んでいる方は勿論、読んでいない方でも楽しめる異色の活劇小説として十分過ぎる位の面白い作品に思えました。「シブミ」がかなり名のある名作なので、その正当後継者役を引き受けた著者は多分相当怯んでトレヴェニアンの事を研究したであろうと思われますが、これだけ書ければ成功していると言えると思います。
蛇足ですがタイトルはフラワー・トラヴェリング・バンドの「SATORI」と掛けて圧あるのでしょうか?気になります。あと、主人公の体得している「裸ー殺」は実在する武術なのでしょうか?実在するなら習ってみたいです(笑)。
実力派作家の膂力に唸る傑作。是非ご一読を。
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
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No.20:
(4pt)

非常にくせが強いがとても面白かった”シブミ”が、アクが抜けてそれなりに面白くなったと

上巻で繰り広げられた中国でのミッションを終え、追ってから逃れるためにラオス経由でベトナムのサイゴンに逃れるところから下巻がスタートする。 ダイヤモンド少佐率いるCIA、ソビエト情報部、中国警察、ラオス・ベトナム国境付近の有力部族、ベトナムゲリラ、フランス諜報部など多数のステークホルダーと虚々実々のやり取りを繰り広げながら、ソランジュと逃走を続けていく。 トレヴェニアンの思い(アメリカ文化批判、アジア文化の深い理解、囲碁と洞窟探検のうんちくなど)アクが強かった反面、それが物語に厚みを与えていて独特の雰囲気をだしていたシブミと比べて、全体的にシンプルなストーリー構成で、”アクが抜けたシブミの続編”といった感想をもった。 シブミを読んだ時のような興奮はなかったが、それでもウィンズロウの力量でエンターテイメントとしては上出来なレベルにはなっていると思う。 冒険小説、アクション小説が好きな方に加えて、ウィンズロウ、トレヴェニアンのファンにもお勧めできると思う。
サトリ (下) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (下) (ハヤカワ文庫NV)より
415041274X
No.19:
(4pt)

トレヴェニアンのシブミ(冒険小説の名作)の前日譚をあのドン・ウィンズロウが書いた!

冒険小説の傑作と言われるトレヴェニアンのシブミの続編が出るとは、正直思っていなかった。 20年以上前にその正確で深い日本文化の理解に驚きながら、そして興奮しながら読んだのを思い出した。そして本作を読むにあたり、シブミを再読したが、改めてその物語世界の素晴らしさを実感した。 本作サトリでは、日本での育ての親である岸川将軍が戦犯として逮捕される寸前に、ニコライが息子として、親を絞首台の屈辱から救うべく、苦痛なく一瞬にして岸川将軍を殺害した罪を問われて、巣鴨拘置所に収容された状態でストーリーが始まる。 ダイヤモンド少佐とその手下による熾烈な拷問によって心身ともに痛めつけられたニコライだが、中国にいるロシア要人を暗殺することと交換条件で釈放されることになる。 暗殺を成功させ、日本で短い間一緒に生活したフランス美女のソランジュと生活を共にすること、そしてダイヤモンド少佐とその手下に復讐することを生きがいとしてニコライの苦難の戦いが潜入した中国で始まる。 トレヴェニアンの前作と比べて、ニコライのキャラ造形は違和感がないところは、さすがウィンズロウであると思う。 またシブミで執拗に展開されていたアメリカ文化批判や、詳細なケービング(洞窟探検)のシーンなどトレヴェニアン個人の思い入れなどが一切省かれて、スリラーに徹した執筆姿勢に手堅さを感じた反面、シブミの独特な物語世界が、出来はいいがよくあるようなスリラーになってしまうような点が物足りないような感じがする。 とはいえ、中国での苦難のミッションを終えたところで上巻が終わる。 下巻が非常に楽しみである。
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
4150412731
No.18:
(5pt)

日本オタクにありがとう!

私は、日本のことを一生懸命調べたり、体験したりしてくれた作者がとてもいとおしく感じました。時には「やりすぎ」と思う場面もありましたが、主人公のニコライがスパイ通しの心理戦を碁盤を見立てて、シュミレーションする様など、私も碁をはじめたいな、と思うほどでした。ニコライの清潔な心身とそれをとりまくグロテスクな環境、ニヒルな会話、このバランスがすごくよいです。
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
4150412731
No.17:
(5pt)

