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目くらましの道



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目くらましの道の評価: 8.67/10点 レビュー 3件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.67pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

目くらましの道の感想

この本に限って云えば、この人のこの作品はそれぞれのエピソードが最後に集約するその様はとても自然で、無理の無い形でそれぞれが繋がっていくところが上手いなと感心させられる。
作者の都合で人が動いたりとか、そのような不自然さが皆無で全てがキッチリと嵌まって一枚の絵になるような構成の巧みさがある。しかし、国が違えば日本の常識が通用しないのは
分かるけれども、どうも「え?」と思うことが多々あり過ぎてその辺が少し可笑しい。事件があればその家の周辺に徹底的に聞き込みを入れて目撃情報を得るのは捜査のイロハだが、
どうもスウェーデンでは違うらしい。こういった点や子供を迎えに行くために刑事が夕方5時に帰るとか、日本じゃちょっと考えられないところがあって、異文化の面白さが味わえる面もあり
海外小説ならではの別の楽しみ方も出来る。とはいっても、捜査の様子がきめ細かく描かれ着実に犯人に迫っていく捜査チームの動きが、かなりの枚数だけれども中ダレすることなく書かれており、
先の展開が気になってとても途中で放り投げるような事は出来ない。主人公の警部も人間味溢れるキャラクターでこういった点もこの物語を面白くしている一因なのは間違いない。
でも一番の良さは無理のない展開とそれぞれの人の考えや行動がとても自然に描かれているところだと思う。文庫本上・下のボリュームだけれど読み応えのある内容だった。

ニコラス刑事
25MT9OHA
No.1:4人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)
【ネタバレかも!?】 (1件の連絡あり)[]  ネタバレを表示する

ますます充実してきた、シリーズ第5作

ヴァランダー警部シリーズの第5作は、さすが「CWAゴールドダガー賞」受賞作といえる傑作だ。
恋人・バイバとの夏休み旅行を楽しみにしていたヴァランダー警部だが、目の前での少女の焼身自殺というショッキングな場面に遭遇しただけでなく、死者の頭皮を剥ぐという猟奇事件まで発生し、浮かれた気分が吹き飛ばされてしまう。さらに、同一犯によると思われる殺人事件が発生し、イースタ警察は不眠不休で犯人を追うことになる。
アメリカでは起きてもスウェーデンでは起きないと思っていた猟奇連続殺人事件に戸惑うヴァランダーたちは、まったく犯人像を描くことが出来ず、ついにプロファイラーの力も借りて暗中模索の捜査を続けることになる。そこには、世界の変化とともに変貌するスウェーデン社会の闇が広がっていた・・・。
上下巻合わせて750ページの大作だが、カリブ海・ドミニカ共和国でのプロローグから父親とともにイタリア旅行に出かける飛行機内のエピローグまで、全編だれるところがない。上巻の3/4ぐらいで、ほぼ犯人の目星はつくのだが、そこからも犯罪捜査の緊迫感は損なわれることもなく、質の高い警察小説に仕上がっている。
サイコパスが主役の連続殺人ものといえば米国を中心に世界中で掃いて捨てるほど書かれているが、さすがにヘニング・マンケルは上手い! 特異な犯人の行動だけでなく、犯行の動機となる社会的な病、変化する警察組織が抱える問題、捜査官達が抱える個人的な苦悩などが丁寧に描かれており、さまざまな読み方で楽しめる。少女の焼身自殺も重要な伏線になっていて、最後にすっかり腑に落ちるのが心地よい。
「リガのイヌたち」「白い雌ライオン」で迷走したヴァランダー・シリーズだが、前作「笑う男」で持ち直し、本作で大飛躍した(これは、某評論家の解説だが)という噂は本当だった。

iisan
927253Y1

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