『シブミ』に対するリスペクトが感じられるところが嬉しい

ドン・ウィンズロウ作『サトリ』の下巻。トレヴェニアンの『シブミ』の空白を埋める作品にして続編。

トレヴェニアンの『シブミ』という、1979年出版にしてもはや既に「古典」といって差し支えないような存在となった作品の前日譚にして続編となる作品。作者が亡くなった場合など、別の作家がシリーズを続けるのは、007シリーズのイアン・フレミング→ジョン・ガードナー→レイモンド・ベンソンの例を初めとして、そう珍しいものでもないと思うが、そもそもシリーズでもなく、まして約30年も前の作品の続編というのは、そうないのではないかと思う。その意味では、そもそもこの企画を思いついた編集者、また、それを実行出来る人間の所に話を持っていったというのが、何よりファインプレーだったと思う。

トレヴェニアンの『シブミ』においては、主人公ニコライ・ヘルの少年時代と暗殺者を引退した後の時代を描写しているのに対し、この『サトリ』では、暗殺者としての最初の事件が描かれている。ある意味、静と動というかたちで対称的になっている点が面白い。また、今作の作者であるドン・ウィンズロウがトレヴェニアンの作品を本当にリスペクトしているということを伺わせる描写が、そこかしこに見られるのも嬉しい。シャーロック・ホームズのパロディ物などでも出来の良い作品には、思わずニヤリとさせられるような描写があるが、今作でも同様だ。

更に嬉しいのは、ドン・ウィンズロウ本人はこのニコライ・ヘルのシリーズを書くことをかなり乗り気らしい。勿論、現時点で更なる続編の情報は全くないが、そう遠くない将来、あるいは第3作があるかもしれない。
サトリ(下) (ハヤカワ・ノヴェルズ)Amazon書評・レビュー:サトリ(下) (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152092092
No.16:
(4pt)

予想を裏切られたけど

1951年東京。日本的精神の至高の境地〈シブミ〉を学んだ暗殺者ニコライ・ヘルは…

との紹介だったので、忍者とかでてくるタイプかと思って読み始めました。
しかし早々日本を出て、正統派に戻っていった。
ちょっと残念だけど、面白いのでOK!
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
4150412731
No.15:
(5pt)

映画を観た気分

〈サトリ〉を読むに前にトレヴェニアン著の〈シブミ〉を読みました。
以前から“トレヴェニアン”作品に興味があり、一度は読んでみたいと思っていたのと、大好きな“ドン・ウィンズロウ”の作品をより深く楽しむ為。
大正解でした。(笑)
〈サトリ〉を読もうとしておられる方の中で、未だ〈シブミ〉を読まれていない方がもしいらっしゃったら、先ずは〈シブミ〉を一気に読破してから今作〈サトリ〉を読まれる方がよいかと思います。
〈サトリ〉読後、〈シブミ〉の岸川将軍の存在が大きさが感じられました。
ダイヤモンド少佐とその部下の展開がなかったのが意外でした…
できれば、続編で少佐と部下に対する復讐の話があると…と期待してしまいました。
でも却って、その話は作品にしない方がいいのかな…
サトリ(下) (ハヤカワ・ノヴェルズ)Amazon書評・レビュー:サトリ(下) (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152092092
No.14:
(4pt)

久方振りの「ニール」風味

ニールケアリーシリーズファンとしては、久し振りにあのムードを楽しめました。いろんなスタイルで描ける人ですね。しかも、発想乏しい私に、ビジュアルが目蓋の裏に浮かんでくるような語り口は変えないで。場面転換もすごいですね。下手な作家だと、話の筋が全く見えなくなる事もあるのに。今回の主人公は、ニールが、さらに過酷な環境で大人になった感じで、好感度大です。いろんな局面に対し、頭の中で状況を分析する場面は、東洋風の味付けもあって、読み応えがあります。しかもかっこいい。2次大戦後間も無い中国、ベトナムの、四つ巴、六つ巴の泥沼の中を、仁義礼智を以ってクールに切り抜けて行く姿は、新しいヒーロー像に感じます。まさに、しぶみですね。30年前に、作者も憧れたんでしょうか?下巻が楽しみです。とは言え、東洋趣味は、も少し勉強して欲しいなあ・・・(抹茶も、煎茶も、ウーロン茶も一緒くたは無いでしょう・・・1点減点です)
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
4150412731
No.13:
(4pt)

続編も書いて欲しい!

米中仏越に、それぞれの派閥、ギャングが入り乱れて、何が敵で、誰が味方かも解らない、混沌の仏領インドシナの渦中に、孤高の悟りを求め、信念と尊厳を賭けて戦いに挑む。相手がなにを求めるかを、碁盤の打ち手に準え、何手先までも読んでいく。シブイ。そんな主人公に、泥沼にはまった周囲も、何かを求めて、共感して行く。これは、主人公のキャラクタだけでも、文句なしに楽しめる、稀有の作品と感じます。ただ、下巻は、上巻に比べて、少々、エネルギー不足カナ・・・?叙述の力点が、少しずれて、冗長と、不足のバランスが、最良とは行かない感じ。主人公のクールさも、時々よれるので、1点減点します。でも、このキャラクタは、今後何度でも出会いたい!是非、続編をお願いします!!!
サトリ(下) (ハヤカワ・ノヴェルズ)Amazon書評・レビュー:サトリ(下) (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152092092
No.12:
(5pt)

おんもしろい!

友人に勧められての読書、第二弾。またまた大ヒットだった
海外の本にありがちな登場人物がつかめないこともなく
冒頭からスルスルと
翻訳の人がうまいんだろうなぁ。イメージしていた翻訳ものとは違っていた

表紙で誰かが「映像的」といってて、たしかにその通りなんだけど
なんか安っぽい感じでもなく、一定の緊張感を持ったまま
下巻までつっぱっした。

読書って面白いですね。ハズレの本の絶望感はハンパじゃないけど
最近はヒットが多いです
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
4150412731
No.11:
(5pt)

おんもしろい!

友人に勧められての読書、第二弾。またまた大ヒットだった
海外の本にありがちな登場人物がつかめないこともなく
冒頭からスルスルと
翻訳の人がうまいんだろうなぁ。イメージしていた翻訳ものとは違っていた

表紙で誰かが「映像的」といってて、たしかにその通りなんだけど
なんか安っぽい感じでもなく、一定の緊張感を持ったまま
下巻までつっぱっした。

読書って面白いですね。ハズレの本の絶望感はハンパじゃないけど
最近はヒットが多いです
サトリ(上) (ハヤカワ・ノヴェルズ)Amazon書評・レビュー:サトリ(上) (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
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No.10:
(4pt)

ドン・ウィンズロウ流 『シブミ』の前日譚となる一大冒険活劇

超寡作な伝説の覆面作家トレヴェニアン。’79年発表のトレヴェニアン名義の第4長編『シブミ』は、独特の日本文化論を取り入れ、フリーランスで“孤高の暗殺者”ニコライ・ヘルを描いた“冒険スパイ小説の金字塔”と謳われる名作だった。
本書は彼(後に元テキサス大学学部長で本名ロドニイ・ウィリアム・ウィテカーと判明する)が’05年12月14日に逝去した後を継いで’11年に上梓された『シブミ』の前日譚である。書いたのは、アメリカ・ニューヨーク出身、現在サンディエゴ近郊に在住のドン・ウィンズロウ。そう、<探偵ニール・ケアリー>シリーズや、09年「このミステリーがすごい!」海外編で話題作『ミレニアム』をおさえて断トツ第1位に輝いた『犬の力』で有名なハードボイルド作家である。

トレヴェニアンの『シブミ』では詳しい叙述のない、日本の敗戦後、ヘルが米占領軍に捕らえられ巣鴨拘置所の独房に収監されてから再び現れるまでの期間の物語である。彼は1951年秋、釈放と新しい国籍・身分、そして自分を拷問したダイアモンド少佐に対する復讐を条件に、CIA局員からきわめて困難を伴い成功・生還の見込みのごく薄い、北京駐在のソ連KGBの要人暗殺工作を引き受ける。
東西冷戦、毛沢東の共産中国、朝鮮戦争、抗争を繰り返すインドシナ情勢、当時の均衡危うい世界情勢を背景に、アメリカという大国のエゴの手先となるヘル。

ストーリーは、きわめて短い章立てで、ヘルを取り巻く各国あるいは各軍・各勢力のボスの思惑と、それに加えてヘルに対する私怨も加わり、ヘルを中心に映画のカットバックのような手法で矢継ぎ早に展開する。さらに26才の青年らしい恋愛やギャンブルのシーンや、謎の暗殺者<コブラ>の存在も取り込まれ、次々に趣向の異なる見せ場が現れる。あまりのテンポの良さと錯綜する各勢力の混沌とする状況に誰(何)が“敵”で誰(何)が“味方”か見失いそうだ。

本書は、元もとのじっくりと味わい読む『シブミ』のような重みはないものの、ウィンズロウ流の息もつかせぬ映像的なスピード感溢れる冒険活劇に仕上がっている。
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
4150412731
No.9:
(4pt)

ドン・ウィンズロウ流 『シブミ』の前日譚となる一大冒険活劇

超寡作な伝説の覆面作家トレヴェニアン。’79年発表のトレヴェニアン名義の第4長編『シブミ』は、独特の日本文化論を取り入れ、フリーランスで“孤高の暗殺者”ニコライ・ヘルを描いた“冒険スパイ小説の金字塔”と謳われる名作だった。
本書は彼(後に元テキサス大学学部長で本名ロドニイ・ウィリアム・ウィテカーと判明する)が’05年12月14日に逝去した後を継いで’11年に上梓された『シブミ』の前日譚である。書いたのは、アメリカ・ニューヨーク出身、現在サンディエゴ近郊に在住のドン・ウィンズロウ。そう、<探偵ニール・ケアリー>シリーズや、09年「このミステリーがすごい!」海外編で話題作『ミレニアム』をおさえて断トツ第1位に輝いた『犬の力』で有名なハードボイルド作家である。

トレヴェニアンの『シブミ』では詳しい叙述のない、日本の敗戦後、ヘルが米占領軍に捕らえられ巣鴨拘置所の独房に収監されてから再び現れるまでの期間の物語である。彼は1951年秋、釈放と新しい国籍・身分、そして自分を拷問したダイアモンド少佐に対する復讐を条件に、CIA局員からきわめて困難を伴い成功・生還の見込みのごく薄い、北京駐在のソ連KGBの要人暗殺工作を引き受ける。
東西冷戦、毛沢東の共産中国、朝鮮戦争、抗争を繰り返すインドシナ情勢、当時の均衡危うい世界情勢を背景に、アメリカという大国のエゴの手先となるヘル。

ストーリーは、きわめて短い章立てで、ヘルを取り巻く各国あるいは各軍・各勢力のボスの思惑と、それに加えてヘルに対する私怨も加わり、ヘルを中心に映画のカットバックのような手法で矢継ぎ早に展開する。さらに26才の青年らしい恋愛やギャンブルのシーンや、謎の暗殺者<コブラ>の存在も取り込まれ、次々に趣向の異なる見せ場が現れる。あまりのテンポの良さと錯綜する各勢力の混沌とする状況に誰(何)が“敵”で誰(何)が“味方”か見失いそうだ。

本書は、元もとのじっくりと味わい読む『シブミ』のような重みはないものの、ウィンズロウ流の息もつかせぬ映像的なスピード感溢れる冒険活劇に仕上がっている。

サトリ(上) (ハヤカワ・ノヴェルズ)Amazon書評・レビュー:サトリ(上) (ハヤカワ・ノヴェルズ)より
4152092084
No.8:
(4pt)

懐かしい

ニコライはイメージとして、フレミングの「007」原作、ならびにショーン・コネリーの演じた初期「007」映画のボンド。
ポーカー勝負は「カジノ・ロワイヤル」日本の心を学ぶのは「007は二度死ぬ」
スパイなんだが、すぐに身元のばれる偽名も気にしない、任務を外れて女性絡みのトラブルに自ら身を任せ、街中での
後先考えぬ大暴れ、口撃に対する皮肉の聞いた切り替えし、おまけに絶対に死なないのは分かっているし
(『シブミ』の前日譚ナ訳で...)
チョット新鮮なのは、「犬の力」「フランキー・マシーン」のウインズロウらしく、ベトナムに麻薬絡みのイタリア・マフィアが登場する辺りか...
実に軽快に、(もっとも字がでかくて、スカスカなのもあるが...)2日ほどで読了。
それはそれで気分が変わっていいのだが、前述のオリジナル2作品が、最後に誰が生き残るのか、最後の数ページまで
予測の着かぬ期待に違わぬ衝撃巨編であったのと比すると、本作品は、『シブミ』と言う親本との繋ぎ、整合性を優先したのか、
戦後まもなくと言う時代設定からか、ちょっと<ぬるい>作品と感ぜられた。
(ゴールドの間抜けぶりとか、最強の暗殺者たるコブラとの対決だって...終わり方も評判よければ続編も、みたいに感じられる終わり方。)
版権料が余程莫大なのか、上下で\3360! 2日で読み終わるには本当にもったいない。繰り返しになるが字がでかくて、
スカスカなんで、イヤでも必要以上に誤植が気になるし(例 P183 今朝の→今朝も)この値段でこの程度の気の使い方か、
と作品とは別に反感をもってしまう...
だが驚くなかれ、キングの新作(文芸春秋)は上下\5800!(ただし、字はびっしりだが...)はァ〜
今後はウインズロウは角川で文庫にしてください。
サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)Amazon書評・レビュー:サトリ (上) (ハヤカワ文庫NV)より
4150412731

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